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「きみの心はもうすでに、自分の性別を選んでしまっている。……アスラ―大神様の愛し子の選択を、ただの凡人である我々が押しとどめることは、決してできないよ」

 

ペトラが十歳になったタイミングで、義妹シャルロッテがグレイソン皇太子との婚約が決まったそうですが。

……この皇太子まぁまぁ愚物というか。シャルロッテが姉からもらったヘアピンをずっと大切にしていたのを良く思っておらず……それを壊して「僕がもっと上等な物を買ってやる」とか言ってくるのヤバすぎぃ。

2巻だとペトラが1415歳の時のエピソードが収録されているんですが、ペトラ10歳時から婚約は続いていて……シャルロッテがずっとこの歪んだ皇太子の執着を受け続けることになって、疲弊しているのあまりに可哀想すぎる……。

 

ペトラとの交流が続く中で、ベリーも少しずつは人間味が増してきて。

神様に寄りすぎていた初期の頃は、ペトラから離れることに強い抵抗を示してましたけど、多少離れて行動とかも出来るようになってますし。

成長したことで肉体が育ち、流石に女性と偽る限界も見えてきて。「ペトラに会いたいけど会いたくない」という気持ちを持つようになってるのは、当初の枕扱いを思うと成長したなぁ……って思いますね。

会いたいけど会いたくないと思いつつ、彼女の願いをかなえてあげたいと思う位、ベリーはペトラの事を大事に想ってるんですよねぇ。

 

大神殿のマザー大聖女とか、ベリーの事情を知ってる方々は彼が「神託の能力者」であるから大切にしているのもありますけど。

ベリーの性別を偽ってでも彼を守ろうとしていたのも間違いではなくて。

ペトラとの交流で人間味が増してきている事を喜びつつも、その成長によって問題が起きる可能性もある懸念があるのは当然なんですよね。

ペトラを慕うレオが神殿騎士となって大神殿にやってきた時、流石に14歳に成長した彼の姿を「女装した男」と看破してましたしね。……やっぱりペトラはポンコツだったか……逆に少女と言って信じられる時期からの付き合いなので、その分の下駄はあるとしてもね……。

 

神託の能力者であるベリー、ペトラからの頼みを受けてかつて作られたもののメンテナンスが出来ず機能停止し始めていた「浄化石」や「豊穣石」と言ったアーティファクトを作り直すなんて偉業を成し始めて。

ペトラはペトラで、前世知識持ちらしく「治癒の力を水に宿せないか」とテストしてポーション作成に成功したりしているし。この世界にはポーションって存在しなかったので聖水と呼ぶことになってましたけど。

神殿の新しい財源になってるし癒しの力がより多くに届けられるようになって、かなりの貢献を果たしているのはお見事。

……ペトラの父は、それでもなおペトラを婚約の駒として仕えなかったことに未練たらたらみたいでしたけどね……。愚か者が多いけど、ペトラとベリーの2人はもちろん、シャルロッテも幸せになってほしいものですが、さて。