気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

感想(漫画)

英霊剣豪七番勝負5

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「立て武蔵!!!」

「まだ膝をつくな……!!!」

 

久しぶりの新刊だなー、と思ったんですが奥付見たら実際2年くらいの休載期間があったみたいですね。無事に連載再開となって、単行本出ているのは単行本派としては嬉しいところ。

 

本編は3034話を収録。

結界があって外から干渉されたら察知できるはずだったのに、黒縄地獄と衆合地獄が襲来してくるまで気付けず。

さらにはおぬいと田助も行方不明と、トラブルが立て続けに起こったわけですが……。

敵襲の最中では真相究明に奔走するわけにもいかず、戦闘に向き合う必要に駆られるわけです。

 

……敵は小手調べと言った一撃で見開きで地面割ったりするし。

立香の影鯖召喚もしっかり描いてくるので、相変わらず仕事が細かいというか。こだわりを感じますね。

アサシンを連続で召喚して、バーサーカーな酒呑童子こと衆合地獄相手に首を刎ねて、物理的に敵をそぎ落としにかかった立香は戦い慣れてますね……流石に口元抑えるシーンもありましたが。

それだけ果敢に攻めても「足りない」と言ってくるんだから、本当に名前通り相手するの地獄だな……というほかない惨状でした。

 

分断された立香が奮闘している傍ら、武蔵ちゃんたちも足掻いていましたが……今回の英霊剣豪は並みの敵ではなく、撤退を余儀なくされることに。

それでも、生きているならまだ次があると心まではおられていないのが、良かったですね。


月刊少女野崎くん16

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「っていうかなんか女に厳しくねぇか」

「少女漫画の女の子は凄く頑張るんだよ」

「そしてその姿に男は惚れるんだ」

 

149158話を収録。

「慣れない恋に四苦八苦する男子高校生」という新連載の話題で「男主人公なら俺の方が上手く書けるのでは?」とか言う野崎君。……君、大分特殊事例すぎるし、独特の感性すぎるから無理だよ……その味わいがあるから人気漫画家やれてるんだろうけど、方向性が違うよ……。

 

150話は若松が友人に相談を受けているシーンを目撃して、後を付ける野崎と瀬尾の話で……ストーカーやめーい。今更か。

相談相手との半分こはしないのに、瀬尾相手には若松が自分から食べ物半分こしましょうと行くの、後のコマで最近食べ物で失敗してばっかだから美味しいもの食べて欲しいという純粋な好意と書かれてましたが、「特別なんですね」と言われてるのも間違いじゃなさそう。

 

演劇部はいつも通りワチャワチャやってるし、野崎と佐倉の交流も相変わらず噛み合ったりすれ違ったり、自由だなぁ……と思いました。

「溺愛」が分からないと言って試行錯誤してる過程があまりにも変なのに、出力された短編は面白いと評判なの逆にすごいよな……。

マリーゴーラウンド2

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「休日は平日余った仕事を片付けたり教育関連の本を読んだりしてます」

「休息素人じゃねーか」

 

1017話とオマケを収録。

婚活シェアハウスと言いつつ、各々に事情というか悪癖というかを抱えて集った、変人の巣窟みたいな状況になっていたわけですが。

社長、カップル厨というか……幼馴染兼秘書の青年から内心で「お見合い女」なんてツッコミ貰ってましたが。私財をはたいてシェアハウス買って、自分の生活が危うくなってるほどカップル観察に勤しんでるのは本物だぁ……って感想にはなりますね。

1週間で部屋を盛大に散らかせる能力の持ち主みたいなので、そうでなくても生活能力皆無っぽいですけど。自分の生活も大事にしてもらって……ついでに、周囲を焚き付けるだけじゃなくて足元も見てもらって……。

 

原中さん、妹大好きで妹とよくやれそう……どころか妹のタイプっぽい人を最初から捕まえてて、妹と元婚約者がよろしくやってるのむしろ歓迎するスタンスみたいで。

取られた側があっけらかんとしてるのに、相手側の方が胃を痛めてそうなのは……まぁ、結果的に元の関係は破綻したけど別に悪人じゃないんだよなぁ、というか。その胃痛の原因、君の姉なんだよな……というか。これもマッチポンプって言うのだろうか……。

馬崎が恋人役に扮して、妹と元婚約者と会う時に同行してましたが。仕事モードというか、スイッチ入ってしまえばちゃんと演技出来るあたりは俳優だなぁ……。

オシバナ! 3

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「…あんたもあっち側 自覚ないんだろうけど」

「夢中になれる事があって 得意な分野が有って やろうと思えば何でもできる人間のくせに」

「自己肯定感もうちょっと上げたら?」

 

21話~30話を収録。

3巻以降、電子限定刊行となったそうです。

王子様と呼ばれる紗和が、彼女を推している大田君を好きになってしまって。

「推し」との関係変化について悩んでいく、という「推し話」で。紗和、大田君だけの推しじゃなくて、ファンクラブがあって学校中にファンがいるのが大田君を悩ませているわけですけど。

メインカップル(未定)の話がじりじりと進んでいる中で、生徒会長となった八王子と紗和の親友である茉莉花が付き合い始めることになったりしてて。

 

……なんならこっちの方がメインカップルなのでは……?。いやまぁ他シリーズでも、複数カップルのエピソード同時進行してたので、どっちもメインと言って良いんでしょうが。

2人が付き合い始めても、紗和と茉莉花の親友関係が終わるわけでもないですし。

八王子と大田君も生徒会長と副会長として、交流が増えているわけですし。

茉莉花が休みの日に、親友からいろいろ話を聞いてるシーンで、大田君が「八王子さん百合の間に挟まる男って感じですね」という台詞に「人の事言える立場か?」と返してる親しさ前提のジョークって感じがする。

同時に大田君「百合の間に挟まる男」ってどっちかっていうとオタクの文脈じゃないかなぁ。マンガ研究部の女子2人が持っている「どこまでオタク用語か一般かセーフか境界があいまいで、外野から見ててハラハラする」という警戒心というか、言葉選びのセンスを磨いた方が良いと思うよ……。

 

2人がキスしてるシーンとか見て「リア充」とか言っちゃったり、推し活に熱挙げてた通り根がオタクだからなぁ大田君。とはいえ、生徒会副会長になったり、色々表に出ることも増えるだろうから、レベルアップは必要なんじゃないかと。あと、いい加減紗和の想いに応えるかどうかの答えを出してほしい気もするし、そこがハッキリするときはシリーズが完結する直前とかになりそうだから、延々と悩んでくれてもええんやで……?という気もする。

 

茉莉花の方は「便宜上」とか進展しない2人にイラついた時にストレス発散に行く先、と表現して「彼女らしいことするつもりはない」なんて言っていますが。

まめに連絡を取ったり週末デートとかしない……といいつつ自然に八王子の家についていって、することはしてるの脳がバグりそう。

八王子も、この状況に置かれて他に好きな子が出来る人いるのか? って考えてますけど。

茉莉花の考え的には、相手を束縛する気はないってことなんでしょうけど、行動では相手をしっかりからめとってるんだよな……。

 

まぁ茉莉花は茉莉花で、ちゃんと紗和好きだった時期があって、でも八王子と関係を進めていく過程で、その恋が終わってしまったと感じて涙を流す場面とか、ちょっと切ないけど好き。しんどくて大変だったけど、楽しかった思い出だからね……。

紗和が隣で寝ていても、特にそういうことしたいとは思わない。けど、八王子が無防備に寝てたらセクハラするという茉莉花、ちゃんと八王子のこと好きじゃん……。

十年目、帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる1

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「数を頼みに勝てると思ってるような奴ら相手に 遅れはとらねぇよ」

 

同名作品のコミカライズ。

主人公のトールは十五の時、普通に学校に行こうと家の扉をくぐったところ、異世界に迷い込んでしまった。

振り返ってもさっきまでいたはずの地球の家はなく、危険な魔物に襲われて命からがら逃げる羽目に。

初期は現地の言葉も分からず、転移に際してありがちなチート能力が貰えたわけでもない。そんな中で帰還の術を探るために彼は冒険者となり……言葉を覚え、冒険者としてもソロでBランクになるまでになった。

 

……しかし当初の目的であった帰還方法については、9年の時間をかけてもさっぱりで。

何の予兆も無くこの世界に来た以上、同じように送り返されてしまうかもしれない。

そんな気持ちから、これまでの9年間でもある程度線を引いた交流を続けて来たみたいです。ただ、異世界生活も十年目という大台に入ることになり、もうこの世界に骨を埋める覚悟を決めて。

十年目の決意記念日をやけ酒で過ごしているのと、深酒してトラブルに遭遇してるのはおいおい……って感じではありましたが。

 

実はトールが立ち寄っていたその街は、近ごろとある騒動が起きていて。

ウバズ商会という街を代表する商会の長であった夫婦が三年前に事故で亡くなり、後を継いだハッランという男が前代表の名に泥を塗るような行いを重ねて。

粗暴な冒険者のクラン『魔百足』という戦力を抱えていることもあって、これまで扱いあぐねていたみたいですが。

トールは根無し草だったこともあり、確実にハッランには与していない。そして実力もあるということで、前当主夫妻の娘の護衛として派遣されることになり……その双子の少女もただ守られるだけの小娘ではなく、ハッランの悪事を暴く貢献をしたりする面白少女だったわけですけど。

トールと双子の出会いと、騒動の解決、そして街を離れるまでの小説1巻のエピソードを1冊にまとめてるので、あちこち駆け足で惜しいなぁ……って感じはしました。


友人の妹4

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「友達裏切って好きな子の事優先する位には いま、麻衣ちゃんの事が好きなのは本当」

(略)

「だって終わりを考えて付き合うのも違くない?」

 

シリーズ完結巻となる4巻。

麻衣が太一と付き合っているという事を打ち明け、兄妹喧嘩勃発したところで引きとなったわけですが……。

4巻は梨子と拓実の義姉弟のエピソードからスタート。幼少期にファーストキスは弟にした、と公表していた彼女が「憧れの先輩が義理の姉になる」という設定のドラマに出ることになって。

 

宣伝も兼ねて実家でのインタビューがおこなわれることに。実際には恋愛ドラマみたいに、姉と「そういうこと」までする踏み込んだ恋人な弟くんでしたが……インタビューの場では「ずっと昔から一緒だから、本当の姉弟みたいなもの」と言い切って。姉に「私より演技上手いのでは」なんて内心で突っ込まれるほど。

姉と共演する俳優さんに、お姉さんと近づきたいからなんて協力持ち掛けられて揺れたりもしてましたけど。卑屈になる自分よりも良い人なんじゃないか、なんて迷いながらも「やっぱり嫌だな」とハッキリ宣言出来たのは前進ですかねぇ。

これまで隠していた姉について友人知人にもバレるインタビューも、姉の仕事の為にという面があるにしよ受け入れたわけですし、変化してってるなぁ……。

 

さて一方の麻衣と太一。康介と良い関係なのではないか、疑惑の遥さんに時間を取ってもらって、事情を教えてもらうことになったわけですが。

太一が中学に上がる前に辞めたバドミントンクラブ。そこに居たコーチと遥さんは付き合っていたらしいですが……実はそのコーチが三股位している女性関係が緩い人で。

コーチを辞める時に分かれて、後から悪評を聞いた形みたいで。遥さんは当時好きだったことは確かだ、としつつある程度割り切りもつけてる当たりは大人だな、というか。

小学生自体の康介は遥に告白した時に、コーチとの関係をこっそり聞いてて、だからコーチが辞めた時に怒りを抱いたりした模様。

 

遥さんは「麻衣ちゃんには私みたいに悪い人に引っかかって欲しくないんだろう」と兄の胸中を分析してました。

そして今になって事情を知って、コーチの情報を追跡して詰めた方がいいんじゃないか、という妹カップルの意見に「あの2人の関係に関しては他人だし、興味本位で引っ掻き回して満足しようなんて何様だ」と言えるのは偉い。

 

……いやまぁ、もう自分が通った道だからするなって話でもありましたけど。そこの割り切りは出来るのに、なんで妹に対しては友人に「悪い虫つかないように見張れ」とか過保護発揮するんだ。麻衣ちゃんから「言葉足らずなのは向こうの落ち度」と言われるのも無理はない、というか。悪い子じゃないけど康介は苦手だなぁ……。

康介君、若い頃に年上の女性に惚れて振られて。その相手が付き合ってた人が悪い人で、でもそれに気付けなくて。「自分もコーチと同じような目で見てた」という、悪い気付きを得て変に枯れてしまってるよな……。妹と友人に「恋愛脳がすぎる」とか言ってるし。

まぁ、兄妹喧嘩はちょっとありつつも、交際それ自体はちゃんと認めてくれたのは良かった。
気兼ねなく外で会えるようになってうきうきプリクラ取りに行く麻衣ちゃん可愛かったですね。 

春夏秋冬代行者 春の舞5

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「雛菊 ね さくらとこれからも 生きて いきたいの…」

 

1822話を収録。

囚われの撫子に権能の使用を強要する【華歳】の御前、いやぁ良い笑みですね。悪党の、容赦ない微笑みだ。

夏主従と秋の護衛が撫子の探索に赴いている間、四季庁舎で残っている春主従。

……さくらにとってかつての友と師ではあるけれど、絶対的な主を失った原因でもあり……どうしたって複雑な思いを抱いている。

 

雛菊も狼星を慕う気持ちはあるけれど、誘拐された生活の中で心を病み別人という自認をしている歪んだ状態になっているわけで。

そんな中でも、「今度は雛菊がさくらの心を守る」と。今より少し楽になれる道もあるはずだ、と希望の道を示してくれるの春の代行者って感じがして良いですねぇ……あたたかな気持ちになる。

 

ただ優しいだけじゃなくて……裏切り者と族が動き始めて、春主従と冬主従がそれぞれ襲撃を受ける展開になっていくのは慌ただしいですけど。

内部に裏切り者仕込んでいるの、根が深いなぁ……。代行者の事を想う一般人的な感性がありつつ、恐怖で支配しているのが賊のやり口。

撫子を追いかけている夏主従と阿左美が、賊への不満を思いっきり口にしてくれるシーンは賛同しかない。

本編がどこもシリアスモードなので、あとがきページにあるオマケ4コマがほのぼの夏主従なのが良かったですね。……夏の代行者である瑠璃があやめに扮して離宮脱走してたの発覚する話なので、瑠璃もバレて気まずいし護衛であるあやめが鬼の形相になってるので、当人たちは穏やかじゃないですが……。

魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?13

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「ネフテロスは私が守ると約束した だから…… あのこも私が倒してあげなければいけないんだ」

「…いいだろう それでこそ我が盟友だ!」

 

6367話を収録。

ネフテロスを庇護して、キメラ討伐に赴くシャスティル達教会陣営。謎の人物の襲撃問題とか、頭の痛いものはありつつそれでもやるべきことをやってるのが良い。

そしてザガンはザガンで色々と探っていたところ……先日助けた狐獣人の少女クーの身体に憑依するような形で、魔王ビフロンスが接触してきて。

 

ビフロンスは自分の元から逃げたネフテロスを回収したいだけなんだよー、と建前を口にしますが、ザガンはわざわざ他人の領地に侵入した上で接触してくるならそれは「実行を前提にした宣戦布告だ」と看破。

……途中、オリアスが現れたことでちょっとコントっぽくなってましたけど。

三者三様で魔王にふきだしでぎゅむって潰されてるページ、微笑ましくて笑っちゃった。真面目に宣戦布告5秒前、みたいなシリアスシーンだったはずなのにね。

 

自分の領地で勝手は許さないと言えるザガン、実に良い王様やってますよね。

クーのこともちゃんと後処理オリアスに頼んでますし。緊急事態ではあるけど、そこでオリアスから頼み事をされて、ちゃんと時間を取っているの律儀。

それくらいの時間はあるだろうと、周囲を信頼しているのも良いですねぇ。

……ポンコツと不運のかみ合わせで最悪の誤解が生じたシャスティルがちょっとピンチでしたけど、それ以外のところはちゃんと打っていた手が効果を発揮してましたし。

あそこでポカーンってするビフロンス、なかなか見ものなので好きです。


フシノカミ 辺境から始める文明再生記8

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「ヘルメスさんの夢を叶えることは 私の夢を叶えることでもあります」

「これからは共に歩みましょう」

 

3438話と幕間を収録。

相変わらず原作を上手く拾ってアレンジしているのが良いですねぇ。

そもそもここでの人狼との戦いだって、原典や編纂版だとアッシュ個人で戦う羽目になっていたところに、ジョルジュ卿が駆けつけてアッシュを拾って撤退する流れでしたしね。

ただ都市内部で動き出したことで、より「逃げたらマズい」という緊迫感が増して、夢追い人であるアッシュが守るために戦う理由付けになっている。

 

上手く受け流しつつ隙を探してましたが、人狼は疲れを知らずだんだん押されていくアッシュ。本当に危険だ……という時に、アッシュが走馬灯を見るかのようにシーンが挿入されているわけです。

アッシュ自身は、全ては自分の夢の為の積み重ねだから、夢を叶えたいと強欲になると言ってますけど。多くの人の助けを借りたからこそ、叶えたいという想いがより強くなっているのだ、という描写でこれまで協力してくれた多くの人が描かれているの良いですねぇ。

見開きで一番右のコマでマイカが本を見るため背中を見せていたところ、一番左のコマでは笑顔をこちらに向けているの、構図の見せ方が上手くて流石だなぁ……と思いました。

死地でもただ「死んでたまるか」じゃなくて「叶えてやる」と、前のめりなの実に暴走特急アッシュ君らしいな……と思いました。

 

人狼に抗ってる場面は荒々しい筆致・コマ割りだったのに、病床で意識を取り戻してからハッキリしているのも良いですねぇ。

「おにくたべたい」と言ったアッシュ君と、それを聞いたマイカとアーサーの2人のなんとも言えない表情が味わい深くて好きです。

 

幕間「マイカの閃き」。マイカとアーサーのやり取りメインで、傷付いたアッシュを見て、治療の手伝いに踏み込んだとき、ハッキリと自分の想いを口にしてるマイカの覚悟が決まってる目が良いですね。

マイカ、活発な村娘という顔も間違いではないんですけど。なんだかんだ言いつつサキュラの領主家の血を継いでいるので、個人の感情で結婚を同行できる立場では実はなくて。

イツキはまだアッシュに毒されすぎてないので、平民であるアッシュは有能だけど、貴族家に迎え入れるのに吊りあうのかという視点なのに、マイカは「自分の方が彼と釣り合うか」という視点なのが、よくわかっていらっしゃる。

 

療養のためにアッシュがノスキュラ村に戻ったの、短いページでしたが描いてくれたのも良かったですねぇ。今の状況が見れたのは嬉しい。

そして無事に帰還したアッシュが、次なる計画を実行しようとしたところで、勉強会に参加しつつも上手く馴染めていなかったヘルメス君の「夢」について知り、それを深掘りしていくことになるわけです。

ベルゴ達も技能を持っている集団として協力してくれて、同じ方向を見て協力してるのが良いですねぇ。そして苦労はギュッとまとめて38話の間で製作開始から形になるまでを描いてるのお見事過ぎる。


月の白さを知りてまどろむ2

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「充分よくしてもらってる だから… きっとここに帰ってきてくださいね」

「……了解した」

 

58話と描き下ろし8.5話、原作古宮先生の書下ろしSS『身辺調査』を収録した第2巻。

イーシアの似顔絵、上手いですねぇ。「そうそうこんな感じ」と身を乗り出してるサァリがとても可愛い。

暗躍してる人物が居て、神供の家系が狙われている。そんな中で、かつて取り逃がしてしまったものの「化生を生み出す呪術師」の存在を知るシシュが居たのはラッキーでしたね。

生み出された化生には特徴的な紋章が浮かぶから、仮面しているのもそれが理由だろう、と相手の手札を暴く過程を多少スキップ出来たわけですしね。

 

それを聞いたトーマが化生斬りとして動きだそうとして。

一番狙われるサァリと、王都から来た新参として警戒されているシシュを月白に留めておこうとしたわけですが。

2人とも事件が起きている中で黙っていられる性質でもなくて。

シシュの警戒を解くためにサァリが持ち出してきたのが、彼女の客に与えられる紐だったの、目的のためには手段を択ばないなサァリ……。

アイドには見られないでとは言ってましたが、そもそも他の人にもあまり見られない方が良かったのでは……? 鉄刃とか、まさに誤解する結果になってましたし。いやまぁ逆に間違ってないのか……?

 

王の巫から贈られた呪の掛けられた骨。そこから生じた犬によってシシュは敵を追いかけることに。……ミシロ先生がSNSで、この犬がポメラニアンだったバージョンのネタイラスト描いていて、シリアスぶち壊しだけどとても可愛くて良かったです。

 

そして巫としての力を持っていないサァリもまた、街を愛するがゆえに足を止めてはいられず。どうせこうなってしまうんだったら、まだシシュが連れて行った方がお互い無茶せず良かったのでは……? サァリの存在が明らかになって敵が動き出してしまうかもですけども。

シリアスシーンだけど、忍び込もうとして届かなくてぴょこぴょこしてるサァリが実に微笑ましかったですねぇ。……事情知ってからだと、一番危ないところに一番大切な宝が飛び込んでいく場面なので、とっても危ういですけど……。

 

アイリーデという街を狙った、南部のブナン侯の策略で……それに加担している裏切り者もいたわけですけども。アイドさぁ、拗らせすぎてて本当にもう……。

嫌いじゃないですけど、歪みすぎてて見てられないな、という気持ちにはなります。

神話として語られている、太陽を飲み込もうとした蛇を神が滅ぼし、その返礼として美酒と音楽と人肌を神に収めたことがアイリーデの始まりで……その物語は真実である、と。

蛇の毒に蝕まれた呪術師、神供三家が継いできたもの、王の思惑。そういったものが明らかになっていく展開が好きですね。

踊らされていたシシュがそれでも王への忠誠を譲らず……それでも寒さに震えるサァリの手を取ることも躊躇わないのが良いんですよね。

複雑な感情を抱いていながらサァリを助けるために動けなかったアイドとの対比が光る。いや、アイドも悪いやつでは……ありますけど。重いものを抱えていて歪んでて。繰り返しになってしまいますが、嫌いではないです。

巻末の『身辺調査』は、享楽街であるために一時滞在して去る人が多い中で、『戻る』と言ったシシュの事を喜んでるサァリが可愛くて良かったです。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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