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「私には出来ますよ。そして私に出来ることです、王子殿下にもいつか出来るでしょう」
レヴァーゼ王国で国王の9人目の子、第六王女として生まれたウェンディ。
側妃の子として生まれた彼女でしたが……その直後、正妃の妊娠が発覚。正妃を溺愛していた王は彼女のところに通い詰めることになり……。
さらに、国家存続のために多くの子をなしたが、正妃の子が生まれれば10人目。第三王子だけは若くして亡くなってしまったが、他の子は健やかに育っている。
これ以上の子は不要だろうと、政略で結ばれた側妃で望む者が居れば実家に帰る事も許した。
ウェンディの母は、実家に戻ることを選んだ一人であった。
さらに正妃の子が男児であり、王位継承権第一位になることが決まり、多くの人々の意識がそちらに向いてしまったこと。
色々と事情が重なった結果、ウェンディは忘れられた王女として、たった一人のメイドが日々の面倒を見るだけで、教育も受けられない日々を過ごしていた。
彼女が前世の記憶を持つ転生者出なかったら、言葉すら話せない「呪われた王女」になっていたかもしれませんね……。
そして十五年の月日が流れたある日。
軍事外交を敷いて近隣の国を取り込んで拡大した連合国となった国がレヴァーゼ王国近隣にはあり……その国から、「外交に有能な王女を妃に望む」という打診が来て。
名指しされているだろう第五王女ダリアを可愛がっていた王は、そこでようやく第六王女ウェンディの存在を思い出し、彼女を代わりに差し出すことを考えついて。
……よくもまぁ、武力で拡大した国相手に喧嘩吹っ掛けるような事出来るなぁ、余程自信あるのかなと思ったものですが。なんともはや。
それだけ放置していて半年の詰め込み教育で政略の駒に使える……いや、使おうと思うあたりは無茶ですよねぇ。
他の王子王女も、他国に人質のように送られる予定とはいえ、存在を忘れ去っていた妹の前でトンデモない態度取ってますし、第五王女はアレで本当に外交に強かったのか……と思うほどではあった。
そしてウェンディは連合王国内の一国、アウリラ地方国に送り込まれ……。
当然、相手から喧嘩を売られたと認識したアウリラ王家の方々は、彼女の扱いに困ることになるわけです。
国家間の契約違反の証人でもあるウェンディを冷遇も出来ないが、国賓として遇するわけにもいかず。
前世知識のあるウェンディは、ある程度成熟した精神と知識を有していましたが普段はそれを隠してポヤポヤした王女を演じていたので、それもまた呑み込みがたいものとして映っていたことでしょう。
ただ最後までウェンディの事を見ようとしたなかった生国の多くの人とは違い、アウリラ地方国の人々の中には彼女の価値をしっかりと見つけてくれる人もいて。
婚約者(仮)の第二皇子の査察に連れ出された際に、その土地の騎士に対してみせた態度だったり。書籍加筆エピソードの陶磁器の名家だった人々とのやり取りとか、必要な場面では聡明さを出していた、というのもありますけど。
普段は「呪われた王女」を演じつつ、しっかりと出来る事をやっていた彼女を認めてくれたのは、良かったですね。幸せになって欲しいものです。