「まあ、確かに、簡単に手の平を返す周囲には幻滅だけどね。でも、周りの評価なんてどうでもいいわ」
華はふんと鼻を鳴らす。
「力を示せば態度は変わる。そんなの最初っから分かっていて隠してきたのは私。隠してきたのが私の意思なら、隠すのをやめたのも私の意思よ。その結果で周りが変わっても、私はなにも変わりはしないわ。恨むとか復讐とか外野がなにを騒いでいたってどうでもいい。勝手にしてろ」
先日、術者協会本部に潜入し騒動を起こしたテロリスト集団『彼岸の髑髏』。
メンバーを捕らえ、調査をしようとしていたみたいですが……呪いによって命を奪われてしまうことになって。
いくら華の実力が秀でているとはいえ、セキュリティが強固な協会に潜入した手腕を考えると、簡単にやられすぎていたこともあり……『彼岸の髑髏』の裏側に誰かがいるのも朔は感じ取っていたようです。
敵が呪いを使うことも明確になったので、学生である華を関わらせようとはせず。
最高位の術者である漆黒の間で調査を行うことにしたようで。朔も当主就任したばかりの若手であるのもあって、漆黒最強と呼ばれる術者は他にいたみたいですが。
……まぁ、正直最初から怪しかったですよね。華相手に「力を示した途端に態度変えた周囲の人に思うことは?」とか聞いてきてる時点で怪しすぎた。
華、関係改善した姉妹の葉月にも「あの成績だと、一般的な会社への就任は難しいのでは?」って思われているのあまりにもあんまりですが。
学校行事にも「遠方に行くの面倒」で参加してなかったりして「そんなのあるんだー」とか言ってたので、内申点的な意味で見ても華わりとダメダメで一般的な進路はハードル高そうです。
感想書く際にコミカライズ1巻読み返してたんですが、幼少期は葉月が満点とったテストで90点を取ったりしてて、素のスペック自体は悪くなさそうですけど……認められるのを諦めてしまったからな。両親の毒が効いてますなぁ……。これもまた華の選択の結果ではありますけども。
術者の実力が確かなコトや、朔に寵愛されていることもあって、実際問題として一般企業への就職ってほぼ不可能そうだなぁ……とも思いますが。
華、力を隠す選択をしたのもそれを辞めたのも、自分の意思と言えて力を振るう時には躊躇わないし、行動力もあるので本人の嗜好はともかく、術者向きの性格してると思うんですよねぇ。
そんな華の秘めた実力に、五家の人々も今までの騒動を通じて気付いた人が増えて来ていたわけですが。それを知らない四ツ門の令嬢・牡丹は初見で気付かず侮っていたのは……なんとも。周囲の反応からすると、アレがデフォの態度だったってのもありそうですけど。
今回の騒動で、ちょっと意識改善されてたっぽいので、今後の成長に期待。