気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

電撃の新文芸

派遣侍女リディは平穏な職場で働きたい 没落した元令嬢、ワケあって侯爵様に直接雇用されましたが、溺愛は契約外です!

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「私達は自分の力で生きていける。だから誇りを持ってこの生き方を選んだの」

 

元男爵令嬢のリディは、宴席の踊り子だったり城の侍女だったりを派遣するマリアナ派遣所で働いていた。

訳ありの子女が多いのもあってか「素性を調べないことと、侍女として雇うなら侍女の仕事だけをさせる事」と言った線引きをちゃんとしている良い職場であるようです。

宴席に人を派遣する場所には、そもそも会のあとに同行して女を売る店もあるみたいですし。

……まぁマリアナ派遣所が良い場所だとしても、派遣先には派遣先の人間関係があるから大変なんですけどね。

 

リディが今回派遣されたのは、王城の侍女。

給仕係として派遣されたはずが、仕事をしているうちにどんどん雑用も振られて仕事が増えて行ったとかで。ただ、流石は王城で給料は良かったとかなんとか。

あくまで派遣だし、契約更新もどうなるかわからない。なので、リディは給与の範囲内で真面目に働きつつ、適度に手を抜いたり。破棄されることになる酒を少し水筒にちょろまかしたりとか手抜きをしていたようです。

……まぁ他の侍女にはワインのビンごと持って行く不心得ものもいたみたいですし、廃棄ワインを少し貰ってるリディは実際可愛いもんなんですが。

 

そんなある日、外交官を務め多くの侍女から狙われているレオンハルトに隠していた語学力がバレ……直接彼に雇われる形で、仕事を手伝うことになったわけです。

しかし、レオンハルトは多くの女性に狙われていた人物で……どんな手を使って近づいたのかと怪しまれるし、他の侍女からの嫌がらせを受ける羽目になってしまうんですが。

そうやってトラブルに見舞われるリディを助ける形で、レオンハルトとの仲がより深まっていくんだから、悪いことはできませんねぇ……というか。

 

ただレオンハルトとの交流によって増えたのは悪縁ばかりでもなくて。リディの才覚を見出してくれる人とも出会えてはいるんですけどね。

ローンバッド王国からやってきた王太子夫妻の子供、ルイスの飼い猫を手懐けたことでルイスにも懐かれたり。ルイスが国元で命を狙われたときの話を聞いて、答えを導き出したりしていますし。

他にもある宝石の秘密を暴いたりして、ルイスの母である王太子妃のクリスティからも評価されたりしてましたし。

有能さが目につくことで別の敵も動きだしたりとかして、美味しい話ばかりでもないですけど。それでも無事に乗り越えられたのは良かった。

Unnamed Memory after the end5

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「ティナーシャ、人であることを忘れるな。一人で全てをやろうとするな。酷なことだろうが……お前は人をやめてしまうには力が大きすぎる」

 

書き下ろしエピソードである「円卓の魔女」とWEBで掲載していたエピソードに加筆した「鳥籠の女」の2編を収録したate5巻。

水の魔女カサンドラに、屍人姫ヒルディア・ハーヴェにイラスト着いたのは個人的に凄い嬉しいポイントでしたね。

 

今回は表紙絵がティナーシャ1人で描かれている通り、逸脱者2人の協力はほとんど見られません。

「円卓の魔女」においてはオスカーまだ死んでるタイミングで、たまたまティナーシャがルクレツィアに会いに行ったときに、魔法大陸で起きている不穏な事件の話を聞いて解決しようとする話だったわけですし。

オスカーがエルテリアの繰り返し以外に、アカーシアを生んだ世界外の力を取り込んでいることで、呪具に対して特効を持っているのに対して、ティナーシャはその膨大な力でごり押ししている部分もあって。途中話題にあがってましたが、今回の呪具もオスカーが活動可能な状態だったら、もう少し楽だったんだとは思います。

ただ、呪具へのカウンターとして生み出された逸脱者2人は、呪具が減るにつれて生まれ変わりのサイクルに間があくようになっていて……だから、今回みたいな状況も珍しくなくなってしまうんですよね。悲しい。

 

事故で海中に沈み、近ごろ魔法大陸に運び込まれたことで、これまでティナーシャ達の探索から結果的に逃れていた、銀色の円卓。

13人の参加者を集め、そのメンバーに『ある都市の滅亡を回避する方法』を考えさせる呪具。ルール説明と、シミュレーションを走らせた後の結果を伝えるために、ゲームマスター的な人格が付与されていたのが、今まで例のない特殊な存在ではありましたね。

一般の参加者がどれだけ模索しても、シミュレーションの答えは「滅亡」から変化せず……。最後には呪具の意思によって排除されてしまう。

 

そしてティナーシャは一度介入した時に、呪具の意思が排除を成したときに笑うのを感じた。

彼女の片翼であるオスカーは「人の尊厳を傷つけられた」と感じたから、この長い呪具の戦いに臨んだのだ、と。だから、まさに尊厳を傷つけまくっている呪具を放置は出来ないと戦いを決めるの、良いですよねぇ。

……その解決方法が、自分の魔力に耐えられる12人を揃えて力技でごりおすだったのが実にティナーシャらしいですけど。

ルクレツィアは死ねないから助力できないといいつつ、ティナーシャが失敗した時に備えてオスカーに伝えるための情報を残していくように言ったり、彼女なりに動いて援軍に声をかけてくれていたのは良かった。

 

ファルサスに継承されたトゥルダールの精霊たちもそのほとんどが元の位階に戻っていて。さらには、その中の何人かは死んでいたというのがサラッと描かれていたりするの、無常だけど誠実だとも感じます。

12人の精霊のうち、1人はまだファルサスに残っている。3人は死んだ。そして残った8人を召喚して。逸脱の繰り返しの中で縁の出来た最上位魔族第二位ツィリーも招くことに。

 

ツィリー……元第2位がオスカーに執着したことでティナーシャに殺され、複数の位階が揺らいだことでバランスをとるために生まれた魔族なんですよね。

過去、同人誌『時の夢』収録の「猫の爪」や『時の夢2』の「寧日」なんかでその断片的なエピソードが描かれていて、その当時はオスカーに執着して殺された前後なので、まだまだワガママな子供って感じだったんですよね。

それが1人でも立てる立派な女王様みたいな風格を持って登場したので、驚きました。ティナーシャと相性悪いのは相変わらずみたいでしたけど、自分の助力について「見返りがあるからやったなんて恥ずかしいでしょ」と伝えないで良いと言った事とか、本当に成長していて……良かったですね。

精霊8人、ツィリーとティナーシャで10人。そしてティナーシャが出した求人になんかうっかり伝承で語られるような厄介ごとでもある「屍人姫ヒルディア」が応募してきて。彼女と彼女の従者を配置することで2枠を埋めて。

 

……そして、ルクレツィアが参加できない代わりってわけじゃないですけど、生き残ってる他の魔女2人が協力してくれることになったのは良かったですね。

ラヴィニアが参加者として。そして外れない占いをするカサンドラが盤外の応援として。

 

人外大決戦みたいになってて、凄いワクワクしました。

今回、呪具側に意思があることで、その悪意みたいなものもあからさまに受けることになったわけですが。

「ある都市の滅亡を回避したい」が思考会議のゴールなら「先んじて他の都市を滅ぼしてしまうのもアリでは?」とか、過激な提案してるのちょっと笑った。

イツとかに指摘されていましたが、状況を都度修正出来ないあたりが悪辣ですよね。

参加者が意見を出せるのは「こういう方針で進めよう」という最初の一手だけで、その後は呪具の演算まかせ。シミュレート結果は「複数パターン試しけど無理でした」ばかりで詳細は秘匿されている。

呪具は全てのパターンは網羅していると豪語しますが、性能限界で滅亡の50年前からしか演算が出来なかったり、「滅びる前に滅ぼせ」という過激なスタート地点には驚いていたりするので、全然完全じゃないんですよね。……完全だったらそもそも彼らの故郷滅んじゃないでしょうけども。

 

核に迫ってもなお足掻く呪具に、ヒルディアが提案をすることで「破壊への抵抗」ではなく「呪具本来の機能」で動こうとして隙を作るの、凄い好みの解決方法でしたね……。

強力な参加者をあつめてなお呪具は厄介で……ラヴィニアの命が代償になってしまったのは、惜しい。

死に瀕した中でも、ティナーシャに「お前は人だ」と祈りを託すように、母が子を教え諭すように言葉を紡いでくれたの、良かったですね……。別れは寂しいですけど。

 

魔法大陸の暦で考えた時に「円卓の魔女」は3005年と、UM165455年だったことを想うと、とても長い旅を続けて来たなぁ……という思いになります。

「鳥籠の女」なんて一気に時間が飛んで4690年代ですからね……。逸脱した2人は、元々最強の魔女とそれに対抗しうる魔女殺しの剣の遣い手であったわけですが。これまでの繰り返しから示すように、無敵じゃないし普通に死ぬんですよね。

永遠なんてない。全ての物には必ず終わりがある。……それは、彼らの旅の始まりであったファルサスが滅亡してることからも、伺える話です。WEB既読民として知ってましたけど、年表に明示されるときまで追いついてしまったか……と感慨深くなった。

 

さて、後半「鳥籠の女」。魔法大陸、戦乱大陸(東の大陸)、虚無大陸、埋没の大陸……とこれまで4つの大陸を渡り歩いてきたわけですが。

最後となる、埋没の大陸と同じく水の檻で閉ざされた閉鎖大陸が舞台となるエピソードです。

大陸内には毒が満ち、鍵という装置がないと死んでしまうとされる世界で、帝国の軍人として勤めるアルファスと、皇帝の前に現れて鳥籠と呼ばれる檻に敢えて滞在しているティナーシャの話。

ティナーシャと接触しまくってて、オスカーの肉体年齢も全盛期に近そうなのに、いつまで経っても記憶を取り戻す素振りがなく。

 

そんな中で、ティナーシャは別の人物と組んでクーデターに寄与したりと好き勝手やっている、なんか変わった味わいのあるエピソードなんですが。

この大陸の楔に迫る戦いにティナーシャが与していたのは、結局のところ彼女の連れ合いの為だった、と。

1600年近くたっているとはいえ、この前のエピソードの「円卓の魔女」で「一人でやるな」とラヴィニアに言われていたのに、一人でやろうとしまくってるティナーシャは本当にさぁ……。

 

「章外:青の部屋」が、好きなんですよね。オスカーが記憶を取り戻し、勝手をしていたティナーシャに、「2度とするな」と釘をさす話ではありますけど。彼が語る「一番うれしかった時」が、公人としての割合が強すぎるオスカーが我欲を珍しく示すシーンで、かなり好きだったので、しっかり収録されてて嬉しかったです。

まぁティナーシャもラヴィニアの指摘をスルーして一人でやったわけですが。オスカーはオスカーで、ate2の頃、ティナーシャを失った後にミラに言われた「ティナーシャ様がいないと何もなくなっちゃうところ、もっとあの方に見せた方が良いよ」ってのを明示してこなかったわけですから、似た者同士でもあるんですが……。

Ate6で、のこった2つの呪具にまつわるエピソードが描かれることで、物語に一つの決着がつこうとしているの、なんというかひどく感慨深いですね……。

楽しみです。Ate6の後に、『End of Memory』も描かれてくれると凄い嬉しいですけど、どうなりますかねぇ。

Unnamed Memory-after the end- Extra Fal-reisia

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「あんたが選んだのは俺だ。俺の名だけを、あんたはあの本に書いたんだ」

 

この作品の感想を書く前に、ちょっと語りたい前提情報が多いんですよね……。

まずレーベル的には電撃の新文芸なんですが、こちら『電子限定』の刊行となっております。また、chibi先生のイラストは表紙イラストの扉のみです。

古宮九時先生が、以前同人誌で刊行された『Fal-reisia13巻と、短編集『Fal-reisia Unnamed Stories』に掲載された一部エピソードを加筆修正のうえでまとめ上げた1冊ですね。なので、めちゃめちゃ厚いです。BOOKWALKERのストア上だと、547ページとかになってます。

 

Unnamed Memory-after the end- Extra』と頭についている通り、『Unnamed Memory』の後日譚である『Unnamed Memory-after the end-』シリーズの第4巻に登場した「扉」を巡るエピソードが紡がれるシリーズです。

今月発売予定のあるate5巻は、このエピソードを超えた未来の話が描かれていくことになります。『Unnamed Memory-after the end-』というシリーズが、呪具について深掘りしていく(と思われている)シリーズだということもあって、その本筋(呪具)に関わらないエピソードは割愛されていくって話をどこかで聞いた気が。

そんな中で、電子限定とはいえシリーズ纏めてくれたのは嬉しいですね。短編集の方は持ってなかったので、一部とはいえ再録されたのはありがたい。

 

一応、逸脱者たちも登場しますがメインではなく、キーファという普通の少年がメインで進んで行くので、ateを抑えてなくても読めるとは思いますが。謎が残るでしょうから、時系列順にate4ate5巻の間に読むのをオススメします。

 

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チュートリアルが始まる前に~ボスキャラ達を破滅させないために俺ができる幾つかの事~4

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「アンタのおかげで俺はここまで来れた」

 

黒騎士。それはゲーム時代にも登場した傑物。

7つの天啓を宿し、法外な報酬を求めるが依頼者に勝利を齎すという伝説の傭兵にして……自身の目的のために敵の手を取り、原作主人公たちの敵に回った人物。

凶一郎は自身の目的を果たすために、ダンジョン攻略を目指していますが……原作ではボスキャラになっていた遥やユピテルを味方に迎え入れて、凶一郎自身もアルの猛特訓を受け、ゲーム知識をアルと共有して作戦会議してもなお、勝利確立は3パーセントを切る見込み。

 

しかも、前提として遥の覚醒が必須という細すぎる綱渡りをする必要があり……切実に戦力が必要だった。

オマケにアルの希望するハードルが馬鹿みたいに高く、そんな水準に居る人物として凶一郎が思い出したのが黒騎士だった、と。

五大ギルドのジラードとの付き合いもあるから、アポイント自体は取れる。しかし、機体のルーキーとは言え、彼らには解りやすい実績が少なく、交渉のテーブルについてもらえるかは不明。

そのため、ジラードに唆されたのもあってクラン「神々の黄昏」が主催するバトルロイヤルに参加し、他の参加者を蹂躙。

 

そういった知名度と、凶一郎のゲーム知識すら駆使して黒騎士との交渉に臨むことに。

あとがきでも書かれていましたが、目的のために敵と手を組む事すらした黒騎士はこの交渉第一回であっさりと肯いてくれたのでサクサク仲間になってくれたわけですが……。

書籍版は独自ルートに入ることに。自身の過去に踏み込まれたことを不快に思った黒騎士から、仲間になるための条件を設定され凶一郎は個人で「黒騎士に傷をつける」という難題に挑むことに。

 

凶悪な設定のシミュレーションで、何度も死の恐怖や苦痛を味わいながら、途中折れそうになりながらもくらいついて良く凶一郎の姿に、黒騎士は結構感銘を受けていたみたいですけどね。黒騎士の内面的な描写もあって、結構満足度の高い加筆だったと思います。

異世界帰りの勇者は、ダンジョンが出現した現実世界で、インフルエンサーになって金を稼ぎます!2

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「もう充分に稼いだから、このまま引退しても問題ないし」

「それは、日本政府が許さないんじゃないかな?」

(略)

「それは向こうの都合ですし、俺は俺がやりたいように生きていくので」

 

良二が倒した『黄金のドラゴン』と同時に現れた富士樹海ダンジョン。

異世界でダンジョンを制覇した彼でも見たことがない新天地ではあったものの、出てくるモンスターの法則などは守られていた。

とは言え、上野公園ダンジョンでは951階層以降に出現するReスライムという、スライム種の中でも最強格のモンスターが1層から登場するなど、かなり危険な構成となっていて。

 

良二の教えを受けたイザベラ達でも油断すればすぐに殺されてしまう、というくらいヤバい存在で。あの黄金ドラゴンもボスとかではなく、ただの門番的存在だったのではなんて良二が零していたほど。様子見とは言え、1000層以上あるダンジョンを踏破しているような彼が、157層で一時撤退を選んでたりとなんかこのダンジョンだけ異質では……?

 

良二の特訓にちゃんと金を払って、自力で前に進もうとする善良の冒険者も当然多く存在するんですが。

……今回もまた、良二を見限った親族だったり、元幼馴染で勝手に婚約者を自称した佳代子だったりが暴走を始めたりもして。彼らを唆して金だけ奪って罪に問われる前に逃げる自称コンサルタントも登場したり。彼らの行動によって、良二を誹謗中傷したりたかろうとする流れが出来たり……人間の愚かさなんかも同時に見せつけられていくわけです。
結局排除するならもっと早い段階で出来たんじゃないかな……という感はある。基本路線として向こうに一線を超えさせて、法の範囲で常識的に対応しようとした結果ではありますけども。



もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~4

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「精霊の加護とはなんだ?」

「え? 精霊の加護もらうとバフかかるじゃん。今日、光の精霊と樹の精霊のバフもらってアンデッド楽に倒せたぞ」

 

相変わらず離島プレイを気ままに送っているショウと、それを視聴しているミオン。

島の探索範囲も順調に広がっていて……ついに、ルピがやってきたエリアにまで踏み込めるようになったのは感慨深い。

結構な場所から落ちて来たっぽいですけど、無事だったのはマナガルムだからこそか。既に亡くなっていたルピの母の亡きがらとも対面して、しっかり埋葬できたのは良かったか。

ルピがショウに懐いて、母の牙を持って行って良いよと言わんばかりに持ってくるの良いですね。

 

フェアリーの女王、スウィーを連れているから色々とフォローされているのもありますが。

未発見だった精霊にバフを貰う「精霊の加護」を発見したり。初のスキルレベルの上限突破でワールドアナウンス発生させたり。島の探索を進めた結果、転移魔方陣を発見して。そこから現れた竜族との交流が発生したり。相変わらず独自路線を突き進んでますねぇ。

 

他のプレイヤー達が新しいワールドクエストとか、突如現れた異種族との交流に沸いている中で、竜族とグッドコミュニケーションしてるの、なんか笑える。

なんなら挨拶のつもりで送ったお菓子を、竜族の「お姫様」と呼ばれる人物が気に入って、最初に出会った竜族のアージェンタから手紙が来たり、調達のために飛んできたりしてるのコミカルですよね。

母をたずねて、異世界に。~実はこっちが故郷らしいので、再会した家族と幸せになります~

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「だから、大丈夫。僕はここで生きていく。ぼっくの生まれた世界であるここで。家族であるみんなと一緒に、生きていくよ」

 

父と愛犬のショコラと2人と1匹で暮らしていた主人公の翠。

彼は父が事故で亡くなった後、遺品整理をしていたら山奥にある土地の権利書を発見して。

父が定期的に掃除をしていた場所らしいし、予定では今月行くつもりだったようだから、やり残したことを引き継ごうとして、その家に足を延ばすことに。

そして家についたタイミングで……翠とショコラは異世界へと飛ばされることになるわけです。

 

まぁあらすじでバレてるので言ってしまうと、実は翠はそもそも魔法のある異世界の生まれであったとか。

違う世界から人や物がやってきたりする「境界融蝕現象」というものが、翠の故郷にはあって。それによって翠たちは異世界から地球に行ってしまったようです。

翠の父は、地球から異世界に行ってそこで結婚して翠を授かり、そして再び地球に戻って亡くなったらしいですが。翠の生まれ故郷はあくまで異世界側であった。

……そして「境界融蝕現象」で別れ別れになってしまった幼なじみや翠の母が、異世界には健在で。再び現象が起きた時に再会しやすいように、翠の母たちが備えていたのが良かったですね。

 

実際、翠が転移したのは異世界側で危険地帯とされている『虚の森』の深奥部で。

翠の母と幼なじみは上澄みの実力を持っているから、距離や支援物資を運んでいる関係とかで多少の時間こそかかったものの、問題なく到達できてましたが。

変異種と呼ばれる危険な魔物が跋扈する、一般人からすれば危険地帯のど真ん中で。

翠自身も実力者の子供としてその才能の片鱗を見せてくれましたし、実はショコラも異世界由来の種族で頼もしい力を発揮してくれたし。何より、亡くなった翠の父も色々と備えをしてくれていたのが良くて、家族の絆を感じる物語でしたね。

異世界のすみっこで快適ものづくり生活3

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「ソウジロウは『料理も広めれば、真似をする人がいる。けれど、そうして真似をする人の中から、才能のある人が見つかるものだし』って、言っていたわ」

「ほっといても、やる奴はやるって考えか。そりゃわかるけど、そこで喜べるのは、大した自信さね」

 

ほぼ村と呼べるだけの規模感が出て来た、ソウジロウたちの森の拠点。

これまでソウジロウのやりたいようにしてきた結果、施設は潤沢になってきたけれど肝心のモノがなかった。

それは、拠点の名前。ミスティアは「ソウジロウがその気になるまで待った方がいい」と思ってくれていたようです。彼がそうしたいと思ったときの方が真剣に考えるから、と付き合いが短いながらも、結構見透かされていて短いながらも濃度のこい付き合いしてきたことが伺える。

 

一度は外に出した妻や息子を、ソウジロウとの付き合いの関係で呼び戻すことになったドラロ。手痛いビンタを喰らったりもしたようですけど。頼れる職人との伝手も得られたのは良かったですね。

何だかんだドラロの事大事にはしているようで、いったいどんな手口で元夫に近づいたんだ? と言ってきたりする一幕もありましたが。

まぁ職人との初対面で、「まず刃物類作って欲しいですね(包丁とか欲しいんだよな)」というすれ違いが生じていたからな……。その後手製のクッキーで誤解解けたのは笑っちゃった。

ソウジロウ作の木造を見て職人としても認めてもらったりもしてましたけどね。……神木を偏執的なまでにこだわって彫り込んでいるのを、変態だのなんだの意気投合して評価しているあたり、似た者同士だなぁ……と思いました。

 

あとは、釣り竿のリールを作って量産体制を持ち込もうとしたり、影響が及ぶところはどんどん広がっていきそうですねぇ。

そんな中で、ソウジロウはちょっと疲れたというか、ゆっくり時間を使いたいという事でマツカゼを伴ってではありますがソロキャンプを堪能することにして。

トラブルがありつつも良い時間を過ごしたりして。心機一転した結果、冒頭でも触れた拠点の名前問題に向き合うことになったわけですけど。彼らしい名付け方をされていて、良かったと思います。

異世界のすみっこで快適ものづくり生活2

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「価値があるものを価値の分かる者に届けねばならん。それは儂が商人を目指したときの、最初の誓いだったゆえにな。男として恥をかくからと、商人としての誓いを曲げては、儂の魂にはなにも残らんではないか」

 

妖精サイネリアが勝手に米とビールを持ち出してきた相手に、しっかりと贈り物を返すあたりソウジロウも真面目だ……。

そうやって贈られたおにぎりが、ソウジロウ作で神気がこもっていたこと。サイネリアが伝えた神器持ちや飛竜が滞在しているという話が興味深かったために、天龍と呼ばれる崇められている種族の若者がやってきたりして、さらに森がにぎやかになることに。

最初の挿絵でウカタマとコタマが持ってきた植物を植えたところで片方がばんざーいって感じで手? 足? を挙げているのが可愛かったですね。

 

一方、ソウジロウからもたらされた神樹の森の素材を受け取った領主のセデク子爵。

彼が王家に献上した蛇の肝を用いた薬で、臥せっていた王子が回復されたとかで、数年のうちに領地に足を運びたい、なんて話も出て来たとか。

狭く貧しい領地で、中央からは落ちぶれ貴族として見られているような場所だそうで。

近くにある神樹の森が豊か過ぎるがゆえに、切り落とすにも一苦労な樹木や倒すのも大変な魔物に溢れていて、人が踏み込めずにいることが原因の一つではあったようです。

貧しい領地でどうやって持て成すつもりだ、と商会長にツッコまれたりもしてましたが。

 

結果的にソウジロウが神樹の森の素材を持ってきてくれたことで、素材の処理に商人ドラロが苦慮することになったりもしてましたが。その分の恩恵も受けられてるので差し引きではプラスの方が多そう。

ソウジロウ側も理解ある領主と商人との伝手が出来たり、森の拠点でも大浴場作ったりしてるし、森の住人も増えたりして充実してますね。

ダンジョン付き古民家シェアハウス

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(私たちの家だ。誰にも渡したくない)

 

新型ウィルスによるパンデミック……が落ち着いた現代。

ワクチンなどで順応していったとは言えど、変化がなかったわけではなく。

内定をもらっていた企業が倒産してしまったり、バイト先・就職先が閉店することが決まってしまったり、先行きが不安になった男女4名。

同じバーを行きつけにしていたことで意気投合して付き合いが続いていたものの、そのバーも閉店することになって。

 

4人のうちの一人、美沙が以前相続した祖父母の家が田舎にあることを思い出して。

仕事を失うと家賃の支払いなども心許なくなるから、という事で彼女はそこへの引っ越しを決意。そして仲良し4人組でのシェアハウスを提案して。

各々の事情もあって、それが受け入れられることになって。

土地がそれなりにあるから家庭菜園もやったり、所有する山でキノコや山菜取ったりして生活の足しにしようとしていたわけですが。

 

そんな古民家の中に、謎の扉を発見。調べてみたところ、それはスライムなどの魔物が出てくるダンジョンに繋がっていた、と。

ダンジョンに入ったことでスキルやら魔法やらを習得したり、そこで獲得できるお肉を美味しく食べたりして、まぁまぁ楽しく「ダンジョン付きのシェアハウス」を楽しんでいる物語でしたね。

ダンジョンは資材の宝庫であり、それを公にすると取り上げられるかもしれないから、報告を選ばず自分たちで探索するにとどめていたわけですけど。

その割に収納スキルを使った引っ越しをしたり、幸運効果のあるアクセサリーが現実でも使えるのか検証をやったり、ポーション使って作った野菜をフリマアプリで出品したり、割と脇が甘いので、近いうちにツッコまれそうだよなーみたいなところは気になった。



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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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