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「冗談じゃない。いくらあの子に全てを任せたとて、似たような失敗が起きたら結局戦場に駆り出されるじゃないか。いやもっと悪いことになるかもしれない」

(略)

「頭が痛くなってきた……問題山積みじゃないか」

 

地球人類が宇宙に進出し……地球帝国を築き上げたSF世界。

暦が4000年を超えている、トンデモ長命国家になったようですけれど……それだけの長さがある分、闇も深いというか。

テロリストや宇宙海賊という脅威が存在するため、艦隊は維持されていたみたいですけど……国家存亡の危機も遠く、指揮官の座なんかも権力者たちが子供たちの箔付けのために与える事が出来たそうで……わりと腐敗してる。

それでも、平時であれば国体を維持する位はできたのかもしれませんが。地球帝国は、敵性エイリアンと遭遇し、艦隊指揮を十八の小娘が執ったことで大敗。

絶望的な状況から天才が覚醒し、ある程度は持ち直したみたいですが。

 

大敗した指揮官は多くの犠牲を出しながら生き延びてしまい……社会に居場所がなくなった彼女は古びた船を一隻与えられ、パトロールと言う名の飼い殺し状態の末、殺された。

……そのはずが、なぜか79歳まで生きた記憶と精神のまま、18歳の時まで時間が戻っていた、と。

そんな彼女ことリリアン・ルゾールが、この物語の主人公です。

かつては学校のイケメンに恋して付きまとった上、ライバルを辺境に追いやったり、授業も真面目に聞いてない……言ってしまえばバカ娘だったみたいですが。

 

自分がバカだったことを自覚し、帝国の貴重な支えとなったであろう若き才能の芽をいくつも潰してしまった事を後悔し、過去の自分とは違う行動をしようとするわけです。

後に天才指揮官となるステラが登場して盤面をひっくり返す事を知ってるので、一度は「もうあの天才に全部任せよう」とか考えてましたが……もちろん、そうはいきません。

リリアンの愚行にステラが巻き込まれなかったのは、ステラを逆恨みしたリリアンが僻地に飛ばしていたからだし。いかに才能があるとは言えステラが軍のトップに上り詰められたのは、リリアンの愚行で帝国が窮地に追いやられたからで……。

リリアンはバカやらなくても、同じような事をする奴が出てくるかもしれない。だから、どうにか改善の手を打たなければならない、と。

 

リリアンの意識が変わったとしても、それを直ぐに信じてもらえるはずもなく。

これまでの行いがリリアンを刺しまくるわけですが。それでも、ある程度未来を知っているというのはアドバンテージで。

卒業試験で事件が起きると知っていたリリアンは、そのトラブルに際して有能さを示し……認めてくれる味方が少しずつ増えて行ってる感じがして良かったですね。

とは言え、リリアン自身が認めている通り一つハードルを越えたとて問題山積なので、平穏な未来のためにこれからもがんばれリリアン……。