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「彼はもう、誰も何も信じない。あたくしの予言も、他人も、家族も、何もかも」
(略)
「それでも構わないわ。あたくしはあたくしのやり方で、彼は彼のやり方で、この国に尽くすだけのことだから」
初回出荷分のしおりだったり、専門店特典だったりで発表されたSSを多数収録した上で、書き下ろしまで加わった短編集。
書下ろしのプロローグ「送り出す日」が良かったですね。
モニカを保護したヒルダの視点で、幼少期の彼女とのやりとりが描かれていて。「すうじはこわくない」と閉じ籠もっていた彼女と信頼関係を築くためにお菓子作りしているの、始まりは切ないけど、今にも通じる温かさもあって好きです。
かつてレイン博士の処刑が決まった際、助手でもあったヒルダが「黒い聖杯」の資料を持ち出すために力を貸してくれた人々と、今でも伝手があって……モニカが再現した「黒い聖杯」を今活かすために少しずつ動いてくれてる、というのも良かったですねぇ。
章ごとに「編入前」だったり、「編入~学園祭前」みたいな感じで時系列順に並べてくれてるの読みやすくて良かったです。
編入前のエピソードの最初が、就任から一年たった「沈黙の魔女」モニカの話。
新年の式典の日を度忘れして計算にあけくれて、ルイスが迎えに来ることになっていたり。本編では杖を物干しざおみたいにつかってましたが、「お城に置いてきました!」と自信満々に行ってしまうあたり、本編よりもダメダメ度が強いぞモニカ……。
本編だとまだまだ臆病な気質はあるけれど、それでも覚悟を決めて立つこともした頼もしさがありますけど。
編入直後のエピソードとか小動物味がより強くて、ちょっと懐かしくもなりましたね。
毎朝アツアツのコーヒーを飲んでいるけど、自分が傍にいると紅茶が冷えてしまうだろうと気を使ってるシリルに「猫舌なので大丈夫です」と言ってるの、小動物モニカがちょっと気を使ってみせた場面で成長を感じるし……この当時から懐いてるなぁ、と微笑ましくもある。
生徒会のエピソードなんかも見られたのは面白かったですね。何かに集中すると他がおろそかになるモニカが「生徒会の散らかし魔」なのは納得しかありませんでしたが。他にもう一人いる、というのは意外なような描かれてみれば頷けるような。
あとはダンスルームにある鏡に未来が見える、なんて七不思議じみた噂が出て。調査に乗り出しているエピソードとかも面白かったですね
なんだかんだ面倒見が良いシリルが、補修受けそうなダドリーに試験勉強を叩きこみ、そこまでしてもなんとかギリギリ赤点回避レベルみたいでしたが。先生方に盛大に感謝されてるのには笑った。