――私は覚悟を決めなければならない。
誰かを巻き込まねばならないことに対して。
この秘密を、打ち明けなければならないことに対して。
小説家になろう連載の作品。完結済み。
シューレ音楽学院という名の知れた学院に入学した無名のピアニスト、テア。
なんの功績もなく入学を認められたうえ、世界トップクラスの師匠を持つことになった彼女は、周囲から嫉妬されることに。
そんな状態でも彼女は自分の音楽を譲らなかった。
その中で生徒から慕われる生徒会長ディルクは彼女の才能に目を止める。
だが、テアもディルクもお互い、距離を縮めることをためらう理由を胸に秘めていて。
じれったい恋のお話。
大陸の北西にある、経済大国クンスト。
現皇帝アウグストの代において、急激な成長を遂げた国。
このクンストの首都に国立シューレ音楽学院が存在している。
この学院は、宮廷楽団の一員となるために音楽を学ぶ生徒たちが集まる場所。
貴族だが嫡男ではないもの、平民だが貴族の後援を得ているもの、様々な身分の者が在籍している。
学校としては、生徒である以上階級は関係ない、としているがため、貴族と平民が普通に顔を合わせたりします。
家の名を使って、ちょっと高慢になっているような生徒もいたりするんですがねー。
音楽に真剣に向き合っている姿。暗い過去と重い秘密を持ちながら強くあるテア。
皆から強く慕われるがゆえに、パートナーを選ぶのにも苦労する。そういった状況の中でも、自分の目的を持ち、誇り高くあるディルク。
二人の周りには、テアの親友ともいえるローゼや、ディルクの兄弟分のライナルトなど、多くないが強い絆で結ばれた友がいて。
あらすじに書かれている通り「じれったく、甘い、二人の物語」であることは疑いようもない事実ですねー。
ただ、ファンタジー世界を作って、そこの音楽学院を舞台としているのに、現実の曲目が出てくるとちょっと違和感があるといいますか。
作曲家の名前や、楽曲とかもオリジナルの名前にしてもよかったんじゃないかなぁ、とか。
まぁ、読んでいて引っ掛かりを覚えたというだけで、悪いといってるんじゃないですけども。
不器用にもほどがある二人が、ゆっくりと親しくなり、距離を詰めていく流れはいい感じだったと思います。