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『どうやっても悪党は湧いてくるものです、そして手早く刈り取らないとこういう被害が生まれてしまう』
肉体は健在なのに、魂だけが消えてしまった異世界の少年トール。
神とその眷属っぽい誰かが、神の作ったシステムに齟齬が生じている現れだから、異世界の魂を持ってきてトールの肉体を生かすことで補填することを決定。
その穴埋めに持ってこられた魂が主人公。魂状態でも不思議と意識があり、神様にしっかりと挨拶をしたことで「薬師の加護」と呼ばれる加護を授かることが出来たわけです。
主人公は前世の知識も、トールとしての記憶も持っている状態で覚醒。
貧乏農家の三男だったトールは、跡取りとなる長男との折り合いも悪く、凶作の影響もあったために口減らしで村を追われることになって。
まぁ前からそんな話はされていたようで、トール君はしっかりと村を出たあとの準備をして、家に置いていたら家族にとられてしまう可能性もあると、別の場所に隠しておく周到さもあった。
加護持ちは50人に1人くらいの割合で要るっぽいですけど、加護にも強弱があって使えるかどうかには差があるとか。
そんな中で神から直接授かったトールの加護はかなり強力で……早い段階でそれに気づいたトールは、極端に目立つのを嫌い隠すことを決定。
面倒事を避けて、のんびり暮らしたいという夢に向かって、それなりの範囲で努力することにしたわけです。
……ただ、強大な加護を与えられた影響か、トールの望む平穏からは離れたトラブルに頻繁に遭遇することに。
悪縁ばかりじゃなくて、良縁も引き寄せてくれてるのだけは幸いですけど。
トール君の故郷である王国は、文明的にも発展していない小国で……隣国である皇国は製本技術ひとつとっても格が違うと感じさせるものだった。
出来れば移住したいがそう簡単にはいかないだろう、と思っていたところに、推薦する資格を持った人と出会い、認めてもらう事が出来たのはラッキーと言えるでしょう。
皇国に入ってからギルドに登録して、拒否できない指名依頼が入る高ランクには昇格せずほどほどで足踏みすることにしてましたが……「それなりに戦える薬師」という時点で貴重だったり、彼が実力を伏せている事を感じ取っている人が居たり。
規模の大きい事件の際には、ランク関係なく事件解決に必要な協力を求めるという特例事項でもって協力要請されたりと、トール君の望む平穏はまだまだ遠そうですねぇ。
……神の眷属に近い、調停者と呼ばれる存在と邂逅して色々と知識を与えられてましたけど、面倒事も抱え込むことになってましたし。いやまぁ、事情を聞いた上だと、遅かれ早かれではあったと思いますが。