ico_grade6_2h

「この私が、お前たち如きのセコい脅しに屈すると思うか? ああっ、これまではそうやって女性冒険者を食い物にしてきたんだったな。随分と卑怯っぷりが板についてるじゃないか」

「『ブリザードのリサ』! 貴様ぁ――――!」

「図星を突かれて起こったのか? そこはしらばっくれるくらいしろよ、五流ども」

 

1話「カタリーナという名の少女」。

政争の煽りを受けて改易させられたヴァイゲル騎士爵家のカタリーナ。

リリエンタール伯爵家、それを実行した相手には恨みをぶつけてるみたいですが……政敵から「こっち恨んでるわりには、ヴァイゲル家のフォローはまったくしていないようだが」とか言われてるの、あまりにも……。

もはや貴族ではないからと当主と夫人の葬儀にも参列せず、カタリーナへの援助もなく……それなのにカタリーナに魔法の才能があるとわかったら縁談をもってくるの、うーん狸というかなんというか。これくらい神経太くないと政争やってられないんだろうなー。

 

カタリーナはお家復興のために努力しようと、形から入ってましたが……性根は普通の少女というか。気合で縦ロール髪型を維持してドレスを着て冒険者学校に乗り込んだカタリーナはあまりにも浮いていて。

中央の政争から離れてホールミア辺境伯の領の冒険者学校に通うことにしましたが、そこもまた柵とは無関係ではなかったりしましたが。

カタリーナ、どうにも空気読み苦手でソロ活動を強いられてはいましたけど、それでも稼げるくらいの実力はあったので……例によって暴走するバカも居たけど実力で、カタリーナが自覚する前に叩きのめしてたのには笑った。

カタリーナがヴェルに会いに行こうとする前、「自分がこんなに頑張ってもパーティ組めないんだから寄生目的の方々だ」と決めこんでるの、視野狭窄すぎるなぁ……と思いつつ、それぐらいのメンタルじゃないと女だてらにお家復興のために奮闘できないか……。

 

2話「衝撃の出会い」。

結婚したことで過去の過激な言動から一転落ち着いた振る舞いを見せるようになったブリザードのリサと、その弟子であるカチヤ。

カチヤは冒険者予備校に通っている初期のころは、魔法が上手く使えず悩んでいた。

そんな折にブリザードのリサに出会って。グレードグランド討伐戦が実施される時期で……カチヤが実家の名前を使って、諸侯軍という建前であの現場の端っこに居たって言うのはびっくり。

そして魔獣討伐の実践を通して、リサからカチヤが色々と教わって腕を磨いていったというのは、まぁ良かったんじゃないですかね。こんな世界ですから武器は合った方が良い。

……ただ、結婚した今になったその諸侯軍の記録が明るみにでて、ブライヒレーダー辺境伯がまたちょっと頭を抱える羽目になっていたのは……お疲れ様です……。

 

3話「最後の一週間」。

ヴェルが故郷を去ってブライヒレーダー辺境伯領に向かおうとする前の話。

幼少期のヴェルとアマーリエは、表立って会話するとクルトが面白い顔しないから、中がよさそうに想われないようにふるまっていた。

当時の2人のことをヴェルは「バウマイスター騎士爵家が置かれた厳しい現実に立ち向かう、同志みたいなものだった」と語っていましたけど。

問題をある程度認識できていて、それでもクルトが嫡男だからその立場を脅かさないように一線を引いて守っている2人の立場を表すのには適してはいますね……。

ヴェルが領地を去る時に、アマーリエに贈り物をしていたのは、当時としては同志への選別だったんでしょうけど。なんだかんだ今も関係が続いていて。……まぁ、幸せな人が増えているので、差し引きプラスとは言えるか。