気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

電撃の新文芸

もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~

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『逃げ切れそうですね!』

「いや、倒す」

 

ソロで無人島スタートしてのんびり楽しむつもりが、配信設定になっていたことでミオンという少女に見つかり、2人で一緒にゲームを楽しむことになった主人公のショウ。

部活の先輩や顧問からアドバイスをもらいつつ、二人三脚で進んでいってる感じが微笑ましくていいですねー。

 

無人島スタートゆえに一般的なアイテムなどがないからこそ、全部自分でそろえる必要がある。

その上で、ゴブリンたちを蹴散らして突入した洞窟の奥に様々な設備があったこと。

そういった状況が合わさったことで、またしてもいろんな発見をしていくのが面白い。

今回でいえば、未発見だった光の精霊を宿した精霊席をゲットしたり、ライブで古代遺跡の発表したりで、基本ソロプレイしてるハズなのにあちこちに影響与えてるんですよねぇ。

部長のベルだったり妹のセスに友人のナットみたいに、王国で活動している知人が多くて、リアルで情報共有したりできてるのもありますけどね。

 

そうやって時折影響を与えることは有れど、無人島というコンテンツはあくまで隠し要素なわけで。

アップデートが行われて、スタート地点として選べる三国のうちの一つを一時的に選べなくなったりする『帝国動乱』というメインストーリーのイベントが発生。

ショウの知人が王国メインで活動してるのもあって、帝国の内情は伺い知れませんし、ショウが関わることはそうなさそうですけどね。

無人島のなかだけでも多くの発見や新たな出会いがあって、かなり作り込まれてて面白そうだなぁと思います。サバイバル技術ないから、実際に無人島スタートは出来ないなぁって思いますけど。

 

あと地味ながら個人的に嬉しかったのは、1巻だと章題が「01日曜日」~「14土曜日」みたいな感じでかなりあっさり仕様になっていたんですが。

2巻では「01日曜日 古代遺跡に眠るもの」みたいに、サブタイトルも入ってくれたことですかね。電子版で読んでるんですが、目次機能で何となく把握できるのありがたいんですよね……。



物語の黒幕に転生して~進化する魔剣とゲーム知識ですべてをねじ伏せる~2

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「必ず、無事に下山しましょう。俺が絶対に、バルドル山脈の外へ送り届けるって約束します」

(略)

「ほんと、あの方たちが言った通り……すごく優しいひとなんですから」

 

ゲーム時代に自分が命を奪うことになった少女、リシア・クラウゼルと不思議な縁を結び、彼女の窮地を救うことになったレン。

その際に大きな傷を負ったレンは、男爵家に治療を受けていたわけですが。ポーションとか使ってもらって、筋肉の衰えも最低限になっていたとはいえ、動けるようになってまず剣の鍛錬を開始する当たりが彼らしい。

逃避行の時にリシアと約束した立ち合いを実現するため、という理由もあったみたいですけど。

 

本格的な立ち合いの前に、軽いリハビリと称してリシアと剣を交える機会もあって。

実力と人柄をクラウゼル男爵家の騎士や給仕たちにも認められることになるわけです。

レンは当初怪我が治ったら故郷の村に戻ることを考えていたけれど、クラウゼル男爵家の人々は、リシアとの相性もいいし家に残ってもらいたいと思っていて。

故郷の父母からの手紙を読んだりしてレンの心境も少し変わり、生活環境の面ではクラウゼル家のお世話になりつつ、冒険者としての活動を始めることに。

 

予期せぬ行動をとったランクの高いモンスターと戦う羽目になったり、ゲーム知識を活用して貴重なアイテムを入手し、それをリシアの誕生日プレゼントにしたり。

レンはおおよそ順調に活動をしていました。……ただ、トラブルって言うのは向こうからやってくるものですからね……。

 

今回はレン視点だけじゃなくて、1巻の彼の行動によって救われたイグナート家の人々の視点も盛り込まれてます。

ゲーム正史では失われるはずだったフィオナが生存して、リハビリを頑張ったりしてる姿は本来見られなかった風景なわけで、素直に良かったと思えます。

……ただ、それによってゲーム時代にはなかったイベントが発生したりするのは避けようがないですよねぇ。

 

学院入学前のフィオナでしたが、とある陰謀によって最終試験会場が危険なエリアに指定されてしまって。

それがクラウゼル家近くの山であり、緊急用の狼煙が上がったことで救助のために騎士が派遣される運びとなり……レンもその一団に混ぜてもらい、意図せず救った少女と出会うことになって。

現場で暗躍してた駒があっさり蹴散らされて、それ以上の脅威と戦う羽目になっていたあたり、レンの運命はなかなか呪われているというべきか。毎回辛くも命を拾ってるから強運の賜物というべきか。

今回の騒動を超えて、書籍で加筆されたセラキアの蒼珠にも変化が出てましたし、発売決定してるという3巻を楽しみに待ちたい。

リアリスト魔王による聖域なき異世界改革

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「あんた、馬鹿だと思っていたが、それは間違っていた。あんた大馬鹿者だ。だが、歴史に残る大馬鹿者だ」

 

女神のごとき力を持った存在によって、異世界に転生した主人公。

72の魔王が、同じ魔王や人類と争い勢力を伸ばそうとしている中で、目覚めたばかりの主人公――魔王アシュタロトことアシトは最弱の勢力で。

正々堂々とした戦いではなく、知略を武器として成り上がろうとしていくわけです。

 

珍しいのは日本から異世界へってルートではなく、異世界から異世界へとなっているところでしょうか。最も前世は研究バカで、異世界である「日本」の研究をしておりその知識を得ていたりするので、実際のところ日本→異世界のケースとあまり変わらない感じが……。

異世界の品を核にすることで、関連する英傑を召喚できるという設定もあって、実際に土方歳三を招いたり、他陣営に招かれたと思しきジャンヌ・ダルクを味方につけたりしていくわけですけど。

 

ここで例えばアシトの前世の世界の品もあって、「こいつは俺の前世で活躍した●●って英雄の武器だ」とかあれば、異世界→異世界設定が生きたと思うのですが。

研究バカすぎて知識だけ持って異世界に来てる(前世にまつわるエピソード記憶がない)という設定もあるから、そういったことはできないって言うのかもしれませんが。

それだったら猶更日本→異世界への転生であった方が説明事項減って楽だったのでは……みたいに、そこまで本筋じゃない部分が気になって入り込めなかったのは残念。

 

72の魔王にはそれぞれ対応した勇者が生まれることになっており、彼らが扱うための武器は権威の象徴として魔王の城で管理されている。

その情報を知った時に、「なんでわざわざ敵を強くしなきゃいけないんだ」と廃棄を命じたり、エピソード単位だと面白かった。それをつなぐ設定の部分に引っかかりを覚えて、全体的には普通……みたいな塩梅ではありました。


リビルドワールドⅦ 超人

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「有能で安全な人間になど、会ったことが無い。旧世界の英知と同じだ。その危険性を理解した上で、適切に運用するしかないのだよ。発展の為にはそれが昼用だ。それが出来なければ滅ぶだけだ」

(略)

「発展を止めてはならない。進歩を躊躇してはならない。その抗いを止めてしまえば、我々は過去となる。旧世界に敗北し、朽ち果てた文明の残骸と成り果てて、その一部となる」

 

親しくなっていたハンターのユミナを、自分の手で殺すことになったアキラ。

シズカのフォローもあって、理由はどうあれ大切な人の死は悲しんでいいのだと泣けたのは良かったですね。

そして彼は、いつも通り敵を殺す覚悟を決めた。今回でいえば、都市幹部のウダジマなわけですが……いくらランクが上がってきたからといって、幹部クラスを狙うには問題が多い。だからそれを解決できるまでは先送りにしておけ、とイナベから助言をもらって。

 

いつもの強硬策ではなく、ハンターランクを上げることで都市を脅せるほどの力を得ることが選択肢の一つだと言われたこともあって、アキラは強さを求めることに。

そこにはユミナを殺してでも生き残ったのだから、という強迫観念もあったみたいですが。

直近の騒動でツバキからもらった回復薬の作用だったり、アキラの意識の変化も影響して、他のハンターの勘を鈍らせていた「旧領域接続者としての負の感情発信」の方向が変わり、実力者認定をもらえるようになったのは、今後を思えばプラスでしょうか。

 

変化でいえば、アキラと付き合いの深い都市職員と言えばキバヤシなわけですが。

彼からの紹介でヒカルという女性がアキラに接近。上昇志向の強い彼女は、キバヤシの抱えているハンターを自分の担当として奪い、その功績でさらに飛躍しようと試みたみたいですけど。

それで手を出したというか、キバヤシが見せ札に使ったのがアキラっていう爆弾なんだものなぁ……。

そのせいでヒカルは胃痛を覚えることになっていくわけですが。彼女は彼女で、アキラの調査が不十分すぎた感じはありますけどね。敵に容赦はないタイプだとか、そのあたりはわかりきったことじゃないか。

 

でもアキラが高位ハンターであることや、ヒカルがそこそこ優秀な都市職員であることは変わらず。彼からの信頼を勝ち取るために、各種交渉をまとめてくれたのは、正直ありがたかったですね。

いつまでもエレナ達を頼るわけにもいかないし。かといってヴィオラは、話をまとめることはできるだろうけど、別の厄介ごと引っ張ってきそうだし。

アキラを抑えるために任務に同行したヒカルが、誤解から敵の標的になったりしていたので、こうヒカルも問題引き寄せる気配は感じてますが。今後に期待、ということで一つ。

 

シェリルが、アキラがユミナを殺したこと。自身がその遠因となったことをイナベやヴィオラから知らされて萎縮してましたけど。

そこで躊躇って足踏みしてると、愉快犯ヴィオラたちに引っ掻き回されて状況どんどん悪化するんじゃないかなぁ、と不安ではある。これまでも問題乗り越えてきたし、シェリルには頑張ってもらいたいところではあります。

スキル『鑑定』に目覚めたので、いつも優しい巨乳な受付嬢を鑑定したら、戦闘力99999の魔王な上にパッドだった件について

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「それに……私の大切な人が言ってくれたんですが、他の人にはない特殊な力を持っているということは素晴らしいことですよ」

 

タイトルがすべてを物語っている作品なんですよね……。
ちなみに長すぎて入れられなかったサブタイトルまでつけると「 スキル『鑑定』に目覚めたので、いつも優しい巨乳な受付嬢を鑑定したら、戦闘力99999の魔王な上にパッドだった件について~気づかなかったことにしようとしてももう遅い……ですかね?~」になります。

鑑定スキルを取得した主人公のアルト。商人だったら必須レベルのスキルのようですが……彼は、直接戦闘に寄与しないその能力を持って冒険者としての活動を続けていた。

薬草の納品クエストとか面倒な依頼を受けてくれるから、受付嬢のサティさんからの好感度も良かったようですが。

 

そこは彼も男子だったというか。可能な限り胸部を見ないよう努めていたし、人気者な彼女と付き合えるとも思っていなかったけど、その夢が詰まった胸のサイズがいくつかだけ知りたくて、人物鑑定ができるまでスキルを鍛えたとか、なかなか変態の所業なのでは。

そうやってサティを鑑定してみたところ、彼女が強大な戦闘力をもった魔王な上、実は胸はスライムパッドでの底上げだという事実に気が付いてしまって。

 

そこから受付嬢サティではなく、魔物たちの姫である魔王サティとしての顔を見ることになっていくわけですけれど。

魔王サティは穏健派で、人間たちと和平を結ぶために人の生活に交じっていたこと。アルトのいる街を拠点として選んだのは、この街出身の勇者と接点を得ることが目的だったことなどが明らかになるわけですが。

 

そうした秘密を知ったこともあってアルトとサティの距離が近づく一方で、サティが探し求めていた勇者がアルトの幼馴染であり彼に好意を持っているアリシアだったことが状況をややこしくしてますよね……。

まぁ先代魔王の死因といい、基本的にはギャグとエロとコメディの要素が強いファンタジーということで、笑える作品ではありました。笑うしかないともいう。



Unnamed Memory after the endⅡ

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「ああ。だからお前のことも否定しない」

(略)

「だが王とは……民を守る精神そのものだ」

 
皆さん帯を見ましたか、帯を!! 驚きのアニメ化決定ですってよ!! 
しかも2023年公開予定とか楽しみすぎる。生きる喜びが増えました。

Unnamed Memory』の後日譚、第2編。

逸脱し、外部者の呪具を探し続けている彼らですが……なかなかその成果は上がらず。

序盤も「まぁまず違うだろうな」と思いつつ調査に行って、やっぱり違ったけど別の問題発生したりして。必要以上の干渉は避けようとしつつも、ほどほどの着地点を模索したりしてるのは真面目だぁと思います。

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物語の黒幕に転生して ~進化する魔剣とゲーム知識ですべてをねじ伏せる~

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「ここまで来て、負けられるかよ」

 

WEB既読。

全三部作と予告されたゲーム『七英雄の伝説』の2作目を最速クリアした主人公は、「特別なダウンロードコンテンツ」を獲得し、インストールした結果……ゲームの世界に転生してしまった。

転生先はタイトルに在る通り「黒幕」側。聖女と呼ばれる少女の命を奪い、主人公たちを撃退したレン・アシュトンで……。

辺境の村を預かる騎士爵家の長男として生まれた関係もあって、サブタイトルにあるほど「ねじ伏せる」展開は薄目ですね。ゲーム知識を活用するシーンもありますけど、成長途中なので、その辺りは今後に期待したいところです。

 

ポイントは三部作の途中までしかプレイできていないので、主人公が転生先レンの真意を知らない所ですよね。

ただシナリオ通りの展開を迎えてしまうと、皇帝から討伐を命じられるような存在になってしまうわけで。そのルートは回避したい、と勉強もするし鍛錬にも打ち込むしで、努力を惜しまないのが良いですね。

 

そうやって腕を上げた事で、レンが命を奪った聖女と呼ばれる少女のライバル的存在になって、縁が強くなっていくのは面白いですね。

主人公の努力によって、ゲームシナリオにおいては失われるはずだった命が無事だったり、未来でゲーム主人公たちと敵対するキャラと早い段階て戦う羽目になったり、既にシナリオに多大な変化が生まれているわけで。

レン目線だと多くが救われる良い未来に繋がってる感じがしますが。まだまだ謎も多いので、折れずに進んで行ってほしいものです。

WEB版読んでると、しっかり物語の主人公をやってるのでそこは安心してるんですけどね。刊行続いてほしいなぁ。


もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~

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「あの時は一人のんびりって言ったけど……二人のんびりの方が楽しいかな」

「良かった……」

 

WEBからの書籍化で、たしかカクヨム先行連載。WEB既読です。

書籍化にあたってタイトルが分かりやすくなったのはいいんですが。WEBだと小分類として「1日目(日)」って曜日で分けられていて、その中に何話かエピソードが入るって感じなんですよね。で、その話に「第2話 初見です」みたいなタイトルがついてたんですよね。

書籍化でそういう話タイトルが消えて、目次が○曜日で染まってたのはちょっと笑ってしまった。

 

新作VRMMOをプレイすることにした主人公。           

しかし彼は、通常のプレイヤーが選ぶ帝国・王国・共和国といった初期スタート地点から始めなかった。

たまたま島を選べることに気が付き、誰かと一緒にプレイするとそっちの人に楽しんでもらうのを優先してしまうから、と秘密基地を作るノリで無人島ソロプレイをすることにした。

配信設定がオンになっていたことから、ミオンという視聴者との縁も出来て……。

 

そして進学先で電脳部に所属する事にしたわけですが。そこに属する先輩が配信者として活動をしていて、電脳部の備品もその利益から出してるとか言うんだから驚きです。私学とはいえアリなのか。

で、一緒に見学に行ったクラスメイトの少女が、自分の配信を見に来たミオンだったこともそこで発覚。

ショウがプレイする風景をミオンが実況する、コンビ配信を行っていこうと言う事になりました。

 

無人島で使えないのもあって、初期作成時の所持金もなし。その代わり、先駆者として育成に使えるポイントをゲットできて、それを活用して一人でなんでもできるように積み重ねていくことになるんですよね。

途中で表紙に居る狼の魔物をテイムしたりもするんですが、その際に取得した調教スキルもまた初取得でしたし。他のプレイヤーとは違う遊び方をしている関係で、工夫を凝らす必要が生じて、それが新発見につながっていくんですよね。

1巻時点だとまだまだ控えめなんですが、それでも前線で戦っている部活の先輩が驚く情報を齎したりしてますし。本人たちが楽しんでるのが伝わってくる作品で、のんびり読めるのがいいですよ。

 

野生の JK柏野由紀子は、異世界で酒場を開く

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「どちらを選択しても、成功すればよかったと言われ、失敗すれば悪く言われる。私はこのお店を保つので精一杯よ」

「それができない奴の方が多いのさ。これまで多くの店が潰れるところを見てきたのでね」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで430日まで

タイトル通りシリーズ。猟師の祖父に懐いて色々な知識を教わっていたJK柏野由紀子。

友人たちから『野生のJK』なんてあだ名をつけられるくらい没頭していて、部活に所属もせず山に入る日々を送っていた。

そして祖父が亡くなった後、山に残されている罠を回収するために入った彼女は……気がついたら異世界に迷い込んでいた。

 

魔法が存在する世界で、酒場を営むことになった彼女でしたが……この世界は、魔獣を狩ったあとの肉の処理が甘く、血のにおいが残りそれを隠すためにハーブを多用する料理が多かった。

望んだ水準の肉が得られないから、自分で狩猟して賄ってる辺り本当にタフですねぇ。学友たちに『ユキコは、どこでも逞しく暮らしていけそう』とか評されていたのも納得。

 

さらに彼女は異世界に来たことで魔法の才能も得ていて。戦闘に使えるような火力はないみたいですが……。

「指から味噌と醤油が出せる」「水、食料、調理器具なら無限に仕舞える保存庫」とか言う料理人になれと言わんばかり能力なのは笑ってしまった。

 

魔法の適正も全部の属性にあって、氷を作ったり火種を作ったりで本来は時間のかかる工程を短縮できるのは強すぎる。まぁユキコの特殊技能に頼りきりになってしまうと、彼女の休みが消失するし、あまり良い事でもないですけど。

常連が出来てその伝手で信頼できる人員を雇って仕込める量を増やしたり、基本的には無理しない方針でやってるようですし、その辺りは大丈夫か。

ところどころ説明がくどく感じたりする部分もありますが、タイトルに惹かれた人なら満足できる作品だと思います。

 

リビルドワールドⅥ 望みの果て

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「随分と義理堅いのですね」

「金も力もねえスラム街のガキが出せるものなんか、義理と命くらいだ」

「他に出せるものが無いからといって、それを差し出す者ばかりではありませんよ。投げ出す者は幾らでもいますが」

 

アキラの装備更新費用として、都市幹部のイナベが遺物の情報を口外しないという取引を込で20億オーラムも出してくれることに。

それは彼が口にした通り不安の現れであり、シェリルへの減点ポイントだったんでしょうけど。その後でシェリルは、ヴィオラとのやり取りを経て自分の軸を改めて見直し、次の機会にはイナベに「油断できない相手となった」と思わせたのはお見事。

 

まぁ同時に、裏工作の協力者だからこれくらいはしてもらわないとも思っているので、ここで気を抜くとまた減点入って、最後には切られかねないのが権力者を相手にしてる時の怖い所ですが。

自分が一蓮托生にする相手はアキラだ、というシェリル自身の覚悟を忘れなければ、これからも頑張ってほしいものです。

 

後ろ盾になっている組織運営はシェリルに。各種交渉に関してはその都度縁があった人……結構な割合で、無理無茶無謀好きのキバヤシに投げているので、アキラってかなり腹芸苦手なんですよね。

でも、これまで覚悟を担当して闘い抜いて来たのは伊達じゃなくて、時間をかければ読み解ける部分も増えるっていうのが見られたのは、成長を感じられて良かった。

今回アキラは、あらぬ疑いをかけられてそれを払しょくする必要が出てきた訳ですが。その言いがかりの中心に居たのが「いずれ殺そうと思っていた相手」だった為、それなりに乗り気で戦闘に参加。

 

言いがかりを付けられる切っ掛けになったのは、ツバキハラ方面で旧世界製の情報端末を持って帰っていたからって言うのにも気が付いていましたし。

通信障害によりアルファとの接続が切れたタイミングで接触してきたツバキ相手に、隠し事苦手だからアルファについての情報は聞かないし、契約を打ち切るつもりもないって啖呵を切ったシーンは結構好きです。

アルファが自分の信用を勝ち取るために工作してるのにも気が付いてるけど、命の借りがあると覚悟決めてるのは良かったですよね。

 

あと今回地味に好きなポイントは、遺跡探索中に警備機械が124と増えていったから次は8体かと思いきや16体きて「機械なんだからそこは機械的に対処しろ!」ってアキラが叫んだシーン。妙にツボに入ったというか、やたら笑えた。

ヤナギサワとネルゴの、旧領域接続者トークとかも好きなんですよね。ああいう情報開示回って楽しくないですか?

 

ティオル周りの騒動にも、概ね決着をつけることには成功しましたが……その情報を得てるマッドな研究者がいるのが後々どう影響するのかはちょっと不安か。

まぁティオルはかなり状況を動かしたけれど、彼自身も誰かの思惑で動かされてばっかりだったわけで、順当な結末だった気はします。

 

それよりも今回触れなくてはならないのは、ついに互いに引けない状況でぶつかり合う事になったアキラとカツヤでしょう。

口絵でも描かれていますし、今回のタイトルもまた『望みの果て』で区切りとなるエピソードなのは分かっていました。

WEB既読ではあるものの書籍は結構イベントの流れとかが変わっていて、此処に至るまでアキラとユミナの交流シーンも増えたこともあり、果たしてどんな幕引きになるのかワクワクしてたんですが……そうか、ああなってしまうのか。

 

これは、なるほど『望みの果て』だわ。これまで感じていた苛立ち任せではなく、お互いに退けないと理解して、終わらせるために戦ったシーンはとても静かで、胸に迫るものがあった。

それでも最後に、アキラが泣けたのは良かったかなぁ……。シズカさんグッジョブでした。

 

新章となる7巻が今年発売予定と巻末広告あったのは嬉しかったですね。WEBとは決定的に違う道に入ったこれからの物語が楽しみなのは間違いないので。

でも、流石に書き下ろしが多くなるからか、これまでとは違ってサブタイトルとかアオリ文は少な目だったので、続報を待ちたい。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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