気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

その他

結界師の一輪華1

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「子の頑張りが分からぬ親など捨て置きなさいませ」

「親に媚びる必要はないのですよ華様」

 

1話~6話を収録したコミック第1巻。

11ページ目から「俺の嫁になれ」で、冷や汗ダラダラになってる華が登場してちょっと笑っちゃった。

 

五つの柱石によって守られている日本。その柱石を守る術者の家系が五家と崇められている家であり……主人公の華は、五家の一つである一ノ宮に通じる分家である一瀬家の令嬢だった。

しかし双子の姉妹である華と葉月には才能の差がありすぎ……両親は才能のひかる葉月だけを可愛がり、華の方は「出涸らし」と蔑視した。

彼女の頑張りを認めてくれる使用人の紗江さんが居てくれたのは良かったですけど。

 

両親に媚びる必要はない、と言ってもらったことで「もっと自由でいたい」と強く思うようになって。

自分の創った蝶の式神であるあずはだけを理解者として、双子の葉月とも距離が出来た状態で育ち……15歳になった時に突如として、膨大な力に目覚めることに。

ただ、これまでの両親の行いが消えてなくなるわけではない、と秘匿を続ける事を誓って。

 

とは言え、力を完全に使わないと言ったわけでもなくて。

他の人にバレないように力を秘匿しつつ、人型の式神をつくったりしているし。実力を誇示しようとはしないけど、妖魔を見つけたら討伐もする。

彼女の目的である、一般には「落ちこぼれ」とみられつつも自由に生きるスタンスで日々を過ごしていたわけですが。

術者の学校なため妖魔討伐の授業なんかもあって。予想外のトラブルが起きた時に、平穏な生活を捨てることになろうとも、守るために力を使おうとしたの偉かったですね。

 

その時は一ノ宮の当主に就任した朔が居合わせたことで、事なきを得ましたが。

ある日妖魔を討伐する際に、目隠しの結界を貼り忘れてしまったことで、朔に秘めた実力がバレてしまって……。

当主交代した朔は、柱石の守護の為に力のある花嫁を迎える必要があり、その相手として華を見出したわけです。

朔が早急に伴侶を求めていた事情もあって、華に契約結婚を求めて……出された条件が魅力的だったので肯いた華は、自由に生きてますねぇ……。

ご主人様とゆく異世界サバイバル! THE COMIC 4

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「どんなに重い罪でも2人で背負えばその重さは半分だろう? コースケだけに苦しい思いはさせないよ」

「優しいご主人様だな」

 

19話~24話を収録。

メリナード王国奪還のため動き出すことを決めたシルフィ。

他の面々も聖王国には思う所があり、方針としては賛成多数。とはいえ、一度敗れた状態から戦を始めるとなれば、物資その他の準備が欠かせないという意見も出て。

イエスマンばかりじゃないのは良し。……まぁその準備を色々すっ飛ばせるコースケの便利クラフト能力があるっていうのが大きすぎるんですよね。

 

ゲーム的に無限水源できるし。拠点作成も楽々、消えない光源も作れるし、この世界の常識を超えた武装だって充実させられる。

なんだったらコースケが銃器を狙撃方面に特化させていって、敵の上層部を暗殺しまくるみたいな方向に技能を伸ばしていったら、コースケ1人で何とか出来る可能性だってありますからね……。

 

平和な国出身ではある彼の能力に頼り切りで、彼の製作物によって命を奪っていくことをシルフィは悩んでも居ましたが。「大丈夫か」と、本格的な戦が始まる前に確認してくれるのは良いご主人様ですね。

コースケも自身の作成する武器は便利だと思いつつ、この世界の達人連中は拳銃程度であれば撃たれても弾丸を弾いていなせたりするのが恐ろしい。

素人でも戦えるようになる銃器類は便利だが、鹵獲されたときの事は恐ろしい……という懸念事項も生じたわけですけど。

……コースケのクラフト能力によって生み出された畑の生産能力がいかれているから、そういうベースを増やすことで圧をかけていく方向の作戦も考えられたのは、まぁ良かったか。

最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。@COMIC7

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「よし ここからが時間の勝負だな」

 

2225話と番外編、書き下ろし小説「またな」を収録した第7巻。

人攫いの組織が長らく暗躍しているオトルワ町。自警団や冒険者ギルド内部にも敵の手が入り込んでいる厄介な状況ではありますが。

そんな厳しい状況でも、アイビーと一緒に戦おうとしてくれる覚悟の決まった人が居てくれるのも救いではありますね。

 

アイビーの連れているソラの能力で、スパイを見抜く大作戦。自警団の126人を調査するパート、ずらっと人が並んでいてこういうのは漫画の強みだなぁ……といいますか。

調査してるボロルダとアイビーが疲労困憊になるのも無理はない、という納得がある。

その動きを見逃さないようにしているメンバーもそりゃ疲れるよ……。

冒険者ギルドでは15人を調査したけど、7人に問題ありで……さらにはボロルダが育てた3人も入っていたりとか。

「緑の風」の面々の時もそうでしたけど、信じたかったけど裏切られていた。そんな状況でも奮闘してくれるメンバーは偉い。

 

森でトルトとマルマが大勢の犯罪者を匿っていて……それを確認したリックベルトが手配書を攫って記憶の顔と照らし合わせていたりとか。

信頼できる貴族であるフォロンダ領主が、組織とズブズブのファルトリア伯爵に相談しており、組織としても動きが出てきそうだという状況で。

アイビーが、監視についているミーラも利用した上で、今すぐ動こうと提案。臨機応変に対処してくれる雷王と炎の剣や、自警団の団長たちは有能ですね。手が足りないから、見方諸共眠り玉で眠らせようとかするアイビーの思い切りも中々ですが。

 

雷王たちの迅速さを見ると、緑の風のミーラは不本意な状況に置かれ続けていて本調子ではなかったとはいえ、動きが鈍かったので「上位冒険者と同等」の扱いに見合わなかったんだな……と言うのが見て取れるのがね……。

組織の仲間に作戦見破られているのがバレて「洞窟へ行け」と言われても、「行かない」という選択をしたので、まぁ抵抗の意思がそもそも薄かったのもあるか。

原作だと抵抗して眠らされていたハズなので、コミカライズ版はちょっとマイルドになってるか。ファルトリア伯爵を抑えるまでのテンポもサクサク進んでいて、独自の味わいになってました。

書き下ろし小説「またな」はミーラ視点で、事件後の扱いについて描かれていたのも良かったですね。

オシバナ! 3

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「…あんたもあっち側 自覚ないんだろうけど」

「夢中になれる事があって 得意な分野が有って やろうと思えば何でもできる人間のくせに」

「自己肯定感もうちょっと上げたら?」

 

21話~30話を収録。

3巻以降、電子限定刊行となったそうです。

王子様と呼ばれる紗和が、彼女を推している大田君を好きになってしまって。

「推し」との関係変化について悩んでいく、という「推し話」で。紗和、大田君だけの推しじゃなくて、ファンクラブがあって学校中にファンがいるのが大田君を悩ませているわけですけど。

メインカップル(未定)の話がじりじりと進んでいる中で、生徒会長となった八王子と紗和の親友である茉莉花が付き合い始めることになったりしてて。

 

……なんならこっちの方がメインカップルなのでは……?。いやまぁ他シリーズでも、複数カップルのエピソード同時進行してたので、どっちもメインと言って良いんでしょうが。

2人が付き合い始めても、紗和と茉莉花の親友関係が終わるわけでもないですし。

八王子と大田君も生徒会長と副会長として、交流が増えているわけですし。

茉莉花が休みの日に、親友からいろいろ話を聞いてるシーンで、大田君が「八王子さん百合の間に挟まる男って感じですね」という台詞に「人の事言える立場か?」と返してる親しさ前提のジョークって感じがする。

同時に大田君「百合の間に挟まる男」ってどっちかっていうとオタクの文脈じゃないかなぁ。マンガ研究部の女子2人が持っている「どこまでオタク用語か一般かセーフか境界があいまいで、外野から見ててハラハラする」という警戒心というか、言葉選びのセンスを磨いた方が良いと思うよ……。

 

2人がキスしてるシーンとか見て「リア充」とか言っちゃったり、推し活に熱挙げてた通り根がオタクだからなぁ大田君。とはいえ、生徒会副会長になったり、色々表に出ることも増えるだろうから、レベルアップは必要なんじゃないかと。あと、いい加減紗和の想いに応えるかどうかの答えを出してほしい気もするし、そこがハッキリするときはシリーズが完結する直前とかになりそうだから、延々と悩んでくれてもええんやで……?という気もする。

 

茉莉花の方は「便宜上」とか進展しない2人にイラついた時にストレス発散に行く先、と表現して「彼女らしいことするつもりはない」なんて言っていますが。

まめに連絡を取ったり週末デートとかしない……といいつつ自然に八王子の家についていって、することはしてるの脳がバグりそう。

八王子も、この状況に置かれて他に好きな子が出来る人いるのか? って考えてますけど。

茉莉花の考え的には、相手を束縛する気はないってことなんでしょうけど、行動では相手をしっかりからめとってるんだよな……。

 

まぁ茉莉花は茉莉花で、ちゃんと紗和好きだった時期があって、でも八王子と関係を進めていく過程で、その恋が終わってしまったと感じて涙を流す場面とか、ちょっと切ないけど好き。しんどくて大変だったけど、楽しかった思い出だからね……。

紗和が隣で寝ていても、特にそういうことしたいとは思わない。けど、八王子が無防備に寝てたらセクハラするという茉莉花、ちゃんと八王子のこと好きじゃん……。

十年目、帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる1

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「数を頼みに勝てると思ってるような奴ら相手に 遅れはとらねぇよ」

 

同名作品のコミカライズ。

主人公のトールは十五の時、普通に学校に行こうと家の扉をくぐったところ、異世界に迷い込んでしまった。

振り返ってもさっきまでいたはずの地球の家はなく、危険な魔物に襲われて命からがら逃げる羽目に。

初期は現地の言葉も分からず、転移に際してありがちなチート能力が貰えたわけでもない。そんな中で帰還の術を探るために彼は冒険者となり……言葉を覚え、冒険者としてもソロでBランクになるまでになった。

 

……しかし当初の目的であった帰還方法については、9年の時間をかけてもさっぱりで。

何の予兆も無くこの世界に来た以上、同じように送り返されてしまうかもしれない。

そんな気持ちから、これまでの9年間でもある程度線を引いた交流を続けて来たみたいです。ただ、異世界生活も十年目という大台に入ることになり、もうこの世界に骨を埋める覚悟を決めて。

十年目の決意記念日をやけ酒で過ごしているのと、深酒してトラブルに遭遇してるのはおいおい……って感じではありましたが。

 

実はトールが立ち寄っていたその街は、近ごろとある騒動が起きていて。

ウバズ商会という街を代表する商会の長であった夫婦が三年前に事故で亡くなり、後を継いだハッランという男が前代表の名に泥を塗るような行いを重ねて。

粗暴な冒険者のクラン『魔百足』という戦力を抱えていることもあって、これまで扱いあぐねていたみたいですが。

トールは根無し草だったこともあり、確実にハッランには与していない。そして実力もあるということで、前当主夫妻の娘の護衛として派遣されることになり……その双子の少女もただ守られるだけの小娘ではなく、ハッランの悪事を暴く貢献をしたりする面白少女だったわけですけど。

トールと双子の出会いと、騒動の解決、そして街を離れるまでの小説1巻のエピソードを1冊にまとめてるので、あちこち駆け足で惜しいなぁ……って感じはしました。


魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?13

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「ネフテロスは私が守ると約束した だから…… あのこも私が倒してあげなければいけないんだ」

「…いいだろう それでこそ我が盟友だ!」

 

6367話を収録。

ネフテロスを庇護して、キメラ討伐に赴くシャスティル達教会陣営。謎の人物の襲撃問題とか、頭の痛いものはありつつそれでもやるべきことをやってるのが良い。

そしてザガンはザガンで色々と探っていたところ……先日助けた狐獣人の少女クーの身体に憑依するような形で、魔王ビフロンスが接触してきて。

 

ビフロンスは自分の元から逃げたネフテロスを回収したいだけなんだよー、と建前を口にしますが、ザガンはわざわざ他人の領地に侵入した上で接触してくるならそれは「実行を前提にした宣戦布告だ」と看破。

……途中、オリアスが現れたことでちょっとコントっぽくなってましたけど。

三者三様で魔王にふきだしでぎゅむって潰されてるページ、微笑ましくて笑っちゃった。真面目に宣戦布告5秒前、みたいなシリアスシーンだったはずなのにね。

 

自分の領地で勝手は許さないと言えるザガン、実に良い王様やってますよね。

クーのこともちゃんと後処理オリアスに頼んでますし。緊急事態ではあるけど、そこでオリアスから頼み事をされて、ちゃんと時間を取っているの律儀。

それくらいの時間はあるだろうと、周囲を信頼しているのも良いですねぇ。

……ポンコツと不運のかみ合わせで最悪の誤解が生じたシャスティルがちょっとピンチでしたけど、それ以外のところはちゃんと打っていた手が効果を発揮してましたし。

あそこでポカーンってするビフロンス、なかなか見ものなので好きです。


フシノカミ 辺境から始める文明再生記8

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「ヘルメスさんの夢を叶えることは 私の夢を叶えることでもあります」

「これからは共に歩みましょう」

 

3438話と幕間を収録。

相変わらず原作を上手く拾ってアレンジしているのが良いですねぇ。

そもそもここでの人狼との戦いだって、原典や編纂版だとアッシュ個人で戦う羽目になっていたところに、ジョルジュ卿が駆けつけてアッシュを拾って撤退する流れでしたしね。

ただ都市内部で動き出したことで、より「逃げたらマズい」という緊迫感が増して、夢追い人であるアッシュが守るために戦う理由付けになっている。

 

上手く受け流しつつ隙を探してましたが、人狼は疲れを知らずだんだん押されていくアッシュ。本当に危険だ……という時に、アッシュが走馬灯を見るかのようにシーンが挿入されているわけです。

アッシュ自身は、全ては自分の夢の為の積み重ねだから、夢を叶えたいと強欲になると言ってますけど。多くの人の助けを借りたからこそ、叶えたいという想いがより強くなっているのだ、という描写でこれまで協力してくれた多くの人が描かれているの良いですねぇ。

見開きで一番右のコマでマイカが本を見るため背中を見せていたところ、一番左のコマでは笑顔をこちらに向けているの、構図の見せ方が上手くて流石だなぁ……と思いました。

死地でもただ「死んでたまるか」じゃなくて「叶えてやる」と、前のめりなの実に暴走特急アッシュ君らしいな……と思いました。

 

人狼に抗ってる場面は荒々しい筆致・コマ割りだったのに、病床で意識を取り戻してからハッキリしているのも良いですねぇ。

「おにくたべたい」と言ったアッシュ君と、それを聞いたマイカとアーサーの2人のなんとも言えない表情が味わい深くて好きです。

 

幕間「マイカの閃き」。マイカとアーサーのやり取りメインで、傷付いたアッシュを見て、治療の手伝いに踏み込んだとき、ハッキリと自分の想いを口にしてるマイカの覚悟が決まってる目が良いですね。

マイカ、活発な村娘という顔も間違いではないんですけど。なんだかんだ言いつつサキュラの領主家の血を継いでいるので、個人の感情で結婚を同行できる立場では実はなくて。

イツキはまだアッシュに毒されすぎてないので、平民であるアッシュは有能だけど、貴族家に迎え入れるのに吊りあうのかという視点なのに、マイカは「自分の方が彼と釣り合うか」という視点なのが、よくわかっていらっしゃる。

 

療養のためにアッシュがノスキュラ村に戻ったの、短いページでしたが描いてくれたのも良かったですねぇ。今の状況が見れたのは嬉しい。

そして無事に帰還したアッシュが、次なる計画を実行しようとしたところで、勉強会に参加しつつも上手く馴染めていなかったヘルメス君の「夢」について知り、それを深掘りしていくことになるわけです。

ベルゴ達も技能を持っている集団として協力してくれて、同じ方向を見て協力してるのが良いですねぇ。そして苦労はギュッとまとめて38話の間で製作開始から形になるまでを描いてるのお見事過ぎる。


月の白さを知りてまどろむ2

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「充分よくしてもらってる だから… きっとここに帰ってきてくださいね」

「……了解した」

 

58話と描き下ろし8.5話、原作古宮先生の書下ろしSS『身辺調査』を収録した第2巻。

イーシアの似顔絵、上手いですねぇ。「そうそうこんな感じ」と身を乗り出してるサァリがとても可愛い。

暗躍してる人物が居て、神供の家系が狙われている。そんな中で、かつて取り逃がしてしまったものの「化生を生み出す呪術師」の存在を知るシシュが居たのはラッキーでしたね。

生み出された化生には特徴的な紋章が浮かぶから、仮面しているのもそれが理由だろう、と相手の手札を暴く過程を多少スキップ出来たわけですしね。

 

それを聞いたトーマが化生斬りとして動きだそうとして。

一番狙われるサァリと、王都から来た新参として警戒されているシシュを月白に留めておこうとしたわけですが。

2人とも事件が起きている中で黙っていられる性質でもなくて。

シシュの警戒を解くためにサァリが持ち出してきたのが、彼女の客に与えられる紐だったの、目的のためには手段を択ばないなサァリ……。

アイドには見られないでとは言ってましたが、そもそも他の人にもあまり見られない方が良かったのでは……? 鉄刃とか、まさに誤解する結果になってましたし。いやまぁ逆に間違ってないのか……?

 

王の巫から贈られた呪の掛けられた骨。そこから生じた犬によってシシュは敵を追いかけることに。……ミシロ先生がSNSで、この犬がポメラニアンだったバージョンのネタイラスト描いていて、シリアスぶち壊しだけどとても可愛くて良かったです。

 

そして巫としての力を持っていないサァリもまた、街を愛するがゆえに足を止めてはいられず。どうせこうなってしまうんだったら、まだシシュが連れて行った方がお互い無茶せず良かったのでは……? サァリの存在が明らかになって敵が動き出してしまうかもですけども。

シリアスシーンだけど、忍び込もうとして届かなくてぴょこぴょこしてるサァリが実に微笑ましかったですねぇ。……事情知ってからだと、一番危ないところに一番大切な宝が飛び込んでいく場面なので、とっても危ういですけど……。

 

アイリーデという街を狙った、南部のブナン侯の策略で……それに加担している裏切り者もいたわけですけども。アイドさぁ、拗らせすぎてて本当にもう……。

嫌いじゃないですけど、歪みすぎてて見てられないな、という気持ちにはなります。

神話として語られている、太陽を飲み込もうとした蛇を神が滅ぼし、その返礼として美酒と音楽と人肌を神に収めたことがアイリーデの始まりで……その物語は真実である、と。

蛇の毒に蝕まれた呪術師、神供三家が継いできたもの、王の思惑。そういったものが明らかになっていく展開が好きですね。

踊らされていたシシュがそれでも王への忠誠を譲らず……それでも寒さに震えるサァリの手を取ることも躊躇わないのが良いんですよね。

複雑な感情を抱いていながらサァリを助けるために動けなかったアイドとの対比が光る。いや、アイドも悪いやつでは……ありますけど。重いものを抱えていて歪んでて。繰り返しになってしまいますが、嫌いではないです。

巻末の『身辺調査』は、享楽街であるために一時滞在して去る人が多い中で、『戻る』と言ったシシュの事を喜んでるサァリが可愛くて良かったです。

完全版 金色のガッシュ!!16

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(だからよ…今度は…オレ達が、お前を助ける番だ…)

(略)

(さ、もう一ふんばりだぜ…ガッシュ…)

 

LEVEL.304LEVEL.323」を収録した、完全版最終巻。

最終決戦に赴くためにガッシュ達が「では、行ってくるのだ」と飛行機に乗り込む「LEVEL.304 出発」からクリア編の解決と、王を決めるための最後の戦いまで盛り込んでいる満足度の高い一冊でしたね。

アポロ、ナゾナゾ博士が本が燃やされてもバックアップ存分にしてくれるの、良いですよね。これのお陰で清麿たちが戦いに専念できるわけですし。

事情を知って戦い続けていたからですけど、飛行機に乗り込む清麿たちを送る場所にリーンも来てて、そのくせ何も言わないのじわじわ来るな……。

 

キャンチョメの本を燃やしたように、クリアは完全体になる前でも超長距離狙撃の術が浸かる。一丸となって向かっては良い的なので、それぞれ修行していた地から分散して飛び込むことに。

ガッシュ達を囮にして、ティオの「盾」でやり過ごすための布陣でしたが……クリアの持っていたもう一つの力、バードレルゴに襲われることに。

巨大な鳥のような形状をした術が意思を持って襲ってくる、というとんでもない攻撃で、空の上では対処も難しい。

そんなガッシュ達をウマゴンが「シン・シュドルク」で駆けつけて助けてくれるの熱かったですね。サンビームさんが「我が腕に、彼奴を倒す覚えあり」って言うの凄い好きです。

ウマゴンも一人で戦うのではなく、最後ガッシュに助けてもらっているのが、良いコンビネーションだったと思います。

 

そしてウマゴンも合流し……長距離砲撃の術・ザレフェドーラにウマゴンの足とティオの盾で対抗することになるわけですが。

最終決戦前に恐怖を感じていたティオが「また明日」とガッシュと約束したことで、強くなって「私達の明日を作るんだから」とガッシュを最終決戦に無事に届けるために全力を尽くしてくれたの、とても良かったですね……。

ウマゴンもまた「シン」の術の反動に苦しみながらも、ガッシュを送り届けるため叶う限り全力で駆けてくれたの、頼もしかったです。

……こんな形で別れるのではなく、王の座をかけて真剣に戦いたかったとガッシュが涙するのも分かる別れではありましたけども。

 

ブラゴも修行で力を増して。ザレフェドーラの最後の足掻きを「ニューボルツ・シン・グラビレイ」で潰してくれたコマ、痛快でしたし。重力の使い方上手くなってるの、結構好きなんですよね。

ボルツ・グラビレイで相手だけではなく自分も吸い込まれることで近づいたり。ベルド・グラビレイで吸い込み切れない力を斥力で弾いたりする細かいコントロールが可能になってるところとか。「シン・バベルガ・グラビドン」というもう一つの「シン」の術も使えるようになってる当たり、ブラゴの成長度合い流石すぎますねぇ。

成長したガッシュ・ブラゴ両ペアの活躍により、クリアを追い込むことはできたわけですが……それによって完全体に覚醒してしまって。

 

打つ手がもうない、となったころでタイトルの「金色」回収してきたの、良すぎましたねぇ。その後のボーナスステージとでもいうべき最強術乱舞の展開、とても好きです。

金色の本に力を託しに来た魔物、ゼオンが「魔界に住む魔物を一つにした」と言ってるのを表すかのように、ロデュウとかゾフィスとかリオウとか、因縁の在る奴らもちゃんと力貸しに来てくれてるの良いですよねぇ。

そして見事クリアを打ち破り、ガッシュとブラゴが最後の2組となって。清麿の卒業式まで待ってもらって日常の区切りを迎えた上で、本当の最後の戦いするの良かったです。

 

最後の巻末ガッシュカフェは、前魔界の王ダウワン・ベルと魔本。魔本!?

オマケ時空だからこそダウワンが、パートナーだったウィリーに「また会えてうれしい」と言ってるコマ、涙浮かべてるの人間味がありますね。

千年王として在位するなかで大きな争いも3度経験してるそうですし、「一歩間違えば魔界は本当に滅んでいた」と魔本を追及して、魔本なりの回答を得られたのは良かったですかね。ゼオンに苛烈な教育をした顔ももってますが……まぁ最後にはゼオンも丸くなって、普通に話しかけてるから、終わりよければ良い、か……? ゼオンが許してるからな……。


完全版 金色のガッシュ!!15

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「ウヌ!! その想い、必ず私が王となり、叶えるのだ!!!」

 

LEVEL.283LEVEL.303」を収録。

残り10人となったところで、自在に転移できる魔物ゴームが現れ、アースが敗れることに。もとよりエリーは病気を患っていて、弱っていたとは言えアースの最大術を容易く破って彼らの本を燃やしてきたの、ヤバすぎる。

そんなゴームが、特権を利用して魔物を消そうとしているクリアとつるんでいるんだから、恐ろしすぎるんですよね……。

 

アース、色々背負いながら戦ってきたけれど、敗北を前にして「死」におびえるの年相応って感じがして良い。そんな彼とエリーの別れのやり取りで、「ガッシュがお前の想いを聞いて負けると思うか!?」とか出てくるのが、信頼関係が出来てて好きなんですよねぇ。

ゴームとそのパートナーがあまりに軽いノリで蹴散らしに来てるのが、若干のノイズではありますけど。

……終盤のゴームへ説教してる場面を見るに、一応パートナーも敢えて軽くふるまっている部分もあるみたいでしたけどね。

エリーとアースが信じた通り、ガッシュがゴームとゴームが組んでる強い魔物の存在を聞いても「必ず王になる」と叫んでくれるの熱くて好きです。

 

アースが消えたことを察知したアシュロンがやってきて情報交換をすることになってましたが。フィンランドからフランスでの戦闘に気付いて、さらに駆けつけられるアシュロン凄すぎる。

ブラゴもたった20秒の戦闘でボロボロにされるくらい、クリア圧倒的ですからね……。

ここまで追い込まれたブラゴが覚醒した呪文が「ニューボルツ・マ・グラビレイ」で、間に「・マ・」が入る呪文が、それだけ強いと考えるとキッドが消える間際に会得してた「ミコルオ・マ・ゼガルガ」ってあの時点で考えるとかなり強い術だったのでは……?

 

アシュロン、「みんなが仲良くできる魔界」を目指していた善性の人物であり……ファウードの存在も当然感知していたものの、クリアの存在を知って生き延びていた自分はクリアから目を離せないと堪えていた、みたいなシーンも差し込まれていて。

終盤で少しの時間交流し、共闘しただけの仲ではありましたけど実に良いキャラでしたね。

「シン」の術に覚醒していたアシュロンすら、クリアを倒せなかったのは痛かったですが。かなりの手傷を負わせて時間を稼ぐことには成功。

騒動を察知したデュフォーがやってきて、各々の力の伸ばし方を教えてくれたのとか、ガッシュの軌跡が無駄になってないのが良かったです。

 

ティオとシェリーが常識的なコト聞いて「お前、頭が悪いな」とデュフォーに言われ、キャンチョメが良い意見を出したことで「この2人より賢いな」と言われてるコマのそれぞれのリアクションが笑えて好きです。

 

デュフォーの指導で一番最初に成果が出たキャンチョメが、「化ける力」を使いこなせるようになったのは良かったですけど……強い力を得て少し変わってしまって。

それをフォルゴレがしっかり止めてくれたのは、良かったですね。しれっと最後の10人になるまでパピプリオが生き残っていたの、面白かったですけど。

覚醒したキャンチョメとパピプリオの本は、クリアの遠距離攻撃で燃やされてしまうことになって……。「シン・ポルク」かなり強い術だったので、戦力が欠けてしまったのは惜しい。そうでなくても、初期から協力してくれた仲間との別れですからね……。

 

巻末ガッシュカフェは、ゼオンとクリア。

オマケコーナーだからこそ、クリアの前にデュフォーが居てクリアの悩みにも「答え」を出しているのは、新鮮ではありましたね。

デュフォーもゼオン達と別れた後出会った人との約束で変化してるのが伺える回答ではありましたけど。ゼオンが「なぜ最初にこいつを消しておかなかった?」と汗をかくほどの存在だ、というのが分かる最終巻前の良いオマケでした。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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