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「いいか、生きて帰ることだけ考えろ。攻撃できたとしても魔法を放ったらすぐに撤退しろ。失敗してもいい、逃げてもいい、生きてれば次があるんだ。分かったな?」

(略)

「俺はまだまだリディーナと旅をしたいと思ってる。そのことを忘れないでくれ」

 

サブタイトルにある通り、殺し屋から傭兵になった中年男性が主人公。

自分の死後残される知人がトラブルに巻き込まれないように依頼を出しておいたり、闇医者に頼るしかない自分の死体の処分には困るだろうと手配しておいたり。

諸々の準備を終えて死んだはずの彼は……女神を名乗る存在に、異世界に送り込まれることになったわけです。

 

異世界の神様の依頼は「半年前、地球から異世界にやってきた32人を殺してほしい」ろいうものだった。

神様の目線で言うと秘術である異世界転移技術に、帰還の方法を求めて手を伸ばす気配があるそうで。

一応、予期せず異世界に召喚された被害者たちだから、最初はエネルギーを貯めてから送り返すつもりだったみたいですけど。神様の言葉をつかえる聖女を、転移者たちが殺したこともあって排除を決定したとか。

どうせ死んだ身の上だし、と依頼を受けることにして、過去のコードネームから取って「レイ」と名乗ることにした主人公。

 

神に人の心は分からず、高スペックの肉体を用意してくれたものの、全裸かつ装備なしで異世界に放り出される事態になったりしてましたが。

魔法の練習をした上で、街に潜入。服を確保し、絡んできたゴロツキをぶちのめして当座の資金もゲット。

冒険者になって異世界で最低限でも身分を保証する立場を得たわけですけど。

依頼を受ける中で強そうな魔物と対峙した際に雷の魔法を使ったら自分も感電したり。才能と情報だけ叩き込んで送り出した女神様、異世界転移者……「勇者」と呼ばれるクラス転移した異世界人を排除を本気で排除する気が合ったのかと思いたくなりますね。

送り込んだ初日の全裸状態だったら流石にレイもやられていたのでは……?

 

異世界に送り込まれてから2週間程度の習熟訓練――ダメージで寝込んでいた3日も含む――で、エルフを狩猟対象のように追い込んで犯そうとしてる馬鹿転移者どもを始末していたので、レイに「転移者殺し」を頼んだのは間違ってなさそうでもありましたけど。

なーんか色々と不穏なんですよね。

勇者たち並びにレイが送り込まれたのがオブライオン王国という場所みたいですが、なにかしらの事情によって周辺国と不平等条約を結ばれている状況で。質の良い武具防具なんかはまず入ってこないし……それなのに内部は腐敗して内政も破綻寸前だって言いますし。

 

レイを送り込んだ女神様も「他の国にはまだ私の言葉を聞ける聖女が居るので、困ったら頼ってください」とか言うわりに、レイを全裸で頼る相手いない場所に放り出してるし……どこまで本気で問題解決してほしいんだ……? 感はある。

怪しさはありつつも、実際召喚された「勇者」連中は力に酔ってるのか、死霊術士のスキル持ちが国一つを滅ぼしてそこの民の死体をゾンビ兵としてさらに他国に攻め込んだりしてるので、排除できるなら排除した方が良さそうなのは確かですけどねー。勇者たちも半年で異世界で命のやりとりするのに馴染みすぎてるから、なーんか裏はありそう。