「我が式神に命ず。周囲の敵を、悉く殲滅せよ!」
花咲高校への合格も決まり、絡新婦(じょろうぐも)討伐の際に見せた実力が認められ、B級陰陽師に昇格を果たした主人公の一樹。
式神としている山姫の蒼衣と、C級陰陽師の沙羅を従業員として、小規模ながら正式に陰陽師事務所を開設することに。
受験シーズンは活動を休止していたわけですが、事務所の開設に合わせて同期の安部晴也から2件の依頼が持ち込まれることに。
一件目は電波塔に巣食った怪鳥の調伏。
晴也も霊体の鷹を使役しているし、一樹も八咫烏たちを従えているので確かに依頼という形でも助力を乞えるなら頼もしいですよねぇ。
実際問題なく解決はできてましたが、関わる人間が大きい分事後処理の方が大変だったというのは……まぁ、最初のうちに良い経験が出来たという事で……。
二件目は、氷柱女に関する依頼。
本体である氷柱が解けてしまうと消えてしまうが、符で霊力を補充したり対策を取れば人里でも暮らせる、共存可能な妖怪らしいです。
そんな氷柱女と結婚した旦那さんと、その間に生まれた娘2人。しかし、絡新婦の一件で符の供給が滞り、今後に触るという事で助命の依頼が来たわけですが。
……奥さんの本性である氷柱を業務用冷蔵庫に入れて保護したとかいう旦那さん、文明の利器を活用してて笑えました。一樹が思わず茫然自失してしまったのもちょっとわかる。
晴也が娘に一目惚れしてましたが言葉選びを間違え、実力も及ばずに失敗。
そのあと一樹がフォローして依頼には解決の目途がついていましたが……晴也、続いて一樹を男の付き合いとして式神確保に連れ出して、かなりの大物引き当ててるの、凄いツキですよね。失敗も相応にしてますけど、なんだかんだ死んでないので差し引きはプラスなのでは?
実際高ランクの妖怪が傍に侍るようになって、ランクが上がっていく道筋も出来たわけですしね。……一樹が、今後式神探しに二度と協力しないと誓うのも分かる展開ではありましたけど。
そして一樹自身は紗羅の伝手でA級相当ながら、比較的安全な幽霊船の除霊手伝いをすることになり……巡視船の霊体を式神として使役できるようになり、A級への昇格を果たしたわけです。
事務所開設したばっかだったはずなのに、驚きのステップアップ。
幽霊船を使役するのを認めてもらうために、瀬戸内海に巣食っていた海賊幽霊を蹴散らす依頼を成し遂げたり、やってることの規模がデカい。
将来性も加味してA級六位で、まだまだ上がいるのが陰陽師世界の恐ろしさですねぇ。七位になった花咲とも陸で戦えば一樹はまだ負けると分析されてましたし。まぁ一樹高校進学したばかりの若造ですからね。
そして高校では陰陽師同好会を作って、呪力持ちの生徒に声をかけて参加してもらう代わりに悩み相談とか武力行使とかしてましたが……やることが派手だわ。
書き下ろし番外編で「不良のお兄ちゃん」として一樹の妹、綾華のエピソードがあって。訳ありの親友・楓(陽鞠)が、綾華の兄にたぶらかされているかもと他の友人たちに心配されていたのは、ちょっと笑った。