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「ついに出発ですね。アル様、この三日間、私はずっとわくわくしていました」
キノコ祭りの日に合わせて、秘密裏に年を離れることにしたアルとパトリシア達。
パトリシアは存在を秘匿するためにしばらく領主館に引きこもっていたこともあり、久しぶりに外を歩ける上に慕っているアルも隣にいるため、楽しそうでしたけど。
かなり早い段階で追手がかかったの、敵側も本気ですねぇ……。
寄ろうと思っていた村が監視されている可能性が高くなり、古代遺跡の噂があったので探してそこで止まることにして。
ついでに探索して魔法で保護されていた剣と、呪文の書を発見できたのは儲けましたね。
テンペスト王国の王族であるパトリシアを連れて、テンペストのアシスタント・ゴーレムだったマラキに会いに行って。
テンペストの研究塔を目指すことに。マラキの把握していた座標に塔が存在しなかったのには焦りましたが……位置こそ変動していたものの、設備が健在だったのは助かりましたね。
防衛用ゴーレム用のパーツとか資材とか枯渇していて、危うい状況ではあったようですけど。新しい所有者としてパトリシアが認識されたことや、保管されていた転移の魔道具を使ってレビ商会の人々にあるが気軽に会いに行けるようになって、資材の補充とかも目途がつきそうなのは良かった。
逃避行の間に、パトリシアがレスター伯爵第二夫人のアグネスから贈られた、恐らく盗聴機能かなにかがる魔道具を逆に利用して、パトリシアの死を偽装することには成功。
信頼できる人だけがパトリシアの生存を知ってるという状況の中で、パトリシア達を研究塔という安全な場所において、アルは外の世界で情報収集だったり、ナレシュに会いに行ってその仕事を手伝ったりとかしているわけですが。
混乱の最中ではあったみたいですが、パトリシアの婚約者は生存しているっぽいし。
タバサ男爵夫人と言うパトリシアの母親に仕え、パトリシアの教育係も務めていたそうですが。パトリシアが13歳とかで、タバサ男爵夫人が20代後半って……思ったより若いな? タバサ男爵夫人の身の回りの世話しているのが10歳の少女ドリスだったので、この世界では珍しくないのか? 母のような人、と思われていたっぽいですけど、ワンチャン姉……っていうには幼少期の10歳差は大きいか? とちょっと本筋じゃないところに引っかかったりしましたが。
アル、現代の魔法使いたちが気付いていなかった、魔法にはアレンジできる部分があるのを発見し、自分なりに工夫して使ってる上手い魔法使いで。魔導師団の隊長を務めた経験があるゾラ卿からも、呪文拾得の早さと威力にはお墨付きを貰えていたのはお見事でしたね。
魔導師団としての経験のあるゾラ卿は護衛の時は、探知・発見系統の呪文を切らすと死に繋がりかねないと常時発動を心掛けているみたいですが。冒険者であるアルは、必要なタイミングに切り替えて使っていて、そのあたりに意識の違いがあるという指摘もしてくれて。認めるところは認め、危ういところもあると指摘してくれたのは良かったですね。
パトリシアとの関係がある以上、アルも政治的な問題から逃れられないでしょうに、ナレシュの難しい立ち回りとかを見ても、どうにもまだ他人事感があるというか。受け止め方に距離があるのが、若干今後に響きそうかもなぁとは思ったり。
パトリシアの婚約者が活きているとかの諸問題もありますし。敵の魔法使いヴェールが、蛮族にアシスタント・デバイスを与えて支援していた疑惑まであり、妹を蛮族に奪われたアルからすると許せるはずもない悪行で。パトリシアの敵がアルの敵でもあり、そういう意味では心配ないですけど。そういった問題を超えていく中で、アルの意識問題も変化しってほしいものではありますが、さて。