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「その通りではあるんですが……。私は別にこれでぼろ儲けするつもりはないんです。他にも商品化できるものが、まだまだあるでしょうし。だったら、この程度の商品を独占して他の商会や貴族から目を付けられるより、共同開発にして恩を売った方が良いんじゃないですかね?」

 

魔物の群れが現れたため、騎士を率いて討伐に出たクラウフェルト子爵家の当主セルファース。

街道で1戦、境界の町テルニーでの1戦、隣領地への応援に赴いて1戦と戦い続けた中で、イサムがスキルを活用して作った魔剣フェリスシリーズだったそうで。

基本の切れ味が上がった上、長持ちするので連戦でも頼りになったそうです。

まだ解読できている魔法語が少なくて、改善の余地がありまくる中でも実用的なアイテム作れているのはお見事。

 

その中の一環で既に存在した保冷箱の改良案も作ったわけですが。

イサム自身が「これからもっと改善出来るから、既得権益を抱えている家とはひとまず仲良くして恩を売る」方向で考えていて。

他にも条件を引き出せそうだと言うのを踏まえた上で、セルファースがそれを受け入れてくれてる当たり、良い関係築けてるのが良いですね。

しっかり迷い人のイサムを守ってくれてるし、研究者とか職人気質のある彼の才能を生かせる環境を与えてくれているし。

イサムも良い環境で過ごせているから、無理のない範囲で貢献しようとしていますし。

 

いつまでも能力隠せないから、少しずつ味方を増やしていく準備もして。

……クラウフェルト子爵家の寄り親であるビッセリンク伯爵も織姫の魅力にメロメロだったので、もう外交の場に織姫先生に同行してもらうことで、条件を飲んでもらうことが出来るのでは……? 感がある。

いやまぁ、ちゃんと味方してくれる相手に、利益となる情報を見せつつの交渉した結果ではありましたけどね。

 

イサムは普通の人間ですけど、迷い人のやってくる世界は固定されておらず。獣人が来たり、身長5メートルの巨人が来たり、足が4本ある人が来たりとかかなり多様みたいですけど。

獣人の迷い人の子孫が織姫を見た結果、かなり衝撃を受けてたりしたので……やっぱり織姫先生のねこかわいいパワーで何とかなりそうな気もする。