気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

富士見ファンタジア文庫

男女の力と貞操が逆転した異世界で、誰もが俺を求めてくる件

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「ソーマ様のお噂を聞いた時はそんな聖人のような御方が存在するなんて、とてもではありませんが信じられませんでした! ですが、ソーマ様はお話通りの……いえ、それ以上に素晴らしいお方でした!」

 

トラックに轢かれて死んでしまった主人公のソーマ。

記憶と肉体をそのままに、彼は異世界に迷い込んでしまって……森で目覚めたと思ったら、スライムに襲われ服を溶かされる羽目になって。

そこに女性冒険者3人組パーティ「蒼き久遠」に助けられることになるわけです。

 

しかしそこで判明したのは、タイトル通り「男女の力と貞操が逆転した異世界」であること。

日本語的な表現をすると、女性は力強く雄々しく。男は弱く女々しい。

創作ではよくありますが回復役って巫女とか聖女として女性が担うことが多いですけど。この世界では男性の方がそれを行っている。

ソーマは異世界に来た際に、異世界版聖女こと「聖男」というジョブについていることに気付いて。一段階低い男巫というジョブだと申告しても、祭り上げられるくらい貴重だとかなんとか。

 

前世の記憶がある彼からすると、この世界の女性は無防備に過ぎるというか。

ソーマが服を溶かされたときとか、エルミーが自分の服を脱いで「早く何か着てください!」とかやってますし。

そういう「貞操逆転もの」の御約束を詰め込んだ読みやすい作品でしたね。

隣の席の王女様、俺の前だけ甘々カノジョ

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「私も……ハイムくんの、特別が、いい!」

 

貴族ばかりが通う魔導学園に、平民ながら特待生として入学した少年ハイム。

彼の存在を面白く思わないバカ貴族に絡まれたりするのもしょっちゅうだったみたいですけど、魔導を極めることに夢中な彼は適当にあしらっていた。

バカ貴族が魔術の腕を自慢してきても、自分の力は「わかる人にはわかる」程度に抑えて乗り切っていた。

そんな彼を平民と侮ることなく、懐いてくるフィーアという貴族少女もいて。朗らかで明るい人気者なので、彼女がハイムを気に掛けることが気に食わなくてバカ貴族ことグオリエ君がヒートアップしていた部分もあるみたいですけど。

 

それくらいフィーア、ハイムの事気にしてますし。

フィーアは貴族ではあれどそこまで家格は高くない、という設定になっていたみたいですが……タイトルとあらすじで明かされている通り、それはあくまで擬態。

しかして実態は、その美貌から広く名の知られた第三王女ステラフィア・マギパステルが魔術で変装した姿であった、と。

その事実に気付いてしまったハイムは、王族の秘匿魔術でその記憶を消してもらおうとしたわけですが……魔法修練に励みすぎた結果、「自分の実力以下の魔術師の魔法を無意識にレジストしてしまう」レベルにまで至っていたハイムには記憶消去魔術が効かなかった。

そして2人は秘密を知る共犯者として、より仲良くなっていくわけです。

 

一応フィーアは「正体バレちゃいました」って自分の父である国王に報告に行ってましたが。国王は、フィーアがハイムを慕っていることも知っていたし、ハイムなら秘密を打ち明けていいとも思っていたと明かされることに。

そこには庶子であるフィーアが、歴史を変える可能性を持つ相手にしか与えられない特待生としての資格を得たハイムを射止められるなら、国の利益になるって言う王としての厳格な判断もあったみたいですし。

2人の恋が進展した場合、障害も多くあるぞと釘をさすこともしっかりしていましたけど。娘の恋路を応援する野次馬な父としての顔も確かに見えましたよね……。

 

国王が特待生であるハイムの事を、娘の相手にしても良いと思う位認めているって言うのが早い段階で描かれると、「平民だから」と排除しようとしてるグオリエ君の滑稽さが際立つと言いますか。

貴族の意見の一つではあるし、ハイムとフィーネが超えるべき壁の一つではあると思うんですが。最初の壁にしても小物だったなぁ……という印象。

まぁグオリエ君が暴れまわった結果、ハイムたちの想いが固まったのでそういう役回りでは100点だよ! やったね!



俺がモテるのは解釈違い~推し美少女たちに挟まれました~

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「変なところでついムキになっても、(栞さんたちなら)全部受け止められるから」

(略)

「恋花さんはそのままでいい。恋花さんのそういうところ、(栞さんたちは)好きだと思っているからさ」

 

主人公の男子高校生、成瀬壮真。

彼は百合過激派で、百合に男が挟まろうものならその相手を殺してでも排除しようというスタンスを掲げていた。

男友達相手には「女子同士で仲良くしてほしい」という妄想を口にはするものの、彼はその尊い百合を見学したいという欲求もあって。

 

女子の前では格好つけるところがあるというか、仲良い女子が喧嘩していたら仲良くなれるようにアドバイスしたり、女子同士の時間を確保できるように雑用を買って出たりと色々やっていた結果……順当に好感度高くなっていった、というね。

女子3人と連れ立って遊びに行っても「男除けとして便利だったんだよ」とか言ってるし。自分に言い聞かせようとしてる部分はあるにせよ、往生際が悪い……。

 

百合信者である彼からするとタイトル通り「俺がモテるのは解釈違い」なので、どうにか好感度調整しようと四苦八苦していましたけど。時すでに遅し。

委員会の仕事をサボってみたりしても、それまでの信頼があるために体調悪かったのかと思われて納得されちゃうし。

どうにか距離を取ろうとしても好感度高い彼女達の方から迫って来るし。

 

彼女達から距離を取ろうとしたのは「百合に挟まる男が自分だろうと許せない」という、自分自身の問題でしかないというか。

彼が崇める「百合」が存在しないと、そもそも「そこに挟まる男」にすら慣れないと表現するのもちょっとズレてそうですけど。

つまり何が言いたいのかというと、自分が許せないから距離を取ろうと思っていたとしても、彼が大切にしている女子の関係に異常を見つけたら復旧に奔走したくなる難儀な生き様なんですよね、これ……。

もう好感度下げるの、本当に路線変更してグレるくらいしかなさそうですけど、「百合は眺めたい」という思想から無理そうですね。諦めるんだ……。

放課後の教室に、恋はつもる。

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「先生。あたし……誰かを本気で好きになるのが、怖い」

 

カーストトップの生徒、上原メイサ。

彼女は「地味で堅物」という評判の国語教師、筧莉緒にほれ込んでいて。

放課後の金曜日に行われる勉強会。それにわざわざ参加するような生徒はメイサしかおらず……2人の密会を行う時間となっていた。

最も筧はメイサの気持ちに応えるつもりがなく、「堅物」という評判通りしっかりと「勉強会」を行った上で、メイサからの求愛をすげなく断るという不思議な距離感での交流になってはいましたが。

 

メイサが家庭の事情で進学が難しいかも、となった時は「教師として」と建前を使いつつもかなり彼女に踏み込んだ対応をしたなぁというか。

家に乗り込んで母親との面談をしていたのは、必要だったけど強引で、そこまでやった自分の心が筧もまだ測りかねているような状況で。

 

メイサが筧にほれ込んだのは高二の時、国語で赤点を取って補習を受けるようになってから。はじめは気乗りしなかったけれど、11で行う補習の中で多少は私的な会話をする時間もあって。

「好き」という気持ちを見つけられなかったメイサは、筧に少しずつ惹かれて行った。

一方の筧先生。教師と生徒、という事で自分の気持ちに線を引いていますが……。

実は彼女も、学生時代に恩師であった女性に恋をしたことがあって。けれど、その想いは伝えられず……筧が教師になったこともあってか卒業後も関係は続いていたけれど、恩師は近く結婚して子供ももう宿っている、というような状態で。

 

メイサからの告白は断った。自分の初恋は遠い昔に終わった。

筧、ある意味では恋を知らないんですよね。胸に抱いたことはあっても、その熱に溺れたことがないというか。真面目だから自分を律して、抑制してしまってる。そういう意味ではグイグイくるメイサとの相性は結構良いと思います。

実際、「振りはしたけど、どうしても目に入る」と筧自身も述べていたわけですし。

筧、線を引いていようとはしていますが。それでもメイサ相手には境界が揺らぐこともあって。メイサが「私の事すきになって」と思うのも分かる、まだ花こそ咲いてないけど恋の芽は出てそうな気配あるものな……。

転生王女と天才令嬢の魔法革命9

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「……選択の自由ですか。もしも、その未来が実現するとしたら、目が眩みそうです」

(略)

「まぁ、責任は重くなるけどね。自由に責任は付いてくるものだから。でも、責任ある立場こそが人を育てることもあるんでしょ?」

「それをアニスフィア団長に言われると、何の反論も思いつきませんね……」

 

魔学都市は大いににぎわい、その分アニスは書類仕事に追われたりして大変そうです。

忙しさの合間に、シャルネ用の魔道具である魔法弓ケラヴノスを作ったり、ナヴルたちを未来の可能性について語ったりと、いつも通りの日常を過ごしてるともいえるんですけどね。

最初の挿絵で、机に突っ伏して頬を膨らませているアニスが描かれているの可愛くて良かったですねぇ。ちゃんとタイプライターの魔道具も描かれているのもポイント高い。

 

そんなある日、アニスはプリシラから相談を持ち掛けられることに。

信頼を得たい時にどうするかとプリシラに問われて、「逆に、自分が相手を信じる」と答えられるの、アニスの強さですよねぇ。彼女の境遇で、それでも誰かを信じられるのは彼女の善性を感じて好きです。

そして、プリシラから隣国であるアーイレン帝国の関係者ファルを紹介されることになって。

アニスと敵対したくないというファルは密偵としての顔もあるのは間違いない、としつつ彼の目的を聞くことにして。

そして違法奴隷の足取りを追っていたという彼から、帝国の一部過激派がアニスの暗殺を画策している、なんて聞かされたわけですが。

 

アニスの母が外交で諸国を巡っているとは言われていましたが、帝国の皇帝がファンだとか言われているのは笑った。実際、そういう面もあるっぽいですしね。

国の主として、戦力確保したいという一面も当然あるでしょうが。今回も、騒動にかこつけてアニスやユフィリアを見定めようと動いていたあたりは強かです。

貴族の家系に魔法使いが多く生まれるパレッティア王国は、かなり特殊な立ち入りの国であること。戦力は凄まじいが、建国の由来からか内側にこもるお国柄だから、わざわざ手出しする国もない、という他国から見たパレッティア王国観が見られたのは面白かったです。

ユフィリアやアニスが国を改革していくなら、他国との付き合い方については考え直さないといけない、という課題も見えて来たわけですけどね。

どちらかというと帝国との関係どうするか、という方が大問題であって、暗殺騒動さっくり解決していたのが笑った。そりゃまぁ、アニス暗殺とかそうそう成功するわけもないんですが……。

敢えて自分を狙わせて一網打尽にする、って言うのが有効なのは確かですけど。それを選んだことで拗ねたユフィリアがアニスに抱き着いている挿絵があったりするのも微笑ましくて良かった。いいぞもっとイチャつけ。

配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信

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「――大丈夫」

(略)

「来ましたよ。私の、お星さまが」

 

WEB既読。

迷宮と呼ばれる不思議空間が発生した地球。研究資源・情報を秘匿されないようにするため、黎明期に「迷宮を探索するものには、映像記録の公開を義務付ける」という法律が作られて。

そういう理由が形骸化し……昨今のトレンドとして、リアルタイムで映像を繋げる「迷宮配信」が行われるようになってきたそうです。

 

主人公の少女もまた迷宮探索者であり、配信者でもあった。

もっとも彼女は話すのが苦手で……あくまで映像の公開義務を全うするために映像を垂れ流しているタイプだった。探索自体は楽しいから続けているみたいですけどね。

六層までしか人類が到達していない迷宮に、ソロで五層の半ばまで潜れる実力者であること、長く活動を続けていることから、無言で強い魔物を蹴散らすだけの作業配信でも固定のリスナーは多少いる状況だったみたいです。

……まぁあくまで記録用のつもりなのもあって、リスナーは彼女の名前すら知らない状態で物語が始まるわけですが。

 

別のソロ探索者が負傷している場面を発見し、救助に駆けつけて。その助けた相手が、コミュ力抜群の配信者で、主人公にも一躍注目が集まることに。

主人公である彼女……白石楓ちゃんは、そこから医療団体から誘いがあって、基本はソロで探索しつつ依頼が入ったら迷宮内の救助を行う、迷宮救命士としても活動を始めることになるわけです。

 

腕利きで回復魔法も扱えるけど、それ以外はポンコツな部分のある白石さん、可愛いんですよね……。マネージャーさんが彼女を撫でるシーンありますけど、撫でたくなる気持ちも分かる。

活動スタートして早い時期に、迷宮内部で魔力変動を伴う異常事態が発生して。

白石さんが注目を集めるきっかけになった配信者、蒼灯さんと再会したり、彼女が白石さんを信じてくれたりしている姿が見られたのは良かったですね。

スポンサーがついたというか、企業所属する立場でありながら現場での救助に全力でぶつかっちゃう白石さん、仕事で言うと問題児だけど……諦めない彼女だからこそ応援したくなるんですよねぇ。

日常では抜けてる部分も見せてますけど、戦闘シーンでは格好よいギャップが光るんですよね。熱いし、可愛いしで、読んでいて楽しい1冊でした。

けもみみ巫女の異世界神社再興記 神様がくれた奇跡の力のせいで祀られすぎて困ってます。

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「ウチのご祭神って、こんなに……?」

『む、軽いとか思ったか? いかんぞ。お主は此方の巫女じゃ。しっかり敬うのじゃ!』

「うん、しっかり敬ってきましたよ? ――少なくともこれまでは」

 

実家の神社で巫女として働いていた女子高生の、御守涼香。

かつて異世界でも祀られていた神獣だという実家のご祭神が、異世界での信仰が薄れてしまったから彼女を巫女として異世界に送り込むことにしたとか。

信仰をあつめるために、『奇跡』を起こせるようなポイントシステムだとか、狐耳と尻尾を与えられて困惑することになるわけです。

 

涼香をもとの世界に戻すだけの力は残っていないけど、彼女に3つの権能を与えるだけの力はあった。一つが、神の言葉を聞ける『神託』。一つが、祈りに力を持たせる『祈祷』。そして信仰ポイントを使って引き起こす『奇跡』。

特に強力な『奇跡』を使うには信仰を集めたり、使命や功績を達成することでポイントを集めることが必要なので、ゲーム的に考えるとコストを涼香に集めさせることでバランスとってるのかなぁ……みたいなことを考えました。

 

最初の覚醒した場所が森の中、危険な獣も居そうで……さらに行き倒れた少女まで見つけてしまって。『奇跡』でなんとか助けられて、彼女からこの世界の情報を聞くことが出来たのは良かったですね。

かつてこの世界では“闇”が猛威を振るっており、神獣たちが力を合わせてそれを打破したが、その戦いの反動で力を失ってしまった。そのために、今では唯一神カドゥを崇める教会しか今は宗教的な崇拝対象としては残っていないとか。

助けた少女ソティエールがその教会で働いていたみたいですけど。下っ端に賃金もろくに与えずこき使って薬草を集めて、その割に治療の際に患者からも高い対価を貰うと、なかなかに腐敗していて。

 

教会に不信感を持ったソティエールが、涼香に同行してくれることになったのはありがたかったですね。どうしたって異世界の常識には疎いわけですし、相談できる相手を早い段階で確保できたのはラッキー。

教義の設定とか、教会が手を出していない開拓村に行こうとか、頼れるアドバイスくれましたし。ケモ耳巫女な涼香の可愛さにやられてる部分もありましたけど。

開拓村へ赴いた時、ちょっとしたトラブルもありつつ無事に信仰を集められる拠点を得られて、異世界で暮らしていけるようになってたのは何よりでした。概ねほのぼのしてるので気楽に読めて良かったです。

聖女先生の魔法は進んでる! 2 竜姫の秘めしもの

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「私は全部自分でやればいいと思ってたわ。他人なんて当てにしても何も叶わないから。最後には全部、自分でやらなきゃいけない。ずっとそう思ってたし、今もそう思ってる。――でも、それが全てじゃない」

(略)

「私は貴方たちを死なせたくない。これからも生きてほしい。私自身、まだ死ねない理由がいっぱいある。だから――力を貸して」

 

ティアが禁域のダンジョンを攻略したことは、否応なく注目を集めることに。

レイナ達はティアの力量を信じているからこそ、それを疑ってませんでしたけど。いきなりこんな爆弾情報放り込んでくるなんて、何考えているんだ、と声を荒げる場面も。……いやまぁ、それはそう。

かなり慎重に動いて同士を集めて、かつての事件について調べたりしていたようですけど。その状況を引っ掻き回すようなネタですものねぇ。

 

禁域討伐の件の査問会が開かれることになって、レイナに与するキャシーが辺境にいるティアのところまでその情報を持って行くことになって。

過去を共有しているキャシー相手にはティアの対応が雑になったりしているの、変わってないな……というか。ちょっかい出して反撃されての関係だった、ある種の気安さがありますな。

……キャシーは、例の事件を期に聖女を辞して、レイナの協力者として動いていたようですけど。過去の傷を共有する相手でもあるので、ふざけ合ってるだけじゃなくて、真面目なトーンで会話するシーンもあったのは良かったですね。

 

ティアの教えを受けている3人娘は、色々なことを学んで成長していってました。

今回はサブタイトルにも表紙にもいる、竜姫エミーの掘り下げが多かったですけど。王族でもあるアンジェが「ダンジョンの資源を利用するのは危険だし、人の命には代えられない」という常識を持ってくれてるのは、なんかホッとしましたね。

「人の命を数で数えなきゃいけないのが王族の仕事」とモーリルに言われていたように、王族としては善良すぎる考えでもありますけど。

……今回明らかになった、王太子が過去の事件を引き起こし、今なおダンジョンを利用した実験をしている黒幕だって言う状況を見ると、アンジェが普通の感性を持ってくれていることがどれだけ救いか。

 

ティアもレイネ達もほぼ確信していましたけれど、王太子が諸々暗躍している人物で。

今回彼が敵を排除しようとして手を打ったのに、ティアはその罠を食い破って見せた。レイネに与する人々の多くが、過去の事件で傷を負いそれでもなお戦う道を選んだ人たちだったのは良かったですねぇ。

ティアがどれだけ強くても彼女の体は一つしかなくて。どちらか一方だけを選ばなくてはいけない、という場面で教え子たちが片方を受け持ってくれたのは成長を感じて良かったですね。

生き延びたことで王太子にティアの力量が認識されて、またちょっかいかけられそうなのが気掛かりではありますが。そうやって動いてくれた方が、尻尾を掴みやすくはなるか。どうか、悪辣に報いがありますように。

転生王女と天才令嬢の魔法革命 王宮秘話

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「貴方のお陰で、夢に手が届きました」

「ハルフィス……」

「私は貴方から教えてもらった希望と一緒に、胸を張って、いっぱい幸せになります」

 

ドラゴンマガジンに掲載された短編5編と、書き下ろし2編を加えたSS7編を収録した短編集。

20203月収録の話なんかもあって、「離宮に来たばかりのまだ距離感を図っている頃のアニスとユフィ」の姿が見られたり、ユフィが王女になってからのイチャイチャ風景が見られたりと、エピソードごとにテイストが違って楽しかったですね。

 

本編だとユフィとアニスのメイン2人や、側にいる人々との関わりだったり、女王となったユフィや王族としてアニスが国の難事に対峙することになる展開が多いわけですが。

そんな中で掘り下げが薄かった、アニスとアニスの母シルフィーヌとの交流が描かれている第2話「子と母と」が良かったですね。

アニスも魔法の才能が無いことで傷ついたけれど、母であるシルフィーヌもまた傷ついていた。同じくらい不器用で、似たもの同士でもある2人の距離が少し近づいたのはホッとしました。

 

3話「愛という難問の答え合わせ」は、子爵家令嬢であるレイニが実家との関係をどうするのか、という話になっていたり。5話「記憶の景色は、時計の針を進めない」は同じように実家と距離を取っているティルティの事情を深掘りする話だったり。

家族というものについて語るエピソードが多かった印象ですね。6話の「ハルフィスの結婚」も、貴族の家の話でしたし。

ハルフィスの婚約者であるマリオンは次男であり、家を継ぐはずではなかった。けれど、次期当主予定であった兄の婚約者の家が、女王の怒りを買い……婚約者を救うためにマリオンの兄が婿入りするという話も出てきたりして。

マリオンがアンティ伯爵家を継ぐ可能性が出て来た中で、理想的な王であるユフィが精霊契約者なのも相まって、神に近く感じられ近くに居られない、と感じる人もいるとも語られていました。

 

畏怖の念を抱き、失言をする前に距離を取る判断が出来るあたりマリオン兄は理性的ですよね……。この国の貴族、ユフィの怒りを買ったりする馬鹿も多い中で、しっかり差異を感じてるのは聡明ですよ。自分の器の限界、と彼は言っていましたけど。

全員が精霊契約者みたいな超人になった国とか、それはそれでヤバいので、ああいう判断できる人が居るのは良いことだと思います。

その上で、この国を改革していくユフィやアニスに近しいハルフィスやマリオンを残していくんだから、しっかり仕事はしてるともいえる。

 

4話「愛への報復」は、年上なのにいつも攻められてばかりのアニスがユフィに反撃しようと、レイニを巻き込んで一日メイドとしてユフィに仕えようとする話。……まぁ当然のように反撃くらって、いつも通りの流れになってましたが。アニスらしくて微笑ましかったですね。

7話「二対一組への誘い」は書き下ろしエピソード。ユフィが女王になった後、アニスの地位が向上した中で、職人たちから「アニスに相応しいドレスを仕立てたい」と嘆願が出されることになって。気乗りしなかったアニスがそれでもドレスを仕立てる中で、楽しみを見出してたのが良かったですね。

……しれっとユフィの愛の重さも描かれていましたが、まぁそれもまたいつも通りではありますか。

双子まとめて『カノジョ』にしない?2

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「姉妹揃って、咲人くんにそこまで大事に想われているんだなって思うと、こう……胸の奥が温かくなって、勇気が湧いてきます」

「千影……」

「だから私はなにがあっても大丈夫です。それと咲人くんとひーちゃんになにかあれば、私が守りますので、任せてくださいね」

 

今回は双子と彼氏と、新聞部を巡る騒動について描かれていました。

同じような活動をしている放送部が、新しいチャレンジをして成功していく一方で、新聞はあまり読まれず……どんどん読まれなくなっていったりして。

それをどうにかしようとした結果、スキャンダルを求めて過激化していったとかなんとか。手紙で呼び出したところで、女子部員が服をはだけて近づいたところを映像に収めて弱みを造ろうとしてるとか、それはもう潰れた方が良いよ。悪い取材の仕方ばっかり学びやがって。

 

3人そろって試験で1位を取り、普段も一緒に行動していることが多くて注目されて。

実際に3人で付き合っているという秘密もあるから、取材対象として興味深いというのは確かでしょうけど、やり口が悪すぎる。

光莉が幽霊部員ながら新聞部に所属していたこと。千影が頼まれて部活動の監査を担当することになり、その対象が新聞部であったこと。

咲人は双子がそれぞれ関係していることもあって、新聞部に近づいていく羽目になるわけですが。

 

悪質取材の手口とか。カメラを人質に取られてるのに「引っかかった、スマホでも取ってたよー!」とか勝ち誇ってくる性格なの見せつけられると、別に手助けせずとも良かったんじゃないかなぁ……みたいな気分になって、あまり乗り切れなかった。

まぁ全く凝りてなくて、部じゃなくて同好会になってもスキャンダルを狙ってやるんだ! とか言ってるから、適当に餌を与えて満足させる方が楽だったのかもしれませんけども。

新聞部問題と向き合いつ、双子ともイチャついたりしていたのは良かったかなー。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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