「お人好しだと損をしますよ」
一樹は善狐に向かって内心で、「お人好しは貴女です」とツッコミを返した。
共存できる妖怪もいるけれど、妖怪によって支配された領域もある。
そんな世界なのもあって、日本では陰陽師と言ったような対抗する術者の存在は結構知られているんですよね。なんなら陰陽師の試験配信とかされてますしね……。
しかし、陰陽師協会はあくまで民間の組織という変わった立ち位置でもあって。
明治期に近代兵器が発達してきたころ、『妖怪退治は兵器で事足りる』と陰陽寮を廃止したことで、首輪の外れた陰陽師たちを纏める形で組織されたとか。
A級陰陽師の認定にも来ていた神格……『御方』様を祭っていたり、A級の上位3名は人に協力してくれる善性の人外であり、長くを生きているそうです。
A級2位の宇賀さんとか、協会の発足メンバーでもあるそうですし。3位の豊川は500年以上生きた妖狐だといいますし。
今回は一樹がA級になったこともあってその位に見合った仕事を、他のA級陰陽師と協力して片付けることになって。
放っておくと疫病が跋扈して多くの民が死ぬという予言を、回避してみせたのはお見事でした。
同好会のメンバーを鍛えて、陰陽師国家試験を受けさせて。
そこで一樹自身のときほどではないにせよ、周囲を驚かせる結果を出していたのはすごいですねぇ。作中の掲示板回でも話題に出てましたが、花咲高校の来年の倍率やばそー。
……と、笑っていられれば良かったんですが。
かなり強大な妖怪が復活し、大暴れする事件が発生。
『依頼を受けるなら撃破ではなく、敵の勢いを弱める事を契約内容にして、逃げる算段を付けておくように』なんて宇賀が忠告する位にはヤバい敵で……。
A級も可能な範囲で参戦したものの、損失を出しながら撤退する羽目になってしまって。
疫病問題を解決したことで予知も覆せるという意識が少しあったのか、完全決着の前に「勝ったな」とか一樹が言ってたのは……若さかなぁ。
最初の脅威はあのままなら蹴散らせたかもしれないから、判断が間違っていたわけでもないけど、より強大な増援が来てしまっただけで……。
今回はサブタイトルにあるような無双はあまり出来てなかったなー感。まぁ序盤はちゃんと功績あげてたんですが、そこからの落差がかなりのモノだったので、イメージが上書きされてしまった……。