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「有栖川君は、これからもわたしのこと見てくれる?」
「もちろんだよ」
初恋相手でもあり、天才的なヴァイオリン奏者である吉原美弥子と結婚し、41歳までずっと支え続けて来た主人公・有栖川雅人。
彼自身は三流音楽家を自称する腕ではあったけれど、妻をサポートする能力には長けていた。しかし……美弥子にとって雅人は無二の存在ではなく、離婚を切り出された雅人は失意の中で命を落とし……。
気が付いたら高校入学のタイミング、15歳の春にタイムリープしていた。
雅人は、1周目とは違う道を選ぼうと、美弥子からも音楽からも距離を取ろうとするわけです。
人生をよりよいものにしたいって熱意があるわけでもなく、「知ってる破滅」を避けようとする消極的な選択ではありますが。
美弥子の演奏の腕前自体は認めているので、自分の与り知らぬところで成功してくれればいいや、と割り切ってるというか、諦められてしまうのは枯れてますなぁ……。
ただそんな彼ですが、予期せぬ出会いで1周目では死んでしまった少女・風見祥子の運命を変えることになったり。
祥子もまたバイオリンを嗜んでいて……雅人を音楽の道に引き込んでいくことになるわけです。
音楽に数十年注ぎ込んだ経験と知識を持ったまま、若い肉体に戻ったことで雅人の演奏はレベルアップしていて。
当人の認識は未だに三流音楽家の凡人のままなので、自己評価が低いんですが……彼の演奏に周囲の人々が心揺さぶられまくってるのが、実に青春って感じで良かったですね。