「これからは自由に生きられるのですね。私本当は王妃になんてなりたくなかったのですよ。私に与えられた義務だから仕方なく受け入れていましたけれど」
主人公は転生者の婚約令嬢シレンディア・シルヴァーク。
この世界では洗礼式において人々は、神々から名前を与えられるそうです。魔力量や資質によってその数は変わり平民なんかは6柱の大神のうち1柱から贈られるだけ。
そんな中で主人公は6柱すべてから名を贈られた「6つ名持ち」で……それゆえに、王子との婚約が幼少期から整えられた。
しかし、お相手の王子様が完璧な王妃になるだろうシレンディアの隣にたつ気概がなく。真実の愛を見つけたからと婚約解消を申し出てくることに。
前世の経験もあって落ち着いている……というか枯れてる部分のあるシレンディアは、自分が王妃として国に抱え込まれる運命であることは、止む無しと受け入れていたわけですが。
相手側に非がある状況で婚約解消できて、自分が自由になれるのであれば昔から憧れていた学術都市に留学する話をサクッとまとめて国外に逃亡。
折角自由になったのだからと公爵令嬢シレンディアとして振舞うのではなく、6つ名の中に含まれる「セイラン・リゼル」としてお忍び風の生活を送ることに。
前世知識を活かして協力的な商会を抱え込んでいたり。6つ名持ちである堪えに訪れる幸運を享受しながら、自分のやりたいことをやりたいようにやる自由人として生活を楽しんでいるのはなによりでした。
6つ名持ち、かなり特殊な存在らしく……本来なら感情が抑制されることで美しい人形のような存在になるみたいですが。シレンディアが意気揚々と他の6つ名持ちとは違う振る舞いで来ているのは、まぁ前世持ちだからなんでしょうかね……。
王妃になるのは嫌だけど、義務だから受け入れていたとは言いますが。それはそれとしてご飯が美味しくないのは我慢ならない、初回版限定封入購入者特典で厨房に入り浸ることを父親に認めさせたエピソードは面白かったですね。「あら、お父様~奇遇ですわね」じゃないのよ。