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一樹が過去を公開することに、意味は無い。むしろ余計な気を使われたり、地蔵菩薩の神気を利用としようとされたりと、ろくなことにならないのが目に見えている。

故に一樹は、嘯いた。

「仏の慈悲が大きくて、助かったな」

 

A級を討伐に行ったら、そのA級を使役しているS級の魔王ともう1体のA級が現れて、撤退することになった陰陽師たち。

真のA級と呼ばれる高位陰陽師も1人が引退を余儀なくされる重体だし、1人は殉職したしで大痛手。宇賀さんの予知で、『敵の勢いを弱める』契約に留めておいて本当に良かった。

 

民間団体である陰陽師と違い、国の指揮下にある自衛隊は現状を座視するわけにもいかず。強力な現代兵器での攻撃を続けている模様。「敗走しました。打つ手有りません」と報道すると国民の士気が下がってしまうから、勇ましさを演出してると描かれていたのは……ぶっちゃけたなぁ……って感じではありましたが。

受肉している以上、当たれば聞くし肉体があることで得られる休息などの恩恵がなくなるので、完全に無意味ではない模様。物理的な攻撃だと、殺された後怨霊と化す可能性を排除できず、それに頼り切りなのも良くないみたいですけどね。

 

陰陽師協会をあげつらうような報道も一部ではみられて。協会長の向井さんは、市民からのクレームや政治家たちとの交渉で苦慮しているようです。

A級が不足している現状はよろしくない、と天狗の血を引く五鬼童家の長男に「真の天狗の羽団扇」を作って能力をブーストすることでA級に至らせる計画が実行されることに。

元々数年以内には呪力が成長してA級になるだろうと言われていたけど、現状を加味して待ってられないとなった模様。

 

一樹もその作成に協力する……ついでに、自分の事務所にいる沙羅の分の素材も要求しているの、なかなかに強かになってきましたね。

神の遣いという伝承のある霊鳥相手に交渉に行って「冤罪で地獄に落とされた」という自分の立場も活かしていましたし。そうやって得られた風切り羽で作った沙羅の羽団扇、神仏に直訴しただけあって、頼もしい性能になっていたのは良かったですね。