気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

ガガガ文庫

【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう3

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「……とりあえず、まずは“力”ですわね」

ぽそりとその結論を口にした。

「うん、そうですわ! このまま穂乃花様がブラックシェルに留まるにしろ他のクランを探すにしろ、“力”はあって損はありませんもの! 穂乃花様にいま最優先で必要なのは力! 力あれば憂いなしですわ!」

 

ダンジョン崩壊騒ぎを解決したことで、三億円とか言う超高額のスパチャを貰ってしまったカリン。

リスナーの気持ちとして一部を貰いつつ、渋谷の復興基金とかダンジョン崩壊対策積立基金への寄付をしたりしているの、真冬のアドバイスもあるんでしょうけど賢い。

……カリン、戦闘勘は飛びぬけているし問題解決のための眼力もあるので、回転早くなるタイミングもあるっぽいですけど。巻末の書下ろしによれば学力的な意味ではアホの子らしいのが……はい。まぁ、ある意味予想通りというか、期待を裏切らないというか。

 

もちもちたまご先生の描き下ろしイラスト原画が、そろそろ自宅に届くことになったカリン。家宝というべきそのイラストを保存するため、ダンジョン素材と「神匠」スキルを駆使して、ミサイルでも破壊できない額縁を作る配信をするとか相変わらず独自路線を突っ走ってますねぇ。

性能テストの為にモンスター相手に額縁ぶつけたり、炎にさらしたりしてるの笑っちゃった。下層モンスター相手に無双してなお無傷なの面白い。

 

そんな風に自由気ままにダンジョンを楽しんでいたら、下層でパーティーメンバーを置き去りにしていく外道集団を目撃し、残された一人を助け出したわけですが。

それが「神匠」スキル持ちの30レベルしかない少女・穂乃花で。彼女はブラックなクランにこき使われてボロボロになっていたわけですが……同じ「神匠」持ちであるカリンに出会ったことで、才能を開花させることに。

……下層モンスター素材を加工させながら、完璧に守り切ったカリンのスペックどうなってるんだ本当に。

才能開花させて大はしゃぎしてる穂乃花と、通話越しに背中を押す穂乃花の友人とそれを見守るカリン。姦しいとかじゃなくて「バーサーカーしかいない配信」とか言われる有様になってるのが笑えて好きです。

 

カリンが暴走はじめそうなところに、真冬の働きかけもあったみたいですが、警察組織が速攻で対策を打ちに動いてくれたのは良かったですね。

あとはカリンが「お優雅」と称した、突飛な行動をしているお嬢様であるのに対し。

由緒正しい家柄に生まれ、武術を修めた光姫という一般的にイメージするお嬢様配信者と鉢合わせる事態もあったりして。

……光姫様、カリンファンすぎる一方でとんでもない爆弾抱えていたし。影狼のお嬢様特訓を目撃してしまったりとか、この巻で登場したキャラとは思えないほどの濃い印象残していったの愉快ですね。

影狼の特訓目撃して逃げるところの挿絵がツボです。光姫の眼とか、がなんか良い味だしてる。光姫も才能あるみたいですけどレベル900らしいですし、逃げた彼女に追いついている影狼、レベル1000の面目躍如というか。カリンにボコされたのが例外すぎるんだよな……。

【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう2

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「あなたがなんであろうとも、目の前の方を見捨てるわけがございませんわ! そしてそれは――この場にいる全員同じですの」

 

カリン、お嬢様RPをしながらもドレス姿かつ紅茶片手に「お優雅攻略」をしたり、深層でイレギュラー発生したボスを撃破できたりするくらいの実力者なわけですが。

その実、「神匠」と呼ばれるユニークスキルまで持っていることが発覚。生産適正が高い人物に発現することが多く……しかし、「下層の素材を容易く扱える代わりに、上層・中層の素材を加工できず、制作者本人しか使えない」という制限があるために、外れユニーク扱いされているものだそうですが。

 

カリンのドレス姿、目立つのにどうしてこれまで注目されていなかったのか、の答えが「偽装効果のある魔法装備を身にまとっているから」はトンデモすぎる。

変装が可能だということは、じつは探索の際にすれ違っていたかもしれない! と視聴者が驚くことに。「サファリパークは好きだけど車から降りたくはないというか……」みたいなコメントが笑えて好き。

 

ダンジョンが発生してから時は流れ……先人が色々悩んだ結果、法律の整備とかも進んでいるようですけども。カリンお嬢様はパワーでぶち抜いていくわけです。

頼もしい親友の入れ知恵があったうえですけども、「未成年はダンジョン素材を持ち出せない」。しかし「ダンジョン内部で加工品にしてしまえば完全合法ですわー!」と諸々作成してため込んでいるの笑っちゃった。

ダンジョン関係の法律を扱ってる弁護士先生も視聴していて、途中で壊れちゃってましたけど……仕方ないね、あんな爆弾見ちゃったらね。

でも実際、加工技術も戦闘技術もずば抜けた未成年が下層に飛び込んで装備を作ります! を想定して法律をつくれという方が無茶ですが……。

 

カリンが『ライブアライブ』推ししまくった結果、配信サイトでの配信が増えたり電子書籍の販売数も増えたりして、原作者に認知された上イラストまで描いてもらっているの、憧れてRPしてきたカリンにとっては凄い報酬でしょうねぇ。

その結果、イラストに描いてもらったアクセサリーを思わず自作したりもしてましたし。



【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう

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「え? いえいえ、うっかりじゃありませんわ。もちろんこのまま紅茶を飲みながらお優雅に進むんですのよ?」

 

ダンジョンが出現し数十年が経過した現代。

主人公の少女、山田カリンはダンジョン探索者を描いた創作『ダンジョンアライブ』に登場するセツナというお嬢様キャラに憧れて、「自分もそうなりたい!」とダンジョン配信者としての活動を開始。

 

アニメキャラのように優雅に攻略を進めたい、と思って活動を続けていたものの鳴かず飛ばす、底辺配信者というべき有様で。

そんなある日、彼女は若手では最強クラスの実力を持ちながら、問題行動ばかり起こしている人物が、ダンジョン内部で危険なアイテムを使おうとしている場面に遭遇。それを容易く撃退させた姿が配信に載ったことで一躍時の人に。

 

そして注目が集まったことで、彼女のダンジョン探索風景がついに大勢にみられることになるわけですが……。

アニメキャラに憧れた結果、自作のドレスを身にまとい、優雅さの象徴として紅茶を片手に探索し、モンスターをワンパンで蹴散らしていくという衝撃映像がお届けされるわけです。

そりゃフェイク認定されて視聴者数も増えないわ……みたいな変な納得がある。

 

この世界、未成年がダンジョンに無謀な突撃をしたりさせたりをさせないように、未成年者はダンジョン素材の持ち帰りが禁止されているそうで。

その割に若者の配信が許可されているのは、完全に若者向けの窓口を閉じてしまうと、新規参入がなくなってしまうからという、バランスに苦慮した結果のようではあります。

ダンジョン内で素手で倒すと特殊行動を起こすボスや、そのボスの素材を配信でお披露目しつつ、制限ありで持ち帰れないことに悲鳴があがったりもしてました。

でも途中から視聴者も慣れてきたというか「まさかカリンお嬢様に常識を諭されるなんて……」「一生の不覚ですの……それはそれとして申し訳ございませんでしたわ」ってノリのコメント流れて行ったの笑ったんだよな。

配信コメントや掲示板回での言い回しで結構ツボな部分があって、笑えるので楽しい。

星美くんのプロデュース Vol.3 女装男子でも可愛くなっていいですか?

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「……一緒に、いてくれるの?」

(略)

「……違います。わたしが、いたいんです」

 

星美くんの幼馴染にして、「可愛い」にトラウマを持つ原因ともなった少女・未羽美憂が転校してきて。

彼女もまた色々と抱え込んでいた、というか。とある出来事から「可愛い」を嫌うようになってしまった母に逆らうことが出来ず、星美くんに酷いことを言うコトに繋がったみたいです。

 

自分が「可愛い」を奪われたからこそ、同じように「可愛い」を好きだった星美くんを同じところに引きずり落そうとした、だとか。大分湿度が高いというか。

そして、その行いを後悔している彼女は再会できた彼と仲良くしたいという気持ちがないわけじゃなかったみたいです。

ただその割には言葉のチョイスが致命的に悪すぎるよなぁ……って感じもしますねぇ。

 

ストレスが溜まって女装して楽しもうとしていたところ、その未憂と出会ってしまって。

抑圧されても「可愛い」が好きだという気持ちは変わらなかった未憂の葛藤を見て、「存在しない女子生徒」のコーディネートアドバイスを始めてしまうあたりが、星美くんだなぁ、というかなんというか。

幼馴染との再会からのアレコレでトラウマを刺激された星美くんでしたが、それを乗り越えていけたのは良かった。それに貢献したのが心寧ちゃんだっていうんだから、シリーズの積み重ねがあってこそですよね。完結巻ということで主人公を掘り下げていったのは王道の流れでしたが、良かったですねー。



獄門撫子此処ニ在リ2 赤き太陽の神去団地

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「アマナは、確かにまっとうな人ではない」

(略)

「でも……わたしはアマナのこと、きらいじゃないのよ」

 

現世と幽世のはざまにある『神去団地』。

閉じ込められた無耶師たちが争っている、かなり特殊な場所であったようですが……。

別件の調査をしていた撫子とアマナはその場所へと迷い込んだ、というか。引きずり込まれた、というか。

 

最初は撫子が、自分が獄門家の人間であるという記憶も失っていて。

アマナと早々に会えたことで、「獄門撫子」としての自認は直ぐに取り戻せていましたが、欠けている記憶なんかもまだあって。

さらに神去団地からの脱出方法もないということもあって、団地を巡る騒動に対処する必要に駆られるわけです。

 

撫子とアマナが合流したり、時には分断されたりしつついろんな勢力と交流や戦闘をしているのが面白かったですね。

アマナの本性を知る相手に「まっとうじゃないけど、嫌いじゃない」と言っている撫子、割と彼女の事好きだよなぁというのが良かった。まぁ終盤にも良いシーンは合ったんですが。

一方でアマナは愉快な二等儀式官の四月一日白羽と合流し……本調子でないけどウキウキで無耶師相手に暴れていて笑いました。ゲーム好きだからリアリティ増してる幻術だされて、挿絵でもあんな良い笑顔してたら笑うしかなくないですか!?

帝国第11前線基地魔導図書館、ただいま開館中

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「司書さん。その本は――魔導書は。貴女が完璧に直した場合、戦争に使われるかもしれません。それでも、やりますか?」

(略)

「殺すために直すんじゃない。直した結果がそうなるとしても」狩あの声には逡巡も恐怖もあった――しかし、覚悟と意思も同時にあった。「この子を――本を治せるのは、島なんじゃないが今この国にあたしだけだ。だから、やめない」

 

人が科学の道へ進み、様々な神秘はそのまま歴史に消えていくはずだった。

しかし、人類が忘れつつあった魔力を操る魔族とその集まりである魔王軍との戦争がはじまってしまって。

魔王が三か月おきに放つ「魔王雷」によって各国の都市が破壊されていく中、人類は神秘の残滓である「魔道具」や「勇者」という存在を頼って戦争を続けていた。

 

そんな中で新たに注目されたのが、『魔導書』と呼ばれる遺物であった。時の流れの中で破損してしまっているものの、修復すれば魔力持ちの扱える武器になるだろうと期待されていた一品。

しかし、魔力を持ちつつ稀覯本の修復技術を身に着けている人材なんてそういるハズもなく……帝国の皇女の友人であった、本を愛し、それゆえに職を失った主人公、女司書カリア=アレクサンドルが「魔導司書」という役割を与えられて戦場に送られるわけです。

 

『凄惨な光景、残忍な高位。だが自分は本を読んでいるのだからまだ人間なのだ』という名言を作中の将軍が遺していたとか。どうしたって命の奪い合いをする場であるけれど、人間であろうと踏みとどまっている覚悟が分かる。

他にもカリアの属する帝国、ひいてはそこが属する連合王国においては前線基地に図書館を設置し、兵士のメンタルケア用の施設としていたそうで。実際に作中で効果出ているのを見ると、良いなぁって思いますね。読書好きとして設定が刺さる作品でした。

 

カリアが着任した当初の、第11前線基地の図書館は前任の役職持ちが戦死した為に無法地帯と化していましたが。兵士たちに一歩も退かず、ルールを守らせるように動いたカリア、良かったですねぇ。

本の延滞なんかも日常茶飯事で「明日戦場で死ぬかもしれないんだぞ」と言ってきた相手に、「その本には予約が入っていて、同じ境遇の相手を待たせている」と言い返したシーンが好きです。通常の司書としての業務を行う傍ら、「魔導司書」としての仕事もしっかりしていて……。


あくまで本を愛しているだけの女性だったのに、戦場での命のやり取りに触れることになって、感情を揺さぶられながらも役割を全うしたカリアが良いキャラでした。
図書館利用者の兵士たちも、戦場である以上一回登場してから「次」が無かったりするんですが。彼らの心の支え、その一つに本がなっていたのは間違いなくて、痛くも面白いストーリーが描かれていて良かったですね。

弥生ちゃんは秘密を隠せない

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「変わることは何も悪いことじゃないのよ。弥生の気持ちは弥生だけのものだし、あなたの人生はあなたが決めることだもの」

 

主人公の深瀬皐月は、左手で触れた相手の思考を読み取れるサイコメトリー能力を持っている以外は、普通の男子高校生。

そんな彼はある時、美人ではあるものの「近寄るな」というオーラをまとい孤立している美少女、木下弥生さんに左手で触れてしまって……。

彼女から「格好いい」と思われているのを聞いてしまい、それ以来気になっていた。

 

そして2年に進級した際のクラス替えで、いよいよ同じクラスになって。

接点が増えたことで、少しずつ2人の距離が縮まっていくことになるラブコメですね。

皐月はピアノの演奏が好きで、けれどかつて失敗したことがトラウマで弾けなくなっていた。

弥生が彼を気に掛けるようになった切っ掛けがそのピアノで、だからこそ皐月を再起させることができた。

 

……と、主人公のピアノという特技だけでもまとまった気はしますが。

皐月の持っているサイコメトリー能力と、弥生が他の人と距離を取ろうとしていた理由というのが、1巻時点だと蛇足というか冗長感はありましたね。

最後の引きを見ると、続刊でそのあたりを活かしてくるのかもしれませんが……微妙に乗り切れなかった部分はあるな。

星美くんのプロデュース Vol.2 ギャルが似合わない服を着てもいいですか?

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「その気持ちを、きっと折戸くんだって抱えてる。『期待外れだと思われたくない』って、嫌われたくないってことだよ。でもそれって本当は期待してほしい、って裏返しだよ」

「裏返し……」

「だから、嫌われるのが――期待外れになるのが怖くても、前に進めるってところを見せてあげてよ」

 

女装男子の星美くんと、心寧ちゃんとその友人聖蘭との交流は続いていて。

まぁ、聖蘭の前だとジルちゃんとして振舞っていくことになってはいますが。

星美くんが心寧と出かけたある日、心寧が人とぶつかってしまって……その時に持っていたコーヒーを鞄にかけてしまった。それが高額ブランド商品だったことでワタワタする羽目になってましたが。

お相手はあまり気にせず使っていて、気にしないでいいよと言ってくれたんですが、それでは気が済まないから出来る範囲で弁償を……という話が出て。

 

その人物が店長を務めているカフェでバイトを掏る流れになって。

……まぁ星美くんではなく「ジルちゃん」で入ったことと、そこで折戸くんが既に働いていたせいで、別の火種を抱え込むことになっていましたが。

コーヒー掛けたのは心寧だったわけですが、陰キャを自称する心寧はまぁ接客業には不向きすぎて初日でクビ通告されてました。うーん、順当……。

 

女装を隠している男友達と一緒のバイトで接点が増えて。

それを隠しつつ悩んでいる彼に的確な言葉を掛けたせいで、妙な状況になってしまったり。

さらには折戸が気になっている聖蘭のプロデュースをすることになったりとしていました。妙なすれ違いとかみ合いがありつつも少し前向きになれる決着を迎えられたのは良かったですねぇ。

それでホッとしたところ、エピローグで刺されたわけですけど。今度は星美の過去が襲ってくるわけか……3巻楽しみだけど怖いな。

獄門撫子此処ニ在リ

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「もう手遅れよ――たとえ地獄に堕ちようと、わたしはあなたを逃がさない」

「…………どうかしているぞ」

 

17回小学館ライトノベル大賞の大賞受賞作。

妖怪や魔物なんかがいる世界、それに対処する霊能力者(作中での呼称は無耶師)も存在していた。

主人公の少女、獄門撫子の生家である獄門家もまたそういう家ではあるんですが……悪名が広がりすぎて無耶師はおろか化物すら畏怖する家でもあった。

 

獄卒の流れを汲み、通常の人としての食事は実際のところ必要なく、化け物の肉だけが彼女の飢えを満たす。

そんな特殊な立ち位置でありながら、人に近すぎる怪異は食べようとしなかったり、人と鬼の狭間に居て、他者を遠ざけながらも自分の立ち位置を定めようとしていた。

そんな中で、とある依頼を受けて八裂島という場所に赴いたときに、無花果アマナという「普通の人間」を自称する女性と出会って。

彼女と交流する中で、鬼でありたかった少女は少しずつ人間味を取り戻していくの、好きだなぁ。

 

撫子の曾祖母は界隈で恐れられる偉業を成し、獄門でも特に恐れられている人物だったようですが。撫子はまだ、怪異を一蹴とかできるレベルには至っておらず、奮闘しているのもあって、最初から等身大の少女感はあって撫子好きでしたね。

……まぁ再三言っている通り、怪異の肉を必要とする異種としての性質も持っているわけですが。

 

そんな異質である彼女を変に恐れることもなく、近づいてくるアマナの存在はなかなかに救いであったと思いますね。

アマナはアマナで色々と胸に秘めたものがある人物であったというか。普通を自称する人物は、たいてい普通じゃないんだよなぁというべきか。その秘密を知り、今度は自分から踏み込んでいく撫子が良かったです。凸凹だけど良いコンビと言えるのでは?

星美くんのプロデュース Vol.1/陰キャでも可愛くなれますか?

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「だって、どれだけわたしが自分のことを否定しても、星美くんは一度だってわたしのことを否定しなかった。わたしが変われるように、諦めないで背中を押してくれた。だから、わたしが強く見えたのなら、それはきっと、星美くんのおかげなんです……! 星美くんが隣で支えてくれるって思うと、なんだか、今まで怖かったこともあんまり怖くなくなるんです」

 

女装が趣味の主人公、星美次郎。

必要な知識としてファッションやメイクなんかの知識をしっかり仕入れて活用し、女子ともそう言ったトークで盛り上がれる立ち位置になっていましたが。

友人たちにも女装趣味は伏せていた。ただ女装して出かけた先で、ファッションに悩む女子を見かけたら「可愛くしてあげる」と声をかけていたことから、『存在しない女子生徒』の噂が学校で流れることになってしまっていて……。

 

それでも趣味の女装はやめられず、「(姉からもらった制服で)女子生徒と誤認されてるなら、私服で出かけよ~」って出かけるの、自由ですねぇ。

バレるリスクがあっても、可愛いとは時に人を狂わせる魔法のような力を持っている、と自覚して動いているわけですが。

その上で悩める女子への声掛けもやってるんだから、もうすこし自重してもいいのでは、とはちょっと思いましたが。

 

実際声掛けの帰りにクラスメイトの陰キャ女子に見つかって、「可愛くしてほしい」というお願いをされてしまったほか、ウィッグが取れてしまったことで正体発覚までしていたわけですからね……。

学校でのバレを星美は警戒してましたが、心寧は「可愛い」として認めた相手の秘密をバラす気はなかった。……というか陰キャすぎてバラそうにも話しかけられる相手がいないという悲しい暴露までしてましたが……。

 

「可愛くしてほしい」という提案に対して星美くんが躊躇していたら、頑張ってバラしてやると脅迫じみた真似までしてきたけれど。

陰キャ力高すぎて自虐が過ぎるのはちょっとアレでしたが、星美くんの女装趣味を否定しないでくれたのは良かったですね。花ヶ田さんのイラストが本当に綺麗で、可愛くなっていく過程が描かれているの良いですね。スカート選んで試着しているシーンの絵と、カジュアル寄りの女装する星美くんのイラストが特に好き。

 

星美くんの指導によって少しずつ変わっていく心寧は、注目を集めてクラスで浮きかけたりしてましたが……友人たちのアドバイスを受けて対処したりもして。

心寧さんには心寧さんの想いがあって。星美くんに「過保護で過干渉」と突っぱねられるシーンもありましたが……自分がおかしなことをしてる自覚はあって、自罰的になってしまうの背負いすぎ感はある。

過去に傷を持っていた彼女が、それと向き合うことが出来たのは良かったですねぇ。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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