「――魔法映像を制する者は、世界を制する……わたくしはそう思っています」
王都にある学院の寮に入るため、リストン領での撮影がしばらくお休みとなることになったニア。
最後の撮影に合わせて両親が会いにも来てましたが……「お父様とお母様と離れて暮らすなんてイヤとか言った方がいい?」って直接聞いちゃうニアもニアだし「気を使わなくていいよ」とかむしろ逆に「連日の撮影で疲れてるの?」とか言っちゃう両親も両親だよ。
ニア、中身が別人になってるとは言え、このサバサバ具合は親子だよ……。
王都に赴いたニアでしたけど、魔法映像の普及に力を入れようと考えている王女ヒルデトーラや、ニアをライバル視して魔法映像の世界に乗り込んだレリアレッドとの出会いもあって。
各々の事情から魔法映像に関係している三人は、ヒルデトーラからの呼びかけがあったこともあり、力を合わせることに。
実際映像を伝えられる魔法映像技術、かなりのものでヒルデトーラの夢も決して夢物語じゃないんですよね。
問題はまだ魔法映像を見る機材が高価なことと、レリアレッドのシルヴァー領なんか放送局開設から半年程度なこともあって、各地の普及率は伸び悩んでいるだけで。
まだ5%くらいの普及率のところ、一年で各地で一割以上の普及率……つまりは最低でも今の倍に届くようにしようと言い出したのは正攻法では無謀な挑戦ってところでしたけど。
ニア、そういった魔法技術の普及に協力するつもりはあるし、結構尽力してるのも間違いないんですが。
根っからの武人なので「早く強者を殴ったり蹴ったりしたい」と思っている部分もあるのが、おっかないというかなんというか。
幼さから冒険ものみたいな過激な映像の視聴に制限が掛けられている状況で、不満を蓄積しているニアが、闇闘技場なんて噂を聞いたらそりゃ乗り込もうと画策するわな……って納得はありました。