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「わたくしに過分なご評価をくださるのは、閣下だけですわ」
「貴殿のご家族は、評価なさらないのか」
「ええ、何も存じてはおりませんでしょう」
乙女ゲームの世界に転生した主人公。
ゲーム本編では闇属性の魔術を使う悪役令嬢枠のリリアナ・アレクサンドラ・クラークだったけれど……流行り熱で高熱を出した際に声を失ってしまったものの、記憶を取り戻し同じ道を進まないように心がけることに。
この世界の魔法には詠唱が必須。つまり声が出せなくなったリリアナは、魔法を使う事が出来なくなってしまったということで……。
クラーク公爵家の令嬢であるリリアナは、王太子の婚約者候補として有力で……王太子妃教育も始めっている状態ではあるけど、声が出ないという欠点を追及される可能性も浮上してきた。
原作ルートを外れるために、リリアナ的には家族とも王族とも没交渉で良いという構えだし、父親であるクラーク公爵はその欠点を持って婚約を解消したい立場みたいですね。四年経っても声が戻らなければ、婚約者候補から外すという事にもなって。
それなのに、なぜか王太子との交流は途絶えず……むしろ声を失ってなお矜持を示してるリリアナに王太子側も興味津々っぽかったですけどね。
前世知識があるからかリリアナは、詠唱なしでも魔法を使うというこの世界の常識を破壊するような技術を身に着けて。
病気で声が出なくなったと思うよりは、魔法が存在する世界ならば「呪術で声を封じられたのではないか」という疑いを持つようになって。
有力な魔導士ペトラとの縁を紡いで、呪術について教えてもらったりもして……ペトラたちの助力を得ながらも、声を取り戻してるのはお見事。
とは言え、自分の声を奪う呪いを掛けたのは父である可能性が高く……表向きは声を取り戻したことを伏せつつ、味方を増やしていくことに。
実際、父であるクラーク公爵が結構暗躍してるっぽいですから、手札を伏せて暗躍するのは正しい。まだ情報が足りなくて分からない部分も多いですけど、リリアナの活躍には期待したいところ。