気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

オーバーラップ文庫

悪役令嬢はしゃべりません1 覚醒した天才少女と失われたはずの駒

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「わたくしに過分なご評価をくださるのは、閣下だけですわ」

「貴殿のご家族は、評価なさらないのか」

「ええ、何も存じてはおりませんでしょう」

 

乙女ゲームの世界に転生した主人公。

ゲーム本編では闇属性の魔術を使う悪役令嬢枠のリリアナ・アレクサンドラ・クラークだったけれど……流行り熱で高熱を出した際に声を失ってしまったものの、記憶を取り戻し同じ道を進まないように心がけることに。

この世界の魔法には詠唱が必須。つまり声が出せなくなったリリアナは、魔法を使う事が出来なくなってしまったということで……。

 

クラーク公爵家の令嬢であるリリアナは、王太子の婚約者候補として有力で……王太子妃教育も始めっている状態ではあるけど、声が出ないという欠点を追及される可能性も浮上してきた。

原作ルートを外れるために、リリアナ的には家族とも王族とも没交渉で良いという構えだし、父親であるクラーク公爵はその欠点を持って婚約を解消したい立場みたいですね。四年経っても声が戻らなければ、婚約者候補から外すという事にもなって。

それなのに、なぜか王太子との交流は途絶えず……むしろ声を失ってなお矜持を示してるリリアナに王太子側も興味津々っぽかったですけどね。

 

前世知識があるからかリリアナは、詠唱なしでも魔法を使うというこの世界の常識を破壊するような技術を身に着けて。

病気で声が出なくなったと思うよりは、魔法が存在する世界ならば「呪術で声を封じられたのではないか」という疑いを持つようになって。

有力な魔導士ペトラとの縁を紡いで、呪術について教えてもらったりもして……ペトラたちの助力を得ながらも、声を取り戻してるのはお見事。

 

とは言え、自分の声を奪う呪いを掛けたのは父である可能性が高く……表向きは声を取り戻したことを伏せつつ、味方を増やしていくことに。

実際、父であるクラーク公爵が結構暗躍してるっぽいですから、手札を伏せて暗躍するのは正しい。まだ情報が足りなくて分からない部分も多いですけど、リリアナの活躍には期待したいところ。

無双ゲーに転生したと思ったら、どうやらここはハードな鬱ゲーだったらしい~聖剣を抱きし最凶少女の蹂躙無双譚~2

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「ふふっ、人生を楽しむ秘訣は自分の機嫌を自分で取るころだもん。人生には凪もあれば嵐もあるけれど、小さな幸せを見つけられるゆとりがあればそうそう不機嫌には鳴らないと思うよ? 人間って言うご機嫌な生き物はね」

 

聖剣を持った勇士たちを育てるガレリオ魔法学園。

しかしそこは既に魔族に則られた人間牧場と化していて……。

人類の希望である勇者が倒れた後、勇者の資格持ちとして現れたシャロンですが、好きに暴れたいだけで別に「正義の味方」じゃないんですよねぇ。

 

シャロンが明確に有利なのは、敵にそこまで疑われていないこと。

一応魔族のカルラが監視役として傍に置かれていますけど、シャロンが演技スキルカンストさせてる事もあって、現状魔族は踊らされてるんですよね。

 

さらにはゲーム世界転生だと把握しているモニカと早い段階で知り合うことも出来て。シャロンの性格や、彼女が魔族側に被害出しまくってることで動きが変わっていることで、モニカの原作知識はそのまま流用できるものでもないですけど。

敵の武器についてとかの情報アドバンテージがあるのはありがたい。……まぁ、そもそもシャロン聖剣について知らないうちから魔族ぶっ殺しまくってる、トンデモ少女なので知識が不足したとて、どうにか乗り切った気もしますけど。

 

魔族側、バリーとナンナという生徒として潜り込ませていた人材が死んだ状況で、「学園に魔族が潜り込んでいるかも」という噂が流れ、学園内部に不穏な空気が漂うことで対処する必要に駆られたわけですが。

……その噂、シャロンがモニカを使って流したものだったので、ご愁傷様というか。

学園、教師にも魔族が盛り込んでいる敵地なわけですから、こっちからアクションを起こして敵の動きを誘うって言うのは実際理にかなってるとは思いますけどね。

 

ゲーム時代には死んでいたルートもあるキャラを、ひとまず救うことに成功したりしてますし。……シャロンの影にいる勇者の亡霊を引きずり出すための囮にされたのと、そもそもシャロンが流した噂をよりショッキングな噂で消すためとか言う側面もあったので、割とマッチポンプなんですが……。

魔族が出血を伴う事態になるとウキウキする、相変わらず刺激的な少女ですが……まぁ追いやられてる人類の希望には、なり得るのでは……劇物だけど……。

無双ゲーに転生したと思ったら、どうやらここはハードな鬱ゲーだったらしい~聖剣を抱きし最凶少女の蹂躙無双譚~

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「せいぜい楽しんでくれよ? 俺は勝手に楽しむからよォ!」

 

人類に敵対する魔族が存在する世界に転生した主人公。

前世は男だったが、今世はシャロン・ベルナという可憐な少女に生まれ変わっていたわけですが。前世の時から暴力性を抱えたまま生きていた彼は、それを『悪党』にだけ向ける程度の外面は装っていたわけですが。

魔族と言う人類の敵対者であれば容赦は無用と幼少期から魔族を蹂躙し、敵を打ち倒すことでスキルをカンストさせるまで成長していった。

 

神獣の加護として聖剣を託された勇士・勇者が戦っていたものの……最後の勇者であった人類の希望が死に、魔族の活動が活発になっていたのもあってシャロンとしては「倒していい存在」がたくさんいてウハウハだったみたいですけど。

聖剣を持った人物が死ぬと、殺した相手に武装が移動するため、未熟なうちは戦線に立てない。若い勇士を育てるためにガリレオ魔法学園という場所が作られたけれど……そこは魔族が人類を美味しく育てるための養殖場として使われている、という事をシャロンは知ってしまって。

 

シャロン、悪党だったら叩きのめしていい思想があるため、人類の敵である魔族を蹂躙するのに躊躇いが無くて。

その上、聖剣持ちを殺すと武器を得られるし、聖剣を持たずとも敵対者を殺すことで経験値が入り、スキルを習得したりステータス向上を図ることができる。魔族はそれを利用して人間牧場的に学園を使っている。荒廃した世界とは言え、流石に人を直接殺すのは憚られるけれども、「成長した人間を魔族が狩る。その魔族を自分が狩る」ことでパワーアップを図ろうとするの、状況に適応しすぎている……。

 

タイトルにある通りこの世界、ルート選択を間違えると仲良くなったキャラが殺されたりする鬱ゲー世界だそうですけど。シャロン、そのあたりの知識がない転生者だけど、世界に馴染んでるんですよね……。

シャロンに足りない「ゲーム知識」を持ってる転生者モニカに学園で早期に会えたのは幸いでした。まぁモニカ、原作知識を最大限生かすために犠牲を許容して、その上で自分が犠牲にならないようにモブっぽくこそこそ生きていて……苛烈に世界をつきすすんでいるシャロンとの相性は悪そうでしたが。

いやまぁ、シャロンクラスに我が強かったらもっと衝突激しくなっていたでしょうし、シャロンと言う『暴』の化身に屈するような小物さだったのは、逆に相性が良い……のか?

 

シャロン、魔族の敵として戦闘関連のスペック伸ばしまくってる他にも、演技スキルもカンストしてて、「無垢な少女」演技を普段はしつつ裏では魔族を殺しまくって「勇者の亡霊」とか言う存在しない敵対者を作って、魔族側を混乱させたりもしてるの上手いですよねぇ……。


フェアリーメイド1 傷だらけの妖精職人と壊れかけの人工妖精

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「ねぇマスター。あなたの望みは、なんですか?」
「俺の……望みは……」
 

11回オーバーラップ文庫大賞金賞受賞作品。

人々の生活を助けるために生み出された疑似生命、フェアリーメイド。

かつて栄えて、しかし人間に滅ぼされた妖精たちがエネルギーとなることで生まれた「マナの大流」。そこからマナを一つだけ取り出して器に込めることで稼働する機械だったが、経年劣化などから稀に暴走して、人を害することもあった。

さらに近年では寿命を迎えていないのに暴走する、特殊な事例も勃発していて……。

 

主人公のリュウジは、天才と謳われる父親シシヤマ・テツジから基礎を教わり、父と同じ最高峰の職人である「三天人」の称号を持つバーンズに指導を受けてフェアリーメイドを作る職人を目指していた。

しかし初めてフェアリーメイドを生み出した後、ある悲惨な事件が起きて……彼は、フェアリーメイドを破壊することを生業とする「壊し屋」として活動することに。

その傍らに彼の幼少期を知り、もうじき寿命を迎えることになるフェアリーメイド・ティルトアを伴って。

 

主な活動を壊し屋にしたとは言え、妖精職人として学んだ経験も活かしつつ、無茶を言う依頼人に応えようとしてるのは、彼も真面目と言うか。善良な性根を捨てきれてないなぁ……と青さを感じましたね。

若いのに色々背負いこみすぎてるから、擦れすぎるよりは全然良いですけど。

 

道を違えたことや、両親を亡くした後保護を断ってから師であるバーンズ相手には若干気まずい部分もあるみたいでしたけど。

十三人いる彼の弟子が立て続けに失踪する事件が起きて、無事が確認できるのが不肖の弟子であるリュウジとなれば無下にも出来ず。

「アリシア・シンドローム」について調べ、いくつかの事例に遭遇したことで、リュウジは真相に少しずつ近づいており……バーンズからの呼び出しに応えたことで、彼は真実を知ることになるわけです。

消された歴史、「アリシア・シンドローム」がなぜ起きるのか。そうした問題について深く知った彼が選んだ行動は……まぁ、彼らしいものではありましたね。過去を一つ越えた上で、次なる目標として誰もなしたことがないものを掲げた彼の旅路が幸い多い事を願うばかりです。

昔の男友達と同居をはじめたら、実は美少女だった~距離感があの頃のままで近すぎる~

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「けーちゃんの応援があれば、あたしは最強」

 

公園でよく遊んでいた幼馴染のまーちゃんとけーちゃん。

しかし「また明日」と約束していつも通り帰っていったまーちゃんは、それ以降公園にやってくることがなかった。

公園で一人待っていたけーちゃんこと主人公の霧島圭介は、母に手を引かれ帰宅。

その後しばらくして母も亡くなってしまい、父と2人暮らしになり……いつしかまーちゃんの事を思い出すことも減っていき、彼は高校生になっていた。

 

まーちゃんの件だけではなく、中学時代にもいろいろあって……トラウマになった、というほどでもないですけど、教室では寝たふりをして敢えてクラスカースト形成に乗り遅れてみたりして、気ままなぼっちライフを送っていた模様。

そんなある日、父が再婚するという話を聞いて。

その相手が「まーちゃんのお母さん」だという驚きと、再婚相手が引っ越してくるのが明日だって言う衝撃と……男友達だと思っていたまーちゃんが実は女子で、美少女に成長していた驚愕を一気に味わうことになるわけです。

 

まーちゃんこと真咲は、幼少期のまま朗らかに育っていて。その容姿を活かして、モデル活動をしたこともあったとか。

学校側の配慮で同じクラスになって、既に両親も籍を入れていて同じ苗字になった2人。さらには先生が「義理の兄妹になったんだから手伝ってやれ」なんて暴露までしてくれて。

真咲は素のままクラスに受け入れられていったわけですけど、ぼっちを気取って距離を取っていた圭介はその輪に直接入ることはできず。……出来たとしても当人の性格的にやらなかったでしょうけどね。

 

真咲は陽キャのノリも楽しめるタイプだけど、圭介とも絡みたくて。敢えて距離を取る圭介のスタンスは尊重しつつも、「家族なんだから完全無視もおかしいでしょ」と建前も設けて積極的に交流するという真咲が強い。

家も一緒だから仲良くゲームしたり、風呂上りの姿を見せたりとか……圭介だからこそ許してる、家族以上の距離感での交流は微笑ましい。

圭介が陰キャ認識なのは変わらないけど、それでも真咲を大事にしているってことで理解者が増えたりしていったのも良かったですね。

圭介の中学時代の因縁も解決できてましたし。真咲が人気過ぎて、ストーカー発生したりとかのトラブルもありましたが、乗り越えて幸せそうなのは何よりでした。

俺は学園頭脳バトルの演出家!Vol.1 ~遅れてやってきた最強転校生は、美少女メイドを引き連れて学園を無双するそうです~

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「あんた……なんでこの状況で笑ってるの?」

「そりゃあ、最高に面白い状況だからに決まってるだろ」

 

11回オーバーラップ文庫大賞、銀賞受賞作。

主人公の田中叶太は自称モブの化身。自分が目立つのではなく、誰かを目立たせる……そんな「演出」に熱意を注ぐ少年。

 

小学校時代にクラスで演劇をやって、ヒロイン役の子が台詞を忘れて事故りそうだった時に、アドリブで主人公を送り出し、破綻する展開を更なるアドリブを加えてハチャメチャながらまとめて乗り切った。

そんな経験から「演出」に興味を持ち、推しの監督の「目立たない方が良い」という金言を胸に、裏方になろうと努力を続けていくことになるわけです。

転校した際なんかも、ゲームがあることでクラスメイトを家に招き、誰にも気づかせない接待プレイをして上手い事交友の輪を広げていくことになったりもしたんですが。

 

ある日、父が借金をこさえてしまったと言い出して。

全寮制で学費は無料、さらに上手くやれば借金もチャラに出来る可能性がある、とか言う怪しい話を持ってくるわけです。

一般には知られていない、ゲームによる決闘ですべてが決まる帝王学園。そんな場所に踏み込んだ叶太は、自分と同じタイミングでやってきた「謎めいた、実力者の転校生・霧谷透」を主人公キャラと見なして、彼を最高に輝かせようと計画を練るわけですが。

 

そんな透の幼馴染である学園最強のお嬢様西園寺だったり。透のメイドとして侍るソフィーだったり。ゲームによる決闘ですべてが決まる学園、に通うだけあって個性が強いキャラが多いんですよねぇ。

今までいた学校では「演出」の為に下調べとかを入念に行って、誰にも気づかれることなく演技を続けられていたようですが。

 

帝王学園に転校してきたばかりでは叶太の持っている情報は少なくて。個性的な生徒が多い学校なこともあって、モブに徹したい彼の思惑とは異なり、どんどんと注目を集めて行ってしまうことになるわけです。

99連勝していた西園寺に勝利して、100連勝阻止した上でゲームの勝者として得た権利で彼女をメイドにして侍らせたり。透の秘密について知ってしまったり。

そして開催された大会で透を相手に決勝戦を戦う羽目になっていくわけですが……過去の失敗を思い出しつつも、それを上手く乗り越えて最後には笑顔を浮かべられるようになったのは良かったですね。

 


魔王と勇者の戦いの裏で6~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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「先祖が優秀な功績を挙げた、以前の当主は領を上手に統治した。だから子孫も国と民に有益であろう、という期待を込めて徴税をはじめとした権利を与えられておる。国と民から信用と信頼を前借し生活の糧を得る、それが貴族という立場の本質邪」

(略)

「それを理解しておる者は前借りした分、自らを鍛え次世代を育てる義務を負う。家が続くのは優れた次世代を育てた結果であって、目的ではない。逆に国と民からの信用と信頼を軽視した者には相応の結果しか残らぬものじゃ」

 

マゼル達の協力も得て、魔将ゲザリウスを討伐したヴェルナー。

王都への帰還に際しては総指揮官であるシュラム侯爵がメイン、討伐MVPのマゼル達、その後ろに続く形でヴェルナーは王都の凱旋に際したパレードに並んだようですが。

彼自身も思っていますが、以前は警備する側に立っていたヴェルナーが、後ろの方とは言え凱旋の列に並んでいるのは感慨深い。

 

ヴェルナー的にはゲザリウスはゲームに居なかった敵であり、警戒対象ではあったものの……彼の心配はあくまでこの先に起こるだろう「王都襲撃」に重点が置かれていて。

だからこそゲザリウス問題は速攻で片付けたかった。ただ、王都の上層部的には猶予はあると考えていた。

そのあたりの齟齬もありつつ、迅速に解決したヴェルナーへの評価は上層部では高いようですねぇ。

ウーヴェ翁に事情を打ち明けたことで「予言書」といった形で簡単に情報共有できたので、意識のズレも多少は改善すると良いですけど……実際に記憶のあるヴェルナーとで温度差はどうしても生じるでしょうねぇ。

 

色々と手を打って、そのために借金も重ねていることで、若くして実績を積んでいるヴェルナーを叩く人は「借金貴族」みたいに言ってきてるわけですが。

王太子や将爵、商人のビアステッドだったり、彼の事を認めてくれる人が多いのありがたい。

 

魔将を討伐したことで亡国となったトライオットの貴族が国土復興に前向きになっていたりしてるみたいですが……いつかは必要なコトでしょうけど今じゃないんだよなぁ。

そのあたりを上層部が弁えてて、ヴェルナーを軍から話して王都で文官としての仕事をしてもらうことになって。

リリーの記憶力とかを頼りに、サポートしてもらっているの良いですねぇ。

 

……これまでの積み重ねがあって、リリーの方から少し踏み込んでいくのも、ヴェルナーがこれまで以上に覚悟を決めているのも良いですねぇ。カラー口絵のところにもありますがあそこの「……お慕いしております」のシーンとか、好きなんですよね。

そうやって大切な人という実感を強めたこともあって、領地の発展につながる未来への積み重ねをしていこうとした息子の変化を、ヴェルナーの父が感じているシーンとかも含めて味わい深い。

 

王室の特別書庫の調査を許されたヴェルナー、リリーの同伴も認められて彼女の空間認識能力の高さから別の問題に気付いたりもしていましたが。

マゼルを一時的にでも自分の国に引き留めようと他国が動いたり、神殿内の馬鹿の思惑が噛み合った結果、マゼルが訴えられてしまうような事態になったり。

リリーが兄の代理として裁判に臨み、さらにその代理人として指名されたヴェルナーが決闘に臨むことになったりと、文官仕事始めたはずなのに荒事に巻き込まれていたりもして、ヴェルナーの安寧は遠い。……いやまぁ、王都襲撃が控えている以上、彼の安寧ってマジにしばらく来ないことが約束されてるんですが。

 

なんなら、決闘騒動もバカが多すぎたせいで王太子の予想したタイミングよりも早く起きたけど、似たようなことはするつもりだったみたいですし。

年齢的にはまだ学生であるはずのヴェルナーが、既に実績詰んで、上層部にも認められている状況なので、仮に魔王討伐が成ったとしてもヴェルナーはなんだかんだ政争に巻き込まれて安寧とは遠い日々を過ごしそうではありますけど。

凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ4

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「人生はクソだ。何1つ思い通りになりゃしねえ……だが、それでも俺は、俺達は、戦うことを選んだ、そう、選んだんだ! 諦めるでもなく、受け入れるでもなく、戦うことを!」

 

致命傷を負ってしまった味山只人。

しかし耳の部位保持者であったことが幸いして、復活することに成功。部位保持者になること自体は災いみたいなものですから、不幸中の幸いというべきかどうか。

……まぁでも実際、あそこで味山が復活して、暴れまわってなかったら彼の友人たちやバベル島そのものが悲惨な結末を迎えることになったでしょうし、幸運を拾ってはいるのか。

ただし、その幸いはハッピーエンドを約束してくれるものではなくて。

 

ひとまず致命傷はふさがって、それ以降も制限なく使えていましたが、使うたびに「耳」に近づいてしまうという呪いのような制約もあって。

味山はまぁ、「怪物のような力であろうと、指定探索者だってある意味怪物ぞろいだし、俺は人間だ」とその力を受け入れて謳歌していましたが。

 

脳みそが派遣してきた肉人形や坂田による襲撃、耳が齎す「TIPS」や……恐らくは2週目特典として与えられたであろう、バッドエンドの分岐の数々。

それによって、復活した直後に足を止めることになってしまったわけです。

TIPSが提案するAルート、Bルート。どちらを選んでも被害甚大、大切な誰かが死ぬ。

いつか選んだような第三の選択肢は、味山只人には与えられない。

 

「耳」はさらに踏み込んで凡人探索者である彼の抱えている欠陥をあげつらっていくわけですけども。本当の意味で変わらない部分があるとしても、悲しいのもまた真実だから。

進んで喪う選択はしない。

……だからこそ。別の道を模索する。味山只人に与えられないのであれば……部位保持者としてより踏み込んで、彼は「プランC」を掴みとったわけです。

 

耳の化身と同じような変身を遂げてなお、人の意志を残した特殊なスタイルになってバベル島と西に東に大暴れ。

起きるはずだった悲劇のいくつかを踏み越えて、生き残るために多くを救っていった彼は、作中では「酔っていた」みたいな扱いをされていますが、かなり熱い演説をしてくれるわけです。

いやはや、これまでもその片鱗を見て来たつもりではありましたが、なるほど綺崎凛やアレタはこれに焼かれてしまったわけか。そりゃかなわんわ。

いや、実に主人公していたと思いますよ。挿絵が「耳」に汚染されてましたけど。濃すぎ。

指定探索者ですら心折れそうになる戦場で、彼女達を助け、「説得判定」へのチャレンジをした結果、なんか口説き落としたみたいな形になってるし。そのうち刺されるぞ。……刺されてたわ。坂田にだけど。

 

あと本編にそこまで関係ないトークですけど、朝顔・夕顔姉妹と思われる挿絵があったんですけど、めっちゃ可愛くなかったですか。キャラ造形めっちゃ好み。

……その挿絵が挟まっていた雨桐さんの過去エピソードはアレでしたけど。抱え込んでんな、闇を。王さん、めっちゃいいキャラしてて格好良かったですけども。

魔王と勇者の戦いの裏で5~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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「卿らはここで勝ち残れ! そして愛する家族の元に戻って誇るといい! 戦場は違っても、我らは勇者殿と共に魔軍と戦ったのだ、と! 勝利は我らの側にある!」

 

アンハイムに代官として赴任することになったヴェルナー。

伯爵家子息であり子爵位を持つ彼の事を、王太子含め上層部は評価していて。同じ方向を向けるのなら同僚として扱うし、敵対することになるのならば別の派閥とかみ合わせて疲弊させるなり、一部では共同できずとも協力できる部分を見つけて利用するとか、「どう使うか」と判断されているの、かなり高評価ですよねぇ。

 

ヴェルナー、終盤に魔軍と戦う時に「秘匿するべき」とされる技術を戦場に持ち込んだり、以前に披露した知識の出どころを追及されたり、と原作知識ある者として色々やっていますけども。

そんな彼の提案は突飛に見える部分もあるだろうに、利用できるものは国の利益につなげていく王太子たちの有能さが随所で見られるので、そんな彼らに認められているヴェルナーの株も上がっていくの良い感じです。

 

まぁ若者が認められていくのが面白くない派閥は、ヴェルナーが諸々備えるために奔走している一面を見て、金遣いの荒さから彼を追及する選択を取ったりもして。

……そういう足の引っ張り合いをする人材への、王太子陣営の評価がしっかり下がっていくのも、信頼できますよね。

王太子に話を通してから来ている、というのもあって。ヴェルナーは自身の悪評が出回りそうな行動でもどんどん取っていって。

代官の裁量の範疇ではあるけれど、賊の討伐をするし、それに通じていたらギルド幹部の血縁だろうと処罰していく。それを面白くない人物を洗い出そうとしていたりしますし、かつての敵でも利用できるなら利用したり、と。搦め手も使えるのはヴェルナーの良いところですよね。

……情報を確実に伝えるために、暗号を仕込むために敢えて汚した手紙を送ったりなんかもしてましたけども。本当に何でもやるやつがあるか。リリーが、要所で意見聞かれてましたが、流石マゼルの妹というか。彼女もかなりスペック高いですよね……。何度か挿絵もらってて嬉しかったです。

そうやって準備を整えて、彼が派遣される原因となった魔将ゲザリウスへの対策をしっかりと成し遂げたのはお見事でした、というか。

鼓舞の為に勇者の名前を使ったのが、結果的に本当になっていたりもして。口絵にもなっていましたが、マゼルとヴェルナーが一緒の戦場に立っているシーンはかなり熱かったです。

勇者一行と再会した際に、ウーヴェから結構気になる話をされたりもしてましたので、今後の展開が楽しみですねぇ。

クラスで一番かわいい女子はウチの完璧メイドさん

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「だけど、僕と違ってこの人は気持ちを伝えようとしてくれた……」

(略)

「だから、僕もその気持ちに、ちゃんと応えようと思ったんだ」

 

名門早乙女家に生まれた少年・悠。

しかし彼は、名門故に柵が多く自由がない実家での生活が嫌でしかたがなかった。

だから高校は家に関係のない普通の学校に通いたい、とか言い始めて……彼付きのメイドである愛坂はいかな手練手管を使ったのか彼の意見を実現させて。

 

完璧メイドである彼女は、一般の学校でも普通にクラスに溶け込んで人気者になっていましたが。

家から出たいが主目的であった悠くんの方は、愛坂以外との交流がほとんど広がっていないような状態で……。

後に、早乙女の家から離れた叔父の娘……つまりは従姉である麻衣まで転校してきたりしてましたが。彼女もその快活さから、直ぐに交友関係を広げていってたのを見るに、悠くんはもうちょっと頑張ろう、と思わなくはない。

 

まぁ、彼の関心は結局のところ一人に注がれていた、とも言えますが。

実は完璧メイドの愛坂は、悠のかつての婚約者で。

彼女の実家が没落したことで婚約は破談になったものの、婚約者時代に交わした約束を守ろうと悠が祖父に口利きを頼んだところ、彼女がメイドに着けられる運びとなったようで。

自由がなかった自分が、愛坂の自由を奪ってしまったと考えてますます動けなくなってたっぽいですねぇ。

間に愛坂視点も挿入されていて、実際のところはすれ違っている部分があるというか。お互い自罰的な部分があって、踏み込めずにいたみたいですけど。

今回周囲の環境が変わったことで、彼らの関係もまた変化していったのは良かったですね。


プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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