気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

電撃文庫

魔剣少女の星探し 十七【セプテンデキム】

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「剣の道は果てしなく、星々が煌く夜空のような物だよ。広い世界を見て、たくさんの人と出会って、そうして多くの星に灼かれ鍛えられて初めて剣は剣になるのだと」

(略)

「昨日グラノス卿という星と出会い、今日またあなたという星に出会えました。……感謝します、クララ・クル・クラン。やっぱり、母の言うことに間違いはありませんでした」

 

『ウェザーズ・ブレイン』の三枝零一先生の新作!

1巻ですが、サブタイトルに『十七』とかついてるのがちょっとややこしい。

この世界は四つの大国の間で、魔剣を用いた戦争が長年続いていた。しかし、それが1年前に終わり平和に向けて動き出している。

国ごとに所持できる魔剣の数なんかも決められて……大陸中央部にある緩衝地帯「セントラル」でのみ、野良の剣士は魔剣を所有することが出来た。

 

母に願いを託され最強の魔剣使いを目指す少女リットは、名を馳せるためにセントラルにやってきたわけですが。

廃刀令から1年が経っていることもあって、彼女の望む決闘に載ってくれる人はいないし、紹介状も持たぬ彼女は仕事を見つけることもままならず。

困っていた彼女でしたが……ひょんなことから各国の思惑が入り混じった決闘の代理人として出場することに。

相手方も代理を立てていて、名の知れた魔剣を使う少女クララと戦うことになって。

……さらにそこに、決闘の景品となっていた「はぐれの魔剣」を目当てにソフィアという別の少女が横入りしてきて。

 

かなり混沌とした状況になっていましたが。

それぞれに訳ありだった少女3人が、お互いの事情を話し合って協力することになるのは良かったですねぇ。

リットもクララも事情を抱えた状態で魔剣使いとなって、魔剣戦争で名を挙げることで目的を達成しようとした所で、戦争が集結してしまって。

ソフィアは、戦争を裏で過激化させていた組織の一員だったものの、あまり事情には詳しくなく……それでも、戦争終結後に残党が残っているのに気づいたのでそれの処理を続けていた。

 

色々と上手くいかない状況の中でも、リットは母の教えに従って「星」に例えられた剣士の輝きを胸に真っ直ぐ生きてますし、クララも柵を振り切って行動を起こせる強さがある。

そんな2人と出会えたソフィアは幸運でしたねぇ。

神話として忘れ去られつつあった伝承が真実で、封じられた魔神の力の一端が世界に現れたりと、かなり危ない状況になってましたが、乗り越えられたのは何より。

リットが、母の剣技を模して戦況を打開したのは凄く熱かったですねぇ。裏で暗躍していた組織の幹部を取り逃がして、今もなお活動しているって言うのが今回の事件で明らかになって、戦争終結したとはいえまだまだ平穏は遠そうですねぇ……。

というか、長年続いた戦争の裏で暗躍していただけあって根が深いんですよねぇ。「章外」の描写見るに、一つの組織を完全に裏から操る黒幕になってるみたいですし。まだまだ今回レベルの騒動を巻き起こしてきそうで、おっかないですけど。

リット達には是非とも奮起して、乗り越えて行ってもらいたいものです。いやぁ、熱くて楽しかった!

春夏秋冬代行者 黄昏の射手

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「『流星』がロストした。これは訓練ではない。『流星』がロストした。これは訓練ではない!」

 

現役の代行者の中で最年長である、黄昏の射手の輝矢。

彼は、長く代行者を務めて来た経験とか大人としての立場から、暗狼事件の時に現場に駆け付けた夏の代行者姉妹を保護しようとしたりしていた頼れる人物でありました。

……ただ『夏の舞』で登場した際も、奥さんと守り人の失踪で凹んでいたところから浮上し始めたタイミングだったり、彼もまた悩みを抱える人の子としての側面もあったわけですよ。

 

守り人の慧剣が帰還したり、月燈との関係は互いの立場もあって公にはできてないけれど順調だったりしたわけです。

守り人と奥さんの件があったとはいえ、輝矢自身の家族の事とかについては確かに情報少なかったな……と読んで思いました。同じ射手である花矢が学生だって言うのを加味しても、そのあたりの描写なかったですしね。

 

射手は場所に限定される現人神であって、守り人の権能もそれを支えるための幻覚なわけですし。動かないからこそ、賊に狙われないという面もあるみたいですけど……自由がないのも確かで。

父と母と兄と妹が居て、たまに電話でのやりとりとかはしていた。けれど、どんどん距離が出来ていって……。兄妹と話題が合わないから、ちょっとゲームとかを用意してもらったら「ずるい」と言われた、とか。両親が別居するなんて話になった時も蚊帳の外。

母だけはそれでも連絡をくれていたけれど……大病を患ったときに心の余裕がなくなって、疎遠になっていってしまった。

……遠くに住む、連絡とらない親族の事、だんだん関心が薄れていくのわからなくはないですけど。疎外されている輝矢の心境を想うと心が痛かった。

 

そんな輝矢……というか『黄昏の射手』に用のある人物が、彼の誘拐を企てて成功させてしまったというのが、今回の騒動です

騒動を起こした側も家庭環境とか色々抱え込んでいた結果の暴走で、ある意味被害者とも言えますけど。騒動を大きくするために、花矢の方でも騒動を起こすように手をまわしてたりするからなぁ……。

 

花矢、本命じゃないのに怖い思いしたし。輝矢が攫われたことで滞るかもしれない夜の神事を行うための準備に奔走することになるし。巻き込まれ続けたけど、輝矢も誘拐されている側だから責められる相手が居ないっていうのがね……ちょっと可哀想でしたね。

今の四季の代行者たちの関係が良好なのを受けて、過去に事故が起きて廃止されていた護衛官の剣舞が復活する動きがあるとかで合間に四季側の動きが描かれていたのも良かったですね。

花矢と雛菊が連絡先交換して仲良さそうなのも微笑ましくて良かった。……襲撃されてるタイミングで、ちょっと状況良くなかったですけど。連絡ついたことで援護間に合ったからまぁ……。

四季会議も無事に開催されて、そこで狼星と撫子がとても興味深い話していたのが印象的と言いますか。シリーズ続くと、この後は冬の代行者編になるでしょうしそのあたりも描かれるのを期待したいところです。

千早ちゃんの評判に深刻なエラー2

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「岩筋さん、訓練を急いでください。仮想敵はボマーです」

 

根暗コミュ障少女、千早ちゃん。

遠隔操作で新天地の探索を行う仕事を続けているわけですが……上手く交流できず、そういう時に「キモ」とか言われてより心の傷が深くなって、交流できなくなってしまうなんて負の連鎖に入っていたり。

彼女自身は普通に調査任務とか平和な仕事をしたいのに、仕方なく戦う羽目になって、その結果なんだかんだ評価を稼いでしまって、戦闘任務ばかり振られる毎日。

 

コミュ障ながらも限定メニューが気になって、自分へのご褒美として新界由来の素材を使ったケーキとかを買いに行って。

それがとても美味しくて……だから開発促進のために素材に関係した調査任務を受けようとしたり、根が一般人なんですよね。自分の欲求に素直。

……ただ、その依頼を出していた先が、彼女を劇場型の過激派ボマーだと誤認している企業で、「またウチを巻き込もうとしてる!?」と誤解されたり散々ですねぇ。

 

まぁ赴いた先で武装勢力が密かににらみ合いをしていたり。そんな中で研究の助けになるかもしれない変種を見つけて、否応なく戦いに赴いたりするあたり、行動力がバグってるのも確かなんですけど。

結局千早ちゃん、外から見た時にしっかり戦果上げてるのが問題なので……。何回か任務失敗するくらいがちょうどよいんじゃないか、とか思っちゃいますが。

でも、機体破損とかしたら最悪損害賠償とかくるし一般人な彼女からすると敢えて失敗するのも悪手なんですが。

彼女の巻き込まれライフはまだまだ続くようですが……強く生きて欲しいですね……。

青春ブタ野郎はディアフレンドの夢を見ない

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「あらゆる梓川咲太の中で、お前が一番思春期症候群を信じているんだろうな」

 

青ブタシリーズ、完結巻。ついに、かぁ……感慨深いですね。

麻衣が「自分が霧島透子」という認識に変わってしまったり、どんどん塗り替えられていく世界。

そんな中で、本物の霧島透子の事を知っていた美織の問題解決を図るべく色々と調べていたわけですが。今回は初手から美織に会いに行って。

彼女が少し前向きになれたのは、良かったですね。認識が改ざんされている麻衣が、それでもなお咲太のこと信じて話聞いてくれるのとか、2人の信頼を感じて実に良い場面もありましたが。

 

予想以上にサクサク問題解決していって、残り全部エピローグ的な展開になるんだろうか、と思ったら。

家に帰ったら「かえで」が居るし、麻衣が「霧島透子」という認識に関しては元通りになったけれど、それ以外の改変はそのまま残り続けてしまって。

咲太もどういうことだ、と困惑していましたが……向こうの世界の自分から、「思春期症候群を起こしているのは咲太自身」という指摘を受けることになって。

複数の世界を見て、いくつもの思春期症候群を超えて来た彼だからこそ起こしてしまったもの。いろんなトラブルにも出くわしたけれど、それらがあったからこそ今の彼があるわけで。

 

問題解決のために向こうの咲太は「思春期症候群を否定しろ」と言ってきましたが……別の答えを出してくれたのは、良かったですね。

エピローグで、少し未来の話が見られたのもありがたかった。魅力的なキャラが多いので、断片的なエピソード以外にも、もうちょっと読みたかったという気持ちもありますが。こういう余韻がある方が、長く続いたシリーズの幕引きとしては美しいという気持ちもあります。ただ、完結を見届けられたのは本当に良かったです。





母をたずねて、異世界に。~実はこっちが故郷らしいので、再開した家族と幸せになります~2

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「だがなスイ。『さすがあの人の息子だ』なんて言わねえぞ。これは……こんなすげえことは、当たり前に出来るもんじゃねえ。確かにお前はあの人の血を継いじゃいるだろうが、だからってそれが、俺たちを助けた理由にはならんだろう? 俺たちは他ならないお前に救われたんだ。お前が来てくれたから、お前がここに来ると決めたから救われたんだ、スイ」

 

地球で父子家庭で過ごしていた翠は、家事に精通していた。

なんというか流石現代日本人というか。料理にも結構こだわりがあって、科学が発展した世界で学んだ基礎とかもあって、母ヴィオラと幼なじみのカレンからも好評だった。

危険地帯の森の奥でも、翠の結界で家は守られているし、変異種だろうと蹴散らせる実力者しかいないからなハタノ家……。

 

ただ変異種がなんとかなるとは言っても、純粋な距離や森の中を進む大変さっていうのはあって。近くにあるシデラ村(実際には街と呼べる規模がある)までは5日程度かかる模様。……とはいえ不眠不休で三日で済むとか言ってる当たり、カレンもトンデモですが。

ヴィオラの魔力を感知したスイの両親と知己がある竜族ジ・リズがやってきて、空から運んでくれることになったのはありがたい。

ちなみに竜であっても変異種を相手取れるものは限られるそうですね。

カレンとヴィオラにショコラという、異世界屈指の実力者に囲まれているのと、住んでる場所のせいもあってか「ものの常識がまったくわかっとらんぞ」とジ・リズにスイが突っ込まれてるの笑っちゃった。

 

ジ・リズのお陰で短期間で街へ移動できたスイは、異世界で初めて家族以外の人と接することになるわけです。……人に会う前に竜に合ってる当たりスイもなかなかのトンデモ経験してますが。

突如街に竜がやってきたシデラ村の人々も大変だよな……。まぁ、なんだかんだ強かな人も多いし、スイの両親の事を知ってる人もいて、スイの知らない異世界で過ごした父の話を聞けたのは、彼からしても嬉しかったことでしょう。

短いながらも良い時間を過ごせたことで、彼らの危機を知ったスイが駆けつけるのにも納得がいきますし。

家族との交流の一環であった料理パートも後々に影響してくるのが良かったですね。

千早ちゃんの評判に深刻なエラー

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「あんた、不思議なくらいに生存能力だけは高いからね。なんだかんだ生きる術は見つけると思ってたわ」

 

大概のことは一人で解決できるだけのスペックがある少女、千早ちゃん。

しかしそのスペックを殺してしまう位に、彼女は重度のコミュ障で……他人と話す時に、ひきつったような笑いをしてしまうし、上手く意思疎通を図ることが出来なかった。

グループワークの課題を与えられれば、一人で全てまとめ上げてしまったりするし。課題の評価基準である協調性やコミュニケーションという部分が壊滅的で、そのため彼女の就職活動はさっぱり上手くいってなかった。

 

そんなある日、彼女のもとに届いたのが人型の工作機械――「アクタノイド」をリモートコントロールして、『新界』と呼ばれる異世界に踏み込んで、異世界開拓をする事業に従事することに。

……しかし、新天地でリモートコントロールで人命を気にせず資源開拓が出来るとなれば、無茶をする輩というのも当然出てくるわけで。

秘密裏に資源を運び込んで拠点を創り上げたり、近づく輩は問答無用で排除しようとしてきたり。実際、「戦争屋」と呼ばれるような立ち回りをする傭兵じみた働きをする人々もいるようですけど。

 

千早ちゃんは新人でもあるし、あくまで「完全リモート勤務」という部分に惹かれてこの仕事を始めたので、安心安全な運搬や調査任務を主体に動きたいと思っているんですよね。

……ただどうしてか、原生生物と戦闘をすることになって機体を破損する羽目になったり、先述したような秘密拠点を発見してしまって戦闘に発展した末に、その拠点を破壊しまくって地獄のような惨状を生み出したり。

そうやって結果的に戦闘をして、残った機体を回収することで利益を得ていく、なんてことを繰り返していくループになって。新人らしからぬ儲けを得ていますが、その金額分の恨みを買っていることも理解していて、震えまくっている千早ちゃん、可哀想で可愛いね……。

いやまぁ、コミュニケーション能力死んでるせいで、間違った学習をしていってる部分もありますし。千早ちゃん、問題解決能力は高くてなんだかんだ生き残ってしまえるのが、問題を悪化させていってる感じはありますけど。若隠居が目的らしいですけど、彼女の事を誤解している人々からは「ボマー」とか「劇場型の戦争屋」とか呼ばれまくってて、彼女の安寧はとても遠そうです。合掌。

青春ブタ野郎はガールフレンドの夢を見ない

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「じゃあ、なんでそんな話をしたんですか?」

(略)

「隠し事をしたまま、友達にはなれないからだよ」

 

赤城を伴って、麻衣がサプライズ参加するイベントを見に来た咲太。

しかし「#夢見る」によって多くの人々が認識していたことで、サプライズは失敗してましたが、ある意味期待には応えたので大成功ともいえるのか?

そしてそこで、麻衣は「#夢見る」で共有された夢の通り、自らが霧島透子だと表明して。そこからどんどん「夢」が現実を塗り替えていくことになるわけです。

 

咲太の認識だけは元の世界のものが残っていましたが。

消えたはずの「かえで」が咲太を出迎えてくれたり。国見の交際相手が変わっていたり、古賀の進学先が変わっていたり、などなど。

現実がどんどん書き換えられて、友人知人との会話が全くかみ合わない状況で、赤城との連絡が途絶したりもして、手がかりが得られない状況に追いやられている。

そんな中で手がかりを持ってきてくれたのが翔子ちゃんだって言うのが、なんというか彼女らしいというか。

 

そうやって明らかになっていった事情から、今回の思春期症候群を巻き起こしている人物にはたどり着けましたが。

彼女の傷もなかなかに深く。書き換えられた世界、と一言で言いますけども。咲太もかつて、未来を見て現在を改変するなんてことをして。でも、その時に「過去に戻るのは難しい」という話も出ていたわけで。

もう取り戻せないもの。書き換えられた状況を良しとするもの。そういう柵というか、問題が多くある中で、果たしてどんな決着を見出すのか。次回、最終巻を待ちたいと思います。



Fate/strange fake9

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「君にとって、神秘と共に消えゆく魔術師の悪あがき、しかと味わってくれたまえ

 

聖杯戦争が佳境に入った第9巻。

本格的に介入を始めたエルメロイ教室の面々の前に、ティアが姿を現していましたが……。フラットと彼は違うとしつつ、その上で一緒に居たんだから責任はあるだろうという論法だったり。

 

違う視点で物事を見ている彼に対し、それでもなお全力でぶつかっていくエルメロイ教室の面々のやりとりが良かったですねぇ。

……エルメロイⅡ世の教えで、各々が自分自身と向き合い魔術を研磨した結果、その一端だけでも見られたのは正直おもしろかったです。家では予備に過ぎなかったオルグ・ラムが、「補助輪」なりの立ち位置を確立していたのとか、結構好きな解釈だな。

いや、Ⅱ世さん、イヴェットになに伝授してるんすか。なに暴いてるんすか。

 

セイバーのマスターであるアヤカの秘密も明らかになったり。グガランナと相対したアルケイデス、そんな彼を狙ったヒュッポリテ。

マスター側であるバズディロットやハリル、警察署長オーランド・リーヴ。誰も彼もが我を通そうとしている中で、あのアーチャーが帰還することになるわけですが。随分と様子が変わったな……というか。

この混沌とした状況で出てきたのが、どう影響するのか全く読めませんな……。スノーフィールドにまた異変が起きていましたが、決着の時に立っているのは誰になるのやら。

凡人転生の努力無双~赤ちゃんの頃から努力してたらいつのまにか日本の未来を背負ってました~

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「ちょっとだけ、待ってて」

(略)

「僕が祓うから」

 

普通の人生を送っていた青年が、通り魔に刺されて死亡。

……そして気がついたら彼は前世と似ているけれど、魔物とそれに対抗する祓魔師が存在する世界に生まれ変わっていた。

赤ん坊の状態でも意識ははっきりしていて。体が出来ていないから動けないし喋れないけれど、目と耳といった知覚能力だけははっきりしていた。

 

生まれた直後、母に「どうか無事に三歳を迎えられますように」という不穏な言葉を言われ、気にかけていたみたいですけど。

魔力が身体の中にある器のなかから零れると、強烈な痛みをもたらす「魔喰い」という現象に襲われること。そもそも祓魔師という仕事が危険で、死に近い家であったようですねぇ。

 

生まれ直した先でも死にかけないといけないのか、とイツキは祓魔師になりたくないとすら思っていましたが。長男が家を継ぐ伝統があるようで、逃れることも出来なそう。

それならば、出来るだけ強くなって死なないようにしよう、と彼はずっと努力を続けて……彼の想定以上に評価される力を会得するに至ったわけです。

基本的に6段階で評価される祓魔師において、例外として規定されている7番目として認定されるくらいですしねぇ。

同年代の少女達も許嫁になろうとしてますしね。親世代の思惑もあるでしょうけど、優良物件なのは間違いないですからね……。

実際まだまだ若い、どころか幼いと言っていい年齢の内から、歴戦の祓魔師でも叶うか分からない高位の魔物と戦う羽目になって、人的犠牲を出すことはなく勝利しているの凄いですよねぇ。

9S〈ナインエス〉true side XIII

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「私はもっと話し合いたかった。理解し合いたかった」

(略)

「何を言う。充分に話し合ったではないか。科学という正確無比なやりとりは、万の言葉より有意義なものだ」

 

ついにシリーズの決着を迎える最終13巻。好きなシリーズの完結はどうしたって喜ばしくも悲しいものですが。刊行の間が空いていたので、このシリーズに関しては見届けられた嬉しさの方が勝ったかなぁ。

 

閑話休題。鳴神尊の暗殺者は、当主の命令に逆らえない。

そんな悪縁すらも絶って闘真の裏人格は自由に動けるようになったわけですが。彼は、完全に世界の外へ踏み出してしまった峰島勇次郎が自分を介してこちらに干渉していることにも気付いて。人格切り替えスイッチである鳴神尊を破壊しようとしたわけですが。

裏人格もまた闘真であるわけで……彼との別れを嫌った由宇に止められることに。

 

岸田博士が峰島勇次郎と再会して、「実の親よりも親らしい」とか言われてましたが。

どの口でほざくんだこの野郎、という気持ちと今更親らしく振舞われても困惑するよなぁって気持ちが同時に沸きました。

由宇がグラキエスを滅ぼすだろうと確信し、闘真の行動を由宇が止めたことに感謝して、今自分がやりたい実験にウキウキ乗り出すのどこまでもマッドサイエンティストだなぁって感じがして、最終巻までブレなかったところは評価しても良い。

 

闘真の認識によって峰島勇次郎の干渉度合いが濃くなるという事実を由宇達も認めることになって。そこに当主である不坐を排除した状態で行われた真目家会議の結果を携えた麻耶の通信が繋がるのは良かったですね。

最悪の場合、殺すことも辞さないという覚悟を示した上で……闘真の存在が逆にこちらの手を峰島勇次郎に届かせてくれるかもしれないから、一番守らなくてはならないと結論を出したのも熱かった。

 

由宇と2人きりになった状態で闘真が真っ直ぐに「大好きだ」と伝えて、由宇もそれに応えているのはニヤニヤしてしまった。決別してからの復縁はめでたい。

その直前の会話で不坐から「お前の恋人はおっかないな」と、不坐が2人の関係を「恋人」と表現しているのも、たった一文ではあるんですが好きな描写でした。おっかないところもあるけど、闘真の前では可愛いんですよ、その子。

 

由宇が考えていたグラキエス対策に必要な最後のピースを、予期せず闘真が見つけてきたりしたのは良かった。スヴェトラーナとクレールの存在も、要所で光ってましたし。

マモンもまた要所で活躍してくれたりしてましたし。最終決戦に臨むにあたっては敢えて情報を拡散してみせる必要もあったりで、サブキャラ達にも役割があったのは結構好きな要素でしたね。

 

勇次郎と由宇がついに再会を果たして……科学の信奉者であった勇次郎に対して、もっと話し合いたかったといったシーンの地の文が良かったですね。闘真と会って、人と人の綱がりの大事さを知り人になれた、という描写がとても良い。

グラキエス対策、峰島勇次郎との決着。闘真の脳の黒点……もう一人の自分とのやりとり。そういった、これまでに描かれていた様々な出来事に決着がついて良く流れは熱く、一気に読んじゃいました。良い完結巻だった。

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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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