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「諦めろって? お断りだね。視力を奪われたことは百歩譲って許せても、あんな不甲斐ない負け方をして、そのまま終わるなんて絶対にない。俺にとってそれはあり得ないことなんだよ」

 

五年ほど前に、ダンジョンが現れた世界。

そこに挑む探索者にはゲーム的なクラスやステータスが与えられるし、魔法やポーションといったファンタジーアイテムも産出する。

ダンジョンには夢があるが……ステータスの底上げがあっても攻略は容易ではなく、半端な覚悟で踏みこめば命を落とす魔境でもあった。

 

主人公の八代夜一は、そんなダンジョンが誕生した黎明期から踏み込んだ先行組と呼ばれる一人。C級最上位の実力を獲得し、日本で5人目のB級となる有力候補とも目されていた。

しかし、「試練の魔物」と呼ばれるイレギュラーの魔物と遭遇した際に、片目を奪われて戦闘に支障がでるようになってしまった。当時挑んだ仲間も、結婚で引退するものもでてパーティーは解散。

それでも夜一は、試練の魔物の打倒を諦めてはいなかった。近接に特化した剣豪のジョブを乗り換えて、錬成術師と呼ばれる生産系のジョブになって。

父親が経営しているダンジョン関連の事情を行っている会社の特別顧問としての役職を貰い、色々と知識を提供したりしていたようです。

ダンジョン関連のアレコレを扱う関係で、ダンジョンでの実習とかも行っている指導役を務められる人材は結構貴重なのでは。彼を落ちぶれたと見做して馬鹿にしてくる新人もいましたが……まぁ特別馬鹿なの一人だけだったのは安心した。

他の面々は話聞いてくれる、真っ当な社会人多かったですからね……。

 

そうやって指導に赴いた先のダンジョンで、なんの運命の悪戯か自分の眼を奪った試練の魔物と戦う羽目になってしまった夜一。

過去の敗北の際に得た経験と、試練を超えるために積み重ねて来た全てを注いで、試練を一度は超えたのはお見事。……まぁ、その後予想外のパワーアップをしてきて、夜一も死線を潜る羽目になったわけですが。

そうやって強化された試練を超えたことで、これまで以上の力を得たので、上手く使えば影響力を高めることも出来そうです。

……当人は研鑽にばかり目が向いてそうですけど、試練を乗り越えて得た報酬がとんでもなかったり、結果としてダンジョンを一つ崩壊させてしまってバカ議員がちょっかい出してきたりとか、面倒事も同時にやってきたのがなんともですが。