気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

感想(ライトノベル)

異世界転移、地雷付き。6

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「……ノーコメント。だが、訓練は良いと思う。常に万全で挑めるとは限らないしな」

 

幽霊として残り続けていたエディスと出会い、彼女との交流の中で得られた知識や錬金術の道具とかを得ることが出来たナオ達。

しかし、そもそもエディスと対峙することになった切っ掛けは、アンデッド対策を求めてのもので……その方面でいえば、成果はアミュレットのみ。トーヤにとっては生命線ながら、他のメンバーの攻撃手段が増えていなかったりと、現金収入とかも踏まえて考えると、一連の騒動の収支は微妙な結果になっていて。

 

現実的には属性鋼を使った武器に頼るしかないということに落ち着いて。

決して安いものではないけれど、エディスから情報を得られたことで自分たちで属性鋼づくりチャレンジをすることに。

平行して金策も行うことになっていて、近ごろ取れていない銘木の採取も選択肢の一つとして挙がって。

 

情報収集をしている中で見えてきたのは、腕利きの冒険者でも上手くいかなかったのは、魔物への対処は出来ても伐採後の樹木を運搬する手段が限られており、そのために人手を増やせば割の良い仕事とは言えないためだそうで。

一番の問題である運搬をマジックバッグで解決できるナオたちにとっては、挑戦する価値のあるものだった。

……まぁ銘木が巨大すぎて、魔法も即断できるほどのレベルには達しておらず。トーヤの身体能力だよりだったり、まだまだ精進が必要だなぁって感じではありましたが。

ラファンの産業が停滞しそうな状況で、銘木の供給を担えるということでナオたちの価値が上がったのは、今後を考えると良い一手だったのでは。

 

サイドストーリーは「トミー釣行へ挑む」と「翡翠の翼 其ノ三」を収録。

トーヤがなんだかんだトミーを気にかけているの、良いですねぇ。実戦を経験して外に出ているトーヤ達とは違って、トミーは街で鍛冶師の弟子としての立場を得たので、戦闘経験が乏しいのが分かるエピソードが入ってたりしたの結構好きですね。

ナオ達の積み重ねがしっかり身になっているのが伝わってくるのが良かった。

翡翠の翼も領主からの指名依頼を受けることになったりして、そこそこ順調ではありましたが……現場に来たのがバカ貴族だったり、苦労してるなぁ……って感じもした。

異世界転移、地雷付き。5

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「……みんなの頑張り、そしてディオラさんとリーヴァの協力もあって、こうして家を手に入れることが出来ました。少しは危険なこともありましたが、それでも大過なくすごせたのは慎重に仕事を選んできたからだと思います。これからもボチボチ頑張りましょう。そして、ハルカ、ユキ、ナツキ、美味しそうな料理をありがとう。乾杯!」

 

ついに家が建ち、シェアハウスとは言えど一国一城の主となったナオ達。

五人で協力し合っているのもありますけど、なかなかうまく異世界に適応していってる感じはありますね。

新築祝いでパーティーを実施することになって、世話になっているディオラやリーヴァも招いてワイワイやっているのとか、楽しそうで良かった。

 

そうしてできた家をより良い場所にするために、ナオとユキが協力して魔法を駆使して湯舟を作成したりする中で、拠点が明確になったことで改めて今後について話をすることに。

冒険者稼業はほどほどにして、危険なことには挑まずのんびり暮らしていくことも出来そうな状況ですしね。

 

トーヤなんかはケモ耳の嫁をゲットするためにも、貯蓄しないといけないし強くなるのは楽しいからもっと上を目指したい、と真っ先に意見を出していましたが。

ナオとハルカはエルフだから長命だし、ナツキやユキは人間だけどスキル強奪を使われた関係で一般人よりは長生きしそうだから、普通の人との結婚は考えにくい状況という意見も出たりして。

まだ若いから、と挑戦を続けていくことになって。高ランクを目指すために、森の奥へと踏み込もうとしますが、アンデッド系のモンスターと遭遇して足止め。

 

対応策を探す中でナオは神殿に足を運び、流れでお祈りをしてみたところ……邪神のささやきを聞くことに。この世界ではアドヴァストリスと呼ばれ、街中に神殿があるちゃんとした神様だったみたいです。邪神を自称する辺り、悪戯好きな神話とか探れば出てきそうだな……とは思いましたが。

某ゲームの王様みたいにレベルと経験値を通達するつもりがあったり、遊び心が多い神ですよねぇ。経験値アップ系、使い方によっては有効だったそうですが、何だろうな。

 

家を探す時に話題にあがった、悪霊が憑りついた貴族関係の屋敷の問題解決に乗り出すことになったり。そこから派生して、野盗退治も行うことになったり。

高ランクになるということは、対人も経験することにはなるでしょうし。地球とは違うルールがあって、襲われる危険性があるわけだから対処できないのはリスクだ、という意見もあって。乗り越えるべき課題を超えられたのは良かった。

 

サイドストーリーは「俺の冒険はここからだ!!」。大金持ちスキルをとったマサルくんことサイのエピソード2話。冒険者仲間を見つけて、迷宮都市のダンジョンに挑もうとしていて、こっちはこっちで良い冒険してますよね。全員男のむさくるしい集団ではありますが。気になる少女との出会いがあったりもして、少しずつ進んで行くんですかねぇ。

異世界転移、地雷付き。4

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「まぁ、あまり考えても仕方ありません。さほど脅威ではないですし、問題が起きたときに考えましょう。街の外であれば、その時こそ処理してしまいましょう」

 

オーク討伐を続ける中で、リーダーを含む十一匹の群れとの戦闘に勝利を収めたナオたち。

ただその過程でナオが大怪我をしたり、戦力不足を痛感する結果でもあって……。

サブウェポンを充実させるために、ガンツに弟子入りが叶ったトミーへ依頼を出すことになったり。

 

絶賛家建築中の自分たちの土地の片隅を借りて、集団専用の特訓を増やしたり。勉強からの実戦で、魔法障壁とか言う新しいスキルをナオが発見したり。できる事を着実にやって戦力増強を図っていったナオたち一行。

その成果を確認するときも、無理のない範囲でやっているのが良いですねぇ。

 

あとはラファンの街の名物が家具生産で、職人が多いという世界観の話も出てきて。

銘木が取れる場所が街の北部にあったけれど、当時よりも魔物の脅威が増えたことで近ごろは伐採できずにいて、残った木材をやりくりしてるとかなんとか。

ほのぼの過ごしている日常もありましたが……。よもやラファンで地雷スキルを取得して冒険者になって生き延びていたクラスメイトと鉢合わせることになろうとは。

スキル強奪みたいに即座に死につながるようなものではないにせよ、制限がかかるスキル持ちばかりで集まっていたのを「危ないスキル持ちが淘汰されたからじゃないか」と推測していましたが、まぁまぁ合ってそう。

 

異世界で好き勝手振舞おうと思った勢でもあって、女性陣にちょっかいかけてきたり、行き過ぎて依頼中のナオ達に攻撃を仕掛けてきたりしていましたが。

街の住人である錬金術師のリーヴァから証言を得られて、遠ざけることが出来たのは良かったですね。

サイドストーリーとして、女子三人組の「翡翠の翼」編の2話が収録。尖ったビルドにしたメンバーですが、協力し合って乗り越えていってるのは素晴らしい。

異世界転移、地雷付き。3

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「もっと、鍛えないとな。……ハルカを守るためにも」

 

ナオ達はまずはギルドに物件の紹介をお願いしたものの、希望する条件を満たすものはなかった。

そこで、土地を購入して希望の家を建てるコースで検討することになったわけですが。さすがに土地と家を合わせた分の出費を賄える貯蓄は無くて。

ディオラが土地の交渉をしている裏で、ナオ達は改めて金策に走ることに。

 

他の転移者が干渉したと思われるアエラの喫茶店、当初は豪華すぎる外装からお客さんが入っていませんでしたが、ナオ達がアドバイスしてからは好調そうなのは良かったですねぇ。

そしてアエラさんに金策についての相談をして挙げられたのが、マジックキノコというキノコだった。ヴァイプ・ベアーの好物で採取の時に鉢合わせるかもしれない、という危険はあるというが挑戦することを決めて。

いろいろと備えていたこともあって、危なげなく討伐出来ていたのは良かったですねぇ。

そして次の標的としたのが、オーク討伐にもチャレンジすることになって。泊りがけの遠征をするよりは、魔物討伐して自分たちのレベルを上げる方を選んでいるのが彼等らしいか。

 

その一方で、スキルの習熟にも励むようになってましたが。協力プレーでマジックバッグの作成にも挑戦し、ある程度形になっていたのもお見事。

最初はインクで魔法陣を書く一般的な方法ではなく、時間をかけても刺繍をしてやりやすい方を選んだり、軽量化や時間遅延を複合させるのではなく、ひとつの能力だけをつけるといったり、成功しやすいように工夫もしてるのが偉いですよねぇ。

時空魔法の使い手は貴重で、マジックバッグを売りに出したりすると貴族に目を付けられそうだ、ということで秘匿することにはなっていましたけど。それはそれ、自分たちの利便性と成長の為に試行錯誤を続けてレベルアップしていたのも良い感じでした。

 

サイドストーリーとして、ナオ達がすれ違いちょっとだけアドバイスすることになったドワーフを選択したトミーの立志編が収録。少しばかりの資金援助を受けて、一人で過ごすのも苦労するのに三人で過ごすのはどれだけ大変だったろう、と思える彼で良かったですねぇ。助けた甲斐がある、というか。

 

あとは、ナオ達との接点がない完全別視点となるマサルくんサイドストーリー「俺の冒険はこれからだ!」も収録。所持金が20倍になる大金持ちスキルをとったけれど、初期資金が20倍になるだけの罠があって。でも他は健康・長寿・病気耐性・毒耐性みたいに堅実な選択してたのと、初動でミスりつつも良い出会いが出来たのでまぁ差し引きプラス勢ではあるんじゃないですかね……。

少なくともスキル強奪からの即死勢よりは真っ当に異世界ライフを送ってる。

異世界転移、地雷付き。2

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「ま、あの対応をした一番の理由は、“敵”になりそうな相手の瀬力を落とすためだけど」

「――え?」

「いきなり騙そうとするなんて“敵”じゃない。あれだけスキルを封じられたら、よっぽど努力しないと私たちの脅威にはなりそうにないでしょ?」

 

ある程度冒険者として稼げるようになってきたナオ一行。

そんな中でハルカが「一時的に街を出よう」と提案してきて。それは再会できていない彼女の友人、ユキとナツキを探したいという希望からだった。

ナオとトーヤにも友人はいたものの……異世界に来て、身一つで生きていくという状況でわざわざ探してまで合流しようと思える相手は、今いるメンバー以外にはおらず。

 

ハルカの友人が女子2人だということ。これまでの活動から同じ町にはいないだろうこと。邪神を名乗って転移させた相手は、地雷スキルを設置したけれど街の近くに転移させてくれたり温情があること。

様々な事情を勘案して、ナオ達も友人探しに同意して動くことに。

ギルドの受付嬢や鍛冶師のガンツさんと良い交流できてるのも大きいですよねー。ルーキーが金のにおいをさせてると面倒な奴らが寄ってくる、とかアドバイスもらってますし。

ハッタリも必要だ、というのは大事な観点ですよねぇ。

 

さぁそうやって備えて友人を探しに行こう、と思ったところに地雷スキル持ちの元クラスメイト女子が現れて。スキルコピー持ちで、しかも暴走気味とか言う地雷案件だったのであーあって感じではありましたが。

その後行き倒れていたクラスメイト、トミーくんは地雷スキルは持ってなかったので「今」の普通の対応をしていくことになって、明暗分かれるなぁって感じ。

そうやって予期せぬ出会いがあった中で足を運んだ別の街サールスタットで、目的の2人とすぐに再会できたのは良かったですねぇ。

料理関係だったりはあまり振るわなかったですけど、本屋で使い手が居ないからとほぼ飾りとして置かれていた時空魔法の魔導書を初級・中級・上級を一揃い購入できたり、思わぬ収入があったりはしたし、大目標の友人と拠点としてるラファンの街へ移れることになったので収支プラスでナイス。

 

まぁ5人で活動していくことになると宿生活よりは、家を持つ方が良いなぁってことで出費がかさむことにはなるんですが。稼いでるから「家を買った」と分かりやすく出費したアピールしよう、という別の目標も達成できるので良し。

エルフの料理人アエラとの良い出会いがあったりもしましたし、ラファンはなんだかんだ良い拠点だと思いますけどね。

 

トミーが転移してから出会った男子2人は地雷スキル持ちで自滅してましたが。

サイドストーリー「翡翠の翼」として、ナオたちとそこまで親しいわけでもなかった女子3人グループの異世界転移模様が見られたのは良かった。自滅するばかりじゃなかったのは良かった。なんか思った以上に「スキル強奪」で死んだクラスメイト居たっぽいですしね……。



異世界転移、地雷付き。

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「命大事に!」

「「い、命大事に?」」

「英雄なんて目指さない!」

「「英雄なんて目指さない」」

「堅実こそが一番の近道!」

「「堅実こそが一番の近道」」

 

修学旅行に向かうバスが事故にあい、乗っていた生徒が全員死亡。

……そして、そんな彼らに邪神を名乗る存在が語り掛けてきて。「レベルやスキル、魔法のある異世界に転移させてあげよう」と、なんとも怪しい誘いでしたが。

タイトル上で「転移」になっているのは、異世界で生まれ直して赤ちゃんからスタートではなく、肉体年齢的にはそのまま邪神ボーナスが載った状態で異世界にわたる、という流れだから。

 

それぞれの生徒にはポイントが与えられて、転移の前準備として取得したスキルを持っていくことができるという恩恵があって。

邪神様、生徒たちの欲望にまみれた願いに「『スキル強奪』スキルが欲しい? いいよ、実装してあげる!」とかみたいな感じでポンポン応えてくれるんですが。

そうやって増やされたスキルの大半には、『ただし使うと○○の不具合があるよ』みたいな隠し効果があって。それを指して、地雷スキルと作中のキャラは称してましたが。

最初から用意されていたスキルは基本罠が無いし、ヘルプ機能みたいなシンプルに助かる機能も実装してくれているので、欲深い者が身を滅ぼした、ってことにはなりますけども。

 

主人公のナオは、邪神の誘惑には乗らず割と堅実なスキル構成にして。魔法が得意で寿命が平均的に人族の2倍になるエルフを選んだことくらいか? ちょっと変わった選択。

友人のハルカも(ナオが選びそうだったからという部分はあれど)エルフ選んでいたし、男友達のトーヤは「ケモ耳の嫁をもらうため」に獣人を選んでいたりしたので、種族変えるのはそこまで変な選択でもなさそうでしたけどね。

 

ハルカが「異世界の常識」という追加スキルを取得していて、彼女がナオ達をフォローしてくれていたり、無謀な冒険には挑まず堅実に行こうという方針でまとまれる三人だったこともあり、異世界へ放り出されてから文化の違いに戸惑いつつもなんだかんだ生活できていたのは良かったですねぇ。

地雷スキルを取得してしまったせいで速攻でデッドエンドに到達している輩もいるのを見ると、危なげがないんですよねぇ。安心してみてられる。


異修羅Ⅵ 栄光簒奪者

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「諦めないぞ……ここで諦めたら、私は私でなくなってしまう。私も、諦めたりはしないぞ。アルス。貴様に追いつくのだ。そのためにやってきたのだ……!」

 

おぞましきトロアは、六合上覧で敗退した宿敵星馳せアルスが亡き父から奪ったヒレンジンケンの光の魔剣を回収を最後の仕事としてワイテへ帰還しようとしていた。

しかしその行いは、宝を求める冒険者アルスを刺激することになり……因縁のアルスVSトロアという、六合上覧外での修羅同士の戦いが勃発することになるわけです。

 

死んでいるハズのアルスが動いたカラクリは、彼が奪ってきた宝の中にあったチックラロックの永久機械の作用だった。肉体の喪失部分を機械に置き換えて代用してくれるが……使った時点で以前とは同じ生命体として在ることはできず、意志もドンドン失われていく。

製作理念としては肉体を機械で補って生きていくためのものだったんでしょうが、制御しきれず利用者すら蝕むならそれは欠陥品だよ……。

しかし使った宝が欠陥品だったとしても。それを扱うのが星馳せアルスとなればその脅威は計り知れないわけですよ。

 

癖の強い修羅が集うとなれば黄都の周囲で騒動が起きることは避けられず……ゆえにこそ、二十九官もまたそれに備えていた。

相手の弱みに付け込んで蹴落としている、同じ組織の人間だけど完全に背中を預けられるような信頼のない内ゲバ好きの集いという側面ばかり強く見えていましたが。

黄都に対してその力を使う者に対して、魔王自称者認定をして、一丸となって戦いに望んでいたのは驚きましたし格好良かったですね。本物の魔王時代から続く戦時体制、というだけの事はある。

 

一方そんなアルスと因縁のあるハルゲントは……冬のルクノカという脅威を擁立し黄都に危機を招いた狂人と評され、アルスが敗れたことによる喪失感もあって、長期療養を命じられて病院に押し込まれることに。

そこで柳の剣のソウジロウと出会って、「恐怖」についての話だったりをしているの、予期せぬ出会いでしたけど不思議とかみ合っている感じがして面白かったですね。

 

しかしまぁ宝を駆使して暴れまわるアルス、本当に恐ろしかったですね。

勇者候補たちへ協力要請がでてシャルクやツーが駆けつけてくれたり、二十九官や黄都の一兵卒だって奮闘して……それでも被害が積み重なっていく。

……こんな恐ろしいアルスを打ち倒すルクノカを擁立してきたら、そりゃハルゲントの狂人評価は順当だろうな……みたいな気持ちも沸きましたが。

 

でも、ハルゲントの狂気って凡人の無謀の枠に収まっているというか。それで犠牲になった部下たちからすればたまったもんじゃないでしょうけど。6巻内で、本物の魔王が現れる前に最悪の魔王と称されていた色彩のイジックの暴虐を見せられると、狂気度合いで言うと常人よりでしょとも思う。

凡人だけど夢に向かって足を止めることをしなかった。自分が「余分」な存在であることを自覚した上で足掻き続けた。多くの人には愚かと言われるだろうけど、その在り方を好ましく思った冒険者が居て……その絆があったからこそ、今回の終わりを迎えることになったのが切なくて悲しい。

至るべき結末だった、感もありますが。第二部完結に相応しい激闘であったと思います。

異修羅Ⅴ 潜在異形種

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「今は進まずにいても、いつか戦いに来る。お前に言ったその強がりを……じゃあ、今の俺が守れなくて、どうする……」

 

今回は逆理のヒロトたちと、黒曜陣営の描写が多かったのでいつも以上に暗躍してるなぁ……って感じがありました。

メレとシャルクの戦いみたいに派手なシーンもありましたけども。

リナリスが空気感染できる得意な血鬼である、という切り札を活かして色々と工作を働いていたわけですが。

ジギタ・ソギはその動きを感じ取って「見えない敵」と呼称し、的確な動きを取っていたんだからお見事。

 

リナリスもジギタ・ソギもヒロトも。

それぞれタイプが違いますけれど、策謀を張り巡らせる力が秀でているのは確かです。

ただ、六合上覧に挑むような修羅に近しい彼等であっても決して万能ではなく……。

例えばリナリスは、表で動く担当だったゼルジルガが見事に成果を上げて戦力を増強することに成功していたわけですが。終盤の展開では、配下を失う失態を演じてもいるわけですし。

ヒロトやジギタ・ソギもまた、この六合上覧を通じて達成したい目標の為に、い協力関係で会ったオゾネズマに伏せていた情報があり……それが耐えがたい喪失に繋がっていくのがままなりませんね。

 

軸のキヤズナという魔王自称者が作成したメステルエクシルという特級の戦力が、状況をかなり引っ掻き回すコマになってしまったことが今後にどう影響していくのかは気になるところです。

参加者がバチバチやりあうだけじゃなくて、擁立者である二十九官の間でも相変わらずの工作合戦があって。

メレとシャルクの戦いにおいて、互いに有利な戦場を確立しようと噂を流した程度は本当に可愛いもので。失点を演じた相手から速攻で権限を剝奪して蓄えた資材を奪いにかかっているの、改めて恐ろしい場所だなと思いましたね……。

でも、メレと彼の擁立者である空雷のカヨンとのやりとりだったり、戒心のクウロとおぞましきトロアの交流とかはちょっとホッとしたというか。この業の深い戦いの中でも……いや、だからこそ輝いて見えるものはあるんだなぁと思いました。



お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件9

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「……周くんは私を何度泣かせたいのですか」

「それが嬉し涙なら何度でも」

「……もう」

 

周の誕生日を祝い、部屋に泊まった真昼。

早くに起きて周の寝顔を眺めてる真昼も可愛いし、布団の魔力とそんな彼女が側にいる幸福感から二度寝しそうになってる周は本当にもう……。

お互いにお互いへの好意を隠さず、大切にしあっているの良いですよね。

大分関係がこなれてきたというか、学生カップルというよりは若夫婦みたいな距離感なんだよなぁ。でも幸せそうな2人を見ているの本当に楽しいので、もっとやれと焚き付けたい所存。

 

真昼という大切な人が出来たことで、周の軸が定まって。

彼女を大切にしている態度を見てきたクラスメイト達から、「昨日誕生日だった」という話を聞きつけられてお祝いされてるのを見ると、大分変ったなぁという感慨深さがありました。

時間を費やして2人の関係が深まっているわけですが、学生としてみると受験とか進路とかを本格的に考えないといけない時期でもあって。

樹は相変わらず父と反発しているし、真昼は三者面談があることを両親につたえてすらいなかったし。それを思うと、周の両親は本当に良い人だよなぁ……と思う次第。

 

そんな日々の中で、真昼の誕生日も近づいてきて。

真昼は誕生日を周囲に伝えたがらないことや、そもそも良い思い出がないイベントだったわけですが。

そんな彼女に幸せを与えたい、と「準備して祝わせてくれ」と真正面から伝えるの実に周くん過ぎて笑っちゃうな。

当日は2人だけの時間にしたけれど、準備時代は友人たちやバイト先の人々なんかも協力してくれて。普段の周だったらやらない決断なんかも下して、本当に最高のお祝いにしていたのは良かったですね。

 

ドラマCDとスクールカレンダー付の特装版も同時発売していて、そちらも良かったですねー。スクールカレンダーは眼鏡スタイルを楽しめるという売りのために真昼の顔アップだけでしたが、可愛いですよね本当。



獄門撫子此処ニ在リ2 赤き太陽の神去団地

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「アマナは、確かにまっとうな人ではない」

(略)

「でも……わたしはアマナのこと、きらいじゃないのよ」

 

現世と幽世のはざまにある『神去団地』。

閉じ込められた無耶師たちが争っている、かなり特殊な場所であったようですが……。

別件の調査をしていた撫子とアマナはその場所へと迷い込んだ、というか。引きずり込まれた、というか。

 

最初は撫子が、自分が獄門家の人間であるという記憶も失っていて。

アマナと早々に会えたことで、「獄門撫子」としての自認は直ぐに取り戻せていましたが、欠けている記憶なんかもまだあって。

さらに神去団地からの脱出方法もないということもあって、団地を巡る騒動に対処する必要に駆られるわけです。

 

撫子とアマナが合流したり、時には分断されたりしつついろんな勢力と交流や戦闘をしているのが面白かったですね。

アマナの本性を知る相手に「まっとうじゃないけど、嫌いじゃない」と言っている撫子、割と彼女の事好きだよなぁというのが良かった。まぁ終盤にも良いシーンは合ったんですが。

一方でアマナは愉快な二等儀式官の四月一日白羽と合流し……本調子でないけどウキウキで無耶師相手に暴れていて笑いました。ゲーム好きだからリアリティ増してる幻術だされて、挿絵でもあんな良い笑顔してたら笑うしかなくないですか!?

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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