気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

その他

アマーリエと悪食公爵

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「君の苦しみは、君だけのものだろ」

(略)

「私、だけの……」

「他人の苦しみも、他人だけのものだ。それを君が勝手に決めて、比べることができるのかい? 苦しみが軽い者は苦しいと言う権利もないのかい? 違うだろう?」

 

アマーリエは、仲睦まじい家族として有名なアドラー伯爵家の長女。

愛妻家の父と容姿端麗な母、妹は病弱だったが儚い容姿と穏やかな性格から妖精姫とあだ名されていたし、アマーリエ自身もしっかり者で模範的な娘だという噂だった。

しかしまぁ、噂程にい内情は明るくなかった、というべきか。アマーリエがしっかりしていたこともあって、両親は病弱なオルヴィアにかかり切りでアマーリエに構ってくれたことはほとんどなかった。

 

そのことにアマーリエが不満を漏らせば、父は彼女に暴力をふるった。母も、父の苛烈さをしっているから、助けてはくれなかった。

だからアマーリエはいつか結婚して家を出ることが目標になっていた。

幸いだったのは、アマーリエとオルヴィアの姉妹仲は良好だったことでしょうか。思う所が全くないと言えば嘘になるけれど、姉を純粋に慕っている気持ちが伝わってくるから、せめて優しくありたいという彼女は、本当に根が善良です。

 

そんなある日。社交界でオルヴィアが王子に見初められてしまって。彼女が嫁入りするとなると、アドラー伯爵家のためにはアマーリエが婿をとらなくてはならない。

つまり、家を出ることも叶わず縛り付けられることになる。そう察したアマーリエは、「人の感情を喰らう」という特殊能力を持つトラレス公爵家を頼ることにした。

憎しみや嫉妬などの醜い感情を好んで食べるために、悪食公爵という別名すらある家であったが……感情を食べられると、その感情がすっかりなくなる、という情報にしかもうアマーリエはすがることが出来なかった。

 

そこで出会ったのは、死人のような形相をした当代トラレス公爵サディアスだった。

悪食公爵というのは先代のことであって、彼ではない。彼は悪い感情も食べられるけれど、そういった感情は胃もたれがしたり、体に不調を齎すものだった。

どんどん積み重なっていった結果、ボロボロになっていたみたいですが。サディアスにとって、アマーリエの感情は「美味しい」と感じられるものだった。

そのため、彼の仕事を手伝うという名目でアマーリエとサディアスの交流が始まっていって。2人の関係は穏やかに進んで行って良かったですね。

 

……自分の手の及ばぬところに行こうとしている娘に対して、父は相変わらず勝手な振る舞いをしていましたが。最終的には、自分の感情によって心に欠落を得ることになったで、まぁ自業自得か。

王子に見初められたオルヴィアも、ただ愛されるだけの少女ではなかったのが良かったですかね。縁談をけって別の道を選んだ彼女の後日談が収録されていたのも嬉しかった。



暁の魔女レイシーは自由に生きたい1 ~魔王討伐を終えたので、のんびりお店を開きます~

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「求める水準が高すぎるんだろうな。一つができないだけで全部ができないように感じちまう」

「そんなことない……」

「そう思うってんなら、何度でも否定してやる。いいか、お前はすごい。すごいんだよ」

 

魔王を討伐した勇者パーティーの一人、暁の魔女と謳われるレイシー。

彼女は平民の孤児であったが、その魔術の才能を見出されて勇者パーティーに加わった一人で……戦いが終わった後、彼女はその才能を取り込むべく貴族に嫁入りすることが決まっていた。

そのため彼女は旅の最中ずっと使っていた杖を破棄しようとまでしていたんですが……婚約者だったボンボン息子が浮気していたことが発覚。

 

勇者ウェインの助けも受けて、婚約を破棄することが出来て。そして彼女は、魔王討伐の褒章として与えられるはずだった「願いを一つ聞いてもらえる」権利で、国に縛られない自由な立場を得ることに。

国内の村に屋敷を与えられたわけですが。勇者パーティー時代のレイシーはいつもローブを被って仲間の影に隠れていたため、民衆に顔が知られていなかった。

勇者パーティーの絵姿なども売られているが『暁の魔女』というあだ名が影響して、本来黒髪のはずなのに赤髪になったり、噂に尾ひれがついて全く別人のようになっていて。

だから、直ぐに村にやってきた少女=暁の魔女とバレず、穏やかな時間を過ごせていたのは良かったですね。

 

レイシー、国一番と謳われる魔術の才能は確かにあって素晴らしいんですが……それ以外の部分がポンコツ気味だからな……。

仲間だった勇者ウェインとは話せるけど、どうにもオドオドしてて小動物っぽいし。研究に専念しすぎて、食事をおろそかにするし。

でも狭い世界に生きていた彼女は自由を求めたところから、少しずつ着実に成長していってるんですよね。

与えられた屋敷にはちょっとした曰くがあって、その問題を解決したり。村の人々の交流に不慣れながらも挑戦し、受け入れられていったり。

 

その中で戦闘用の技術である魔法を、生活を便利にする方向で応用していこうと考えて、何でも屋『星探し』を開店して。

旅の時には微妙に距離があった戦士のブルックスから依頼が持ち込まれて、改めて友人になったりと温かい世界でほっとしましたねぇ……。

レイシーの家で一緒に暮らすことになる魔物2匹が可愛かったですね。

巻末の書下ろしは『竜のポスト便』。手紙配達をする仔竜についてのエピソードなんですが……レイシーのところにいる魔物たちが仲良くなってて微笑ましかった。

毒好き令嬢は結婚にたどり着きたい

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「特級薬師に必要なのは『心から信頼できる人と結婚して子供を産み育てること』だわ。だから私はずっとそんな人と出会えることを願っていたの。でも夜会ではなかなかそう思える人がいなかった。なのにステファンが帰ってこなかったとき、何が何でも探し出す、たとえ私の命が危なくても、と思ったの」

 

主人公エレンの生家であるボウエン侯爵家は、三百年以上女流で薬師の技と知識を継いでいる家。

最近では特級薬師の祖母が流行り病に効く薬の製法を王家に伝えたことで、資金的にも安定していた。そして、薬師の技の次期継承者であるエレンは近く結婚を控えていた。

しかし、婚約者が浮気をしていることが発覚し……噂好きの夫人に話を通して破談に持っていく流れは強かったですね。

努めて冷静に対処しないといけないくらいショックを受けていた、という表れでもあるとは思いますが。

 

婚約が破談にこそなったものの、薬師の技と知識は継がなくてはならない。

エレンには姉が2人いたが、時に毒を扱い、自身の体に毒を取り込み耐性をつけもする技を学ぶには適性が無いとみなされて既に他家に嫁いでいたため、継承できるエレンに負担がかかってしまう形ですね。

だからエレンは夜会に参加したりして、相応しい相手を探そうとするのですが……なかなか振るわず。

一応彼女を気にかけている幼馴染の公爵家子息なんかもいたんですが、先述の通り毒を扱う公爵家夫人というのは問題があろう、と断ることになっていましたし。

 

実際エレンは薬師としてかなり素質ありますよね。

毒を受けた人物を見つけて治療するのは薬師の性でしょうが、珍しい毒だから経過観察したいとか言ってる研究者の性質もありますし。

いろんなトラブルを超えてお相手が確定した後、ボウエン侯爵家の特級薬師が代々継いできた記録に書き加える価値のある新薬をみつけたりしていますし。

 

序盤に発生した「婚約破棄」という問題を解決した後は、幸せなエピソードが多くてホッとする作品。

エレンが保護した少女ノーラが、動物専門の医師として成長していく流れとか地味に好きです。

モブ令嬢テサシア・ノーザランは理想の恋を追い求めない

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「アーべライン家に相応しい、素晴らしい才能のある令嬢と紹介しましたよ。ただ、少し自信が無いのが難点とも伝えました」

「あらゆるものがルートヴィッヒ様に釣り合っていないとは感じています。ですが、それでも彼の隣に立てるならと思うようになりました」

 

主人公のテサシア・ノーザランは、北方の辺境に位置する田舎男爵領の娘。

王都にある学園に通っていた彼女は、とある夜会で起きた婚約破棄騒動を目撃することになります。

それが王太子シャーロウが、ナゲイトア大公家の令嬢クレイ―ザに対して行ったものだったわけですが。婚約破棄モノで多いのは無能な王子の暴走劇なんですけど、本作においてはわりと順当なんですよねぇ。

 

クレイ―ザ嬢、異世界から召喚されて疫病を癒した実績のある聖女ミズキを暗殺しようと計画したらしいし。

それを察知した王子側が裏を取った上で公に糾弾する、という形を取ったみたいです。

大公家の権力によってクレイ―ザに協力した令嬢たちもまた責められることとなり、いくつもの婚約が破談となったそうです。

 

テサシアは婚約も決まってなかったし、自身の立ち位置も把握していて、聖女からも大公家からも距離をとって「モブ令嬢」らしい振る舞いをしていた模様。

田舎出身ということもあってか、彼女は妙に自分に自信がなかったんですが……。

そんな彼女が、憧れている侯爵家の男性がいた。恋でも愛でもなく、推している、という気持ちだったようですが。

 

そのルートヴィッヒもまた、婚約破棄することとなった一人であり……それ以降、不思議とテサシアと交流が生じるようになって。少しずつ距離が近づいていくことになる物語ですね。

婚約破棄の流れに作中で筋通ってるし、踊らされているものばかりではなく、テサシアみたいにしっかり対処してる人物もいるので、キャラに信頼がおけるのが良かった。

私の名はマルカ 嘘つき貴族を成敗したら、公爵令息からの溺愛が始まりました?

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私の名はマルカ。母様と父様からもらったこの名前を誇りに、自分の人生を生きていく。

 

平民の孤児として育ったマルカ。

父の記憶はかすかにしかないが、母は昔領主様のお屋敷で働いていた経験もあったとかで多くを教わって、大切な思い出として抱えてきた。

善良な領主の下で運営されていた孤児院で勉強もさせてもらえた彼女は、15になった時に義務である魔力測定に参加。

そこで基準以上の魔力が測定されたため、貴族も通う学院に進学する必要が出てきて。これは魔力の制御を学ぶ必要があるとか。

 

進学が決定したタイミングで、マルカを家に迎えたいと申し出たのがレイナード伯爵。

善意であればよかったんですが……彼は「実はマルカは自分の娘である」という偽りを唱えた上で、彼女を駒として動かし王太子を誘惑しようと画策します。

敬愛してる父母の思い出を汚されたことでマルカは内心怒りを覚えますが、引き取られて味方がいない状態でむやみに逆らわない選択ができるあたりは偉い。

 

表向きは愛想笑いして、内心で毒はいてますけどね。厄介なことに巻き込まれてるけど、それはそれとして学院での勉強を楽しんでるマルカは、当人はそこまで自覚してないうちに魔法の扱いにかなり習熟していって。

マルカのことを面白く思わない相手からの嫌がらせがあっても、それで自分の身の安全を確保してたりするので強い。

 

レイナード伯爵たちの目論見を察知したときに、その情報を王家に流して、それからも協力することで彼女は功労者として認められ、伯爵家の悪事は裁かれたわけです。

めでたしめでたし……というのが1章。もともとこのあたりまでを短編として描いて、人気出たから連載にした作品だったはずですね。

 

伯爵家ではろくに世話もされていなかったけれど、差し押さえられたことで家なき子になったマルカは、この問題で縁が出来た王太子の婚約者クリスティナの実家にお世話になることに。

それがサブタイトルにもある、公爵令息の実家でもあって。調査のために近づいてマルカに興味をもった子息が、彼女にアピールを続ける中でマルカも意識していく王道の展開ではありますね。

マルカの両親の調査をしようって話があったけどその結果は描かれてないし、細かいところで引っ掛かりは覚えますが、マルカが結構好きなキャラ造形してるので楽しく読みました。

Free Life Fantasy Online~人外姫様、始めました~

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『お姉ちゃん今どこー?』

「お姉ちゃん今カタコンベ」

 

WEB既読。『Free Life Fantasy Online』というゲームのβテストで開催された大会で妹が入賞し、VR機材とセットを入手して。

それを譲り受けた姉の琴音が主人公となり、同じゲームをプレイすることになる話ですね。

 

初期作成の種族もかなりバリエーションがあり、それぞれに特徴があるのですが……マニアックな人向けの人外種族なんかも選択することができて。

スライムとかも選べるけど、普通に動けるようになるまでがそもそも難しい。様々なデメリットが存在する分、成長が早くて進化することで能力変化することもあるそうで。

主人公は人外種族に惹かれて、ゾンビでスタート。

 

種族スタートでカタコンベから開始。同族判定でこちらから攻撃しなければゾンビたちは敵対しないというのを活用して、マッピングをしていたら隠し部屋を発見。

そこでレアアイテムを見つけて、ユニーク種族に進化することができて。

ゾンビ由来ながら人の見た目を手に入れて街に向かって、NPCやプレイヤーとの交流をしていくことになる、と。

主人公視点で淡々と攻略しつつ、少しずつ進んでいく感じですね。

 

はじまりの町の四方にボスがいて、流通が途絶えてる関係でプレイヤーたちは素材に四苦八苦しながら生産したり攻略を進めたりしている模様。

アナスタシア、ソロでモンスター狩ってそこで得た素材で「料理」スキル伸ばしたりしてて、割と自由に楽しんでますねぇ。

 

高度なAIを積んだNPCとの交流があって、横暴なプレイヤーは出禁にするべきかどうかみたいな話を聞いたり、現地の食材の調理法について奥様方から情報を得たり、地味にいい仕事をしてるんですよねー。

まだ四方のボスがどこも倒されてないのもあって、世界が狭いですけどここから広がっていくと面白くなってくるんですよね。……WEBの更新が滞りがちなのが難ではありますが。

私の推しが今日も最高に尊いので、全力で幸せにする!

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「違うよ! 自分のお金で!! メア様に貢ぎたい!! 優秀なATMでありたい!!」

「何を言ってるかほとんどわからないけれど、自分の力でメアリクス様にプレゼントがしたいということかしら?」

「そうです! その通り!!」

 

前世でハマっていた乙女ゲーム世界に転生した主人公。

とはいってもヒロインやシナリオに関係するメインキャラではなく、この世界に生きる一回の平民の調薬師リゼとして、ではあったんですが。

今世の父は早くに亡くなってしまったものの、母から深く愛されて育ったようです。母親も夫に深く愛されて幸せに生きたようですね。

 

しかしもともと体が弱かったために、冬を越せずに亡くなってしまって。

母の薬屋を次いで立派に努めつつ、お金をためて学院に通うことを目標に日々を生きていた。魔法がある世界だけど、魔法薬学はあまり発展してないジャンルだから研究したいと理想を抱いていたり、割と真っ当な薬師なんですよね、リゼ。

 

……ところで話は変わるんですが、彼女は前世で推しを推すためならば金を惜しまないタイプのオタクだったそうで。

そんな彼女がたまたま倒れ伏している最推しの少年を見つけたらどうするか、なんて決まってますよね。

放置すれば裏社会に囚われてしまう。そこから救われるシナリオではあるとわかっていたけれど……推しを放っておくことなんてできなかった。

 

この世界で忌み嫌われている黒髪、ということで警戒心の強い最推し――メア君でしたが。

リゼが彼を大切に庇護して、愛でて、好きだと伝えていくことで彼女に執着することになるわけです。

でも、リゼの「好き」は間違いなく本心でありつつ、推しを見守りたいという気持ちが強くて。自分が拾い上げてシナリオが変わってしまってはいるけど、メアが幸せになるならゲームヒロインとの恋でも応援できるというスタンスは、厄介オタク過ぎて笑ってしまう。

 

でも、セーブ&ロードとかしてルート分岐を確かめられるゲームならともかく、現実世界でそう簡単に心変わりとかするはずもない、というか。

一度は放逐されたが、故合って実家に連れ戻されることになったメアが交渉によってリゼを婚約者として確保してるのに、なお受け入れていないあたり諦めが悪いというか。

推しを見守りたいという気持ちが強すぎて、何重にもフィルターかかってるんだものな……。

 

進学したゲーム舞台の学校で、うっかり仲良くなった少女がゲームヒロインで。

ヒロインは転生者ではなかったし、ゲームとは違う科に属していたりするし、そもそもリゼがメアを保護したことで、もう別シナリオと化してるんだから早く詰みの状態だと理解すればいいのにと見守る構えに入ってましたが。

他の転生者とバッタリ会ったことで、しっかり気付けたのは良し。

拾ったら最後まで面倒見ないとダメですよ? 

ルべリア王国物語2~従弟の尻拭いをさせられる羽目になった~

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「さっきの言葉……嬉しく思う」

「え?」

「ちゃんと覚えておく。君の言葉も」

 

エリナとアルヴィスの距離が近づいていく中で、建国祭が開催されることとなって。

王太子となったアルヴィスが女神との契約を交わしたことは他国にも知られており、それによって例年とは違う賓客がやってくることに。

帝国の皇太子に連れられたアルヴィスとは違う神から祝福を貰った令嬢、宗教国家スーベニア聖国の女王、友好国ではあるが何やら企んでいる隣国マラーナの王子と王女。

 

帝国の皇太子も研究者気質で、熱が入るとちょっと反応に困る部分はありますが。綺麗な顔が好きだと言い、腹芸も出来ない契約者のテルミナを上手くあやしつつ、直球でアルヴィスと向き合ってくれるところはポイント高いかなー。

……他の2組が、色々と厄介な話を持ってきてくれたから相対的に評価が向上している部分はある。

 

特にマラーナの方は、アルヴィスに怪しいもの盛ろうとして来たり、勘違いした言動が多いので頭が痛いというか。

前王太子と仲良くなれたんじゃないですかね、とか言いたくなるな。

でも、そうやってちょっかいを出して来た相手が居たから、アルヴィスがエレナを庇いに行くイベント発生したり、率先して動いてしまうアルヴィスに「王は人を動かすのが役目」と先達から諭されたりして、彼も改めて王太子と言う立場を受け入れて、覚悟決まったようなので良かった。

ルベリア王国物語1~従弟の尻拭いをさせられる羽目になった~

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「アルヴィス、でん――」

「殿下は要らない」

「……アル、ヴィス様」

 

WEB、途中まで読んでるんですよね。一回切り良いところまで読んだあと、結構更新されてたハズなのでぼちぼち読もうかなぁ。

王弟の子、公爵家次男として生まれたアルヴィスは、近衛隊の一隊士として王城に務めていた。しかしある日突然王に呼び出され……。

身分の低い令嬢に誑かされた王太子がパーティーで公爵令嬢との婚約破棄を宣言し、それによって生じた混乱の責任を取らせるため廃嫡する事になったという話を聞かされます。

婚約者であったエリナ嬢に瑕疵はないため、王太子妃という立場は保証されなくてはならない。そこで、次代の王太子としてのお鉢が回ってきたのがアルヴィスだった、と。

 

サブタイトルで「尻拭いをさせられる羽目になった」と書いてある通り、婚約破棄モノの後始末を付けることになった人物を描いた話ですね。

王太子を唆した令嬢はこの世界の知識を持った転生者だし、攻略対象の男子に粉かけまくったせいで、あちこち飛び火したりと王家への信頼は揺らいでしまったようで。

アルヴィスは、これまで守る側だった立ち位置が守る側になった上、想像もしていなかった王太子としての重荷を背負わされることになって、困惑するばかり。

それでも責任感の強い正確なのもあって、王太子としての役割を全うしようとする辺り偉いんですが……。彼と親しい人達が、色々と背負い過ぎている彼の事を心配するのも分かるなぁ、と言ったところ。

 

エリナ嬢も、前王太子との婚約破棄があった直後の婚約と言う事で、最初は距離を測りかねていたようですが。

それでも、前と同じ失敗はしたくないと。政略前提の婚約ではあるけれど、その中で想いを育んでいきたいと思ってくれたのは良かったですね。

アルヴィスも不足があるためどうしても公務優先になってしまうけど、それでもエリナを大切にしようとする気持ちはあるみたいなので、幸せになってほしいものですが。

女神からの祝福貰ってしまったのが、面倒事のタネになりそうな予感しかしないのが困りもの。

異世界転生して生産スキルのカンスト目指します!

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「今の今まで諦めていなかったじゃないか。それが一回の賭けに負けたくらいで全てを諦める? そんなのジンらしくないよ。苦笑を浮かべながら、世間話のように喋りながら、最後まで足掻いてみようよ」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。

ゲームが趣味の主人公は、その中でも特に生産要素のあるゲームを愛好していた。

その日も会社の後輩に飲み会に誘われたものの、スキルレベリングが佳境だったために帰宅する事にして……車道に缶を投げる馬鹿どもが居たせいで事故って死亡。

しばらくその魂は現世に留まり、自分の葬式で泣いてくれる人々を見守った後、昇天するのかと思いきや……。

 

気がついたらゲームの中で見かけたような服を着た少年の姿で、見覚えのない草原に一人佇んでいた。

育った姿でスタートしたものの、この世界の常識とか何も分からない状況で。魔獣とかも居る世界のようですから、何か間違いがあったら「草原スタートだけど死んじゃいました」とかになりそうでしたが。

たまたまその道を通った集団に保護されて。おまけにそれが、彼が前世で打ち込んでいた生産に特化したクランのリーダーであった。

 

記憶喪失だという体裁にして接触したら、上手く保護してもらって念願の鍛冶なども教えてもらえることになった。

さらに転生した主人公は特殊なスキルも保有しており、その効果で特異な現象を巻き起こしたりもします。ただ、そのスキルには良い縁に恵まれるって効果もあるので、トントン拍子に話が進んでく理由付けされてるのは良し。

 

しかし、英雄の器。前回の同一スキル保持者の意識が残っている上、効果にも影響を及ぼしているとかかなり変なスキルですよね……。

前々回と前回保持者の間でも「なんでそんなスキルにしたんだ」ってズレが生じてるし、それは今回も同様だし。前々回の能力が今回継承者に当たっていたら歓喜したんじゃなかろうか。

 

生産型にも戦闘型にも時代によって切り替わる万能型と言えば聞こえはいいですけど、自分の求めたスキルを使えるわけじゃないし、何とも言えない微妙さを感じる。

例えば戦争中にこのスキルを持っていた人間が、敵を蹴散らすとか、負傷者を癒すとか戦争に生きる能力を欲したとして。次の継承者の時には戦争が終わってたりしたら、そのスキルって本来の願いとは違った形でしか運用できないわけですし。

この歪さにも理由があると良いですけどねー。作中ならではの理屈が通ってると、嬉しいなーって思うタイプの読者なので。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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