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「お前からは本気を感じる。魔法映像のために生きると決めているかのような覚悟を感じる。

それで? おまえはいつになったら実績を作れるのだ?」

 

夏休みに入り、リストン領に帰還したニア。

久しぶりに故郷でしたが、懐かしむ暇もなく……スケジュール詰め込みまくりの二週間で三十七本撮りとかいう鬼の予定組まれて、それでもなおやり遂げたのはお見事。

ニアを筆頭に撮影スタッフたちががベンデリオ相手に恨みを募らせていくのも無理はない。

学院に子供いる世代の注目が集まっている中、ニアが登場する映像を取れる時間が限られているとはいえ、無茶するなというか。そのうち刺されるぞベンデリオ。

あと、まだまだ普及してない環境で人員にも限りがあるとはいえ、ニア以外の目玉となり得る演者を今から確保した方がいいとは思いますけど。

 

それで言えばシルヴァー領は上手くやりましたよね。

引きこもりがちだけど、絵の才能がある次女リクルビタァ。幼少期には絵本や紙芝居を作ったりもした経験があるということで。

その話が出たことで魔法映像で、紙芝居を流す……つまりはアニメのような発想に至ったのは凄いというか。

それをかなり早い段階で企画化して、放送するまでかなりのペースでまとめ上げたシルヴァー領の手腕はお見事。

 

ニアもその魔法映像での紙芝居の可能性に気付きつつも、絵師の確保とか諸々の問題から難しいだろうなぁ……とも思っていましたが。

自分も気付いていたのにアイデアを持ってかれたようで、負けにカウントしてるのは戦闘脳すぎるというか。そんな中、ヒルデトーラに招かれた島で彼女の父……つまりは国王もバカンスを楽しむ予定になったと聞かされて。

敢えて子供に絡むような人ではないって話でしたけど、挨拶をしないわけにもいかず。その時にニアは「映像普及のために使えるものは何でも使え」と焚き付けられることに。

 

ニア自身自覚してますけど、腕っぷしで何とかなる問題は、難なく打破できるんですけど。

勉強方面で頭を使うのは武術ほど得意ではなくて。

国を挙げての武闘大会を開催したい、と言ったニアに王様が「利点を五つ以上あげろ」と言われて、挙げられず。国王に「もっとあるだろ、アレとかコレとか」と意見を押し通しに行ったハズなのに、逆に助言を貰ってたの笑った。

 

どうせやるなら大々的に。他国も招くことも視野にいれるなら資金は潤沢にある方が良い……として提示されたのは、少なく見積もっても一億、欲を言えば十億は欲しいという国王からの意見があって。

お金を用意すれば他国も招く企画ということで王として仕切ってやるということで、ニアの目的にお金稼ぎが追加されることに。

 

大会を盛り上げるために侍女リノキスを本気で鍛えて、「最強の女」という偶像を作り上げようと決めたニアに、リノキスは「英霊であることを隠すつもりがないのか」とニアに踏み込んでいくことに。

ニア、邪法使いが無茶をしたからあんなことになったものだとばかり思ってましたけど。いや実際きっかけになったのは間違いないんでしょうけど。理屈は解明されていないけど、ニアのように「過去の英霊の魂が宿る」英霊憑きと呼ばれる現象は過去にも例があるって話が聞けたのは、世界観設定厨としては嬉しい情報でした。

 

……ニアが英霊憑きかどうか聞いて確定させるってことは、「本物のニアがもういない」という事を確定させてしまうことだから、リノキスも薄々察しつつもこれまで聞けなかったとか。

ニアの両親も本当は察しているんだろうけど、確かめる気はもうないんだろうとリノキスが考えているって話があったりもして、ちょっと胸が寂しくなるような気持ちになる部分もありましたが。