気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

カドカワBOOKS

魔術師クノンは見えている4

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「――魔道はもっと深いぞ。想像よりもっともっとだ。この儂とて未だ果てを知らんくらいにな。

 もっと発想を自由に羽ばたかせてみろ。常識に縛られるな。たまには手探りじゃなくて無責任に試してみろ。意外な発見もあるものじゃぞ」

 

クノンという劇薬に触れたことで2級クラスが活発になったみたいですが……。

それが尖った方向に行ったのは、色々理由があるとはいえ大変そうというか。どちらかと言えばジュニエに同乗してしまうかなぁ。

先達の魔術師サトリなんかは、対抗心だって成長に必要な要素だよと鷹揚に構えてましたし、サーフにしたってそのうち落ち着くだろうって構えなの、魔術学院講師の慣れを感じましたね……。

 

そしてジオエリオンとクノンが約束していた勝負が開催される運びになったわけですが……。

グレイ・ルーヴァが興味を持ったことで、ほぼ公開試合の様相を呈することに。

お互い似た部分があり魔術を追求する2人は、決闘においても容赦せずぶつかることに。まぁグレイ・ルーヴァが治療を請け負ってくれたというのも大きいとは思いますが。

 

初級魔術を器用に使いこなし、大きな影響を及ぼすクノンでしたけど、中級魔術まで抑えていた狂炎皇子相手にはやはり押されてしまってましたね。

それでもただやられるのではなく、しっかり反撃してのけるのがクノンですけど。最後に介入したグレイ・ルーヴァの描写を見ると、まだまだそのクノンもひよっこと言うのが良くわかる、というか。極めた魔術師の恐ろしさの一端を感じましたねぇ……。

 

その後は単位取得のためにまた聖女と協力して実験したり、サトリのお手伝いをしたりしてましたが。ついに共同での「魔術を入れる箱」の実験もスタートして。

……特級は本当に魔術バカが多すぎて、大分研究に身命賭してヤバい状況になってたので、一回ストップかけてくれたのはありがたかった。

クノンもなんちゃって紳士の暴走癖のある変わった子に見えますけど、なんだかんだ受け入れられてるのは特級に変わり者が多いからなんだろうなぁ。

 

それでいうと、英雄の傷跡で感情が抑えられている聖女レイエスが学校でいろんな経験を積んだ結果、植物狂いになって彼女もまた立派な「特級クラスの魔法使い」になってたのは面白かった。

予期せず校舎一つ潰してたのには笑いましたが、その結果を生み出した裏にはこの世界の歴史というか神秘が関わっていて。まだ未熟なクノン達には見えない高みの一端が見えた感じがして良かったですね。

 

クノンには鏡眼のこともありますし、魔術の深奥に踏み込んでグレイを驚かせてほしいという気持ちがある。でも、婚約者が大切だからいつか国元に帰ってしまうんだよなぁと思うとそこは惜しい。

継承順位が低いために兄姉から圧を掛けられつつも、クノンの婚約者としての地位を確保するために上手くふるまっているミリカも好きなので、幸せになって欲しいとも思ってるんですけどね。

黄金の経験値2 特定災害生物「魔王」進撃マルチプレイ

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黄金の、経験値の持つ魔力に惑わされてはならない。

ここで立ち止まって考えることが出来たのは、あるいは僥倖だったのかもしれない。

「――ふふ、やはりラッキーだね」

 

1巻で魔王となったレアは、配下に指示を出して「大規模攻防戦」イベントを満喫。

……一般プレイヤーは迫りくる魔物から都市の防衛戦をするところ、彼女は一国を滅ぼさんと進軍するんだから規模が違って笑っちゃいますね。

実際いくつもの都市を簡単に落とすくらいの戦力がそろってはいるんですが……それでも、彼女もまた一介のプレイヤーであって当然見落としとかも生じるんですよね。

 

レアが未発見だったスキルだったり、国宝として継がれてきたアイテムやNPCの行動なんかがかみ合った結果、一度は地に落ちることになったのは驚きました。

スペックでいえば相当とびぬけてますからね、レアは……。

そして一回ミスした後は、失敗を取り戻そうと情報収集しなおして、スペックを向上させた上で報復を仕掛けてるんだから大人げない。

まぁ魔王ロールプレイとしては正しい。脅威はしっかり叩いておかないとね……。

 

そして今回、レアと同じように悪役RPをしているプレイヤー・ブランが登場します。

レアは一応デメリット持ちでもエルフという、人類種でプレイ開始したわけですが。

ゲーム知識に疎いブランは、よくわからない状態でスケルトンを選択。序盤から大変な目にあいながらも持ち前の明るさで乗り越えて、レアとはまた違った形で珍しいイベント発生させてるのが面白いですね。

 

純粋なブランちゃん、時に刺さる言葉を言ってレアを動揺させてるんですが。今回翼を得たレアが制御できずに、ばさりってやってるところが地味に好き。

ブランちゃんと一緒に動いていたから、予期せぬ再会をしたときに和解ルートに入れた部分もありますし、いやほんとブランちゃん良いキャラしてるんですよねぇ。結構好きです。

……それはつまり、魔王陣営に協力する勢力が増えるってことで、一般プレイヤー今後大変そうですねぇ。

スタート地点に選べた6国の内1つが滅ぼされてますし、魔の手が伸びてるところもあるし。ますます出来ることが増えそうなレア達の活躍を見守りたい。

聖獣と一緒!~ダンジョン内に転生したからお店開くことにしました~

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〈でも、後悔はしてないでしょ〉

「うん! 私はダンジョンでくらすの!」

 

大学からの帰り道事故にあい、異世界に転生することになった女性・ルイが主人公。

邪神をあがめる宗教国家が異世界から召喚しようとしたようですが、生贄を使う邪法だったことでトラブルが生じ彼女は死に……その魂だけが招かれてしまい、異世界の輪廻の輪に加わったハズだった。

何事もなければそのまま転生するはずだったけれど、意識を保ったままだった彼女が転生業務処理中の神に文句を言おうとしたところ、規定外の行動だったため輪廻の流れからはじかれてしまって……。

 

気が付いたら5歳児の姿で、ダンジョン内部に放り出されることになってしまった。

神様が補填とし守護の力をもった聖獣をルイにつけてくれたので、知識と護身を受け持ってもらえたのはありがたかったですけどね。

さらに彼女が目覚めたのはダンジョンの深部だったらしく、命を落とした冒険者の残したアイテム袋から資材も確保できて、当座の生活はなんとかなる状況ではありました。

 

神様が妙に人間臭いというか「余計な手間増やしやがって」とか「なんとかなるだろ」みたいな物言いしてたせいで、ルイが反発してせめてその顔見てやる! ってやったせいで通常の流れからはじかれたんだから、神様は反省してもらって……。

その後に邪法を用いた宗教国家の話聞くけど、ルイってほぼ放り出された状況なわけですし、あの神様も邪神寄りなのでは……? と穿ってみてしまった。

 

番外編「終着点にて」で、ルイを転生させた神様の事情が垣間見えるエピソードがあって、終わらない戦争によって転生させるべき魂が神の領域で滞るほどの状態になっていて、頭抱えていたので若干同情の余地はあるのかもしれない。

まぁ仕事ミスってルイに余計な心配増やしたのは確かなので、大いに反省してもらいたいところではあります。

 

彼女がテクトと名付けた聖獣からこの世界の状況を教わったルイでしたが……地上に出たら出たで問題が多いことがわかり、なんと外に出ないでダンジョンで暮らしていくことを決意。

冒険者の遺産の中に、かつての勇者が作成した「カタログギフト」……資金や魔力を注ぐことで、様々なアイテムをゲットできるアーティファクトまでありましたし。

テクトからの訴えによって神様から安全なスペースを贈ってもらえたので、実際生活していくだけなら何の問題もないのが笑える。

 

さらに隠蔽魔法も授かったテクトの協力で、ダンジョン内をこっそり探索することもできるようになってましたが。……本来なら貴重なダンジョン脱出用のアイテムばっかり引いて、自分たちにはいらないのに! って変な運の使い方に叫んでるのも愉快でしたね。

深部に踏み込んできた冒険者と出会い、所持していたポーションで彼らの危機を救ったとはいえ、良好な関係を築けたのは良かったです。

テクト達が気にかけてくれてるとは言え、ダンジョンに挑む冒険者がいる以上完全に外の交流を絶つことはできませんからね。味方してくれそうな良い人だちと最初に会えたのは幸運でした。

悪役令嬢は今日も華麗に暗躍する 2 追放後も推しのために悪党として支援します!

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「俺にも、あなたをもう少し堪能させてください」

「た、堪能って何ですか。私が堪能するならともかく、あなたがする要素がどこに」

「好いた人の顔は眺めたいものなんでしょう。あなたもよく言ってるじゃないですか」

 

好きなゲームの世界の悪役令嬢エルディアに転生した主人公。

悲劇を回避しようとしても強制的に発生するイベントなどもあり、そんな中で彼女はできる範囲で拾い上げられるものを拾い、ストーリーの本筋を外さない程度に悪役として追放されたわけですが。

 

ちゃんと次の活動が滞りなくできるように準備してる当たりが抜かりないですよね。まぁ、1巻では予期せぬタイミング従者になったアルバートのイベントが進行して戸惑ったりもしてたんですが。

彼の想いを聞いて、両想いだと自覚したけど推しとしての自任が強すぎて、まだ関係について問われたときに「推しとヲタク!」って返しちゃうの、もうちょっと頑張りましょう感がある。

 

シナリオ展開を知っているエルディアは、故郷の王が実施している危険な実験についても知っていたわけですが……強制イベントの存在を知ってるのもあってか、勇者君達に解決を任せるスタンスで。

それはそれとして推しの活動は知りたいから、接点のある商人と交流して情報を仕入れたり。その手がかりを得るイベントを眺めるために、映像機器を用意したりと周到です。

しばらくは観察で済むはずだったのが、なぜかイベントとは違う展開になってしまって。

シナリオを外れる行動をとったのがNPCだったこともあり、真意を探る展開から始まったわけですが……。

 

いざそのNPCと対面してみたら、エルディアに対して「プレイヤー」と発言して。

さらにイベントでの反応以外にも、本来繋がらないはずのキャラクターと行動を共にしているなどの変化が起きていて。けれど、エルディアの従者であるアルバート達に反応を示さなかったから、彼自身がプレイヤーではない。

どうにも混乱する状況の中で、オタクとしての自分を曲げず突進していくエルディアはさすがすぎましたね……。

とは言えこの一件で明らかになったエルディア以外の「プレイヤーを名乗る人物」の存在は気がかりですなー。

理想の聖女? 残念、偽聖女でした! ~クソオブザイヤーと呼ばれた悪役に転生したんだが~2

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「いいえ。変えることはできます。私はその為にここにいる」

(略)

「大丈夫です、レイラ。貴女の聖女は絶対に死にません。私は必ず、この悲しい運命を、この時代で断ち切ってみせます」

 

魔物を生み出す魔女を倒した聖女は、次代の魔女になってしまう。

世界が抱えた歪みをこの世界の王族は当然把握していて……城には監獄に変わる仕掛けや、聖女を殺すための魔物などが飼われているなど闇が深い。

 

エルリーゼは前世知識でお菓子作って賄賂贈ったり、聖女としての名声を高め続けることで付加価値を増したようです。

前世知識がある影響も大きく、彼女の価値観は結構ズレてるし……そもそも周囲と自身の評価にも差が大きすぎるんですよねぇ、エルリーゼ。

エルリーゼは自分が偽物だとわかっているからこそ、色々と手を打てるわけですけど。そんな事情を知らない人々からすれば、歴代最高と謳われる聖女なわけで。

 

学園長が起こした事件で近衛として傍にいるレイラが、聖女の真実を知って揺れてしまったり。

名声を高め過ぎたがゆえに王族に監禁されたりする羽目になるんだから、何事も上手くはいかないというか。

まぁ王族目線でいうと、次の聖女が覚醒する時間に対して次の魔女が活動を開始するまでの時間の方が短く、厳しい戦いを強いられる状況があり……その状況を打ち破ったエルリーゼを長く使おうと考え始めるのは、貴族らしいと言えばらしい。

 

実際のところ皮算用にすぎなくて、エルリーゼは偽聖女だからその計画破綻してるし……前世知識を持っているとはいえエルリーゼの奮闘で押し返した実績があるのを見ると、これまで何してたのみたいな気持ちにならないと言えば嘘になる。

その後に発生した王都襲撃イベントにおいて、絶望的な状況であろうとエルリーゼという光を信じ戦い抜いた騎士達の存在とかもありますしね……。「もう十分逃げた」から、戦うことを決めた人々の覚悟がとても良かった。

 

前世の自分とエルリーゼが会話して情報収集するパートが、「転生しきってないから、残りの魂を回収するためにこちらにやってきてる」って推測してくれたのは個人的には嬉しかったというか。

最終的には「そういうものなんだよ!」で楽しめばいいですけど、作中で理屈語ってくれると解像度あがるじゃないですか。

 

ネットで「エルリーゼルート」のある程度の情報は集められるけれど、確定してない未来のエピソードについては観測できない。だから結局はエルリーゼがなんとかするしかない、って塩梅も好き。

前世サイドもただ彼女を待つだけではなく、独自に調査したりもしてくれてるんですけどね。

……それはそれとして、確定したイベントでは自分の行動がゲームに反映されてプレイ動画も見られるせいで、自分が攻略される様を見せられるってのは、かなりの羞恥プレイだとは思います。はい。



悪役令嬢は今日も華麗に暗躍する 追放後も推しのために悪役として支援します

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「エルア様こそ、よろしいのですか。今まであなたがどれほどあの恩知らずどもの手助けをしてきたのか、誰にも知られないまま姿を消すことになるんですよ」

「当たり前でしょ? 私は推しが幸せになってくれるんなら、それ以上のご褒美はないわ!」

 

推しの為なら課金を厭わないタイプのオタクだった、主人公。

彼女は好きだったソシャゲの悪役令嬢エルディア・ユクレールに転生して。

自分が起こす事件を解決していくことで、メインキャラの勇者や聖女が成長することを知っていた彼女は、「推しの活躍を見るため」悪役として活動することを決めて。

とは言えいつも予定通りに行ったわけでもなく。最推しの暗殺者キャラ、アルバートの幼少期の姿を見たときに、救わずにはいられなかったり。

 

他にも勇者の村が滅びるなどの悲劇を回避しようと試みたり、エルディア自身が実行犯となる事件現場に行かなかったりしたのに、村は滅び他の誰かによって事件は起こされた。

シナリオの強制力が働いてイベントを押し付けてくる一方で、ゲーム時代には存在した技術がなかったりするなどチグハグな世界になってるんですよね。

なのでエルディアは、推しの活躍やイベントスチルを見たいがために、別名義で商会をつくって技術革新をする一方で、悪役としての振る舞いもして主要キャラの成長も促してきたわけです。

 

そしてついにシナリオ通り、婚約破棄されて表舞台から退場することができたわけですが。

……それも想定内だったので、別名義で動かしてた商会のトップに座って、エルアという偽名で自由に推し活動してるので凄く生き生きしてますね。

 

本来は暗殺者として活動し聖女たちに救われるはずだったアルバートは、エルディアの執事としてついてきちゃうし。

なぜか勇者や聖女に懐かれていて、婚約破棄後のエルディアを助けようと動いたりと、エルディアの知るシナリオからは乖離しそうでしていない、ぎりぎりのバランスでシナリオ進行してる感。

まぁ主要キャラには敵わないと自覚してるエルディアも、自己研鑽を怠ってないみたいですしこの勢いのまま多くを救ってくれそうだと思えるので、応援したくなる作品でしたね。
定期的に推しが尊くて悲鳴を上げる重度なオタク主人公ではありますが、「推し」に対して素直で見てて面白い主人公でした。

泡沫に神は微睡む 追放された少年は火神の剣をとる

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「躊躇っちゃあいけないよ、晶坊」

結局のところ、晶が欲しいのは背中を押す手なのだろう。

強かろうが、弱かろうが、優しかろうが、厳しかろうが、

「今まさに、坊の睫で幸運の神さんは踊ってくれているんだ。いなくなる前に、微笑んでもらわんとな」

一歩踏み出すための、力が欲しいだけなのだ。

 

極東の海に浮かぶ高天原。五柱の神が五つの国を見守る島国。

そこに住まう人々は必ずその身に精霊を宿して生まれるとされていたが、主人公の晶は精霊を宿していなかったために、家族から迫害されていた。

 

高天原には中央の国を統べる三つの宮、東西南北それぞれの国を管轄する四つの院と、それぞれの院の下に二つずつある家――八家と呼ばれる貴人の系譜が存在するのですが。

晶の生まれたのが、北の黒天州にある八家の中でも長い歴史を持つ雨月の家だったことも、悪い方向に働きましたね。

歴史ある家からこんな無能を出してしまうとは、と当主は彼を見限って。黒天州から追放する決断を下すわけです。

 

唯一晶を気遣ってくれていたものの、亡くなった祖母の伝手を頼り南の珠門州へと向かうことを決めて。

道中で符術の才に目覚めた晶は、実家である雨月を見返してやるべく防人を目指して努力する日々を続けて。符術用の札を協会に売って生活資金を稼ぎつつ、守備隊で活動してたわけですが。

 

精霊を宿していない晶は、民として登録する「氏子籤祇」という儀式を受けても登録することが出来なかったのがトラウマになっていたわけですが。守備隊での実績を認められて、そこで改めて「氏子籤祇」を行うことになった彼は、不思議な現象に遭遇し……。

「精霊を宿していない」という彼が抱えていた秘密、その一端に触れることになるわけです。

彼が出会った朱華が楽しそうで良いですよねぇ。でも黒天州にも彼を思っている人は居たわけで……「くろ」と呼ばれる少女も好きなんですが、今回は挿絵なくて残念。続き出てほしい作品ですねぇ。

文章が堅いというか独特の味わいがあって、面白いファンタジー作品なので楽しかったです。

サイレント・ウィッチⅤ 沈黙の魔女の隠しごと

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「……その目に焼きつけてください」

(略)

「貴方の呪いが、もたらしたものを」

 

学院も冬休みに突入し、予定ではモニカはイザベル達と一緒にケルベックへと帰郷するつもりだったようですが。

星詠みの魔女がこの冬に竜害が起きると予言したため、沈黙の魔女であるモニカは戦力として数えられるだろうから、残ることとなった。

……そこまでは彼女達の予想通りだったわけですけど、予定外なのは時を同じくして行われる第二王子と隣国との外交における護衛を任されることになってしまったこと。

 

万が一にもセレンディア学院の生徒会会計モニカ・ノートンが、沈黙の魔女モニカ・エヴァレットと同一人物だと見抜かれるわけにはいかない。

そうでなくても第二王子は隠れ沈黙の魔女ファンであるため、接触には注意が必要。

さらに当初の予定ではルイスが同行してフォローするつもりだったそうですが、防御能力にたけた彼を王都から離すのを渋られたせいで、代理として彼の弟子であるグレンがやってくることになったんですから、悪いことは重なってます。

 

モニカにとってなかなかハードルの高い任務になってしまいましたが、顔を隠した上で、人型になったネロを従者として扱い会話を任せることで、綱渡り状態の日々を過ごすことに。

そんな中で異常な竜の襲撃を受ける羽目になるんだから、災難というほかないですけど。

竜に起きている異変を察知し、その場で不完全ながら対策の術式を組めるあたり天才ですよね、本当。

 

今回の一件でネロの正体が明らかになったりしてましたが、対人関係はさっぱりでも強いモニカらしさを感じましたねぇ。

暗躍している公爵の操り人形で終わるつもりがない第二王子だったり、モニカを怪しんで調査を入れているブリジット嬢だったり、気になる動きはまだまだ多い状況で。

モニカが父の死にも隠された事情があると知り、これからの彼女がどう動くのかも見逃せません。

異世界でペンション始めました。 世界で唯一の黒魔女ですが、この力はお客様のために使います

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「俺、この宿にこられて本当に運がよかった。ここは、いいところだな」

「そう言っていただけると、私としても嬉しいです」

「……次は、信じられる仲間と一緒にまた来るよ」

 

祖父母から継いだペンションの経営をしていた主人公。

しかし近隣施設が発端の火災に巻き込まれ死亡し……異世界で、始まりの魔女の一族の末裔の少女ルアナとして生を受けます。

しかしルアナの双子の妹が豊富な魔力を誇る英才だったのに対し、ルアナは魔女術を全く使えない落ちこぼれであり、隠れるように暮らしていた小さな村社会の中であからさまな差別を受けることとなった。

 

それでも諦めずに「ノヴァ文字」という魔女の文字を解読し、魔女に関する知識が豊富な使い魔を召喚することに成功。

黒猫の師匠はルアナが「黒魔女」という、その気になれば世界の運命すら変えてしまえることを教えてくれます。

しかし前世の記憶を取り戻していたルアナは、夢半ばで終わってしまったペンション経営をこの世界でもやりたいと思って、そのために奮闘することを決めて。

 

成長してからルアナは村を飛び出して……それから4か月でペンション始めてるんだから、仕事が早い。

この世界には人族のほかに、人間に獣の耳やしっぽが生えた亜人や全身が毛に覆われた獣人なども存在するそうで。しかし過去に多くの種族がいがみ合う「世界大戦」が起こった影響もあって、関係は良好ではないようです。

宿でも「亜獣人お断り」のところが多いみたいですしね。……偏見以外にも、獣人止めた後は抜け毛の清掃などの手間が増えるから、という業務面の問題もあるようですが。

 

魔女術を駆使してペンション経営してるのと、前世知識もあって「店に来てくれたお客様」として接する彼女の在り方は、亜人・獣人にはありがたいもののようです。

……亜人が連れている相棒の獣をモフモフできるっていうのも、割と理由になってそうな気はしますが。

色々とこの世界事態の持つ不穏な気配を感じつつも、基本はペンションにやってきたお客さんとの穏やかな交流を描いた落ち着いた1冊でしたね。

シリーズ続くと問題も表面化してきて、慌ただしくなりそうではあります。

創造錬金術師は自由を謳歌する2 故郷を追放されたら、魔王のお膝元で超絶効果のマジックアイテムを作り放題になりました

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「俺にはルキエ様とメイベルがいるんだ。それだけで、帝国のことなんか、もうどうでもよくなってるんだから。ね」

「…………はい。トールさま」

 

ライゼンガ将軍の愛娘、アグニスの悩みを解決したことで彼の信頼を勝ち取ったトール。

アグニスからは慕われていますし、その出来事を経て将軍が魔王陛下への忠誠をあらためて誓ったというのは大きい。

トールの味方してくれる人材が増えるのはいいことですしね。

強大な魔物が魔王国と帝国の国境付近に現れ、徒に兵を動かすと刺激していしまうからと事前交渉を重ねていたようですが。

 

その際に帝国側の人材が、トールをスケープゴートにする前提の工作を仕掛けてこようとして……そこで交渉は決裂だ! と言える将軍で良かったというべきか。

ライゼンガ将軍の行いに嘘がないことを、宰相が信じられたのも直近のやり取りがあったからこそのようですし。

トール自身が思っているよりも深く、魔王国に影響を与えてますねぇ。

 

しかしまぁ、力こそすべての帝国は懲りず。

一度交渉決裂した後は、「一部貴族が暴走しただけで総意ではないから、改めて共同で魔物討伐をしたい」と皇帝の名で書状を送ってきてましたが。

……そうやって派遣されてきた部隊が、魔王国側を出し抜いて討伐を図ろうとしてる時点で、色々と駄目でしょう。

聖剣を与えられた皇女が参加している部隊だっていうなら、なおのこと。まぁリアナ皇女、軍務大臣の爺にいいように操られている感がありますし、国そのものに期待できないのは厳しいな……。

 

トールが今回もいろんなアイテムを作り上げて。

あまり人前に出てこないとされていた羽妖精たちとの信頼関係を築き上げていたのはお見事。そうやって紡いだ縁が、新しい出会いにつながるかもしれませんが……どうなるんでしょうかねぇ。


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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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