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「問題ないことに困っているんだ」

「なにぃ?」

「地下四五階層でロクな装備も持たずに生きていける人間を、住所不定無職無資格の状態で、街に解き放てる訳がない……」

「あー……」

 

突如ダンジョンが発生した世界。

主人公のナガはその黎明期にダンジョンに踏み込み、トレイン……逃げ惑うモンスターを追って集団になっていく現象に鉢合わせてしまった。

そこから命からがら逃げ延びたのはいいものの、ダンジョンの奥地に踏み込んでしまい帰り道を見失ってしまった。

 

ダンジョンの浅い階層は人工物が多く、深くなるほどに自然物が増えていく。そんな中でナガが迷い込んだのは完全に人工物が無い階層で……。

もう一度ソロで上るというのも困難な道ではあるけれど、自然物が多いことでその場所でサバイバルするのには困らなかった。

まぁモンスターという脅威はどうしようもなく存在するわけですけど……少しずつ倒せるモンスターを倒し、腕を磨くことで安定して生活できるようにはなった。

 

しかしいくら安定しているとはいえ、一生をダンジョンの中で過ごすというのも耐え難いため……ナガは、ついに地上に向けての逆ダンジョンアタックを始めるわけです。

そして上っていく道中で、レイスに襲われている少女と遭遇して救助。そこで情報交換した結果、ナガは25年もダンジョンで過ごしていたことが発覚したり。

ダンジョン内部に作られた拠点で、身ぎれいにしたらなぜか20代と見紛う外見を保っていたり。さらにはナガが生活していただいたい45層くらいで、「安定して生活した」実績は公的には認められておらず……ナガの存在は、どこを切り取っても特殊だって言うことが明らかになっていくわけです。

 

時代が流れて資格制になったり色々と環境が整った世界で、資格を取得し再びナガはダンジョンに入って。

地上に戻る際にレイスから助けた少女スイと、そのパーティーメンバーであるヒルネやトウカともたまたま出会い、一緒にダンジョン攻略することに。

長くダンジョンで暮らしているなかで培った経験と知識は、現代の探索者協会でも把握していないものが多くて、あちこちに衝撃を与えていたのは愉快でしたね。

狼型の魔獣が要る階層で罠を仕掛けて、人間側で情報共有するとかは思いついても良さそうなものですけどねぇ。

 

ナガが地上に出たからってわけではないでしょうけど、ダンジョンの魔物の中にも大きな動きが出始めて……長いダンジョン滞在の中で、ダンジョンの闇というか深みに踏み込んだナガも否応なく巻き込まれてましたが。やられっぱなしで済ませず、反攻しようとしてたのは良かったですね。