「噂というのは、大袈裟に広がるものですから。この目で見てみなければ、真実はわかりません。それにアレクシス様は、私に何かしましたか?」
(略)
「アレクシス様を恐れるのは、私があなたから恐ろしい目に遭わされてからです」
聖女の仕事を双子の姉に押し付けて、男に色目を使っているという冤罪を着せられ婚約破棄された上、呪われた騎士団と言われる辺境騎士団の団長に嫁がせられることになったモカ・クラスニキ。
しかし、その実態は怠惰でサボりがちな姉の分まで仕事を担っていた真面目な少女だった。
姉がノルマを片さないため、モカは寝ないで回復薬を作るような日々を送っていたのに、婚約破棄という仕打ちを受けたわけですが。
2人分の仕事を押し付けられ、寝る暇もなかったブラック環境から解放されるとモカは喜んでその話を受けることに。
そして辺境騎士団の下にやってきたわけですが。かつては最強と謳われたという辺境騎士団ですが……凶悪な魔物を討伐した際に呪いを受けて、全盛期の力をふるえなくなってしまっていた。
さらに辺境騎士団は王都の聖女へ救援要請を出していたが……梨のつぶてだったこともあり、派遣された先でのモカは当初なにも期待されず雑な扱いを受けるわけです。
ただ王都でのブラック労働に比べればなんのその。モカは気にせず自分にできる事を探し、積極的に行動して。
辺境騎士団の人々も、過去に期待し裏切られた反動から態度がきつくなっていただけで、モカの働きを評価しなかった元婚約者たちみたいに性根が腐ってるわけではなくて。
少しずつモカの事を受け入れて行ってくれたのは良かったですね。
新しい婚約者であるアレクシスも最初こそ警戒していましたが、少しずつモカに惹かれて行って……その結果、モカが真の聖女と呼ばれる力に目覚めたのはめでたい。
一方で王都の婚約者と姉は、魔物が王都付近に現れた際に上手く対処できずにいて。
辺境騎士団が求めたけど与えられなかった回復薬を他国に流していたとか、王子は一体なにやってるんだと。
さらにかつて自分たちが見捨てたに等しい辺境騎士団相手にも救援を要請するとか、面の皮が厚すぎる。それでも、王都の民には罪がないと救いに行くことを決めたモカは、なるほど聖女でしたね……。