気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

その他

「姉のスペア」と呼ばれた身代わり人生は、今日でやめることにします~辺境で自由を満喫中なので、今さら真の聖女と呼ばれても知りません!~

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「噂というのは、大袈裟に広がるものですから。この目で見てみなければ、真実はわかりません。それにアレクシス様は、私に何かしましたか?」

(略)

「アレクシス様を恐れるのは、私があなたから恐ろしい目に遭わされてからです」

 

聖女の仕事を双子の姉に押し付けて、男に色目を使っているという冤罪を着せられ婚約破棄された上、呪われた騎士団と言われる辺境騎士団の団長に嫁がせられることになったモカ・クラスニキ。

しかし、その実態は怠惰でサボりがちな姉の分まで仕事を担っていた真面目な少女だった。

姉がノルマを片さないため、モカは寝ないで回復薬を作るような日々を送っていたのに、婚約破棄という仕打ちを受けたわけですが。

 

2人分の仕事を押し付けられ、寝る暇もなかったブラック環境から解放されるとモカは喜んでその話を受けることに。

そして辺境騎士団の下にやってきたわけですが。かつては最強と謳われたという辺境騎士団ですが……凶悪な魔物を討伐した際に呪いを受けて、全盛期の力をふるえなくなってしまっていた。

 

さらに辺境騎士団は王都の聖女へ救援要請を出していたが……梨のつぶてだったこともあり、派遣された先でのモカは当初なにも期待されず雑な扱いを受けるわけです。

ただ王都でのブラック労働に比べればなんのその。モカは気にせず自分にできる事を探し、積極的に行動して。

辺境騎士団の人々も、過去に期待し裏切られた反動から態度がきつくなっていただけで、モカの働きを評価しなかった元婚約者たちみたいに性根が腐ってるわけではなくて。

少しずつモカの事を受け入れて行ってくれたのは良かったですね。

新しい婚約者であるアレクシスも最初こそ警戒していましたが、少しずつモカに惹かれて行って……その結果、モカが真の聖女と呼ばれる力に目覚めたのはめでたい。

 

一方で王都の婚約者と姉は、魔物が王都付近に現れた際に上手く対処できずにいて。

辺境騎士団が求めたけど与えられなかった回復薬を他国に流していたとか、王子は一体なにやってるんだと。

さらにかつて自分たちが見捨てたに等しい辺境騎士団相手にも救援を要請するとか、面の皮が厚すぎる。それでも、王都の民には罪がないと救いに行くことを決めたモカは、なるほど聖女でしたね……。

婚約解消のち、お引越し。セイラン・リゼルの気ままで優雅な生活。1

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「これからは自由に生きられるのですね。私本当は王妃になんてなりたくなかったのですよ。私に与えられた義務だから仕方なく受け入れていましたけれど」

 

主人公は転生者の婚約令嬢シレンディア・シルヴァーク。

この世界では洗礼式において人々は、神々から名前を与えられるそうです。魔力量や資質によってその数は変わり平民なんかは6柱の大神のうち1柱から贈られるだけ。

そんな中で主人公は6柱すべてから名を贈られた「6つ名持ち」で……それゆえに、王子との婚約が幼少期から整えられた。

しかし、お相手の王子様が完璧な王妃になるだろうシレンディアの隣にたつ気概がなく。真実の愛を見つけたからと婚約解消を申し出てくることに。

 

前世の経験もあって落ち着いている……というか枯れてる部分のあるシレンディアは、自分が王妃として国に抱え込まれる運命であることは、止む無しと受け入れていたわけですが。

相手側に非がある状況で婚約解消できて、自分が自由になれるのであれば昔から憧れていた学術都市に留学する話をサクッとまとめて国外に逃亡。

 

折角自由になったのだからと公爵令嬢シレンディアとして振舞うのではなく、6つ名の中に含まれる「セイラン・リゼル」としてお忍び風の生活を送ることに。

前世知識を活かして協力的な商会を抱え込んでいたり。6つ名持ちである堪えに訪れる幸運を享受しながら、自分のやりたいことをやりたいようにやる自由人として生活を楽しんでいるのはなによりでした。

 

6つ名持ち、かなり特殊な存在らしく……本来なら感情が抑制されることで美しい人形のような存在になるみたいですが。シレンディアが意気揚々と他の6つ名持ちとは違う振る舞いで来ているのは、まぁ前世持ちだからなんでしょうかね……。

王妃になるのは嫌だけど、義務だから受け入れていたとは言いますが。それはそれとしてご飯が美味しくないのは我慢ならない、初回版限定封入購入者特典で厨房に入り浸ることを父親に認めさせたエピソードは面白かったですね。「あら、お父様~奇遇ですわね」じゃないのよ。

飼育員セシルの日誌1 ひとりぼっちの女の子が新天地で愛を知るまで

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「自分を騙すなよ。苦しくなるだけだ」

 

天涯孤独の少女セシル。彼女は、大鳥ランフォルをいつくしみ、飼育員として働く日々を生きがいとしていた。

しかし、セシルが務めていたラルジュ牧場の経営者が変わり……先代と仲が良かった彼女を疎んだ新経営者から解雇されてしまう。

その働きぶりを認めた別の牧場主から誘いを貰っていたので、彼女はそれを命綱と思い一人で僻地にあるオークランス牧場に赴いたわけです。

 

セシルに声をかけたのは、オークランス牧場の主であるオスカー。

両親と、牧場を継いだ兄を病と事故で立て続けに亡くし、軍を辞めて牧場を継いだ青年。そんなドタバタの中で飼っているランフォルも、牧場関係者もほぼ切り詰めていて……。

遠目にセシルの働きぶりを見て男の子と思ってしまい、誘ったものの、独身の自分とうら若い乙女が同じ屋根の下過ごすのは大変よろしくないと考えられる良識を持っているのは良かった。

「どう見たって女の子だろ俺の目腐ってんのか」とか言いはじめたの、正直ちょっと面白かったです。

 

問題がないとは言わないけれど、オスカーは人員を欲していたし、セシルにも仕事は必要だった。利害の一致で雇用契約を結び……ランフォルを大事に育てるセシルと、オスカーのやり方は上手くかみ合って、少しずつ2人の関係は深まっていくわけです。

オスカー、初対面の時に口が滑った部分は有れど、セシルとは正反対の女がタイプみたいなことを言って。その後になってから、彼女の魅力にやられて……雇用主と雇用者では踏み込むのもなぁ……と足踏みする羽目になっていたりもして。

友人から「貧乏くじばかり引いてるせいで、初手に貧乏くじ引くようになってる」的なことを思われているだけのことはある……。

ちょっと抜けてるところもあるけど、オスカー良い人なんですよね。折々にセシルが必要としてる言葉をちゃんとあげているので、距離が縮まっていくのが納得できる。

追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。下

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「変わったのではなく、変わらせられたのですわ。婚約者に公の場で婚約を破棄され、その地位も名誉も褫奪されたのです、かつての父も、将来父になるはずだった人もわたくしを救ってはくれず」

ここで笑みを浮かべてレクシーを見上げます。

「彼のみがわたくしを救ってくれたのですから」

 

人工的に魔石を創り出す、というアレクシの研究。

パトロンを見つけてある程度形にした上でA&V社という会社を設立し、順調に成長していったわけですが。

そんな中で、氷炎の大魔術師と呼ばれるオリヴェルからクレームが入り、ヴィルヘルミーナが対応に苦慮することに。上手く言いくるめて、何度かその成果を確認させたうえで自陣営に引き込んだ手腕はお見事。

 

アレクシも、ヴィルヘルミーナについてきた使用人たちから助言を貰いつつ、彼女に贈り物をしたりと少しずつ周囲を見られるようになってきたというか。

支えてくれている彼女の事を当然と思わず、しっかり応えようとしているのが良いですね。

……そんな彼にヴィルヘルミーナが惚れ込んでいって、「こんなにちょろくなるとは」とか言われてましたけど。

そうやって最初は政争の煽りで結婚することになった2人でしたが、良い感じの暮らしを送っていたわけですが。

 

政務をサポートしてくれていたヴィルヘルミーナがいなくなったことで、王太子は困窮して。帰還した国王から、次代として相応しい振る舞いが出来なければ……と釘を刺されていましたけども。

 

追い込まれる中で、一度はおいやったヴィルヘルミーナを公妾として迎え入れようとしたりとか、何考えてるんだか。エリアス、本当に考えが浅いというか青いというか。

それに比べると一年教育を受け続けて、ヴィルヘルミーナが積み重ねて来た苦労の一端を知ることになったイーナの方がよほど見込みがある。……まぁ、かつて指摘された愚かさを自覚してなお、愛ゆえにエリアスの傍にいることを選んだわけですけど。

 

味方を増やしていって、王権にもなり得る魔石作成の技術を用いて、かつての実家であるペリクネン公爵家を追い込む策略を進めて。

その裏で、異端として迫害されるようなことが無いよう、教会のトップである教皇とのパイプも繋いでいく。

入念に準備を整えた上でヴィルヘルミーナ達はその技術を発表したわけですが……案の定、国が取り上げようと介入してきて。備えていたからこそ対処できましたけど、王家のあがきはみっともなく映ってしまったな……。

 

国王がヴィルヘルミーナの正しさを認めつつ、正しさで国は動かぬと、王太子を切り捨てられない代わりにヴィルヘルミーナを切り捨てる決断を下したことは、王の判断として分からないでもないですけど。

利益を享受できないとなったら異端審問に賭けようとしたり、王家の傲慢もまた見えたよなぁ、という感じ。いろいろ足掻こうとしたうえではあれど、国王が最後にヴィルヘルミーナに謝罪してくれたのは、まぁ良かったのでは。

追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。上

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「過去に囚われていても仕方ありませんわ。未来に向けて慣れていくのです。とりあえず、今日は手を繋いで寝てみるのはいかがでしょうか?」

 

王太子エリアスの婚約者であった公爵令嬢ヴィルヘルミーナ。

彼女は、婚約者がいる身でありながらエリアスが男爵令嬢イーナに入れ込んでいることに苦言を呈していて。口頭でも文書でも注意したが収まらず……暗殺を試みたものの失敗。

王太子から婚約を破棄されて、平民とでも結婚しろと命じられ、早々に抱き込まれていた枢機卿を交えて契約を交わさせられることに。

 

公爵家の父からヴィルヘルミーナは彼女の行いを非難されてましたが「対立派閥の暗殺なんて、お父様もしていたじゃないですか。その組織に依頼しましたが?」と返答してるの、強すぎて笑っちゃった。

王太子と令嬢のほかにも、国王や父なんかにも問題の報告はしていたものの改善の素振りが無かったため、暗殺を決行しようとしたとかで。

王の外遊中にヴィルヘルミーナを追放してのけたのはお見事で、ヴィルヘルミーナも政争に負けた身ながら矜持を持って、その平民との結婚も受け入れる構えではありました。

 

……上手くヴィルヘルミーナを追放したとはいえ、王太子エリアスがその仕事のほとんどをヴィルヘルミーナに頼っていたり、密かにフォローされていたのにも気付いていなかった愚鈍なのも事実だし、イーナが男爵令嬢故に王太子妃として求められる水準の教育を受けられてないのも事実だしで、むしろよくヴィルヘルミーナを出し抜けましたね、というか。

傀儡に出来そうな状況だからこそ、誰かの入れ知恵があったのかもなぁ……って感じではある。

 

公爵令嬢を平民にした上で娶らせるとは言え、なんの成果も無い人間では外聞も悪いので、勲章を授与された平民の研究者アレクシが相手になったわけです。

研究一筋で身だしなみにも気を使わないような男ではありましたが……ヴィルヘルミーナの指導を受けてそのあたりも少しずつ改善していって。そして彼自身も平民故に冷遇され、なかなか研究結果が日の目をみなかったようですが……実際にはかなり価値のある研究をしていて。

 

ヴィルヘルミーナがテキパキ差配して、停滞していた研究が形になる手助けをしていたのはお見事でした。

まぁヴィルヘルミーナ、貴族令嬢としてのたしなみと王太子妃向けの教育を完璧にこなしてきたものの、平民の生活には当然疎く。にんじんの単価を聞かれて、政務で知った「畑一面あたりの平均単価」を答えたことで「値段を覚えるまで一人で買い物は禁止します」とか言われているの、ちょっと可愛くて笑った。



異世界商人 スキル〈異世界渡航〉を駆使して、悠々自適なお金持ちスローライフを送ります

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「……良い意味でぶっ飛んでるわね、貴方」

 

主人公のアレンは、地球で生きた記憶を持つ異世界転生者。

彼が生まれた世界は魔法やスキルと呼ばれる特殊技能が存在し、さらに彼と同じような異世界転生者や転移してくる者も多数存在していた。

転移や転生で異世界のルーツを持つ者は、強力な力を持っていることが多く、それゆえに神子と呼ばれて狙われることもあるそうですが。

アレンが得たスキルは〈異世界渡航〉。読んでわかる通り、異世界を渡り歩けるスキルだった。ただし、生物で通れるのは彼だけだったり、便利ではあるけれど使い勝手という意味ではいまひとつな部分もあるとか。

 

冷房とかが無い異世界から、現代地球にわたって文明を満喫することは、原理上は可能ではあるけれど……アレン、当然ながら異世界人なので戸籍がなくて思うように稼げないんですよね。

そんなわけで彼はスポンサーを求めていて。ある日、彼が滞在していた町に、同じような転移者である少女を団長とした冒険者のチームがやってきて。

アレンは、なけなしのお金を集めて日本から人気の漫画を輸送し、西園寺雫という少女と接点を持つことに成功。

西園寺の実家は大企業を経営している一族だった、というラッキーもあってアレンは確かな足場を得ることが出来たわけです。

 

これまで女性しか採用していなかった西園寺の冒険者グループに参加することになったことで、周囲から注目を集めることになったり。

大企業のトップと接点が出来たことで、出来ることが増えた分柵もそれなりに増えている感はありますが。一方で、根が小市民なので割と気楽に過ごしている感じもしますなぁ。

……異世界に現代のカードゲーム持ち込んだりして、小さい範囲に精巧なイラストがあるから芸術性を認められてたりもしましたが……各種デッキやルールブックまで持ち込んでるし、目下アレンしか仕入れられない貴重品となるとあまりにも独占市場すぎるな……。興味本位で爆弾運んでるような気もする。

アレン達のいるアスフィアルという異世界、どんな言葉や文字も万人に通じるという特殊な環境があるようで、日本の漫画持ち込んで娯楽にハマるメンバーも出てきてるし、アレンの影響力どんどん大きくなりそうではあります。

WEB読んでますが、異世界渡航で渡れる異世界要素の部分が増えてくのが、良し悪しではある(複数世界を渡り歩く関係で、それぞれの世界での交友があり相対的に一キャラの描写が減る)んですが、わりかし好きです。

お局令嬢と朱夏の季節~冷徹宰相様との事務的な婚姻契約に、不満はございません~

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「――――生涯、共に在ることを約束しよう。愛しいアレリラ」

(略)

「はい。イースティリア様。わたくしも貴方を幸せに出来るよう、生涯をかけて努力いたします」

 

ダエラール子爵家令嬢アレリラは、幼少期から表情を上手く作れない少女であった。

貴族の通う学院を首席で卒業した優秀な人物ではあったんですが……だからこそ、婚約者に婚約破棄されてしまうことになって。

弟の学費の関係もあるから仕事に打ち込むようになって、彼女は『お局令嬢』なんて呼ばれるようになったりして、結婚とは程遠い人間になってしまったんですが。

彼女は宰相の秘書に抜擢される位優秀で、その宰相であるイースティリアもアレリラと似たタイプであり、冷静かつ優秀で……だからこそ惹かれて、婚約を申し込まれることに。

 

アレリラは思考が早い分、先んじて自分の中で「納得できる答え」を作ってしまう部分があって。

婚約破棄をされたときも相手の言葉に存在しない裏を読んで、別の意図を受け取ってしまっていたし。イースティリアを慕っている人物の噂を知っていたので、自分との婚約関係はそれを隠すための側面があるのだろうと思ったりしてましたし。

実際は元婚約者ボンボリーノは彼自身と比べてアレリラが秀でているから「釣り合わない」と考えて、婚約破棄をしたがっていたそうですし。イースティリアも普通にアレリラ自身を好きで、妻に迎え入れたいと思っていたという誤解が発覚するんですが。

 

そういう自分の至らぬ部分を自覚した時、苦手分野も向上させていこうと思えるアレリラ嬢のこと好きですねぇ。

イースティリア相手にしているときは、鉄面皮がちな彼女が照れたりしているのも、実に微笑ましくて良いですし。2人とも優秀だから、会話が流れるように進んで行くのも快適で良い。

反面、ボンボリーノはちょっと苦手でしたねぇ。ちょっと考えの足りない行動を起こすことは有れど、人当たりの良さと、何だかんだ最終的には上手く話がまとまるところから、認めている人が多いようですけれども。

 

アレリラとの婚約破棄も自身と釣り合わないから、破談にしたいと両親に伝えたもののアレリラの優秀さを知る両親は破談にしたくなかった。だから、浮気して公の場で今夜期は気に踏み出した、と。

その後、娘を溺愛している父が暴走したこともあって、縁談がアレリラのところまで届かず……彼女は「お局令嬢」になってしまったわけですよ。最終的にイースティリアと出会えててお似合いですけども。

 

他にも、機密性の高い話を漏らしてしまったりとか。そっちも周囲がフォローに動いて、何だかんだ上手くまとまってましたし、フォローしてもらえるだけボンボリーノが慕われている証拠でもあるとは思うんですけど。

婚約破棄されたアレリラ本人の認識として、自分が勝手に裏読みした部分もあるし勝手な噂を広めた夜会の参加者だっている。「後先考えなかった婚約破棄宣言」だけがボンボリーノの責任であると言ってますが、一部とはいえ問題はあって、そのことに対して彼は「親と相手方からしこたま怒られた」くらいで、早い段階で幸せ満喫してるのなんだかなぁ……みたいな気分になった。「まぁ、ゴメンな!」じゃないんだよなぁ……。

でも彼が婚約破棄したから、イースティリアとアレリラが結婚まで行ったので、これが「最終的には上手くいくから許されている」空気か……。

女伯爵アンバーには商才がある! やっと自由になれたので、再婚なんてお断り

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『あなたが自分の人生を守らなかったら、誰が守ってくれるというの?』

『あなたに働く意欲があるなら仕事を紹介するわ。住む場所も提供する。闘うべき時は戦いなさい。自分を救い出すのよ』

 

オルブライト伯爵家の令嬢アンバー。

彼女は父が推し進めた縁談に従って、家格が上の侯爵家から婿を取ることに。

侯爵家側がつけた唯一の条件が「財産管理を、息子に行わせること」。しかし……その息子ブランドンにはそういった経営の才能がなかった。

どんどん伯爵家の財政が傾いていく中、アンバーはブランドンに助言をしたりもしたが受け入れられず……密かに自分の資金を使って、いくつかの商売を開始。

それらは順調に利益を上げ、使用人たちの賃金を賄うことも出来るようになっていたようですが。

 

ブランドンはなんとメイドの一人と駆け落ち。

それを受けてアンバーは、速攻で離縁の手続きを進めて。相手側に非がありつつも、侯爵家の経済状況を知っているから、慰謝料の請求を行わなかった。

……そんな思いやりを、下の家からの借りと取られた侯爵家は親戚筋という伝手を使ってアンバーを国王付きの侍女……ようするに愛人として迎え入れるなんてトンデモ提案をしてきて。

 

素直に受け入れられる話ではなくて。ブランドンを追い払った後、家の前で倒れていた自称平民の絵描きクリスティアンと婚約することで、その慈悲を拒むことに。

この婚約にはもう一つ目的があって、それがアンバーが別名義で行っていた各種経営の手続きをクリスティアンに移してから、アンバーに戻すことでオルブライト伯爵家の財務状況を回復させることで。

そんな面倒な手続きを挟むのは、アンバーの努力の成果である店舗経営は、「財産管理をブランドンに任せる」という結婚時の約束に反していると文句を付けられる懸念があったためだった。

 

そうやって仮初の婚約者となった2人だったわけですが。

アンバーは自分が夫に虐げられていた経験もあって、同じように認められていない女性たちに仕事を与える活動を始めて。途中、過労で倒れてしまう場面もありましたが。道を切り開いて、多くの女性たちを救っていったのはお見事。

クリスティアンは自称平民と言いつつも、節々に教育を受けた痕跡があって。

実家との確執がありつつ、絵描きとしても認められていくことになって。

各々の道で成果を上げた2人が、お互いを大事にして仮初の関係が本当になったのも良かったですね。



元将軍のアンデッドナイト

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「レギオス王国、四魔将の一角、ランベール・ドラクロワだ。かつて主君を裏切り、ゆえに斬られ、妄執のままに地獄の底から蘇った。国の平穏と義憤、そして受けた恩義を返すため、貴様を斬らせてもらう」

 

四百年以上戦争が繰り広げられていたウォーリミア大陸西部。

レギオス王国が二つの国を支配下に置いたことで優位に立ち……後に八国統一戦争と語られる通り、かの王国が覇者となって西部をまとめ上げたわけです。

レギオス王国の王オーレリアの下でその快進撃を支えたのが四魔将と呼ばれる将軍だった。

農民の生まれだったランベールは多くの戦果を挙げたことで異例の出世を遂げ……レギオス王国一の英雄となったものの、それを疎まれた結果、戦争の決着を見届ける前に排除されてしまった。

 

その後悔の念は長く現世に残り続け……禁忌とされる魔術の研究を行う外道組織『笛吹き悪魔』の死霊術によって、アンデッドナイトとして復活することになるわけです。

彼は不思議と強く前世の記憶と意思を残しており、邪法で自らを蘇生させた術士を切り捨て、今の世界を見るために旅を始めることに。

ランベール、自罰的に過ぎるというか。裏切りを警戒されて王の命令を受けて親友に斬られたのが最期であった、というのもあるでしょうけど。王の為に命を差し出す覚悟はあったが、その忠心を信じてもらえなかったのは悲しく、未練によって蘇ったことすらも女々しく感じる人物で。

 

ただ、未練がましくはあるけれど、戦争がどうなったのか決着だけでも知りたいと踏み出したわけですが。

彼が復活を遂げたのは統一戦争から二百年後の未来で、統一戦争時代の記憶が伝承の中で薄らいで、間違った伝わり方をしたりもしている状況で。

とは言えさすがに将軍位でありつつ、戦争終盤に裏切りを働いたとされる人物ランベールの名は忌むべきものとして伝わっていたわけですが。そんな時代でも、ランベールと名乗り続けるのは逞しいというか。……丁度良い偽名を思いつかなかった、とはありましたが。名乗る時に「大罪人ランベール」みたいにするからなぁ……。

当事者が居ない今になって弁解しても意味ないだろうし、ノイズになるかもしれないけれど、そう自称するのはあまりにも報われないな……って気にはなった。

 

そんな彼は二百年前から妄執を継いでいた危険な術士の研究所を見つけたり、『笛吹き悪魔』と結託した貴族の手先を蹴散らすことになったりしていくわけです。長く続いた戦乱の時代で英雄になったランベールの実力は、二百年後の未来においては隔絶していて。並みの実力者は軽くあしらえるし、二百年前の亡霊相手にしても勝利を掴めるので、バトル周りは安定してて良かったですね。

『聖女様のオマケ』と呼ばれたけど、わたしはオマケではないようです。

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恋愛感情での“好き”はまだ芽吹いてないけれど、もう少しでそれが芽吹く予感はある。

「この世界に来てからわたしに『大丈夫か』って訊いてくれたのは、ディザーク殿下だけだったから」

 

主人公の少女、篠山沙耶は普通の女子高生……だった。

しかし、クラスメイトの少女・香月優菜と一緒に日直の仕事をしていたところ、異世界に召喚されてしまって。

優菜の方は、異世界の人々が召喚術を使ってでも異世界から招き入れたかった人材「聖女」として祭り上げられたものの……魔力を感じられなかった沙耶は、あまりにも適当な扱いを受けることになって。

侍女は新人が一人、監視役の護衛に就いた騎士もやる気はなく、食事もロクなものを与えられない。

 

そんな折、他国の要人がやって来るという噂を沙耶は聞いて。

王国ではこれからもロクな扱いは受けないだろうから、どうにか接触して連れ出してもらおうと画策。

彼女の想定とは違う形にはなったものの、接触には成功。

帝国の皇弟ディザークは、元より巻き込まれた少女の事も聞きつけており、さらに彼の国で「黒髪であること」は重要視される要素だったので、状況によっては保護することも考えていたこともあって、亡命は成功するわけです。

 

まぁただ連れ出すのは王国側との交渉が難航する可能性もあったため、ディザークの婚約者として迎え入れることになって。

さらに、実は沙耶にも魔力はあった……どころか、優菜以上の才能が秘められていたことが帝国に移ってから判明。彼女もまた聖女としての素質があるとされて、教育を受けることになって。

帝国ではディザークの婚約者候補たちからの嫌がらせがあったり。逃した聖女を惜しんだ王子がちょっかいを出してきたり。トラブルもまぁまぁありましたが。

沙耶を大事にしてくれるディザークと良い関係を気付いていけたのは良かったですね。



プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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