「いいじゃん、ファンタジーバンザイで」
(略)
「……そうですね、考えるだけ無駄ですね」
「そうそう。見たままをそのまま受け入れれば良いんだよ、別世界なんだから」
メアリとミーティアを保護しつつ、訓練も兼ねて避暑のダンジョンへの挑戦を続けているナオ達。
第11層には「空」が広がっていたりもして。ダンジョン内部には時折現実世界が再現されてるそうです。ただ、無限に広がっているわけではなくて、ある程度の距離を進むと透明な壁に阻まれる場所ではあるとか。
その後も順調に攻略を進めて15層とかにも到達してますが、空間的にはやっぱり異質な場所ですよね、ダンジョン。
ナオ達も多少は気にしてましたけど、答えを出せるものでもないから「ファンタジーってすごい」って飲み込んでましたけど。このあたり割り切りも出来るあたりは現実的ですよねぇ……。
避暑のダンジョン、階層が進んでいくごとに採取できるものも増えて行って。
フルーツが取れたかと思えばナッツも取れる。深い階層で牛の魔物も出てきて、肉も美味しいし、生け捕りしないといけないのが大変だけど牛乳も取れるようになったりと。
ナオ達の食生活の基盤、大分向上しているなぁとしみじみと思います。
手に入れた食材を加工できる調理技術だったり、マジックバック持ってたり。深い階層に入るのは大変だけど、ナオの疲労を代償に転移魔法で移動時間を短縮することが出来たりする彼等だからこそって部分はありますが。
そうやって実力を磨いて、実績を積んでいった彼等だからこそ、貴族からの依頼が舞い込んでくることに。
いつもお世話になっているディオラの縁戚伝いに持ち込まれた話で、ディオラもまた「腕利きの冒険者を格安で雇いたい」と無茶ぶりされた側ではあるんですが。
お相手はネーナス子爵。先日のケルグ争乱の後始末で忙しく人員が必要だし、そもそも腕利きも少ない。
そんな中でも貴族としての体裁はしっかりするため、他の貴族の婚姻に名代を派遣することはしないといけないので、その護衛を頼みたいという依頼で。
とは言え安く雇いたいのは相手の事情。ナオ達もランク五になってるので、報酬はしっかり払わないといけないということで……ディオラが交渉して、ナオ達以外に潜ってる人のいない避暑のダンジョンの権利を譲るという形ではどうか、と話を纏めて来てくれたのは有能でしたね。頼れる~。……だから無茶ぶりされちゃうんだろうなぁ……。