気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

MF文庫J

神は遊戯に飢えている。9

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「答え合わせの時間だ。俺とお前、ここまでに積み重ねて来たもので!」

『始めましょう。勝負にさえならない勝負を』

 

シリーズ完結巻。

前人未踏の9勝に到達したフェイ達。

ヘレネイアはフェイ達が10勝するのを阻むべく、半神半人である自身の性質を活かしゲームマスターとして君臨。他の面々も神としての顔をあらわにして、最後のゲームを争うことに。

使徒全てが10勝のかかった試合を見たいからダイブインを控えて、そのため神々も手すきの時間が出来たことで観戦体制になっているのは面白かった。

……まぁ、ヘレネイアはフェイ達の10勝を阻止したい立場なので、クリアできそうで出来ない無理ゲーを仕掛けてくる可能性が高い。

 

最後の10勝で、かつてのウロボロスみたいな超絶難易度のゲームが仕掛けられる、と示されてしまえばヘレネイアの目論見通り、神々の遊戯はすたれてしまうかもしれない。

そういう懸念もあったので、フェイ達は大々的に5日後にゲーム参加する! と言っておいて秘密裏にチャレンジする選択をしたみたいです。

 

最終試合、スケールが神々基準の馬鹿仕様ながら、以前ケイオスとプレイした元になっている「ラグナリーグ」。

神側のスキルと人側のスキルに明確な差を設けていたり、格差はあるものの運要素も取り入れていて、フェイ達が辛くも命を拾う場面もあったり、絶望させるための見せ札とは言え希望も盛り込んでいたり。フレイヤが言っていた「遊戯に楽しさを求めない神の遊戯は、絶対攻略不可だろう」みたいな前振りの割には温情があったかな……みたいな印象。

いやまぁ、フェイ達でなければ食らいつくことも出来ずに終わってそうではありましたけど。

 

最終ゲームに設定されていたライフが「これまで勝利した神の数」で決まっていたり、これまでの積み重ねが無駄になっていないどころか、本当にそれまでの全てを出し切って迎えた結末が、楽しそうな未来だったのが何よりです。

遊戯というなら、やっぱり楽しんでこそ、でしょうからね。



この恋、おくちにあいますか?~優等生の白姫さんは問題児の俺と毎日キスしてる~

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「……なりたい自分で、いるだけなんだけどな」

 

容姿よしで文武両道、人柄にも問題なくモデル事務所にも所属している社長令嬢。

文句の付け所がないS級スペックの持ち主だから、S姫というあだ名が付けられたお嬢様、白姫リラ。

そんな彼女と、家同士の話によって婚約関係になったのが主人公の君波透衣であった、と。

 

ピアスや緩めた制服、髪を纏めるピンやパーカーの着用などなど。校則違反をしまくって問題児扱いを受けているようですけど。

そのことで先生に注意されたり、学友に注意されても噛みついて言い返してるから、まぁ実際扱いに困る問題児ではあるんでしょう。実際からまれてケンカとかもしてるしな……。

 

ピアスを外したくない理由もちゃんとあるみたいですし、料理人になりたいという夢もあって自分の軸をもってはいるみたいですけど。周囲との確執も生みまくったトゲトゲした生き方で、見ていてなんだかなぁ……って感じではありましたね。

そうやって周囲にトラブルふりまきつつ、自分は実家のレストランでバイトに勤しんでるの、同じバイト先のクラスメイト・冠城いちごに苦言を呈されても仕方ないのでは。

不良として見られているのも納得していて、だからこそ他人と距離を取っているみたいですけど。料理以外してなければ、料理人以外の進路なくなるだろうっていうのはあまりに安直すぎる。

 

自分の出立点であるメゾンを捨てて、三ツ星レストランに引き抜かれた後に独立した父のことを透衣は嫌っていて、その反発心もあるようですけど……「子供だから」というレッテルで何も見てないという君も、父にレッテル張ってるのでは。

そういう溝がある状態で、「今年でこの店を閉める」なんて聞かされたら、そりゃ心中穏やかではないでしょう。赤字続きなのであれば、まぁ判断としては止むをえない部分もあるでしょうけど。

婚約関係とか知らなかった透衣は戸惑ってましたし、料理人になろうとしていたのに見せ潰すしそれは諦めて、婚約相手に婿入りしてそっちの会社告げ、とかいう話を前から打診されていたのに息子に伝えてこなかった父はどうなんだ……。

必要なコトを説明してしない父にも、噛みついてばっかりの透衣にも問題はあるよなぁ……。

 

リラも、表向きは良い子だけど本音を隠す理性を持ってるだけで、その実好き勝手振舞う透衣は嫌いで……でも、ワガママ言いたくない気持ちもあって。

最終的にはバチバチ喧嘩しながらも、婚約を結ぶことになって……そこから交流が増えて、少しずつ関係が変わっていくのは、まぁ青春してたんじゃないでしょうか。

君を「ナツキ」と呼ぶまでの物語

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「単純な差だよ。すっかり諦めた俺と違って、不知火は今もそれを信じてる」

「……………………」

「――俺には、それは裏切れない。あいつの力になりたい理由なんて、それだけだ」

 

電子だとすぐに目に入ってきますが、紙書籍だと帯で隠れる部分に「名月、夏生、奈津希、懐姫、なつき 進学した高校で5人のナツキと出会った男――かつて幼い頃に出会った少女「ナツキ」はこの中の誰なのか? この中の誰を下の名前で「ナツキ」と呼ぶことになるのか?編」という、超長サブタイトル?というか、補足が書いてあって笑えますが。

 

サブタイトル通り、ヒロインとして登場するから全員がナツキという同じ名前を持つ設定の作品です。

主人公である景行想くんは、かつて母に連れられてパーティに参加し、そこでナツキという名前の少女と仲良くなった。しかし……彼女が親から「友人は選べ」と言われて頷いているのを見たことがトラウマになって、ナツキという名前を呼べなくなってしまった。

さらに中学時代にトラブルに見舞われた友人を救おうとしたものの、その友人に手ひどく裏切られる経験までして。

 

高校進学に際して、彼は征心館という中高一貫の高校へ編入することを決めて。

そこでこれまでとは違う「打算的に、損得勘定で人間関係を構築する」という目標を掲げることにしたわけです。

樹宮名月という少女から勧められたこともあり、学食の食券などを対価にちょっとしたお手伝いをする、学校内での仕事を始めたりもしてたわけですけど。

 

……三つ子の魂百までというか、なんだかんだ根は善良なのが変えきれてない感が凄い。

母の仕事上の付き合いとは言え、名家の令嬢なんかも参加しているようなパーティーに参加しているとか、何だかんだ良い環境で育ってますよね想くん。

父親を亡くなった状態で、姉と想と双子の妹と4人を育てているわけですし、涼暮作品メタ的に凄い想の母親にはすごい女傑の気配を感じている。

 

「社会で生きる以上、値踏みされることは多い」としっかり教えてくれる上で「想には向いてない」と教えてくれる母の下で育ってるわけですし。

想の姉妹は、想に色々アドバイスしてきてるし、なんか想くんより生きるの上手そうだな……。想くん、涼暮作品の主人公にありがちなトラウマ抱え込んで、自分の在り方を貫こうとするタイプの子なんですけど、その中でも特に揺れ幅が大きいというか、まだ軸がハッキリ定まってない感じはしましたね。

 

ヒロインの名前が全員同じ、という設定開示をするためにそれぞれのキャラ紹介的な面が強く、一応今回は、子役経験のある不知火ちゃんに深掘りしていく展開も見せつつ、序章という味わいだったので、刊行続いて他のヒロインの深掘りも見せて欲しいものです。

個人的には樹宮と水瀬の2人が気になっているので、その2人のヒロイン回は描いてほしいと思ってるんですが、さてはて。

 
ちなみに、5人目の登場はかなり終盤なんですが。電子書籍特典として付いてくる書下ろし短編がタイトルそのまま「5人目」となっていて、想と5人目のトークが楽しめるのでオススメです。

神は遊戯に飢えている。8

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「やはり見下してはならなかったか。大地を生きる者が、天に挑む意思の強さを」

 

ニーヴェルン主催のマーダーミステリーゲームに勝利したフェイ達。

ゲームに巻き込まれたミランダ事務総長や、アリッサ事務官にもゲームに勝利したことを示す「I」のマークが現れることに。

使徒としての参加じゃなかったからか、本来手に浮かぶはずのマークが頬やひたいに浮かび上がって、大分困惑してましたけども。

 

そしてチームメンバーが神様であることを明かしたことで、ヘレネイア達は姿を消して。

……コーチでもあったケイオスはなぜか残っていて、フェイ達に変わらず会いに来たりしてるので、自由だなぁ……と思いましたが。

ヘレネイア達は姿を消したけれど、フェイ達が十勝に手を掛けた時には向こうからやって来るだろう、と話をしていましたが。

 

ニーヴェルンに勝利したフェイ達のチームの歩みを止めるべく、ヘレネイアは天使長フレイヤのゲームにフェイ達を引き込むことにして。

ドタバタ探索模様が描かれている中で、決着方法は割と派手で神々の遊戯だなぁ……って感じがしましたね。

神眼レンズがヘレネイアの監視の眼にもなっている事実に気付きながら、フェイはそれを付けたままゲームに挑んでいたり。何やらダークスやブックメーカーが意味深なことをしていたりして、フェイはチームメンバーの中で勝ち星を揃える以外にも何か手を打っていた感はありますが、さて何をしていたのやら。

いよいよヘレネイアも本気を出してきそうですし、頂上決戦を楽しみに待ちたい。

男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと3 百合の間に挟まる男として転生してしまいました

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「お金。自分のことは自分でどうにかしますから。好きで貴方の傍にいることを選んだ女ですよ。欲張って大きな葛籠を選べば、たくさんのお化けが出てきちゃうんです」

俺の服をしっかりと握ったまま、ソレ以上は踏み込んでこようとはせず、スノウは満足げに笑みを浮かべてささやく。

「だから……もう、これ以上、要らない」

 

オリエンテーションの客船で、魔人アルスハリヤと戦い最後はもろとも爆発に巻き込まれ……死んだはずだった。

しかし、彼はなぜか生き延びていた。なぜかグレーターデーモン、ヴァンパイアロード、リッチキングといった序盤に遭遇したら即死レベルのボスキャラに囲まれて、異界で目覚めることになったわけですけど。

 

更には、彼自身の持っている魔力量も不自然に増えていた。……まぁあらすじでバレてるので言ってしまうと、死に瀕したアルスハリヤの工作で彼女と融合した結果魔力が増え、アルスハリヤの影響を受けているから彼女の配下だった異界の住人達から「教主様」と呼ばれるようになっていたわけです。

元々、百合に挟まる男枠に転生した百合スキーという濃さだったのに、さらに要素増えていくの凄いな……。

 

アルスハリヤがヒイロと融合した結果若干ポンコツ化の気配を感じる。

ヒイロはアルスハリヤを見ると殺意ゲージがMAXになるし、融合の事実を知った時に初手で腹を斬ろうとしたの、ギスギスしすぎてて笑った。

人を弄ぶような魔人に「自分の命くらい、大切にしろよ……」と言われるの流石。

あと「その方程式の答え、全部、破滅だけど大丈夫そ……?」って突っ込まれていたやり取りも笑ったし、ヒイロの割とハイテンションのはけ口になってくれてるし、良いコンビだなーとは思った。

 

それはそれとして。ヒロインたちとあれだけ交流しておいて、死んでしまったとなれば彼女たちの心は乱されるわけですよ。

スノウと最初に再会して、ボコボコにされたりしてましたけど。

ヒイロの見通しが甘すぎて、色々言われるのも無理はないし……スノウもまぁ、彼の事色々と気にかけてますし止む無し。

 

アルスハリヤの指示の元、ヒイロに執着しているヒロインたちの心を別のヒーローに奪わせしまおう作戦とかも実行してましたが、まぁ失敗。

その上で学園生活に戻ったわけですが……男でスコア0のヒイロが消息不明になっただけなので、そこまで大事にもなっていなかった模様。一応は報道規制も敷かれてはいるみたいですが。

 

アルスハリヤ陣営を配下に迎えられることになったヒイロ、緋墨は彼だけが先達の意志を継いだうえで帰ってきてくれたからと傍に居るようになったし。

彼女の友人であるリイナ達もまた離れない選択をしたわけですが。放っておくと一夜で宮殿建っちゃう有能さ、逆に怖いよ。

今回は、彼を選んだ寮長であるミュールの姉クリスと対峙することになったり、アイズベルト家の問題が描かれることになっていたわけですが。

アルスハリヤの影響で増えた魔力を上手く制限できずにいる、というのを差し引いてもクリスは強敵で……それでもなお戦いに臨んだヒイロはお見事でした。

男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと2 百合の間に挟まる男として転生してしまいました

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「決まってんだろ」

俺は、満面の笑みを浮かべる。

「お前の物語は、ハッピーエンドにするって誓ったからだ」

 

豪華客船で行われる学園のオリエンテーション合宿に参加することになったヒイロ達。

相変わらず男でスコア0なヒイロの立場は微妙ですが。ラピスやレイたちには構われまくりで。

そんな状態でヒイロはゲーム主人公である月檻桜に、他のヒロインたちとの縁を深めてもらおうと画策していますが、彼女はなぜか相変わらずヒイロにご執心で。

 

だからかヒイロに「ちょっとオフィーリアの肩を抱いて」って言われたら実行に移してくれるわけですが。でも自発的にやってないから「飽きた」って放置するわけですが。

例え自分の作為が入っていようと百合の尊さから栄養取れるヒイロは、相変わらずテンションバグってるな。

百合を堪能するためにイベントごとの片隅で光学迷彩駆使して隠れたりしてるの、やっぱりおかしいよ……。

 

まぁいつも通りと言えばいつも通りの行動をヒイロが取っている中で、オリエンテーションでは彼の知っているゲームイベントにはなかった「おかしな出来事」が多発していって。

それは例えば、予期せずラピスが襲撃されることだったり。

魔神の信奉者が予想以上に潜り込んでいることだったり……本来なら最終日にまみえるはずの魔人アルスハリヤが、オリエンテーション途中で君臨までしてきて。

本来であれば主人公である月檻が解決してくれるが、一日早い襲撃というイレギュラーにヒイロは身構えて……結果として、新ヒロインをまた攻略して彼女の継いできた武装を託された上で、アルスハリヤと戦う羽目になっていたのは……まぁもうそういうめぐりあわせなんでしょう。

 

百合の事になるといろいろとおかしくなるキャラではありますけど。百合……ひいては少女たちのことを守りたいという心は本当で、純粋故に強固なものでもあって。その意思を貫いたのはお見事でした。

アルスハリヤ、百合を壊す存在であったがためにこれ以上ないほどの殺意をヒイロに向けられまくってたの笑っちゃた。ヒイロ、1から10までアルスハリヤに殺意マシマシの攻撃しかしないんだもんな。

「俺はお前に死んでほしいが、それ以上にお前を殺したい」じゃないんだよ。なんでこんなノリで戦闘始まったのにしっかり要所で格好いいんだ。

男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと1 百合の間に挟まる男として転生してしまいました

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「あ、貴方に、こんなことを頼むのは……おかしいってわかってます……わ、私は、選択を誤っているのかもしれない……でも……私には……私には貴方しか……貴方しか、頼れる人はいません……」

(略)

「任せろ」

 

女子同士の恋愛を描く百合ゲーと呼ばれる作品をこよなく愛していた主人公。

ある日事故によって無くなった彼は……そんな百合ゲーの世界に転生することになったわけですが。

彼自身は、百合をこよなく愛しそれを外から眺めてるだけで幸せになれるタイプの人間であり、多分百合ゲー世界で猫とかになっても「あぁ百合尊い」って鳴き声を上げて満足な猫ライフを送ったことでしょう。

 

……しかし彼が転生したのは百合ゲーにおける異物、百合の間に挟まろうとする男キャラ三条燈色であった。

百合にちょっかい出してくる男である、という時点で百合ゲーユーザーから減点入ってるのに、この三条はイベントを邪魔してくるわ百合の間に割り込んでくるわでヘイトを買いまくっているキャラだった。作中キャラからも蛇蝎の如く嫌われている人物であったようで、ルートごとに様々な死に方をするみたいです。

 

転生とは言うものの、ある程度燈色くんが成長した段階で意識が覚醒した、みたいな状態で。つまりは燈色の評価が低い領域で定まってしまったタイミングでもあって。

念願の百合ゲー世界に転生した彼の狙いは、まず百合を守ること。

「百合に関することは、なにも見逃さない」とか言ってたり、百合を守るためなら命を惜しまない(とはいえ、ゲーム本編みたいな犬死はしたくない)とか思っているあたり、軸のブレなさは凄いと思うよ。

燈色の実家である三条は名家であるようですが……ゲームにおけるお邪魔キャラである彼を扱いかねている部分がある、というかなんなら積極的に排除しようとしていたみたいですけど。

 

百合ゲーという女子の方に焦点が当たっている世界で男子である、というのはなかなか生きにくそうなうえ、そのキャラがお邪魔キャラってことで実にハードルが高そうな状況ですけども。

そんな中で不思議とヒロインたちとの縁が出来た燈色くん、ゲーム本編の流れに影響があるとしても、今泣いている少女を見捨てられないと行動を起こせるのは実にポイント高い。

……まぁ主人公が実に百合オタク過ぎてテンションバグりがちなので、彼のノリについていけるかどうかは一つのポイントになりそうですが、愉快な作品だと思いました。

カルネアデス2 孤高の吸血姫と孤独な迷い猫

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「泣かないで、エルさんの力になります。運命を共にします。絶対に逃げません。ふたりで『借り』を返して……ううん、それだけじゃない。今回の闇も暴きましょう! そして、私たちの求める信じるに、近づいてみせるんです!」

 

天使警察エルと悪魔のイヴはバディを組んでの活動を継続。

まぁイヴ用の予算は下りず、相変わらず同じベッドで寝る生活のようですけど……エルがそれを受け入れているのが、良いですねぇ。

そんなある日、協力して犯人を捕縛したところ……その手持ちに吸血鬼の家から奪っただろう宝物が混じっていて。

 

調査しに赴いてみれば、そこでは最強の種族であるはずの吸血鬼が死んでいた。さらによくよく調べれば、吸血鬼の被害は一件だけではなく……連続殺害事件となっているとか。

この世界の人間は他種族に比べて弱いけれど……他種族によって種族の危機に瀕した時、その状況を打破する存在が現れるとか。

かつての悪魔に対しては英雄が、そして吸血鬼に対しては狩人が。古き時代に活躍していた「最後の狩人」が蘇り、吸血鬼たちを殺して回っているという話まで出てきて。

 

吸血姫ノアは以前の『借り』を持ち出して、エルとイヴに自分の大切にしているペットことハツネを託すことに。

ただハツネはハツネでノアが居ないとダメな少女であり……改めてノアの様子を見に行こうとしたタイミングで、ノアの屋敷が襲撃されたりして。

エルとイヴ、ノアやハツネといったそれぞれの絆は尊くて良かったですけれど。裏で暗躍している人物に踊らされてしまっている、というか。相手の目的だけが達成されている状況なのは厳しいですねぇ。あとがきによれば次回で掘り下げられることになりそうですし、続きに期待。


カルネアデス1 天使警察エルと気弱な悪魔

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「えっ、アンタ、戦闘中にアタシの心配までしてたの?」

(略)

「おかしい、です、か?」

「ううん――おかしいって言えばおかしいんだけど、でも、嬉しい。ありがとう」

 

複数の種族が暮らす世界。

人の恐怖心を喰らう種族・悪魔であるイヴは、しかし気弱だった。分かりやすい悪行を働く覚悟もない彼女は、人間たちをちょっと脅かして、少しだけ生気を分けてもらうようにしていた。

 

元気すぎる人間を選んでいたので、事件後はむしろ落ち着いていたようですが。とは言え分類としては「軽犯罪」にあたるわけで……。

イヴは天使によって組織された天使警察に追い回されることに。ただイヴの逃げ足は巧みで、捕まっても脱出しまくっていたことから「逃げ羽根のイヴ」なんで二つ名を貰うほどだった。

 

そんなイヴを捕まえる任務を与えられたのが、天使警察のエリート・エルという少女で……。

なにもかもが違う二人が追いかけっこをしたり、大きな事件に巻き込まれる過程でバディを組むことになったりしていく、ドタバタテイストを盛り込んだファンタジー作品。

エル以外の天使、わりと堕落していて事件解決に乗り気じゃなかったり、内部でいじめなどが横行していたり、分かりやすい「天使」って枠に収まらないこの作品の味が出てましたね。いじめっ子共も痛い目見てたのでまぁ。

 

イヴ、弱気なのはありますけど、気が緩みがちな部分も多いというか。

バディを組むことになってエルの部屋で寝泊まりするときも、気ままに寝てたし。獣人のルナと会った時、「尻尾もふもふして良いですか」とか言ってる挿絵まであったし。

良いバディとして事件に対応していたけれど、警察署長からバディ解散を通達されたり、別の思惑に巻き込まれたりしつつも、2人が乗り越えてくれたのは良かったですね。

とは言え、イヴが特異な存在であることが示されていたり、実行犯は捕まえられたけど暗躍していた黒幕は健在だから、またぞろ騒動に巻き込まれていきそうですねぇ……。



神は遊戯に飢えている。7

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「俺は、遊戯には嘘をつかない」

 

1冊丸ごとニーヴェルン回! より正確には彼女の仕掛けてきた遊戯『マーダーミステリー「全てが赤になる」』回なんですが、実質同じですよね。

プレイヤーそれぞれが役割と目的を与えられ、情報を時に伏せ時には明かし、それぞれの目的達成を目指すという遊戯。

今回はとある村で村長が殺されたため、フェイ達は村民となって犯人探しをすることになるのですが。

 

フェイにレーシェ、パールにネルだと人数が足りないということで、特別参加のゲストが招かれることになって。使徒ならざる事務長ミランダ、何も事情を知らない理事長の秘書アリッサ、さらには『聖座』のコーチであるケイオスを加えた7人が参加者となって。

ゲームを仕掛けてきた相手と通じているケイオスのスタンスがどちらなのか、と最初にネルが確認してたの良かったですねぇ。そして、その時に告げたことを違えなかったケイオスの評価が上がりました。

 

読者目線だと、パン屋という役職を与えられたフェイの視点メインで進行していくので、彼の持っている情報がどう真相に結びついていくのかを辿っていくわけです。

いやはや、しかしそれぞれが持つ役割と与えられたアイテムが面白いくらいに噛み合って、誰も彼もが怪しい事この上なくて笑う。

遊戯に不慣れなミランダやアリッサもしっかり自分の役割はまっとうしてましたし、パールのノリの良さも良い感じに作用していたと思います。

 

さて、見事勝利を収めたことで最前線に立ったフェイ達ですが……どれだけ勝とうと、10勝の前3敗してしまえば終わりなわけで。これ以上1勝も与えない、というヘレネイアはどうにかそのルートを模索するのだろうか。

『聖座』は4人すべてが神、という特殊なチームで今回ニーヴェルンの遊戯をしたわけじゃないですか。この後、他2人と戦って2敗、最後ヘレネイアに勝利してフェイ達が9勝に到達して……最後の10勝利目を、フェイの記憶にある女性との遊戯で締めると綺麗な気がしますけど、そうやすやすとは決まらないだろうなぁとも思います。

なんか勝ち星得た時点でフェイがなにかしらの気付きを得てる意味深な地の文がありましたしねぇ。なんか別ルート見つけそう。

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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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