気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

C★NOVELS

【1巻】クラッシュ・ブレイズ 嘆きのサイレン

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「天使。頼む。今回だけはどうしてもお前の力が必要なんだ。俺を助けてくれ」

 

ケリー・ダイアナ・ジャスミンの大人チームと、リィやシェラ、ルゥ達のチームとの話が重なっていて、これまでの物語の積み重ねを感じますねぇ。

あくまで眠っているだけだから、とジャスミンの生体情報をクーア財閥の認証キーの最優先に設定していたケリーは、いい性格してます。

 

幹部連中はアレク以外はジャスミンの事を知らなかったのもあって「貴女にそんなことを言う権限はない」とか口走ってましたが……眠っていただけだから、財産もしっかりと継承してるので、財閥の総帥は彼女だって言うのが分かってないのがなぁ……。

まぁ、いきなりやってきた過去の人物がトップに立ちますと言われて、すぐに飲みこめるものでもないでしょうけど。

ジャスミンの、四十年ものブランクがあるため運営に口を出すつもりはないけど監察はするって距離感は、上手い落としどころだと思います。

 

屋敷に戻って執事バーンズと対面したり、引退したマヌエル一世の下に会食に行って……そこで辺境で起きている奇怪な事件について知ることに。

同じエリアで短期間に連続して起きた宇宙船に生じる不具合。それを調査に赴いたら、通常とは違うダイアナすら影響を受けてしまって……。

やむを得ずルゥに手助けを頼んでましたが。情報が少ない中ルゥは良くケリーたちのところに辿り着いたものです。……その過程で、連邦の中枢の人物が恐怖を味わう目になっていましたが、まぁ、うん。過去の因果が報いた結果だから……。

 

ルゥはケリー達が読んだ助っ人でしたが。その辺境の星に、体験学習で訪れていたリィとシェラが居たのは、結果としてはとても幸いなことだったでしょう。

機械に頼らない生活を体験する授業って事ですが……この二人にとっては、何一つ問題がない生活ですからねぇ。他の生徒よりもレベルの高い課題を課されることになって、それも難なくこなしていたのは流石のひと言。

 

問題への対処に必要だから、とルゥが本気で歌うことになりましたが。戦闘面を担当する女王と海賊が、彼女たちの本領を発揮できる舞台で、影響を受けてしまうのが、それほどに強い歌だと読者にも伝わってくるのが好き。

……地上で歌を鑑賞しているだけのリィとシェラは、かなり穏やかな気分だったでしょうけど。海賊が天使に向けている信頼が、とても尊くて好きです。




余談)リンクを張るためにBOOK☆WALKERで作品を確認した所、シリーズまとめてストアに登録されたみたいで、順番がバラバラです。今から紙でシリーズ購入するのは大変かと思いますが、電子版に手を出す際はお気を付けください。

暁の天使たち外伝2 天使たちの華劇

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「この格好が客寄せになるっていう理屈は正しいと思ったからさ。本当にいやなら、おれはやらない」

                                                                                                

ヴァンツァーが論文に不可を出されて相談にやってくる「一般市民のすすめ」。リィが寮長のハンスにロッドの腕を見込まれる「常識の問題」。

学園祭で喫茶店を開くことになり、リィとシェラが給仕を務めることになる「ヴァレンタイン卿の災難」。シェラがかつてつくった衣装に再挑戦する「趣味の時間」の4編が収録されています。「ヴァレンタイン卿の災難」だけ中編で他は短編。

 

単位を餌に夜の誘いをしてくる教授はバカ過ぎるけど、とりあえず要求を呑んだ後消そうとするヴァンツァーもまだこっちの常識に馴染んでない感じがして笑える。

……これまでも同様の手口で被害者が出てるので、笑えないですけど。ヴァンツァーに声かけた時点で破滅確定してるようなもんだからなぁ……。実際、見事に沈んでいったので痛快でした。

 

「常識の問題」は、本調子ではないリィがうっかりハンスをロッドで倒してしまって、腕を見込まれてチームに勧誘されていく話なんですが。一般市民を目指すリィはそれを断って。真剣勝負の片鱗を見せて、ハンスを鍛える方向に行くのは、リィ達ならではだなぁ。

 

「ヴァレンタイン卿の災難」に関しては、表紙にある衣装――ウェイトレス姿になって接客をするという喫茶店のはなしですが。シェラ渾身の作品を金銀天使が纏うだけあって映えますねぇ。

チャリティーも兼ねていて、諸々を最後オークションに出していましたが。マーガレットが全力で落札したのも頷ける。

 

「趣味の時間」はかつて王妃に作った衣装を、シェラが改めて作る話。自主制作衣装の発表、その代表の代理に選ばれたからですけど……既に決まっていた人物が、デザイン画提出前日に骨折してしまったというのは不運でした。

そこで短い期間でウェイトレス衣装を仕上げたシェラに話が来たようですけど。こちらの世界に来て、あの衣装の基となったデザインも見て、再挑戦したいというのはシェラらしいですねぇ。

暁の天使たち外伝1 舞闘会の華麗なる終演

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「自己満足って言うけど、あなたのその自己満足のおかげで、あたしはダンに会えた」

 

6巻で描かれなかった時間軸を穴埋めする『嵐の後』。ダンの息子であるジェームズがルゥを探しに行きたいと言い始めるエピソード『宇宙一不幸な男』の2編を収録。

『嵐の後』では、ダイダロス・ワンからリィ達が逃げる時の状況が追加されていたりしますし、ケリーの身元確認のために連れてこられていた「関係者」とジャスミンが再会してるシーンも入ってます。

 

四十年が経っていても、昔なじみをしっかり見抜く目を持っている辺りは流石ですね。

ダンも鉢合わせてヘレンやプリスティンに正体を見抜かれてましたから、女性陣の目が鋭いと言うべきか。

しかし、ガイアへのフリーパスであるケリーが帰還してくれたことで、説明がスムーズに済んだように。今回と同様の事例が起きてないか調べる為に、統合管理脳ことゼウスの助力を求められるジャスミンがいてくれたのは本当にありがたかったですね。

良いタイミングで帰って来てくれたものです。

 

一方、パラス・アテナ内部でのリィたちのわちゃわちゃ具合も楽しかったですね。負傷したリィがレティシアを栄養食扱いしてるのは、さすがの野性っぷりと思いましたが。その後、まさかのお菓子作りを始めたのには驚いた。

実際、美味しそうな品が出来て呆然としてるファロット三人の様子が本当に笑えましたねぇ。リィを知らない怪獣夫婦とダイアナからすると、その反応こそ分からないみたいでしたけど。

後は、シェラが披露した謎の力。『月』としての力の現れでしたけど、普段は『太陽』と『闇』が強いから表に出てこない、という設定にはなるほどな、と思いました。
しかしそれだと、使う練習とかできそうになくてそれはそれで大変なのでは。そうなんども二人が動けない状態にはなってほしくないですけどね。

 

『宇宙一不幸な男』に関しては、ルゥを諦めきれないジェームズのために一芝居を討つ話ですけど。思わぬ着地をしてダンの胃にダメージ入ってて笑えました。

暁の天使たち6 天使の舞闘会

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「だから、おまえが迎えに来てくれ」

 

ルゥが暴走を始めたとき、ファロット三人はなにがしかの異変を感じたようですが……リィはなぜか察する事が出来なかった。

その間に状況が進行し……セントラル星系は、ルゥの怒りによって滅ぼされようとしていた。

 

ルゥは行動を激化させる前にヴェラーレンに会ってましたけど……ただ息子に帰ってきてほしかっただけではなく、「理想の息子」になって欲しかったが為の行動だったって言うんだから、度し難い。

5巻でケリーが指摘してましたけど、息子の死後三年娘をほったらかしにしてたり、良い親要素全くないからなぁ……。良い仕事についてるから、資金問題がないことだけが救いか?

 

幽霊星の異常を知っているダイアナも困惑する、あり得るはずがない異変。ケリーは即座にリィに連絡を取ろうと行動を開始します。

その後も要所で美味しい活躍してくれてるし、デモンも言っていましたけど本当によくぞこのタイミングで帰って来てくれていたものです。

なんだったら連邦相手の交渉も任せられるし、ガイア相手のフリーパスまで持っている。んだもんなぁ。色々すっ飛ばせたのでラッキー。

 

あずかり知らぬ下の暴走で、セントラルが……ひいては連邦が壊滅するかもしれない、となった連邦上層部の方々はご愁傷様でした。

そもそも今回の事件には情報局の長官が関与してるし、連邦の管理不行き届きによるものだから自業自得ではありますけど。巨大な組織になると身動きとり難くて大変そうですねぇ。

 

……まぁ、そういう組織の柵を抜きにしても。大人の傲慢があったのは否めませんけどね。全てが無事に収まったあと。ルゥにかつてリィが体験した「実験」を味わわせた後の反応を見るに、想像力が足りてなさすぎる。

 

暴走した相棒を止める為に、行動を開始したリィ。しかし、そうすればお互い無事で済むはずがなくて。シェラも一人でいかせるのは反対してましたけど、迎えに来てくれと言われてぽかんとした場面が好きです。

まぁ、ハラハラしましたが無事に帰って来られて何よりです。リィ戻ってこないとマーガレット意識不明のままになっちゃうしね……。

 

暁の天使たち5 女王と海賊

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「いいか、海賊。わたしを愛しているからだなんて言うなよ。今度こそ顔の形を変えてやるからな」

「どこまでも薄情な女房だぜ」

 

ルゥの力でケリーが蘇り、ジャスミンも目覚めた。

そして女王がダイアナを目覚めさせたことで、かつてケリーが願った再会までの道筋は整い始めましたが……未だにケリーは敵の基地の中。

それでも平然としているというか、総帥時代の積み重ねでむしろ黒幕側に冷や汗かかせているのはお見事としか言うほかない。

 

ヴェラーレンに、実は昔娘さんに味方したころあるんだよ、って通信で暴露するシーンとか。その後対面したとき、どっしりソファーに座ってるシーンとか、ケリーの強かさが感じられて好きです。

そうやって圧される場面がありながらも、自分の願いのために引きことは出来ない、とプラント技術の提供を求めましたが……そもそも渡しても意味がない、と

 

オマケに女王様のためにしっかりクインビーを整備した状態で遺しておくんだから、抜かりないですよね。

さすがに探知機能最新兵器は安全性重視になったせいで、昔に比べてパイロットの腕が落ちている、と。かつて共和宇宙一だった「あかいひこうき」が自由に飛ぶ姿を見られるのは読者的にも嬉しい場面ですね。あの映画撮影を覚えている人員が、この場所に居合わせたのも運命的というか。

 

ルゥの能力でそれらの場面をのぞき見していたリィ達ですけど、ダンの困惑はいかほどだったろうか。

思わずルゥに当てにしてはいけない力を頼ろうとするくらい、か。あれは母親が関わっていたからと言うのもあるでしょうけど、意外な展開ではありましたね。ジャスミンがしっかり相手を見抜いたのはお見事でした。母は強し。……いろんな意味で。

あと、ジャスミンがルゥに息子夫婦に恩義があると聞いた後、しっかりと礼を言う場面も好きです。

 

怪獣夫婦が再会を果たして、お互いにいえなかった事を告げて。これで大団円かと思いきや、最後にルゥが暴走を始めてしまったわけですが。最後の一文で理由もわかるから、連邦、なにやってるの!? と初めて読んだ時でも慄いたものですね……。

暁の天使たち4 二人の眠り姫

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「天使が奇跡を起こしてくれたぜ」

 

蘇生した場所が連邦の「ダイダロス・ワン」であったのが、良かったのか悪かったのか。事態を大きくしたともいえますけど、この場所だったからキングの仕込みが効いた部分もあるわけで。

使うつもりのなかった悪戯心が、未来で有効活用されるとかなんとも面白い展開になってるなとは思いました。……いや、なんで連邦の秘密基地に自分の認証登録をこっそり入れてるんですか、ケリー。

 

ルゥのことを良く知ってる彼は、ルゥの死体を近場の惑星の海に落して。そこで魔法で飛ばされてきたリィ達と対面して、戦闘になりかけたんだから冷や汗ものです。

リィが気が付かなかったら、洒落になれない事態になっていたことでしょう。不審に思って「金色狼」であることに気付くケリーの洞察力も流石ですけど。

一旦基地を脱出して、復活してきたルゥをリィが釣り上げるシーンは、ドタバタ騒動の中で息抜きできるコミカルなシーンだったので良かった。

 

その後、ケリーの目覚めに合わせてルゥがジャスミンの身体を癒してましたが……「自分は死んだはず」と強固に信じている彼女は目覚めず。

刺激を与える役を任されたケリーが、火薬庫に爆弾放り込む感じで覚醒させてましたが。やり方がおっかないよ……。激高した怪獣と対面する羽目になったルゥはお疲れ様です。

自ら眠りにつく判断を下したダイアナをジャスミンが起こしに行く場面も、録画なのに妙に噛み合ってる会話のくだりとか楽しくて好き。


暁の天使たち3 海賊王の帰還

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「ただ、もしかしたら――もしかしたら、ですが、二人を活かせるまでもなかったかもしれません」

 

クーア財閥総帥だったケリーが残したモノ。

冷凍睡眠状態のジャスミンと、彼女の治療方法を模索する施設。そして、それと隣り合った形で作った、彼のクローンを生み出すための施設。その存在がどこからか連邦に漏れてしまって。

 

今のクーア財閥は総帥を置かず幹部たちによって運営されているそうですが、その幹部たちの過去の弱みに付け込んで、ケリーを再生するためのプラントを持ち去ったとか。

不老不死が実現できるかも、という毒の様に甘い蜜を見つけたら、そりゃ集るよなぁって感じではありますけども。

 

かつて約束した相手の遺産を、そんな風にいじられて黙っていられるルゥではなく。連邦の秘密基地に乗り込もうってんだから、行動が迅速に過ぎる。

ただそこで失敗してリィに悟られてしまったのは、痛かったですね。タイトルにある通り、ついに海賊王が帰還してくれるわけですが……あとがきでは「予定は未定」とか書かれていて相当な難産だった模様。終盤にしか登場シーンないですけど、やっぱり彼の描写を見ると安心できるというか、状況が良く分からない中でも最善に近い動きをしてるのはお見事でした。

 

ジャスミンが死んでおらず、治療法がないために寝ている状態だというのを知った『スカーレット・ウィザード』で登場したキャラクター達が、眠る彼女と再会して涙する場面が好きです。

……対面者からジンジャーを省く、なんて恐ろしい真似をしたアレク以外の幹部の行動には肝が冷えますが。絶対碌な目に合わないぞ……。

暁の天使たち2 神々の憂鬱

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「おまえが、どうして生まれてきたかは知らない」

「…………」

「それでも、ここがお前の家だ。ぼくがおまえの父親なんだ。それだけは忘れないでくれ」

 

シェラがこの世界に馴染むための一環として、遊園地に行った時のエピソードからスタート。

実際に動く船や戦士を知っていると、あまりにもおかしく感じられる「作り物」。あとは遊園地でしか食べられない「ブランド化」された食品とか。シェラにとっては違和感だらけ。

これまでの常識が通じない世界で、困惑しながらも学び続けているシェラは本当に真面目だと思います。

 

ルゥがリィに打ち明けていない、彼の中で眠り続けている魂の話とか。

リィの育ての親であるアマロックに関する情報と、彼の妻に会いに行ったヴァレンタイン卿のこととか。

ボンジュイに残して来た聖霊たちの話と、ラー一族の伝承の話を聞いたり。シェラだけが打ち明けられている情報なんかもあって、新鮮でしたねー。

 

……ヴァレンタイン卿は、家族にも内緒でシルヴィに会いに行ってましたが。リィはそれを察していたり、「父さん」と呼べないことを謝罪したり、不器用なこの二人の関係も好きなんですよねー。

心配しながらも送り出した息子が五日で騒動を巻き起こしてたり、彼の胃が心配になる。

元王妃とファロット一族が3人、この世界の常識を語りつつ一般市民を目指そうという指針を共有してはいましたが。シェラがレティシアを警戒して威嚇しまくってる雰囲気出してるの、微笑ましく見えますねぇ。

 

ダンがラー一族のデモンから、特異能力者としてのリィが過去にどんな目にあったかの話を聞いたり。息子を育ててくれた「天使」相手に複雑な感情を持っているところを、親族にどうして結婚しなかったとか追及されたり。

そんな困惑しきった所に、祖父がジャスミンに関しての話を持ち込んでくるんだから、彼は彼で波乱万丈な人生を送ってる感じがしますよねー。

根が常識人に寄りすぎてて、怪獣夫妻のような安定感がなく流れに巻き込まれてばっかりの様にも思いますが。


暁の天使たち

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「へええ? おまえもまあ、開き直ったもんだな」

「……以前のままの私と思うな」

 

デルフィニア戦記後を描くシリーズ。リィはシェラを連れて元の世界に帰還した。

あちらでは何年も経っていたけれど、こちら側では十日程度の時間しか流れておらず、肉体年齢を若返らせる処置とかをした上で、ドレステッド・ホールを訪問。

そこにはリィの産みの親と、彼の兄弟姉妹が住んでいた。母親のマーガレットは、リィの特殊性を察していて、ルゥにあげたそうですけど。

父親のヴァレンタイン卿は、リィとの距離を測りかねている部分がある模様。……なんだかんだ寛容な部分もありますよね。

 

魔法はオカルト扱い。一般市民が戦闘に関与する事はほとんどなく、科学技術が発展した世界。

シェラはこの世界の常識が何一つ分からない状態で、ルゥが異世界から拾ってきたとは言えないために、それらしい経歴を偽装して、リィの父親に後見人になってもらう流れになっていました。

 

最低限の学習を終えた後、リィとシェラは連邦大学の中等部に入学することになって。

シェラから情報を引き出そうとダン船長やヘッケル女医なんかがカウンセリングをしてましたが。それで故郷が分かるはずもないんですよねぇ。

 

ヴァンツァーも蘇生させられて、別の学校通っていたようですが。シェラはどうにも顔を合わせにくい気分だったみたいです。

ただそれも、リィの中で眠っていたレティシアという爆弾が起動したことで、否応なく対面することになって、最終的には丸く収まったんではないでしょうか。

警備の方とか、信じがたいものを見たダンやヘッケルに関しては、徒労に終わるカウンセリングの末のアレだからなぁ……お疲れ様です、本当に。

リィとシェラが「男子」であることに驚く一般学生たちのリアクションとかが笑えて好きです。

ヴァリアント・エクスペリメント

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「自分と違う誰かが自分と同じように思うと考えるのはオススメしない、という話を悠里に判りやすく説明できない。どういえばいい?」

(略)

「いろんな考えのやつがいるってことだよ。何と何を引き換えにしてもいいかは人によって違う」

 

前作の「夜を歩けば」と同じ世界観です。

作中に柊っていう研究者が名前だけ出てきてるけど、多分あの人ですよねぇ。

夜を歩けばでは「異能者(アウター)」という、異能を持ち、線の向こう側にいる人々の話が描かれていました。

その能力のほとんどは、例えば死角に潜めるとか、認識を焼くとか、思考を読めるとか、五感やらに影響を与えるものが多かったように思います。

 

今回登場するのは「異能者(ヴァリアント)」という、前作の彼らとは違う能力者。

最初に登場する異能者からして、右腕を鉄のように硬化させるというものですし。

そもそもの身体能力も相当なものがあるようですから、アウターとヴァリアントはまた別の存在だという印象。

共通しているのは、《上》の指示によって研究をしているという点と、最終的な目的くらいでしょうか。

 

異能者を集めて、殺し合わせる。

なんともまぁ、頭の悪そうな実験ですが、それを真面目に研究している人がいるって言うんだから世も末。

それに出資している人々もいるって言うんだから、アレです。

 

何でも屋を営む女、式条丹。

ある日喋る猫に「助けてくれ」と請われて実験に参加した彼女。

いやぁ、自分の流儀を持っていて、それを貫き通してくれるから、判りやすくていいですね。

実験の内容を知って参加したり、勝ち残ることで得られる賞金目当てのクズばっかりが集まったりしているので、敵が戦いの後あっさり死んでも心が痛まない。

大体の場合、敵の方がマコトたちを殺しに来るんだから正当防衛な気もしますが。

……過剰防衛になってないかとか、それを楽しんでいるあたりマコトも言い逃れは出来ないという説も。

 

カバーと扉にしかイラストがないのが残念。

続編出て、アウターとヴァリアントの差とかに言及が入ると個人的にすごく楽しいんですけど、どうだろうなぁ……

最初から最後まで異能バトルしていて、中々面白かったです。



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