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「この、力の及ぶ範囲の不思議なほどの浅さを、癒師に取り立てられはしないことを、あなたの僥倖であると思いなさいソフィさん。この手はきっと彼らを救う、尊い市街の手になりましょう。己とその力に誇りを持ち決して慢心することはなく、大切に、適切に使うのです」

「はい、先生」

 

幼少期から皮膚の病に侵されていたソフィ。

裕福な商家に生まれ、様々な薬や治療を試してもらえはしたがどれも効果を発揮することはなく……彼女は「化物嬢」として迫害されることに。

だからソフィは学校にも通わず、自宅に家庭教師を招いて学習を続けていた。そんなある日、ソフィに魔術の才能があることが発覚したものの……彼女の扱える回復魔術で直せるのは薄皮一枚程度だろうと言われた。

自分の病を治すことも出来ず、淡い初恋も実らず、自ら死を選ぼうとしたが失敗。その際に、前世の記憶を取り戻したことでソフィは少しだけ強く生きられるようになったわけです。

 

回復魔術を使える物は貴重であり国に召し上げられる形になるが、薄皮一枚程度しか治せないソフィは流石に対象外だった。

魔力に限りがあるため癒師は命に係わる怪我を優先して直して、表面的な部分はどうしても手が回らない部分がある。

しかしソフィ自身が人に移ることはない皮膚病で奇異の目で見られ「化物嬢」と呼ばれているように。物理的な傷は表面的なものに過ぎなくても、心に深い傷を負ってしまう事例はありふれている。

ソフィの力の及ぶ範囲は狭いけど、だからこそそういった人の救いになれるだろう、と教えてくれる師匠に魔法を教わることが出来たのは幸いでしたね。

 

王宮にちゃんと回復魔術が使えると申請し、力が弱いため断られたという事実を作った上で、ソフィは自分の力を活用するサロンを開くことに。

そこには基本的に「皮一枚分」でありながら、当人たちにとっては深刻な悩みを解決していくことになるわけです。ソフィの力でなんとかならない問題もありましたけど、ソフィ結構勉強も頑張っていて、知識を活用してアドバイスできていたのはお見事というか。

電子版限定書下ろしSSとして、相談に訪れた人々の「その後」が描かれていて、治療に訪れた人々もそれぞれ前に進んで行けるようになっていたのが本当に良かったです。

 

初登場時の癒師クルト、過去に壺を売りさばくような悪質なサロンがあったため調べるために来たという点を差っ引いても人の心について疎くてイラっとしましたが、ソフィがちゃんと言い返してくれたのは良かった。

あと人の心分からないなりに癒師としての誇りはちゃんと持ってて仕事しっかりしてるのは加点ポイント。

ちょっと無理したソフィの事を𠮟るべきところは叱り、認めるべきところは認めてくれてましたしね