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主人公のギラル君は、とある村で暮らしている善良な子供だった。
しかし村が野盗に襲われ……さらにその野盗は近くの町を治める領主とも繋がっていて……頼れるものの無い彼は、結局は自分の村を滅ぼしたのと同じ野盗に堕ちて。
最後には、勇者の強さを示すためにやられるモブキャラとして、死んでいくのだった……。
……という展開のアニメを、野盗に滅ぼされた村から逃げ出したギラル君は、一時的に迷い込んだ異世界で見ることになったわけです。
それを見せたのは引きこもってアニメを見ていたニートの青年。ただギラルには、アニメとか異世界の技術なんてものは分からず……未来を垣間見ている彼が「神様」みたいに思えた。
ニートの彼も、子供を放り出すほど冷酷でもなく。容姿が違うからかモブ悪役のギラルとギラル少年が繋がりはしなかったみたいですけど。
家事を手伝ってもらうという労働を与える代わりに衣食住を与え、簡単な勉強も教えてやった。そして少年の純粋さにあてられて「神様」と慕われる自分でありたい、と再起を決意出来たあたり、完全にくさり切ってなかったみたいで良かった。
ギラル君、だいたい一ヶ月くらい地球に居たみたいですが、異世界に戻ったとき、現地の時間はほとんど流れていなかった。
「神様」に教えを受けた彼は、苦しくても盗みに手を出すような事はなく……アニメ本来の流れとは違う行動をとったことで、異世界での庇護者を得て成長していくことが出来たわけです。
そして三年、鍛えられて冒険者としての実績を作ってきた彼は、恩人が結婚したことでパーティーが解散してソロ活動を始めることに。
ギラルが「予言の書」というアニメ、24話……つまり2クールやるそこそこ力の入った作品らしいんですよね。そして本来のギラルみたいに、悪徳に触れたことで悪役に堕した存在が複数存在するし……大規模な事件だって相応に起きる。
断片的とはいえ未来を知る身で、どうにか対策を取りたいと動いている彼の善性の心が心地よいですね。
……とはいえ、物語で言う勇者みたいになにか後ろ盾があるわけでもなく、情報が不足しまくっていて打てる手も限られていたわけですけど。
人探しの一環として盗賊退治をして、匿名で事後処理を国に投げていたことで一部の人々には認知されており……それが、結果として彼が未来を変えていくのに必要なピースとなるんだから、情けは人の為ならずとはこういう事か。
悪役側に四天王ポジションがいるみたいですし、その堕落前の姿も何人か目撃できましたから、少しずつそれらの事情に踏み込んでいく展開になるんでしょうね。
……書籍版は2022年刊行で続きないので、打ち切られてしまったっぽいですけど、WEB掲載は続いてて完結してるっぽいので読んでみようかなー。