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「お前は普通には殺さない」
平民故に聖女としての力を示しながらも難しい立場に居たマイア。
隣国の諜報員だったルカに助けられて、亡命しようとしていたところ……子供が誘拐される場所に居合わせてしまい、彼女もいっしょに攫われてしまうことに。
魔術師と思われたことで、変に手を出されることもなく。高値が付くからと身を清める機会をもらえたりはしましたけど。扱いが多少マシだったとはいえ、攫われている時点でマイナス査定なんだよなぁ……。
そしてマイアが連れて行かれた先は、トリンガム領。
彼女が追われる原因となった、聖女ティアラの生家であった。
かつてのトリンガム侯爵の親族に、大聖女エマリアの取り巻きがいたとかで。大聖女の伝承が魔女として捕縛される際に、写本を持ち出したとかで。
トリンガム侯爵は、半信半疑ながらもその禁術に手を出して……火事で負傷した娘を助けようという心意気だけは間違ってませんけど。
その代償として、他の人間に犠牲を強いているのが間違っている。
オマケにティアラの治療を受けると『魅了』の効果を受けて、実質洗脳状態になるからなぁ……娘可愛さで暴走したのか、洗脳によるブーストがあったのかは知りませんが。
王子相手に近付いて、洗脳。その王子が気に入っていた聖女マイアを迫害し、殺そうとした。
ティアラ、一度は殺したと思った相手が生きていたけど、マイアの力を禁術で搾取すると効果が高いことに気付いて。「卑しい生まれの彼女が、高貴な自分の助けになるなら許してくれるよね」とか考えてるの、あまりにも救いがない。
……まぁ禁術の代償として、容姿が変わり果てる結末になって。その魅了の欺瞞も暴かれたのは、良かったですけど。
国王陛下、自身も商家から平民の娘を妃として迎えて、平民が王家に入る事の大変さを理解していたのに、有能な聖女であるマイアをどこかの家の養女とすると、そこの声が大きくなるので、いったん留め置いたとかなんとか。
第二王子アベルほど愚かではないけれど、国王陛下もちょっと抜けてるところあるよな……突如として現れたティアラの事も受け入れてしまってましたし。
生国も天国ではなかったけど、マイアを確保したアストラ側にも当然思惑は有って。
自国の民も攫っていた連中と繋がりがあるかも、とマイアが攫われたことに気付きつつも黒幕を突き止めるために、しばらく追跡してマイアの状況を看過するって判断だってするし。ルカからも言われてましたけど、言ったら言ったでマイアは苦労することになるんでしょうけど。
……それでも、彼女自身が選んだ道にもなるので、多少は生きやすく歩きやすくなってくれれば、良いですね。