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「さぁ、これでお前の罪も誉も何もかもが俺のモノだ。故に俺の罪でライムが悲しみ嘆く事など許さない。わかったか? 存分に頼って依存して、堕落した勇者となるがいい」

「酷く素直じゃない、犯罪者、悪者」

(略)

「魔王にとっては誉め言葉でしかないな」

 

「悪役」や「勇者」に対して一家言ある2人が、それぞれ「魔王/勇者の適性がある」という怪しい誘いを聞き……それを受けることにしたわけです。

そうやって異世界に転生した2人ですが、彼らが放り出されたのは、大気が汚染され人が住めない状態になった星であり……2人は魔王と勇者として相応しいファンタジーな魔法とかの能力を得て異世界転生したんですけども。

この星の人々は星を飛び出して宇宙で暮らしている、SF世界の住人となっていたのでした。

その状況こそ、タイトルの「魔王予数矢が時代遅れになりました」というそのままなんですが。

 

別に彼らが放り出された星に住んでいた人々がその星を捨てたとしても。

魔王と勇者が最初に出会ったSF世界の住人の少女リゼルから話を聞いてみたら、SF的科学技術が発展した世界になっているとしても。

魔王と勇者が獲得した「魔法」というルールもまた、彼らが転生した世界には確かに存在し続けていて。

常人なら生きていけない星で過ごせるように「環境適応」する魔法を使ったり。地表に墜落した宇宙船を魔法生命体……アンデッドとゴーレムのハイブリッドみたいな状態に作り直して、リゼルの常識を破壊しまくってるのは笑えました。

 

魔王と勇者に宇宙船を修理できる技術はない。だが魔法生物化してしまえば、回復魔法でなんとかできる! はルールをハックしてる感があって、リゼルじゃないけどそれアリなんだってこっちも驚きましたが。

……まぁ魔王は一応回復魔法も使えるけど、過剰に回復してしまってエネルギー飽和して死ぬ可能性があるから、と回復は勇者の担当になってましたけども。

回復魔法でどうにか出来る目途は断ったけど、規模が大きいので時間がかかる。ある意味閉鎖空間で男1人に女が2人。そして男は悪に一家言ある魔王ということで、ちょいちょいちょっかいを出して……その結果、食われる側になっていたのには笑った。まぁ魔王自身の行いの結果なので粛々と受け入れてもろて。

 

そして船の修理が終わり、SF文明圏に踏み込み、そこで「魔王軍」という名前の民間軍事会社を設立して、矜持を持たない海賊を蹴散らしたりとかし始めているの、なんだかんだこの世界を楽しんでて良かったです。