「王の判断を勝手に捻じ曲げて侮辱しないでほしい。彼の決断を君の罪にするのはやめてくれないか」
セレスの教育を受けて寮でメイドとして活動しているミネット。
彼女もまた当然のようにアレクからイタズラを受けることになって……それを知った上で、自分も彼の性欲処理に協力している寮母のセレス、雑竜である無属性の魔力持ちである彼なら女子の竜紋に色の変化が生じないのでは? というほぼ答えに辿り着きつつも「アレクくんはいい子だからそんなこと」と「絶対にありえないとは言い切れない」レベルにとどめているのは甘すぎる。まぁ、うん。
ドワーフとの戦争が起きそうだ、という事で見学のために故郷に呼ばれたアナスタシア。
アレクを番として認めたアナスタシアは、当然アレクを伴って帰還したわけですが。ミラも北方出身で久しぶりに家族に会う機会だし、リナもアレクから離れるはずがなく、いつもの4人で北に向かうことになったわけです。
貴竜の少女たちの傍にいるのが雑竜ということで、面白く思わない人は多いし……そうでなくても娘についた悪い虫にお灸を据えようとミラの父であるアドンと模擬戦をすることになったりもしてましたが。
ミラの魔力で作った武器を用いたとはいえ、大領地の領主候補になった武人が「数日寝込ませる」つもりで放った一撃を耐えたアレクはお見事。雑竜とは思えないほどの強さではあるんですよね。
まだ卒業まで時間のある学生ってことを思えば、成長の余地はかなりある。
アレク達に同行していた先輩貴竜のソフィお姉さまも「三年生で防げるのはおかしい。私でも無理」って言ってましたし。
とは言え、アレクは貴竜の少女3人のお相手になってるし、そこで手を止めるつもりもない。だからもっと力が必要だって言うのも間違ってないんですよねぇ。
ドワーフ相手の戦争、単体の戦力で言えば竜の方が強いみたいですけど。
そんな竜相手に攻め込むにあたって今回はドワーフたちも本気で対策を練っていて……魔力を無効化する神鉄で作った武装を揃えて、アナスタシアの父である領主フィリップ相手にも優位に戦える状況に持ち込んでいたのはお見事でした。
ただフィリップを相手取るにはドワーフ王の準備は充分だったものの、予想外の戦力であるアレクとは相性が悪く……ボコボコにされていたのは、ご愁傷様です。
アレクも欲深い竜の血を引いているというか、貪欲なんですよねぇ、どこまでも。しっかり戦果を挙げたことで、領主までジャンプアップすることになったのは凄いというほかないですけど。
今回の戦利品でアレクも普通の貴竜相手なら勝てるようになりました(そもそも同年代とは言えアナスタシアやミラ相手に勝利して番にしてるんですが……)けど。大領主であるフィリップ相手には相性負けする状況なわけで。雑竜が目立つのが面白くない人はこれからも出てくるでしょうから、アレクの欲望を叶えるためにもっともっと頑張って欲しいものですね。
私利私欲の無い「無償の愛」による願いであれば神から奇跡を授かれるとか。意思の力で世界を捻じ曲げる魔術を超えたものが「魔法」と言われているが、ドワーフたちのように魔法金属を扱う技術も魔法の一種であることとか、世界観設定についても出てきてたのは個人的に嬉しいポイント。