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「あなたは、私に電話をしてきた。そして、私が知らなった事件のことを伝え、その推理を求めてきた。なぜです?」
地の文がなく、キャラの会話のみで形成された『対話体小説』。
……という定義があるって話があとがきでされてました。へー、初耳の用語だぁ~。
閑話休題。
海外で暮らす男のもとに若い警官からかかってきた電話。
男は分け合って日本を離れており……警官がかけてきた番号を知る日本人は一人だけのはずで、掛けて来た警官はその人ではなかった。
いったいどうしたことかと思えば、本来の番号を知っていたハズの人物は職務中に死亡し……遺品整理をしていた後輩警官が、男に電話をかけて来たとか。
そこから若い警官は、いま日本で起きている『連続狙撃事件』についての話を始める事に。
先輩が遺していた怪しい番号に掛けて、機密を漏らすほど捜査が行き詰っている難事件。
けれど男は、捜査情報と言うある程度まとめ上げられたとはいえ、現場状況とかも伝聞でしか分からない状況で、犯人像を的確に見抜いていったのはお見事。
そして若き警官がその情報をもとに犯人を捕まえました、めでたしめでたし。いやぁ安楽椅子探偵ってやつかな、凄いですね……では終わらないんですよね。
そもそも何故、殉職した警官の手帳に男の連絡先が記されていたのか。
男が日本を離れ海外で暮らしている上、海外での知己に「日本でなにが起きようと自分には伝えないでくれ」と情報を遮断していた理由。
若き警官が、危ない橋を渡って機密情報を男に流したその真意……などが明かされていくわけです。少しずつ情報が増えていく中で見え方が変わっていくのは結構面白かったですね。
会話だけということもあって、かなりテンポよく話が進んでサクッと読めて良かった。