気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

感想(ライトノベル)

奴隷に鍛えられる異世界生活2

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「ファスを手放すことはありえません。彼女は僕が守ります」

 

ダンジョンに転移させられたものの、ファスとフクちゃんが居たことで乗り切った主人公の真也。

道中キズアトなんて蔑称を付けられた獣人の女性と出会って、近くにある交易と宿場の町に足を運ぶことになって。

 

冒険者ギルドもあって、そこで登録が出来たのは良かったですけど。

ファスの呪いが解けてエルフという事が明らかになって、彼女を奴隷にしていることを周囲からとやかく言われたりすることもあったり、人の中に行くとどうしたってトラブルが起きますねぇ。

ギルドマスターのおばあちゃんが「先代転移者と結婚した現地人」だったことで、多少の便宜を図ってくれたのは良かった。まぁ「冒険者の基本は『自分の事は自分でやる』」だから、アドバイスとか専属の受付嬢を付けることでトラブルの拡大を抑制する範囲ではありましたけど。

 

交易の町で、キズアトが料理人として働く宿に泊まることを決めたりもしてましたが。

……キズアトなんて呼ばれている通り、彼女の扱いはとても悪かった。料理人として店に貢献はしていたっぽいですけど、女将がねぇ……。

キズアト自身は良い子だったので、真也は奴隷身分である彼女の買取を打診することにして。相場以上の金で頬を叩いて、キズアトを引き取る事には成功。トアという新しい名前を与えて良い関係を築けていたのは良かった。

 

……ギクシャクしそうなものですけど、トア引き取ってからもそのまま普通に宿泊継続していたの神経太くて笑っちゃった。料理人として貢献していた彼女を切り捨てたことで、数日で宿の評判落ちて行ったのは順当ですが、真也たちに文句言ってくる女将も女将だよ……。

真也たちの関係に文句を言ってくる輩も多いですけど、それでもファス達を大事にしようとしているのが良いですね。



ダンジョンマスター班目~普通にやっても無理そうだからカジノ作ることにした~

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「全くお前らは考えが浅い。そんなことだから、お前らはそのざまなんだよ」

 

ギャンブルに目がない主人公の班目隆。

スリルがあると燃える性質で、ヤクザとも繋がりがあるとされる金貸し相手に無謀な勝負を挑み、なんと大勝。負債を与えた金貸しに恨みを勝っているから、殺されてもおかしくない……とは思っていたみたいです。

 

そんな彼は気が付いたら、不思議な空間に隔離されていた。

出口もない土の中、青白く光る球体が存在しており……最初にそこに表示されたのは「ようこそ、ダンジョンマスター様」というメッセージだった。

逃げ場もないしとりあえず出来ることを確認しようと、ダンジョンクリエイト用の機能をいじくりまわして、サポート役の魔物・ケラマを生み出したりもして。

 

ケラマはダンジョンの根幹に関わるような情報についての知識などは与えられていなかったけれど、ダンジョン運営に関する情報だったり、異世界の知識、周辺地理とかの必要な情報については把握していて……。

ダンジョンの維持・拡張に必要なポイントを得る方法として、人間をダンジョン内部に滞在させることや、人を殺すことが必要であること。ダンジョンに挑む冒険者と言う存在や、近くに交易で成り立っている街が存在するといった話。

それらを聞いた斑目は、「ダンジョン」と聞いて想像するような、迷宮の中に罠と魔物が配置されて、最奥でボスが待ち受けているようなタイプのものを作っても即座に攻略されてしまうだろうと判断したわけです。

 

実際、たまたま近くに居た冒険者がダンジョンが生まれる気配を察知して、討伐の為のダンジョン出現待ちをしていたわけですからね。

シンプルなダンジョンを作っていたら、そのまま攻略されていたことでしょう。

班目は異世界知識を使ったり、ダンジョンマスターの権能についての穴を探したりして、カジノとしての機能を持ち、人を長く滞在させることでマナを獲得する方法を考えたわけです。

 

ダンジョン作成にはルールがあって、謎解きを作るのは良いけど「絶対に解けない暗号」なんかはあってはいけない。むしろ「絶対に解法は用意されていないといけない」。「鍵と対になる扉は同じフロアになければならない」とか色々と制限はかかっているみたいですが。

ルールに反するものはそもそも製作が出来ないそうで、上手く抜け道をついてカジノダンジョンを成立させたのはお見事。

 

ダンジョンの機能でアイテムを作成できるんですが、石油素材由来の衣服とか「いま異世界に存在しないオーパーツじみた存在」は高コストだけど、「輸送費がかさんだり、職人の巧みな技で作れはするけど量産は出来ない」類のアイテムは現地価格で買えたり量産可能という抜け道を見つけて、珍しい景品をコスパよく確保していたりと抜け目がない。

 

……ただ、班目は上手くやりすぎたというか。異世界に来てダンジョンマスター生活1年を乗り越えて、ダンジョンマスターの互助会のようなダンジョンソサエティへの参加権を得たわけですが。

同時に八大ダンジョンと呼ばれる、ソサエティのトップから査問会を開くと招集されてしまうことになるわけです。

ソサエティの存在、一年を生き延びれないマスターが居たり、新人を食い物にするマスターもいるから一年生き延びないと教えないそうですが。一年過ぎた瞬間食い物にされるのを回避する手段がないの、なんというかダンジョンルールと同じ穴を感じると言いますか。

一年生き延びた時点で一人前だから後は自力で何とかしろってことなんでしょうけど、その方針とソサエティへの参加権ってバランスとれてないんじゃないかな……。

 

班目はカジノに人を招くために、人を傷つける要素を徹底的に排除して一年間誰も殺していない稀有なダンジョンマスターになったわけですが。

その姿勢を軟弱だと八大ダンジョンのマスターは追及して。……ただ、八大ダンジョンのマスターは八大ダンジョンのマスターで驕っていたというか、停滞していたというか。班目みたいな特殊事例を認められないと彼を破滅させようとして……逆に反撃にあったんだから、永く生きてもあんなものか、と言いますか。

班目の策略は八大ダンジョンの攻略を加速させましたけど、あくまで勢いを増しただけであって、いずれ攻略されていただろうな感はあります。

竜人のマスタードゴスガラは自分のダンジョンに挑んでいた剣士の存在を察知していたけど、その力量を見誤っていたみたいですし。
その「いずれ」を自分が耐えられる期間ギリギリまで引き寄せたのは、班目のツキと策略の賜物でしょうけど。

銀河放浪ふたり旅 宇宙監獄の元囚人と看守、滅亡した地球を離れ星の彼方を目指します

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「マスター。この船を使って、どんなことをなさりたいので?」

「そうだね。せっかく拾った命だ、この銀河の色々なところを見て回ってみるのも面白いかもしれないね」

 

とある政治結社の下で人類の指導者として教育を受けるも、冤罪によって宇宙空間に追放される刑罰に処されたカイト。

管理官としてのAIはいるものの、追放される事そのものが刑罰なので、地球に帰還できない以外はデータ送信してもらって娯楽作品を読んだりとかも出来る環境だった。

カイトは思想強い教育を受けつつも、常識と良識を失ってなかったというか。積極的に抜け出そうと試みることこそしてなかったけれど、染まってなくて。

裁判の前後で国の指導者である総帥に資質を見出されていたこともあって、環境が良かったのは色々と便宜を図ってくれたから、という部分もありそうです。

 

それまで周囲から思想を押し付けられて来たカイトからすれば、模範的に振舞っていれば趣味に没頭するのも構わない、という状況はかなりありがたいもので。

景気は19年ほどあったみたいですけど、3年が経過したある日。これまでAIから番号で管理されていたハズのカイトはその名前を呼ばれることに。

曰く、地上との連絡が途絶。あらゆる国家と連絡が取れず、地球の汚染領域が拡大し……宇宙空間に伸びた軌道エレベータも折れてしまった。

それらの事実をもって、地球が滅亡したと判断したことで、「刑罰期間が消滅した」とAIは判断したみたいです。柔軟だな……。

 

そしてあくまでAIである刑務官は、人間であるカイトに今後の行動について判断をゆだねることも決めて。

文明が崩壊した可能性が高いとはいえ、資源的な問題も考慮すると地球に帰還するのが最も生存期間が長くなる選択肢だとAIは提言。

カイトはそれには惹かれず……今の文明を生きる人類最後の旅路として、可能な限りの先を目指すことを決めたわけです。そして宇宙追放なんて刑罰が実行される未来でも未踏だった、木星軌道を超えた民間人となった彼は……そこで地球外生命体と接触することになったわけです。

 

最初に『連邦』と呼ばれる異星人との交流に成功したことで、地球の代表と扱われ十四段階のうち上から三番目の権利を得られることになったカイト。

複数の種族が暮らしている「連邦」の環境に適応するために改造されたり。刑務官ことエモーションも「連邦」の権利を得てアップデートを受けられることになってアンドロイド的な肉体を得ることが出来たりもして。

カイトとの交流の機会が得られたことは「連邦」の人々にとっても福音で、基本的には歓迎されていたの良かったですね。口絵にもいるクラゲみたいな宇宙生命体の方々が、地球にクラゲっていう外見似た生命がいると聞いてちょっと暴走したりしてましたけど。

 

カイトが連保市民としての権利をえて「連邦」の協力を得られるようになったことで、「連邦」に加入していない宇宙人が地球を好き勝手しようとしていたのに介入できるようになったのは良かったですね。

忘れられ令嬢は気ままに暮らしたい1

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「勝手に生きろと言われても、あいにくとまだ七歳なのよね……。普通に考えて、死ねって言われているのと変わらないと思うし、向こうは何を考えているんだろう。……いやまあ、私の場合はどうにかやっていく自信はあるけれど」

 

ラビウス侯爵家の側室の下に生まれた少女、フェリシア。

母を亡くした後、父であるラビウス侯爵の下に第四夫人として新しい側室がやってくることになり……フェリシアは家を出されて、辺境にある侯爵家所蔵の屋敷に住まいを移すことに。

第四夫人、先代国王が遅くになってから生まれた子でたいそう甘やかされて育った「悪い意味での王女様」らしくて。現国王の妹という立場でありながら、子連れで、第四夫人としてやってくる時点でお察しというかね……。

 

侯爵もそんな厄介者な王女様を家に抱えることになって、目の届かないところには置けなかったことから、止む無く近場の屋敷に住まわせることになったようですが。

フェリシアにすら悪評が聞こえている王女様だったわけで、彼女もまた同居には肯けず、辺境送りに同意したわけです。

辺境とは言え、何代か前の侯爵当主の弟が研究素材を求めて住んでいた屋敷らしく、環境としてはちゃんとしてましたね。

……ただ、追って使用人が手配されるはずだったところ、噂の第四夫人が「辺境に追い出される子にそんな金はかけられない」と横槍を入れたことで、フェリシアは独り暮らしを余儀なくされることになるわけです。

 

カクヨムだとタグでパッと分かりますが。作中だと終盤で明らかになることとして、フェリシアは転生者なんですよね。

そして、彼女の棲むことになった屋敷の前の住人もまた転生者だとか。

領都で暮らしている際に、生活の端々に転生者の気配を感じつつ、周囲には隠していたみたいですけど。そのあたりの扱いはどうなってるんでしょうねぇ。

研究者として有能だったっぽい前住人がそのあたり隠していたのは、面倒だったからなのか、研究の邪魔になるからにすぎなかったのか。

 

異常成長していた薬草を採取して、近くの街のギルドに納品したりしてお金を稼いだり。

屋敷の周囲には魔物除けがあるらしいですけど、その屋敷の傍にあるのは魔の森と呼ばれる危険地帯であって……。

フェリシアが引っ越しした少し後に、魔物の生態異常によって起きる「溢れ」と呼ばれる現象が起きて。生活圏が動いたことで魔物同士の争いなんかも起きて、それで負傷した狼の魔物と従魔契約を結ぶことになったりと、のびのびと過ごしてるなぁ……と言う感じがしますね。

オルクセン王国史1 野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか

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「貴方、前から言おうと思っていたが。優しすぎる。やさしさの発露方法が、他者からわかりにくいほどといってもいい。そこまで相手のことを考えている。一匹の牡としては素晴らしいこと。感謝もしている。でも、王としてはもう少し、堂々とされるがいい。傲慢になるといい。それでも臣下はついてくる。この私もそうだ。こんなものは傲慢のうちに入らない。慈悲深い。深く、深く、底が見えないほど深い」

 

魔種族統一国家オルクセンの国王グスタフは、大喰らいで知られるオーク族。

かつては「他の魔種族すら喰らう」という習慣があったそうですが、グスタフが王に就任して以来、それを廃止して。その代わり、民が飢えることのないように食糧管理をはじめ国力増強に努めて、統一国家オルクセンを作るまでに至った理性的な王なんですよね、グスタフ。

そんな彼がある日、隣国であり仮想敵国であるエルフたちの国家エルフィンド近くに赴いた時、ダークエルフと呼ばれる黒い肌を持つエルフ族の美女が倒れているのを発見。

 

グスタフに救われたダークエルフ族の族長ディネルースは、エルフィンド内部で白エルフによる「ダークエルフ狩り」が行われている、という状況をグスタフに伝えて。

同胞を殺したエルフを許さず、殺戮しかえしてやろうと誓うディネルースに、統一国家オルクセンへ来て、将来の捲土重来に備えるのはどうかとグスタフは提案。
……というか初手内ゲバしてるんですが、言うほど平和ですかねエルフの国。
まぁオークの国が他種族喰らう野蛮な習慣を廃したのもここ70年ほどらしいので、それ以前はまぁ……平和かぁ?

魔種族っていうのは長命で、グスタフも150年を生きているそうですが、ディネルースは彼よりも年上みたいですし。

長命ゆえにディネルースはいろいろと知ってることが多いし、魔法の知識も秀でているみたいですが。同胞である白エルフの狡猾さについては、知らなかった。

かつてグスタフが一兵士として参加したエルフとの戦争で、オークは敗走。その際にダークエルフはオーク撃破と言う作戦目標を達成して撤退したが、白エルフはその騒動に則ってドワーフの国を滅ぼしに行ったりしてたみたいですし。

他の種族も自国から追い出したりしてる傲慢さ、というか苛烈さが光るなぁ……といいますか。

 

グスタフは仮に魔種族の間での戦争がひと段落したとして、その次には人間種族との戦いが勃発するだろうし、銃火器が発達している中では優位を保っていられる保証がない。

だから国王として先を見据えて色々と手を打っている、というのが実に良い。

そうやって立派な王様をやる一方で、しれっと市井に出て民と交流を持ったりしているおおらかさもあるみたいですけど。ディネルースは優しい王と評していましたね。

……まぁ優しい一方で、争いに備える事を辞めない王でもあるんですが。油断してないってことで良いことでもあるんですけど。

補給大隊のタウベルトを助けるためにグスタフが力を使う場面、良かったですよね。……そのあと、スッとお出しされた未来がこの作品が優しいだけじゃないっての見せてきましたが。まぁ、そもそも初手ダークエルフの虐殺起きてますしね……。

大きな争いが起きているわけではなくて、備え続けている状況開示のエピソードが多い話でしたが面白かったですね。



千早ちゃんの評判に深刻なエラー3

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「設計者への感謝はどこに置いてきた? 製作者への敬意をどこに置いてきた!? 相棒であるオーダー系とは生涯の付き合いになるはずだろうっ!?」

(略)

「――機体への愛を忘れたのか、貴様ぁあぁぁっ!?」

 

人見知りすぎて上手くコミュニケーションが取れず、当人の適性的には採取とか研究系なんでしょうけど、トラブルも多く引き当てて……白兵戦・射撃戦で乗り切れるセンスがないため爆弾でなんとかしていたら、ボマーと言う悪評を得てしまった千早。

毎回、望まぬトラブルに巻き込まれて、必死に乗り越えようとしているだけなんですけどね……。

 

企業側からすると、千早はいつも渦中に居て問題を大きくしている「戦争屋」と呼ばれるトラブルメーカーだと思われてしまうわけです。

収入マイナスを回避するために壊れた機体の回収とかで利益を得ているので、依頼も戦闘のものが増えてしまうことになって。

綱渡りながらなんとかやってますけど赤字になることもあったりして。そんなバタバタの中で、彼女を「戦争屋」と認識してる組織からカスタムされた機体を贈られて。

アレンジするために塗料を自作しようと、研究都市での依頼を受けることに決めたわけですが。

 

……ボマーが来て戦々恐々としてる一般組織と、ボマー憎しで悪評を垂れ流して叩きのめそうとする組織とが現れるわけです。

千早ちゃん的には不本意極まるでしょうけど、研究都市への襲撃は明確にボマーへの悪意に満ちていたので、彼女が中心にいたんですよね……。

ただ、他組織が「戦争屋」とみているような存在ではなく、ただの新人なんですよねぇ。だから「機体アレンジの為に色付けたいけど、塗料安いところないから自作しよー」ってなる奴とか想定できなくて。

ボマー叩きを加速させようとしていたのに、それが上手くいかなかったのは正直笑った。

 

騒動の裏で千早は必死に依頼をこなしていて、生態調査依頼の報告書を大学教授が喜んでくれたり。その縁から新しい依頼が持ち込まれることになったりもしてるわけです。

で、ソロの気楽さもあって先行研究を参考に、「万色の巨竜」と呼ばれるステルス機能を持った新界由来の特殊生物の生態について新しい情報を獲得して。

依頼主である教授に「野生生物に餌をやるのはよくない」って注意をされつつも、仲良くなって交流しているのは微笑ましかったですね。

……そこにもまた無粋な襲撃があったりしたりしましたが。まぁ、コミュ障で情報を上手く仕入れられず、地雷原過ぎて誰も手を出していなかった土地を買ったりした千早ちゃんにも問題はあるから……。

死ぬに死ねない中年狙撃魔術師

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「どんな魂胆があって、そんなに誠実なんだ」

「誠実で、何の問題があるだろうか。無駄な嘘や欺瞞は対立を深めるだけであろう?」

「道理だ。それだけに、気に入らない」

 

「狙撃」というあだ名で呼ばれる、魔術師の男が主人公。

恋人と共に旅をしていたが、その中で強大な敵と戦う羽目になり……恋人に庇われて、彼だけが助かってしまって。

自分もそのまま死んでしまいたかったが、恋人は死に際に「ぼくの分まで、生きて欲しい」と願いを託されて。さらには星の彼方……宇宙からやってきた生命体と遭遇して。

ヤァータと名付けられたその生命体は、主人公を主としてカラス型の使い魔に化けて傍にいることに。

 

奉仕対象をひとまず主人公に絞っている間は、この世界を観察する期間と定めているので大人しいヤァータですが、その制限がなくなれば「世界を滅ぼす」と言っていて。

ヤァータ的には奉仕するための善意みたいですけど、それを受け入れられる土壌がないんですよね……。

「個」が確立していて、それが相互理解を阻んでいるからその障壁を取っ払いますとか、人類全員素材にして融合させますみたいなこと言ってるので(強制かつ強力なテレパシーで隠し事できなくするとかの方向かもしれませんけど)、そのレベルまで到達することなさそうですけども……。

 

主人公は数日かけてエネルギーをチャージして、それを用いた狙撃で敵を仕留める「狙撃魔術師」と呼ばれる職業についていて。結構な実績を積んでいるものの、「国を挙げて、凶悪な竜を討伐した」といったプロパガンダに利用されるため、彼自身の功績として公に認められることはない。

狙撃に専念できるための囮を国を挙げて行っていることがほとんどだという事もあって、彼はそれを受け入れています。

それにわかる人はわかってくれてますしね。……腕を認めた押しかけ弟子まで出てきたりもしてるんですけども。

 

恋人の死や、異界生命体に憑りつかれていること、狙撃魔術師としての待機時間が多いこと。いろんな理由が重なって一人でいることが多かった主人公ですが。

押しかけ弟子ことリラの影響が大きいですけど、彼女を正式に弟子と認めることになったことから少しずつ世界が広がっていくのが面白いですね。

人類から強大な敵が竜や悪魔、精霊と数多く取り揃えられているんですよねぇ。かつては貴族が命を賭ける生贄じみた術を使って強敵を打破していたのを想えば、狙撃魔術師と言いう新たな形式(数日かけてチャージする必要があったり、最善とはいいがたいけど)を生み出して対処できるようにはなってるので、時間かければまたできる事増えそうではありますけど。

竜種とかの強大さ見ると、それだけの時間が人類にあるのかは悩ましいですが。今まで生き延びてるから、なんだかんだしぶとく生き延びるかもな。



隻眼錬金剣士のやり直し奇譚1 片目を奪われて廃業間際だと思われた奇人が全てを凌駕するまで

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「諦めろって? お断りだね。視力を奪われたことは百歩譲って許せても、あんな不甲斐ない負け方をして、そのまま終わるなんて絶対にない。俺にとってそれはあり得ないことなんだよ」

 

五年ほど前に、ダンジョンが現れた世界。

そこに挑む探索者にはゲーム的なクラスやステータスが与えられるし、魔法やポーションといったファンタジーアイテムも産出する。

ダンジョンには夢があるが……ステータスの底上げがあっても攻略は容易ではなく、半端な覚悟で踏みこめば命を落とす魔境でもあった。

 

主人公の八代夜一は、そんなダンジョンが誕生した黎明期から踏み込んだ先行組と呼ばれる一人。C級最上位の実力を獲得し、日本で5人目のB級となる有力候補とも目されていた。

しかし、「試練の魔物」と呼ばれるイレギュラーの魔物と遭遇した際に、片目を奪われて戦闘に支障がでるようになってしまった。当時挑んだ仲間も、結婚で引退するものもでてパーティーは解散。

それでも夜一は、試練の魔物の打倒を諦めてはいなかった。近接に特化した剣豪のジョブを乗り換えて、錬成術師と呼ばれる生産系のジョブになって。

父親が経営しているダンジョン関連の事情を行っている会社の特別顧問としての役職を貰い、色々と知識を提供したりしていたようです。

ダンジョン関連のアレコレを扱う関係で、ダンジョンでの実習とかも行っている指導役を務められる人材は結構貴重なのでは。彼を落ちぶれたと見做して馬鹿にしてくる新人もいましたが……まぁ特別馬鹿なの一人だけだったのは安心した。

他の面々は話聞いてくれる、真っ当な社会人多かったですからね……。

 

そうやって指導に赴いた先のダンジョンで、なんの運命の悪戯か自分の眼を奪った試練の魔物と戦う羽目になってしまった夜一。

過去の敗北の際に得た経験と、試練を超えるために積み重ねて来た全てを注いで、試練を一度は超えたのはお見事。……まぁ、その後予想外のパワーアップをしてきて、夜一も死線を潜る羽目になったわけですが。

そうやって強化された試練を超えたことで、これまで以上の力を得たので、上手く使えば影響力を高めることも出来そうです。

……当人は研鑽にばかり目が向いてそうですけど、試練を乗り越えて得た報酬がとんでもなかったり、結果としてダンジョンを一つ崩壊させてしまってバカ議員がちょっかい出してきたりとか、面倒事も同時にやってきたのがなんともですが。



全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティーが病んだ。2

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「名誉がほしくて、命を懸けたわけじゃないからな」

(略)

「みんなが生きて、ここにいてくれる……それだけで、俺にとっては充分すぎる『褒章』だ」

 

1巻読んだ後、続きが気になってWEB版読みに行ったんですよね。

だから、カラー口絵で聖女三人のカラーイラスト見られたのが嬉しかったですね。

星眼の聖女ユーリリアス、眼帯してるのにかわいいし。この作品の挿絵だとキャラの眼が特徴的になっていますけど、そこが隠されているからか神の方にキラキラの効果は行ってるの良いな……。

ウォルカはアンジェが聖女であると知らないから、四人そろって並んでいる構図は読者にしか分からないものですけど、とても良いですよね。

福禍の聖女アルカシエルの聖女パワーで浮いてる謎物体も、イラストになるとそりゃ眼を引くよな……って納得がありましたし。

 

プロローグが、ならず者に利用されることになった少女ルエリィ視点。

仲間と和気あいあいと冒険者を楽しみ、中級と見なされるCランクに至ったものの……対モンスターはなんとかできても、対人の部分で警戒が甘く付け込まれてしまい、利用される状況に陥ってしまった。

……こんな悪意に満ちたイベントが、この作品の世界では珍しくないんだろうなぁ。ウォルカがダークファンタジー世界の創造主であるクリエイター(神様)に恨み言を吐くのもまぁ無理はない。

 

ただ、転生者で原作知識のあるってことを知らない他の面々からすると、普通に「神を恨んでる」認識になって歪んでいるのがまぁ……はい。

ウォルカが命を懸けたことで、執着強まってるパーティーメンバーとか、聖女の前でポロっと零しちゃうから、病みが深まっていくのでウォルカは毎回胃を痛めてますが、全て君の行いが跳ね返ってきてる結果なんだよ……がんばれ……。

 

ウォルカ、そうやってクリエイターへの恨み節を零すことはあれど、それはそれとしてファンタジー世界で「抜刀術」を極めるために厳しい修行に打ち込んだり。慈悲を与えようとならず者はまた別のところで同じことをするから、ならず者相手に情けは無用。それが次に奪われる誰かの命を守ることに繋がる、という祖父の教えを守って切り捨てる覚悟を決めているので、なんだかんだこの世界に彼なりに適応してはいるんですよねぇ。

その上で、原作では破滅するハズだったパーティーメンバーと一緒に生存するルートに入れたので、ある意味では万々歳。

死線を超えてより一段高みに行った剣術を極めるのに、義足だと不便だなぁ……みたいなシーンがあったり、胃を痛めまくってはいるけれど、ウォルカ的には現状にある程度満足してる、というのが特殊ですよね。

 

ダンジョン踏破事故が起きた原因であるパーティーに対して、思う所はあるかと聖女ディアに問われたときに「審問が正しく行われるならそれで」と言えてしまうのは、彼の強さではありますけどね。

……別の場面でロッシュから言われてましたが、「身を挺して行動できることは美しいが、欠点でもある」って言うのがまさしくそうなんですよねぇ。

パーティーメンバーの闇が深まっている中で、彼が今後どう生きていくのかは気になるところ。WRBも更新ペースゆったりなので、続きを気長に待ちましょう。

フェアリーメイド1 傷だらけの妖精職人と壊れかけの人工妖精

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「ねぇマスター。あなたの望みは、なんですか?」
「俺の……望みは……」
 

11回オーバーラップ文庫大賞金賞受賞作品。

人々の生活を助けるために生み出された疑似生命、フェアリーメイド。

かつて栄えて、しかし人間に滅ぼされた妖精たちがエネルギーとなることで生まれた「マナの大流」。そこからマナを一つだけ取り出して器に込めることで稼働する機械だったが、経年劣化などから稀に暴走して、人を害することもあった。

さらに近年では寿命を迎えていないのに暴走する、特殊な事例も勃発していて……。

 

主人公のリュウジは、天才と謳われる父親シシヤマ・テツジから基礎を教わり、父と同じ最高峰の職人である「三天人」の称号を持つバーンズに指導を受けてフェアリーメイドを作る職人を目指していた。

しかし初めてフェアリーメイドを生み出した後、ある悲惨な事件が起きて……彼は、フェアリーメイドを破壊することを生業とする「壊し屋」として活動することに。

その傍らに彼の幼少期を知り、もうじき寿命を迎えることになるフェアリーメイド・ティルトアを伴って。

 

主な活動を壊し屋にしたとは言え、妖精職人として学んだ経験も活かしつつ、無茶を言う依頼人に応えようとしてるのは、彼も真面目と言うか。善良な性根を捨てきれてないなぁ……と青さを感じましたね。

若いのに色々背負いこみすぎてるから、擦れすぎるよりは全然良いですけど。

 

道を違えたことや、両親を亡くした後保護を断ってから師であるバーンズ相手には若干気まずい部分もあるみたいでしたけど。

十三人いる彼の弟子が立て続けに失踪する事件が起きて、無事が確認できるのが不肖の弟子であるリュウジとなれば無下にも出来ず。

「アリシア・シンドローム」について調べ、いくつかの事例に遭遇したことで、リュウジは真相に少しずつ近づいており……バーンズからの呼び出しに応えたことで、彼は真実を知ることになるわけです。

消された歴史、「アリシア・シンドローム」がなぜ起きるのか。そうした問題について深く知った彼が選んだ行動は……まぁ、彼らしいものではありましたね。過去を一つ越えた上で、次なる目標として誰もなしたことがないものを掲げた彼の旅路が幸い多い事を願うばかりです。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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