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「まあ、そうは言っても、普通は実家の貴族家や信仰上の理由でなかなか好きには生きられないんだけど。でも、異世界人の君はそれがない。……もしかしたら君はこの世界で最も自由なアデプトなのかもしれないね」
両親双方が浮気をして家庭が崩壊。それぞれから要らない子として扱われることになった主人公のコノエ。
死んでしまっては体面が悪いからか、家政婦を雇ってコノエの世話をさせる程度のことはしていたみたいですが……新しい家族の下に父も母も行ってしまって、1人だけ元の家に残されて叱責以外の会話をしない家政婦に食事を与えられてきた。
同級生は両親の居ない彼をあざ笑ったし、教師も厄介者扱いをした。コノエは他者との交流が苦手なまま育ち二十代の若さで病に倒れ、そのまま死んだ。
そんな彼は、転生して異世界で目覚めることに。
邪神が超巨大なダンジョンを作って魔物や病が蔓延しやすい環境を作ってしまった世界。異世界の人々もダンジョン攻略のために奮闘しているみたいですが……人々が暮らす惑星の表面積よりも数倍はあるだろう広大さで、攻略は難航。
転移魔術もあるけど使い手は貴重だから、異世界から魂を呼び寄せて車でも飛行機でも量産可能な技術を教えてもらおうと試みているとか。
ただ、異世界から魂を引っ張って来るのに目的とするものをピンポイントで引っ張れる精度はなく、それなりの数の「無関係な人」も巻き込まれることになるとか。
そうやって引っ張ってこられた転生者たちには、異世界の神様が加護を授けてくれることになっていた。
他の転生者たちが交流しつつ加護を定めていく中、迷っていたコノエはある教官に目を付けられて、極めればアデプトと言う生命の限界まで到達できる生命魔法の加護を進められて。
邪神の脅威に抗い、無辜の民を守る。ただ一つの義務を守れば、何をしても許される。金も名誉も女も、なんでも思いのままにできるという「自由」を与えられる。
コノエは、惚れ薬を与えてでも愛してくれる誰かが居るなら……なんてちょっとした欲から教官の提案に乗り……まぁまぁ地獄を見る羽目になったわけです。
邪神という脅威に晒され、ダンジョン攻略が停滞しているとはいえ、それでもなお滅ばずに最後の一線で踏みとどまっている人々が居る世界の「生命の限界」、到達点であるアデプトの座が軽いはずもなく。
コノエ自身の適性も相まって、実に二十五年もの研鑽を積まなければコノエはアデプトにはなれなかった。
そしてアデプトとなって第一歩を踏み出したことで……彼は、邪神と戦い続けている世界の現実を見ることになるわけです。
どれだけ踏みとどまっているとはいえ、犠牲が出ない戦いなんてなく。為政者の目線では大を守るために小を切り捨てる判断は下さねばならない。
どうしようもない判断ではある。それを飲み込める人ばかりではないし……足掻く人もいる。その足掻く様に光を見る人だって、居る。
奴隷ハーレム目的でアデプト修行を始めたとは思えない、とんでもない戦いを1回目から経験することになってましたが。……コノエが、少し我を示せるようになったのは良かったと思います。