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「この私に投降しろだと? 我が領土を土足で踏みにじり、荒らしまわるお前らに屈しろと? 国王の傀儡風情が図に乗るなよ勇者! 私は命ある限り領地と誇りをかけてお前ら賊を殺し続ける。そんなに犠牲者を減らしたいならこの私を殺してみせろ!」
大陸でもっとも栄えているライナナ国を舞台にした「ライナナ国物語」。
アーク公爵家という犯罪に手を出していた貴族家を、主人公である勇者アルトがヒロイン達と手を合わせて打倒する王道の小説だとか。
実際、アーク公爵家は国内の闇組織を牛耳っている家ではあるみたいですけど……要するに、派閥の家も併せて汚れ仕事を一手に担い、裏側から国を守っている防波堤みたいな家でもあるみたいなんですよねぇ。
実際、閑話で挿入された「原作完結から2年後」ではアーク家を失ったライナナ国は他国の組織が貼り込んだりして散々な目にあってましたからね……
主人公はいずれ破滅することになる悪役アブソリュート・アークに転生。
彼は力を得る代わりに嫌われる『絶対悪』というスキルを持って生まれていて……原作において配下の離反を招いた一因でもあったみたいです。
そうやって派閥が崩れていくにつれて、アブソリュート派閥が崩壊。『絶対悪』スキルは聖属性への弱点補正があり、勇者の傍に聖女がついていたことも影響してますが。
前世では「原作小説は好きだけど、主人公は好きになれないなぁ」という感想を持っていたアブソリュートは、原作知識を生かして準備万全にすることで主人公を叩きのめすことを決意。
幼少期から自信を鍛えぬき、配下を守ることでスキルによって悪印象は持たれるけど、庇護してくれる人と言うイメージも与えていって。
同年代の子供達がスキルの影響で嫌っていた自分たちを庇護してくれたことで、改心してくれたり。主人公が助けることになる奴隷ヒロインを先んじて買って、侍女として雇ってみたり。目的通り自派閥の強化は出来てましたが。
原作とは変わった形でしょうけど、アブソリュートを嫌う王太子がちょっかい出してきた結果、叩きのめして対立構造は出来たし。別のところで勇者との因縁も出来たし。
聖女もその勇者の背中を押すようなそぶりがあって。ライナナ教会、教会が信じる「善行」だけを正しいと認定して、それ以外の悪を排除することを躊躇わないタイプだって言うのが厄介過ぎますねぇ……。
死ぬ運命にあったキャラを助ける事が出来たり、アブソリュートの努力は実ってますけど闇は深い。