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「私は、街で静かに暮らしたいです。ここで暮らしながらポーションを提供する方法を一緒に考えてほしいです」

 

薬師としての資格を取り、家を買い『木漏れ日』という店を開いたマリエラとジーク。

概ね穏やかな暮らしをしていたわけですが……ここがエンダルジア王国が滅び、その後に生まれた迷宮を攻略するための土地である以上、現時点で地脈と契約している唯一の錬金術師であるマリエラが無関係で居続けるのも難しく。

 

黒鉄輸送隊のマルローとディックは、迷宮都市攻略を指揮する辺境伯家とも繋がりがあって。

最前線で戦っていたレオンハルト将軍が、バジリスクの石化の呪を受けてしまい……その解呪の為にマリエラがポーションを修めたことで、錬金術師としての彼女の顔が知られてしまうことに。

バレる前に魔法契約を結んでいたのは、ラッキーでしたねぇ。

地下にある大水道を使って黒鉄輸送隊に渡すことで、資材の搬入と搬出まで、ポーションの出所がバレないように工夫してるのは感心してしまった。

地下大水道にはスライムが湧いていて危険だけど、マリエラが関わっていれば魔物除けポーションが制限なく使えるから通行可能って言うのも、良い工夫だと思います。

 

エンダルジア王国の生き残りの人々も、迷宮攻略のためにできるだけの事はしていたんですよね。

アグウィナス家が代表となりポーションの管理をしていたようですが、大規模な保管庫を作り、ポーションの劣化を最低限にする工夫をしたり。複数の錬金術師が仮死の魔法陣を使ってでも、未来に希望を残そうとした。

 

……しかし、魔法陣というのは少しでもズレがあると望んだとおりの効果は発揮されないため、多くの錬金術師が道半ばで死んでいったそうです。

今のアグウィナス家には、純正のポーションを納品できる環境が無く……200年の中で妄執に囚われていたのが、なんとも虚しい。

アグウィナス家の全員が歪んでいたわけでもなく、誇りを持ち、錬金術師としてポーションを作ることが叶わなくとも、薬師としての業を修めたキャロラインという娘もいて、マリエラと親しくなっていたりと、希望が無いわけでもないんですけどねぇ。