「けれどこれだけは覚えていて。死んだ人間は治せない」
主人公のエレノアールは侯爵令嬢にして錬金術師。
双子の妹は錬金術ではなく別の道を選び、王子と結ばれ……早くに亡くなってしまった。
そして王となっていたアレクシスは暴走し……とある目的からエレノアールの邸宅を襲撃。
一度は撃退したみたいですが戦力を増強して再び攻められて……面倒になったエレノアーールは、自分の部屋を3年ほど時間の流れから切り離して情勢が落ち着くのを待とうとした。
……しかし、彼女が目覚めた時には300年の時間が流れていた。
エレノアールは外の世界に出て……死にかけていた貴族ヴィクトルを助けたわけですが。実はヴィクトルはアレクシス・フローゼンの血を引く貴族だった。
アレクシスはエレノアールの確保に失敗したのち、周辺国を武力で滅ぼし遠征王と呼ばれるに至ったものの……歪で急激な支配を行ったことで、最後には息子カイウスに討たれたみたいです。
エレノアールの知りたかった、どれだけの時間が過ぎてしまったのか、とかアレクシスはどんな結末を迎えたのかを早い段階で知ることが出来たのは良かったですね。
ただ、アレクシスの爪痕は今なお残っているというか。
カイウスは王を倒す為に、現在この地を治めている帝国の力を借り……実際に王を打ち倒したことで、侯爵の位を与えられているそうですが。
暴走したとは言え王を打破するために他国の力を借りたことで、今のフローゼン家を面白く思わない派閥もいて暗殺者をさし向けられることになったりだとか。
遠征王の時代に人と獣を混ぜ合わせ獣人を生み出すなんて、禁じられていた領域にまで手を伸ばした錬金術師がいたことで、現代では『錬金術』そのものが忌避されることになっていたりとか。
エレノアールが一人で生きて行こうとしたら厳しい問題が多くて……早い段階で事情を説明できる相手を見つけられたのは何より。