気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

MFブックス

氷魔法のアイス屋さんは、暑がり神官様のごひいきです。

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「馬鹿者なんかじゃないわ。若い女の子が一人で生活しているだけで偉いじゃないの。失敗は次に生かして、シャンとしてればいいの。頑張ってるあなたはとても立派よ。私があなたのおばあちゃんだったら、きっとそう思うわ」

 

祖母の知人の甥フリオと婚約関係にあったアルメ。しかし、フリオが浮気をしていたことで破局を迎えることに。

まぁ浮気するうえに「アルメの祖母が最後の一年間入院していた時の費用を出していたが、婚約破棄の慰謝料としてチャラにしてやる」と宣言したくせに、自分が困った時には「口約束で書面では残してないから、この分も分捕れるわ」と手のひら返すような輩だってことが結婚後に発覚しなかったのだけが救いか。

 

将来設計が白紙になったアルメは、祖母がジュース屋を営んでいた店舗一体型の家屋で、アイス屋を始める事を決めて。

フリオとの縁が切れて、心機一転アイス屋を始めようとした時に、新たな出会いもあったりして。

寒い地域から来て暑さと街の広さに不慣れなファルクにとって、アルメとの交流は結構な救いになっていたようです。

 

ファルクは実は白鷹と呼ばれる従軍神官で……その美貌からファンも多い人物だとか。

小さいながらも貴族家の出身ではあるが、幼少期は体が悪く……その治療費で家が傾くほど。母はファルクの出産時に亡くなり、父は彼を溺愛したもののファルクに良いものを与えようと出かけた先で魔物に襲われて亡くなった。

両親の命を奪った金食い虫と兄姉から責められたことで、心をすり減らした過去がある……みたいです。

その生まれから対人関係スキルのレベルが低いのは同情の余地はあるかもしれませんが……だからと言って、彼が他人を傷つけて良いわけではないというか。

言葉選びを間違えたシーンが個人的にはちょっとなぁ……もう少しなんかあっただろ、って感じが強くしてしまったなぁ。


転生薬師は昼まで寝たい1

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『どうやっても悪党は湧いてくるものです、そして手早く刈り取らないとこういう被害が生まれてしまう』

 

肉体は健在なのに、魂だけが消えてしまった異世界の少年トール。

神とその眷属っぽい誰かが、神の作ったシステムに齟齬が生じている現れだから、異世界の魂を持ってきてトールの肉体を生かすことで補填することを決定。

その穴埋めに持ってこられた魂が主人公。魂状態でも不思議と意識があり、神様にしっかりと挨拶をしたことで「薬師の加護」と呼ばれる加護を授かることが出来たわけです。

 

主人公は前世の知識も、トールとしての記憶も持っている状態で覚醒。

貧乏農家の三男だったトールは、跡取りとなる長男との折り合いも悪く、凶作の影響もあったために口減らしで村を追われることになって。

まぁ前からそんな話はされていたようで、トール君はしっかりと村を出たあとの準備をして、家に置いていたら家族にとられてしまう可能性もあると、別の場所に隠しておく周到さもあった。

 

加護持ちは50人に1人くらいの割合で要るっぽいですけど、加護にも強弱があって使えるかどうかには差があるとか。

そんな中で神から直接授かったトールの加護はかなり強力で……早い段階でそれに気づいたトールは、極端に目立つのを嫌い隠すことを決定。

面倒事を避けて、のんびり暮らしたいという夢に向かって、それなりの範囲で努力することにしたわけです。

 

……ただ、強大な加護を与えられた影響か、トールの望む平穏からは離れたトラブルに頻繁に遭遇することに。

悪縁ばかりじゃなくて、良縁も引き寄せてくれてるのだけは幸いですけど。

トール君の故郷である王国は、文明的にも発展していない小国で……隣国である皇国は製本技術ひとつとっても格が違うと感じさせるものだった。

出来れば移住したいがそう簡単にはいかないだろう、と思っていたところに、推薦する資格を持った人と出会い、認めてもらう事が出来たのはラッキーと言えるでしょう。

 

皇国に入ってからギルドに登録して、拒否できない指名依頼が入る高ランクには昇格せずほどほどで足踏みすることにしてましたが……「それなりに戦える薬師」という時点で貴重だったり、彼が実力を伏せている事を感じ取っている人が居たり。

規模の大きい事件の際には、ランク関係なく事件解決に必要な協力を求めるという特例事項でもって協力要請されたりと、トール君の望む平穏はまだまだ遠そうですねぇ。

……神の眷属に近い、調停者と呼ばれる存在と邂逅して色々と知識を与えられてましたけど、面倒事も抱え込むことになってましたし。いやまぁ、事情を聞いた上だと、遅かれ早かれではあったと思いますが。

転生令嬢アリステリアは今度こそ自立して楽しく生きる~街に出てこっそり知識供与を始めました~1

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「私は、私の領民が幸福になれる方法を見つけました。今の私の手の中には、それを成す機会と、それを可能にできる力があります。ならば最大限手を伸ばす事こそが、領主の義務であり誇りであると私は自負しています」

 

彼氏の浮気現場に鉢合わせ傷心の中死んだ主人公は、異世界転生した。

自分を捨てた男の吐き捨てた「自分が無い女はつまらない」という言葉に反発するかのように、次のせいでは自立しようと奮起して。

ヴァンフォート公爵家の令嬢アリステリアとして生まれた彼女は、王太子エストエッジの婚約者として王妃教育をはじめ、王太子の業務の手伝いなんかもしていた。

 

……しかし、今度は自立しすぎたというか。アリステリアがその有能さを周囲に示し過ぎたせいで、王太子は頑張っても追いつけず……自分よりもアリステリアの方が評価されていると、歪んだ感情を持つことになって。

そんな苛立った心を癒してくれる女性を見つけたことで、エストエッジはアリステリアとの婚約を公衆の面前で破棄することに。

 

アリステリアは、王家が公爵家に妙なレッテルを張って婚約破棄してきたという事実を武器に、交渉をして国の直轄地であるクレーゼン領の一代限りの統治権を得て、領主として赴任することに。

国の直轄地なので代官が統治しており、おおむね平穏を維持していた。

しかしその平穏が「停滞」に切り替わり衰退する分岐点にいる状態でもあって……。

アリステリアは、代官の有能さを認めこれまで通りの統治を認めつつ、問題点を指摘して改善のために動き出せるように状況を整えることに。

 

その上で、優秀な領主であった祖父の「市井の生活と言うものを肌で感じるべきだ」という教えを実践するために、彼女は自分の素性を隠して市内で暮らすことに。

そこでクレーゼンに住む女性たちのお悩み相談みたいな事をはじめて……代官による組織の改革と、アリステリアが市井で行う足元からの改革があって、上手くハマればより強い領地になりそうですねぇ。

まぁ、始まりは奥様方の井戸端会議で。アリステリアの家でそれを開催する代わりに、アリステリアの持っている知識を奥様方に与えるという形で。

王妃教育を受けていたのもあるし、転生者という事もあって簿記の知識とかもあるしで、かなり効果的な教えを奥様達は教授することになって……クレーゼン単体で見れば、良い流れが生じてて良かったですね。

 

王太子の方は、これまであったアリステリアのサポートがなくなって。

仕事量は変わっていないのに執務が停滞しつづけて。真実の愛として迎えた恋人に、書類の整理だけでも手伝ってもらおうとしたら、彼女も執務に関しての適性はなく……最終的には執務室にすら来なくなった。

有能な婚約者を追い出したくせに、仕事を放り出しては「これまで創り上げて来た王太子像が崩れる」とか考えているのが片腹痛いというか、小物すぎるというか。

……アリステリアを呼び戻して仕事だけ手伝わせてやろう、とか考えて。彼女を呼び戻すために、またしても冤罪を作り上げてるのが本当にもう……この国は駄目ですね。

一応、王太子としての立場はあるので、アリステリアの現状を調べて「それを違法とする」法を敷いて、「お前を糾弾する!」と呼びつけてるので、形式だけは整えようとしてますけど。こんなのが王太子だと、この国の未来は暗いな……。



ヴィーナスミッション~元殺し屋で傭兵の中年、勇者の暗殺を依頼され異世界転生!~1

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「いいか、生きて帰ることだけ考えろ。攻撃できたとしても魔法を放ったらすぐに撤退しろ。失敗してもいい、逃げてもいい、生きてれば次があるんだ。分かったな?」

(略)

「俺はまだまだリディーナと旅をしたいと思ってる。そのことを忘れないでくれ」

 

サブタイトルにある通り、殺し屋から傭兵になった中年男性が主人公。

自分の死後残される知人がトラブルに巻き込まれないように依頼を出しておいたり、闇医者に頼るしかない自分の死体の処分には困るだろうと手配しておいたり。

諸々の準備を終えて死んだはずの彼は……女神を名乗る存在に、異世界に送り込まれることになったわけです。

 

異世界の神様の依頼は「半年前、地球から異世界にやってきた32人を殺してほしい」ろいうものだった。

神様の目線で言うと秘術である異世界転移技術に、帰還の方法を求めて手を伸ばす気配があるそうで。

一応、予期せず異世界に召喚された被害者たちだから、最初はエネルギーを貯めてから送り返すつもりだったみたいですけど。神様の言葉をつかえる聖女を、転移者たちが殺したこともあって排除を決定したとか。

どうせ死んだ身の上だし、と依頼を受けることにして、過去のコードネームから取って「レイ」と名乗ることにした主人公。

 

神に人の心は分からず、高スペックの肉体を用意してくれたものの、全裸かつ装備なしで異世界に放り出される事態になったりしてましたが。

魔法の練習をした上で、街に潜入。服を確保し、絡んできたゴロツキをぶちのめして当座の資金もゲット。

冒険者になって異世界で最低限でも身分を保証する立場を得たわけですけど。

依頼を受ける中で強そうな魔物と対峙した際に雷の魔法を使ったら自分も感電したり。才能と情報だけ叩き込んで送り出した女神様、異世界転移者……「勇者」と呼ばれるクラス転移した異世界人を排除を本気で排除する気が合ったのかと思いたくなりますね。

送り込んだ初日の全裸状態だったら流石にレイもやられていたのでは……?

 

異世界に送り込まれてから2週間程度の習熟訓練――ダメージで寝込んでいた3日も含む――で、エルフを狩猟対象のように追い込んで犯そうとしてる馬鹿転移者どもを始末していたので、レイに「転移者殺し」を頼んだのは間違ってなさそうでもありましたけど。

なーんか色々と不穏なんですよね。

勇者たち並びにレイが送り込まれたのがオブライオン王国という場所みたいですが、なにかしらの事情によって周辺国と不平等条約を結ばれている状況で。質の良い武具防具なんかはまず入ってこないし……それなのに内部は腐敗して内政も破綻寸前だって言いますし。

 

レイを送り込んだ女神様も「他の国にはまだ私の言葉を聞ける聖女が居るので、困ったら頼ってください」とか言うわりに、レイを全裸で頼る相手いない場所に放り出してるし……どこまで本気で問題解決してほしいんだ……? 感はある。

怪しさはありつつも、実際召喚された「勇者」連中は力に酔ってるのか、死霊術士のスキル持ちが国一つを滅ぼしてそこの民の死体をゾンビ兵としてさらに他国に攻め込んだりしてるので、排除できるなら排除した方が良さそうなのは確かですけどねー。勇者たちも半年で異世界で命のやりとりするのに馴染みすぎてるから、なーんか裏はありそう。



新米魔女の異世界お気楽旅~異世界に堕ちた元アラフォー社畜は魔女の弟子を名乗り第二の人生を謳歌する~1

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「そうそうリディ、私にも弟子ができたのよ」

「えっ? 弟子ってあの弟子ですか?」

「あの弟子って何よ。弟子といえば師弟の弟子のことよ」

「はぁ、本当に年月というのは残酷ですね」

 

主人公のエリーは、本名を伊能英莉という日本人女性。

ブラック労働をしているOLだったけれど、ある日気が付いたら異世界に舞い込んでいて。

そんな彼女を、世界に4人しかいない魔女の一人である「願いの魔女」が保護して、弟子として鍛えてくれることに。

賢者の石と呼ばれるものを摂取した結果、長く生きられるようになった結果、300年も修行し続けていたみたいですけど……その果てに彼女は5人目の魔女として覚醒。

 

魔女になるというのは、世界の意思じみた何者から認定されることで誕生するとか。

さらに師匠が「願いの魔女」と言われているように、功績を積み上げた魔女には称号というか二つ名を授けられることにもなっていて。

エリーは300年森の屋敷に引きこもって師匠と暮らしていたわけですけど、このままなら「ぐうたらの魔女」とかになってしまうよと言われて、渋々旅立つことに。

 

願いの魔女である師匠はエルフである千年以上生きているって話ですし、種族的に長生きな人もいるみたいです。

また、魔女に至れるのは稀有でも「願いの魔女」に弟子入りしてその教えを胸に外の世界に帰っていった弟子で言えば100人以上いるとか。

エリーは特に目的もなく、森を出て一番近くの町に足を運んだわけですが。

冒険者ギルドのギルドマスターが、エリーにとっての弟で死であるエルフのアーヴルで、話が早くすんだのは良かったですね……。

 

良い宿を紹介してもらう事も出来たし。紹介されるだけあって宿の主は、エリーが何かを隠していることを速攻で見抜く眼力の持ち主だったり、有能な人が多いのは安心できる。

エリー、魔女に至っただけあってスペックは飛びぬけていて。最悪彼女が本気になれば大抵の事態は解決できるわけですけど。

 

宿の主人の奥さんが抱えている問題を治療する薬を、エリー自身が作るのではなく才能のあった娘ニーナを弟子に迎え鍛えることで、あくまで助力に留めたのは「願いの魔女」の弟子らしさが見えて良かったですね。

……それはそれとして300年引きこもっていただけのことはあるというか。エリーと街で再会したかつての弟弟子・妹弟子が「何してるんだ……」って反応になるあたり、何したんだエリー。いや、なにもしてないからこその反応か。

怠惰の魔女スピーシィ 魔剣の少年と虚栄の塔

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「恨んではいないですよ? 本当に、嘘ではないです」

(略)

「――ただ、好奇心がそそられます」

(略)

「私を見捨てた国が私に救いを求めるため、どんな狂態を晒すのでしょう?」

 

グラストール王国の当代の王のかつての婚約者であったが、20年前に婚約破棄の上で追放されることになったスピーシィ。

本土から離れた追放島ゼライドという場所に追いやられたものの、スピーシィはその島を制圧して自分が過ごしやすいように改造して、追放されたわりには割と自由気ままに生きていたようです。

そんなある日、彼女の下に「王都に戻って欲しい」という願いを伝えに来たのが暗部の類に所属するだろう少年クロ。

 

あからさまな冤罪で追放した令嬢に20年も経ってから戻って来いという指示を伝えに言った上、抵抗されるなら力づくで連れてこいと命じられたクロ少年はお疲れ様です。

まぁスピーシィも大人しくついていくような性格じゃなくて、クロを返り討ちにするんですけど。その上で、「彼の主の命令だから」ではなく興味本位とか好奇心の類で王都に赴くことになったわけです。

 

わざわざスピーシィを呼び寄せることになったのは、近ごろ王都付近で蔓延している『停滞の病』の解決を命じるため。

……という名目で、またしてもスピーシィに悪しき魔女としてのレッテルを張って処罰するためだったっぽいですけど。

スピーシィ、20年たっても現役な護符の雛型作ったり魔術関連の才能は飛びぬけているんですよねぇ。王都の魔術師たちが解明できなかった謎、割と早い段階で解き明かしていましたし。

 

……ただ幼少期のスピーシィは、魔術に傾倒しすぎている部分があって。

そんな彼女が既定路線で王妃になっては本格的に国が亡ぶ、と彼女を蹴落とすことにしたのが現王妃のプリシアだって言うんだから凄まじい行動力。

幼少期のスピーシィを取り巻く状況はかなり特殊だったため、王子とスピーシィの実家が手を出しにくい状況があった。それだけではなく、グラストール王国は長く続いてきたせいで色んな柵が出来てしまって、誰も彼もが足踏みしてしまっていた。

そんな雁字搦めな状況をバッサリ断ち切って、改善に踏み出したのは尊いですよ。

……問題なのはその苛烈な炎の如き覚悟を見たことで、スピーシィが感化されてプリシアにちょっかい出しまくることになったことですが。おいたわしやプリシラ妃……。

プリシア妃、婚約破棄して地位を得てからもそれにふさわしい振る舞いを続けようとする軸が彼女の中にあって、なかなかに好感持てるキャラでしたね。

 

スピーシィも良い性格してて、見てて面白いキャラではありますけど。

プリシアの影響を受けてかちょっとマシになった部分は有れど、自身の心に素直すぎる振る舞いをする暴走特急なのに変わりはないので、こう……ちょっと遠くで見守って居たいかなぁ……みたいな。

振り回された方々はお疲れ様です。でも、頼られるだけの事はあるというか問題解決までのルート爆速で駆けて行ったのはお見事でした。

魔術漁りは選び取る2

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「ああ、勝つさ。勝たないと、またあんたはルミナ様を泣かせるだろ」

「ふむ……命を捨てると?」

「そんな風に俺を舐めて、ダンレスも返り討ちになったよ」

 

カナタはディーラスコ家に引き取られてから二年、文字も読めなかったところから貴族として最低限程度の基本的なマナーとかを教え込まれたとか。

領主であるアンドレイス家の側近であるディーラスコ家の養子として、カナタはラジェストラの子供であるセルドラ、ロノスティコ、ルミナの3人と平等に付き合うようにしていた。

 

3兄妹の仲は良いですけど……地位のある家ではよくある話として、継承争いがあるとギスギスすることも多くなるとか。

実際今の王家では後継者争いが加速していて、命には代えられないと継承権を放棄する王子・王女も出てきているとか。実際、今の王太子と敵対していた第三王子とかも死んでるらしいですしね……。

アンドレイス家は長兄セルドラが問題なければ継いだかもしれないが……彼はある苦手分野の習得を先送りにし続けていて。それをロノスティコに指摘されて、仲良し兄妹の間がどうなるか……という問題が浮上しても「皆様、形は違えど家族思いですよ」と言えるのが良いですよね、カナタ。

 

アンドレイスの領地で行われるパーティーが行われる時期で、王族も、王族の護衛として宮廷魔術師もやってくる。

そんな中で、自家の不安材料が発覚したとは言えパーティーを中止には出来ない。

実際、暗躍しまくってる奴もいてロノスティコ襲撃されてましたしね……。争いあう相手だとしても弟を助けに駆けだせるセルドラ、良い子ですよね。まだ青いけど成長の余地がある。

長兄・次兄の襲撃すら本命への「探り」であって……それを見つけたことで手を伸ばしてきた黒幕に、カナタがしっかりと反撃してくれたのは痛快でしたね。

ラジェストラはそういった探りが出る事を想定した上でカナタを迎え入れていた……もっと言えば、本命を守るための囮にするつもりだったという話ですが。

……まぁ、貴族らしいっちゃらしいのでは。脳の一部に「利用するために連れて来た」って考えが抜けず、カナタの進言を無視したのはかつてカナタがぶちのめした傲慢な貴族ダルトンに被ってましたが。全てが終わった後、考えを改める柔軟さが残っていたのでヨシ。

カリグラファーの美文字異世界生活~コレクションと文字魔法で日常生活無双?~2

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「落としたりなくしたりした物が戻るのは、戻るべくして戻ってきたってだけだよ」

「え……?」

「『そこに在るべきだから在る』って思うんだ。俺は。物品も、人も」

……そうであって欲しいと思う。何もかも、必要だから今そこに在るって思いたい。

 

食堂での手伝いを続けながら、趣味を楽しんで生きてるタクト。

地球の知識で紅茶を使ったケーキを作ったりしてましが……この世界では、紅茶は貴族のものという認識で使い方が周知されておらず、驚かれることになったりもして。

なんだかんだ異世界に居場所が出来てはいるけれど、下手に生活できている分、常識的な部分の差異とかには気付きにくいか。

 

……事情を知っている周囲の人々も「他国の貴族」説を認識してるせいで、なかなか齟齬に気付きにくい環境でもあるしな……。

知識の貴重さとか、金銭感覚のズレとかもあって衛兵たちの警戒……というか、警護段階が引き上げられて、家族経営なタクトの食堂の近くに兵の宿舎兼避難所を建ててまで、近くに衛兵がいる状況を創り出してるの、本気すぎて笑った。

いやまぁ、他国の貴族って言うのは間違った情報ですけど、魔法の使い方が巧みで知識が豊富という点で貴重な人材っていうのは間違いないですからね。

 

宿舎設営、タクトの警護って言うのは目的の一つであるみたいですけど。……シュリィーレの街、広大なうえ冬になると雪も降って街の往来も難しくなる環境で。

過去にもタクトの働いている食堂で雪で宿舎へ帰還できず、一時避難させてもらった衛兵さんとかいるみたいですし。必要な設備投資ではあったみたいですけどね。

シュリィーレ、直轄地ということもあってか貴族も結構来訪する街ではあるみたいで……そういう「何か」を抱えた相手とバッタリ遭遇する辺りタクトの引きは凄まじいですねぇ。

教会にある司書室でも、なんか隠された部屋発見して、長年探されて居たっぽい蔵書発見したりしてるし。

 

タクトが今回新しく知り合ったのが、神話にこだわりがありそうな人だと思ったら最高位の聖神司祭セインで。

この街で衛兵やっているライリクスさんの兄であったとか。なんか変わった御仁らしいみたいですけど、タクト流の神話の解釈が刺さって評価されてるの笑った。

タクト君、この世界の成人年齢である25歳になって。成人であることが条件である、魔法士一等位検定を受けることになったりとかもして。

 

その検定で変な奴に目を付けられたりしてたのは、タクトの腕ならそりゃそうなるか……って感じ。良い人も多いですけど、成人の儀の時未だに噛みついてきたミトカみたいに、相容れない相手もいますよねぇ……。

タクト発案の身分証入れ、商人タセリームと契約して販売してましたが……タセリームが、タクトに断りを入れずに勝手に増産しようとしていて、信用を失ったことで契約破棄に至ったりもしてましたし。
タクト、自分の軸がちゃんとあって切り捨てる時はバッサリ行ったの、ちょっと痛快でしたけどね。

カリグラファーの美文字異世界生活~コレクションと文字魔法で日常生活無双?~

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「そうだ。誰もおまえの幸福を優先してはくれない。おまえ自身の幸福は、おまえが護るべきたったひとつのものだ」

 

文字を美しく見せる手法、カリグラフィー。

それに幼少期に憧れて、カリグラファーになりたがった少年・鈴谷拓斗。

しかし中学に入って両親が亡くなり……父方の祖父母に引き取られた。その祖父は書道家でもあって、書道を習ったりとかもしていたようです。

成人してカリグラファーを仕事にしつつも、それだけで食べていけるほどの腕が無かったのでカルチャースクールの講師をやったりして……祖父母が亡くなってからも、ひとりでなんとか暮らしていける状況は作った。

家族が居ない寂しさをペンやインクといったカリグラフィー用のコレクションで、心を慰めていたわけですが。

 

そんなある日……彼は気が付いたら異世界の森の中に居た。

最初に森の中で目覚めて最初に言ったのが「さよなら俺のコレクション達」だったあたり、相当なコレクターというか、趣味を仕事にしてきた人だったんだなぁ……というか。それだけ心の癒しになってたんだな、と言うのが伝わってくる。

彼は27歳だったはずが、異世界に来たら19歳になっていて。この世界では25歳が成人扱いになっているとかで、子供扱いを受けることに。

最初に森にあった小屋で出会った人ガイハックとミアレッラという夫婦に保護してもらえることになって。そこの食堂の手伝いをしたりしつつ、タクトはこの異世界に少しずつ馴染んでいくことになるわけです。

 

成人年齢の違いとか。この異世界には魔獣とか魔法が存在する事とか。

タクトが使える『文字魔法』はかなり効果が高く……それゆえに狙われやすいという話が合ったりだとかもして。

ガイハックさん達を筆頭に良い人ばっかりなんですけど、タクトの力をあてにしてバカな行動をとる輩も、人が多いとどうしたっているんですよね。

 

はじめて会った時にガイハックは毒持ちの魔獣に襲われて、タクトが魔法でそれを癒したことで目を付けた医者ガンゼールや、彼を慕う子供ミトカに絡まれたりしてましたし。

一方の事情だけを押し付けてくる輩、苦手だなぁ。タクトがしっかりとそういう勝手な要望断ってくれる子で良かった。

……まぁ医者のガンゼール、かつて医療事故起こしたくせにそれを付与魔法師の責任と主張したせいで、街に居る人から依頼を受けられなくなったとかいう御仁なので、関係持たないのが正解なんですが。むしろなんでまだ医者できててるのよ感。

一度失敗してから真面目にやってたらしいですけど……今回タクトに絡んできた一件で、性根が変わってなかったと明らかになって追及されることになったのは、まぁ良かったか。

 

ガイハック夫妻と養子縁組して異世界に迎え入れられて。

他国で作られた電球を地球の知識と魔法を駆使して動くようにした結果、商人との縁が出来たり。この世界の身分証を入れるケースを作ったら、その綺麗さとかで注目を集めたり。

まぁ身分証ケースは物珍しさだけじゃなく、タクトが同年代の女子から注目されていたりするのもあって人気で始めた見たいですねぇ。

魔法の使い方が巧みだから衛兵からも注目されているの、無理はない。……一般市民が持つレベルの知識じゃないから「他国の貴族だろう」と目されて、周囲に問題がないか警戒することになってたのは……必要なんだろうけど、違うんだよなぁ……お疲れ様です、という気持ちになった。

辺境の村の英雄、42歳にして初めて村を出る

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「……分かった。困っている人を見たら必ず助けさせてもらう」

 

グルザルム王国の辺境にあるフーロ村。

立ち入ることすら禁忌とされている魔王領付近にあるため、国の地図にも載っていないほどの田舎の村……らしいですけど。

魔王が王国に攻め込む際に、地形上必ず通る場所にあるそうで。実際、主人公が把握しているだけで4度も侵攻があったとかで。それだけの要地であるなら、むしろ国が要塞化してしかるべきなのでは……? とも思いますし、国側も把握していない村なのに、村人たちが「一応はグルザルム王国に所属している」と認識してるのなんでなんでしょうね。

 

主人公のグレアムは、そんな村で魔王軍の襲来を退け続けた英雄。

しかし42歳になるまで戦い続けた結果、片腕を失ってしまって……村の人々は英雄である彼を優遇してくれていたけれど、慣れない復興作業でミスを頻発させてしまって。

過酷な立地である村に負担を増やすことをグレアム自身が許容できず、村を出ることに。

42歳でこれから体力は落ちていくだろうし、片腕で農作業への影響が出てしまうから……と言って村を出たグレアムなんですが。

 

その腕一本で村を守り続けた英雄としての実力は、隻腕でもなお健在というか。

魔王領近辺が王国から禁域指定されてるのも、まぁちょっと納得はしちゃいそうなくらい、フーロ村出身のグレアムと、王国の一般冒険者の実力は隔絶していて……。

片腕で農作業に影響が出てしまう、とは……??? 

ソロで活動を開始して未経験という事で、同じくソロで活動している少女を受付嬢に紹介してもらうことに。ジーニアという少女は、今まで依頼達成できたことがない新人だけど、だからこそグレアムでもパーティーを組んでもらえるのでは、という話。

結果的にはグレアムは腕利きで依頼を危なげなく片せるし、余裕もあるからジーニアを指導することだってできるので、良いパーティーになってましたけども。

 

グレアム、片腕だろうとBランク冒険者容易く蹴散らせるし、一般冒険者が死を覚悟する相手でも難なく倒すし、本当に英雄に相応しい実力はあるんですが。

辺境の村にこもり続けていたから、色々と常識が足りてないんですよねぇ……。悪人に食い物にされるほど弱くないし、良い出会いにも恵まれたので、なんだかんだうまく立ち回っていきそうですけど。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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