「『できるようになった』という無数の事実を忘れるな」
「そして自分に『できる』高さになるまで一段一段を刻んで行けば 必ず今より強くなれる」
「そしてそれが おまえの自信に変わるんだ」
239~247話を収録。
自分たちでトリオン兵を作って戦わせる、という特殊シミュレーション。
辻が、ネイバーの襲撃の影響でトリオン兵に悪いイメージあるから、別系統のデザインとして恐竜に寄せてみたり。シミュレーションとは別口のアイデアとして、王子は肩に装備して援護してくれる小型タイプを考えてみたり、太一が輸送車両としての性質に注目したものを作ってみたりしてるの、それぞれの個性が見えて良いですねぇ。
小荒井が上手くかみ砕いて説明してくれてるのも読者的にもありがたいし、臨時部隊の中でもアドバイス役になってて作中でも意味があるのが良い。
他にも「ルール的に狙って引き分けに出来るんじゃないか」って案を出す隊員が居たり、かとおもえばヒュースは「俺のトリオン量なら火力と耐久を両立した飛行型が作れる」とストレートにパワーで解決しにきてたりしますし。
……いやまぁヒュース、そのトリオン量でごり押しする方が実際強いし、それだけじゃなくて樫尾がタネを見抜けずにいた、諏訪7番隊の作戦を(修を良く知っているアドバンテージあるとはいえ)速攻で見抜いてますから貢献度高いんですけども。
修のアイデア、戦闘ターンを切り詰めてコスト削減してるのも上手いけど、実際に大きく動くターン限定してることで、動かす側の負担も減ってそうなのが良いですよね。
見た目だけ偽装してる隊とか、奇抜な見た目のトリオン兵を作って情報量の暴力で殴り着てる隊とかいて、個性が光ってて楽しかった。
絵馬が自分から意見を出していくようになって、「B級隊員は真面目だから、対策出来るならしたがるだろう」って、まだ感覚に寄ってる部分は有れどしっかり要点押さえてたのは偉い。実際、村上10番隊とかは明日が4日目くらいの想定で対策が回っていったらどうなるのか、とか言うカードゲームの環境考察みたいなことしてるしな……。
諏訪隊も、順位が上がってきたこともあって「対策される側になったから、労力少な目で刺さるところには刺さる程度の案を考えろ」とか修に無茶ぶりしてましたが。修なら考え付くだろうなぁ……という信頼がある。
それぞれの順位や環境の中で、「トリオン量で『読み』を超える可能性のある若村隊(ヒュース)や二宮隊(千佳)」への警戒があったり。絵馬から、「『読み』を超えてくる、A級に感じるような怖さを感じたのは、歌川隊(空閑)と諏訪隊(修)だけ」という風に、玉駒第2がバラバラになっても、注目を集める個所に居るの良いですね。
そうやって修が注目を集める中で、若村はいろいろと苦悩して……それを抱え込まず、質問出来たのはこれまでの彼からすると一歩前進でしょうか。
その後ヒュースの正論パンチでボコボコにされるんですけど……。ヒュースも若村の師匠である犬飼へ一報入れて相談したりしたうえで、言葉を費やしているの良かったですね……。
犬飼、遠征も視野に入っていた隊の隊員なだけはあるというか。「おれがいなくなったらどうすんの」と、自分が居なくなる可能性を踏まえて、「戦う時は独りなんだから、独り立ちさせよう」と指導していたの重い……。
若村も悩んで悩んで、かなり苦慮してますけどまだ彼ら普通に学生やってる年齢なんですよね……凄い優秀なんだよなぁ。
ヒュースのたい焼きを使った『実力』の比喩とか、『努力』の考えとかかなり刺さりましたね……。