気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

MFブックス

火刑戦旗を掲げよ!

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「人間の本来の力ですよ」

(略)

「逃げずいじけず自信を持ったなら、誰であれ、己の可能性をもって世界に挑戦していくことができます。それを楽な生き方とは言いませんが、傍目に見て興味深いことは確かですね。そこには一つの勇気がありますから」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで930日まで。

WEB版は昔一回読んだことあるんですけど、昔過ぎてちょっとうろ覚えだったのでそうそうこんな感じだったなぁと思いだしつつ読みました。

 

冒頭に置かれた第零話は、ある男が火刑に掛けられるシーンから始まります。

その名をサロモン。戦争で功を挙げたものの魔人と称され、争いの責任全てを背負わされて焼かれた男。

それから少しばかり時が過ぎた後、北方の辺境に在る村でマルコという少年が生まれた。彼は、まるでサロモンのような熱を宿しており、多くの人が彼の熱にあてられて行動を共にすることとなります。

 

もっともマルコはまだ幼く身体も出来上がっておらず、村長家の息子ではあっても平民であるために、打てる手は限られている。

そんな状態でも、村の同年代の子ども達に文字や算術、投石などの技術を教えて。自身の知識を活用することで、村の人々に利益を齎したりなどもしました。

でも、マルコは分かっていた。自分はいずれこの村を離れ、戦場に立つことになるだろう事を。だから、それらの教導は自分が離れた後も村が豊かでしたたかであれば良いという願いの下に種を蒔いている、と言うのが良いんですよね。

 

序盤はそうやって少しずつ村を良くしているマルコに気が付いた行商人ラウリだったり、かつてサロモンの義勇軍に従軍した経験を持つオイヴァや、領内の視察という名目で派遣されてきた将軍に至る才能のあるアクセリなどなど。

サロモンをしる人はマルコにサロモンの幻影を見て、そうでないものでもマルコを無視できなくなっていく。

まだまだ序章ではありますが、面白くなっていくだろう息吹を感じる作品ですね。マルコの台詞に独特の味わいがあって好きです。

転生少女はまず一歩からはじめたい2

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「ネリー! お帰りなさい!」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで930日まで。

1巻で苦労しながらもアレンと一緒にギルドの身分証を手に入れることに成功したサラ。

とは言えそれで即座に生活が変わるわけでもなく、薬草採取と厨房とギルドの店番の手伝いを続けていくことに。

 

素材を売った関係で小金持ちになったサラですが、生活を変えずにテントを購入したとはいえ、野宿生活を続けているのは危ないんじゃと思いました。

……とは言え、王都から来て「ネフェルタリの養い子」を探しに来た騎士が、現宰相の息子という立場を活用して、町長に圧をかけて「野宿禁止」で下っ端追い払う策を売って来たりするのは予想外なんですよねぇ。

 

薬師ギルドは、ネリーが頼れと言っていたクリスが帰って来て、彼が居るタイミングではまだマシですけど、テッドからの嫌がらせは続いているし。

騎士リアムはサラを保護して王都で暮らそうとか言ってくるけど、その裏で圧かけてるし。そもそもネリーを攫った騎士の一員だし。

敵側になる相手に魅力がなくて、そんな奴らに主人公の暮らしが脅かされそうになってる(実のところサラなら大抵は対処できそうではありますが)のが、癪に障るんですよねぇ。

 

ハンターギルドは、今下っ端と呼ばれてる連中が成長していくことで、強いハンターが生まれるんだから、優遇しなくても良いが切り捨てるのはマズいというスタンス。

一方、騎士に与した町長としては「貧しくて犯罪に走りそうな人」に見える下っ端は切り捨てても良い、と。まぁ、後者の意見も分かりますけどね。裏にリアムの干渉があるから、よけい気持ち悪くなってるだけで。

実際、ネリーが善意で指名依頼として出されるはずだった討伐に協力し、ある程度ケリがついたところでサラに会うために帰還したのに、「依頼は完遂されてない」とか言って追いかけてくるリアム、嫌すぎるな……。小物らしく、反撃喰らってたのは愉快でしたが。

とりあえずネリーと再会したサラが、魔の山の住まいへと無事に帰れて何よりでした。


転生少女はまず一歩からはじめたい

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「いつ帰ってきてもいいように。またネリーと暮らすんだから」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで930日まで。

地球生まれの主人公は、幼少期から疲れやすい体質だった。病院にかかっても原因は分からず。適度に休憩を挟みつつ、体調と付き合って仕事も続けていたようですけど。

ある時神様から声を掛けられる。曰く、主人公の体調不良の原因は「魔力が必要なのに、魔力がない世界に生まれてしまった」ことから来るものなので、魔力がある世界に送り込むことになった、とのこと。

 

地球に残す家族へのとりなしもして、異世界で彼女を最も必要としてくれる人の傍に送ってくれる、という説明はしてくれるのである程度は親切。

もっとも送り込む直前に、異世界に合わせて身体を作り替えるついでに10歳くらいにしておくわね! とか言うから割と勝手なところも神様っぽいというか。

 

そうして送り込まれた先で主人公のサラは、ネリーという女性と出会いこの世界について教わって行くことになります。

異世界から来る招かれ人という存在については知れ渡っているようで、問題なく受け入れてもらえたのは良かった。

一緒に暮らす中でネリーとサラの仲が深まって、良い家族っぽくなっていくのはいいんですけども。

 

……そもそもネリーが住んでいた場所は、魔の山と呼ばれる場所で周辺には多くの魔物がいて、戦闘能力がないままでは近場の町にもたどり着けない。

そこでネリーから色々と教わりつつ、サラは彼女なりの技術を磨いていくわけですが。ネリーがパワー系で、身体強化魔法使えばなんとかなるみたいな考えなんですよね……。

だからか、彼女が教えてくれた情報、結構偏りがあって。

 

サラとネリーが出会って2年が過ぎたころ、実はネリーはサラとの生活を優先して、指名依頼を断っていたという話が出て来て。

そろそろ圧が強くなってきたから、条件付きなら受けてもいいと話に行ったネリーでしたが……帰宅予定日を過ぎても戻らず。

心配したサラが、外の世界へ踏み出していくことになる物語です。ネリーとサラの関係だったり、街に出たサラがアレン少年をはじめとした良い出会いをするのはいいんですが。

 

薬師ギルドにふざけた野郎がいて、サラやアレンに嫌がらせしてきたり。ネリーが帰って来られない原因を作った騎士連中がクソだったり、地位があるだろう人材にあまり期待できないのが最悪なんだよなぁ……。

アルマーク2 北からの暗殺者編

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「なら逃がすことは出来ない。あの子の不安は取り除く」

「……それなら、お前の命は俺にとって奪うべき命だ」

 

夏の休暇が近づく中、ほとんどのクラスメイトは実家に帰るようですが……。

アルマークは北に帰ったら戻ってくるまでに一年経ってしまう為帰れず。友人のモーゲンも実家が裕福ではない関係で、寮に残る組だそうで。

どうやって時間を潰そうかモーゲンが嘆いていたところ、ウェンディがウチに遊びに来る? って声かけてくれたのは3人の仲の良さが伝わって来て良かったですね。

 

まぁその肝心の休みを満喫できるかどうかは直前の試験をしっかり乗り越えてこそ、なわけですが。

クラスメイトのネルソンなんかは、勉強が苦手で予習段階で四苦八苦したりしてましたし。

アルマークも魔術実技の時には、迷って間違った選択を仕掛けたりする場面も。そこで踏みとどれる冷静な部分もあるので、アルマークはこれまで経験してこなかっただけで、素の頭が良いんだなぁって感じがしますね。

 

百余年以上前に争いが途絶えた南の魔術学院で教わる世界概論――神様にまつわる話では、アルマークが北で教わってきた神話と合致しない部分が多く困惑する事が多い、というのは気になりますね。

言葉が通じるくらいには近しいはずなのに、文化的に大きな差異があるのはどうしてか。

……時折、学院長が見せる沈痛な雰囲気とかも合わせて気になりますねぇ。そもそも世界概論で出てきたある神の異名を、学院長が以前に零してましたからね……。

それを踏まえると、今回のサブタイトルでもある「北からの暗殺者」を派遣した黒幕陣営もかなり厄介な存在なのではって予測が立つので恐ろしい。

 

休暇に入った後、ウェンディから届いた手紙には約束していたけど、家の問題で招待できなくなってしまったという謝罪が書かれていて。

残念がっていた2人でしたが、アルマークが思い立って行動を起こしたことで、危地にあった友を救う事が出来たわけですから、ひとまずは安心できました。

その選択自体が、なにか事情を知っている人々に影響を与えた気もしますが……現状情報が足りないからなぁ。

 

元傭兵の北からの暗殺者に相対したアルマークが、戦士として振る舞い成果を挙げたのは見事でしたが……その強さは南にあって浮いてしまうもので、彼の誇りでありながら彼を縛るものになってしまうのが、なんともやるせない。

モーゲンがアルマーク自身を見てくれたのが本当に良かった。

 

巻末には閑話・残雪。北から南に向かう旅の途中のアルマークを描いたエピソードで、北と南の差異を実感するエピソードでしたねぇ。それでも、良い出会いもあってホッとしました。


アルマーク1 魔法学院入学編

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「旅の途中、僕は中原や南の平和な国々を見ました。その豊かな生活に触れました。……なぜ、北だけが。僕はそれが知りたい。そして北の国々に平和を、人々に豊かな暮らしを。それを実現するために僕は北に帰ります」

 

大陸北方では、多くの傭兵団が集い血なまぐさい争いを長年繰り広げていた。

その一方で南方では戦乱の火が絶えて百年以上の時が流れており、北と南では考え方などに様々な差異が生じる事となった。

そんな中、主人公のアルマークは北の傭兵団で生まれ、そこで育てられていたが……ある時彼の父が、南方にある魔法学院の校長を助けた事で、魔術師になるという道が拓かれることになって。

アルマーク自身は北の傭兵としていきたかったようですけど、父に強く推され南へと旅をすることになります。

 

魔術学校とは、魔法の才能があれば出身・身分に限らず教育が受けられ、6年間の学院生活を終えた時に正式な魔術師として認められるという。

校長はアルマークの才能を認め、是非入学してほしいと言ってくれましたが……北の地は荒れ、アルマークも傭兵として戦うことになり9歳になってもすぐに入学は出来ず。

いざ旅立ってからも北から南への旅は長く、金銭的な問題もあってアルマークが学院に辿り着くときには彼は11歳になっていた。

学院に入学できる子供は9歳に限るとかのルールもあるようで、彼は魔法の知識がない状態で3年生に編入されることになって。

 

そこで彼を手助けしてくれる、良い出会いもあったりするわけですが。

中には未熟な彼の存在を快く思わないクラスメイトも居て、突っかかって来たりもするわけです。でも、北で実戦を経験しているアルマークは動じず。

むしろ相手をハメて、「貴族や平民という区分で差別をするな」と誓わせてる辺り強かですね。教員にはちょっと叱られてましたけど。目的は正しいけどやり方が良くなかった、と言うのは、まぁ確かに。絡め手ばっかり覚えても良くないですからね……。

魔術の実技では及ばなくても、武術や暗記科目なんかは得意で少しずつ着実に進んでるのがいいですね。

 

アルマークが入学したてということもあって、まだまだ序章ですがこれからの成長に期待。WEBある程度読んでるんですが、学院祭とかもやるんですよね。その章が最高なので、気になった人は是非そこまで読んでほしい。

巻末には閑話として「不思議な窓」を収録。モーゲンから聞いた「謎の窓」の噂をアルマークとウェンディが確かめる話で、微笑ましかったです。魔法学院らしいエピソードだった。

見習い聖女の憂鬱

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仕方がなかったと、諦めるの?

――そんなの、嫌だ!

「レベッカ……。今、助けるから!」

 
BOOK☆WALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで9月30日まで。

日本の由緒ある神社の神主を務める家に生まれ、厳しい教育を受けてきた主人公はある日不満が爆発して両親と喧嘩してしまう。

厳しくとも優しい面もあり、大好きだったのにその時はつい口が滑ってしまった。そして、そのまま事故にあい、謝罪する機会を失ったまま命を落とし……。

記憶を持ったまま異世界に転生。辺境で暮らす村娘クレアとして、前世の反省を活かし家族を大事に大事に過ごしていたみたいですが。

 

ある日魔物に襲われた時に、秘められていた力が目覚めてしまった。

それは神力と呼ばれるもので、それに目覚めたら必ず学園に通わないといけないと定められていて。

能力に目覚めた直後、クレアは家族と引き離されてしまうことになります。

 

拉致同然につれてきて「未熟な神力持ちで居たら狙われるから、結果的に家族を危険に晒すよ」とか正論パンチで殴ってくるいけすかない神官とかばっかりなんですよね……。

学園長も色々と配慮が足りてなかったな、と思っている割に謝罪はしませんし。いやまぁ、わざわざ通学を義務付けているくらいですから、「家族の下に帰りたい」ってクレアの願いはかなわないし、立場あるから簡単に頭下げられないのかもしれませんけど、それにしたってなぁ。

 

ただクレアが沈むばかりではなく、神官としての能力を身に付ければ故郷の教会を管理するという名目で、故郷に帰れるかもしれないと目標を見つけて頑張る気になったのは良かったですけど。

その願いもまた平易な道ではなくて。クレア自身は不満がありつつも飲み込んで進んではいますが、読んでて爽快感が足りない。憂鬱のタイトルに恥じない作品ではありました。

 

そして一つの問題を解決して、これから先に進んで行く覚悟を決めた所で終わりなんですが……。WEBの方が更新止まってるから、続きは読めません!!

20206月に更新停止した、小説家になろうの公式WEB雑誌「N-Star」関連作品だったみたいですし。

なろう公式が関与して掲載されてる作品で、かつ今もなろうのトップページにバナー置いてる割に、続報がさっぱりなくて実質廃刊状態のアレ。いや、PVとか見て総合的に判断して辞めるなら辞めるで良いんですけど、そういう発表は出してほしいものですけどね……。

手札が多めのビクトリア1

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「本当にこれも君が教えたのか? 危ないと思うが」

「危ないことを全部遠ざけていたら守られるだけの女に育ってしまいます」

 

WEB既読。               

ハグル王国の工作員として育てられたクロエ。幼少期に親元から放され、専門の訓練を受けてエースにまで上り詰めた。

仕事がら家族に会うことは出来ないけれど、仕送りをすることだけは出来たから、自分の頑張りは無駄ではないと思えた。

 

しかしある時故郷を訪れてみたら……何年も前に、彼女の家族が死んでいたことが発覚。他の組織メンバーにも家族の訃報だけは知らされた筈なのに、自分は教えてもらえなかった。

その事から組織に不信感を抱いた彼女は、工作員生活からの逃走を決意。やめようと思って辞められる仕事ではないし、ただ逃げても追手が掛かる。

だから入念に準備して、2つ隣のアシュベリー王国まで渡り、ビクトリアと名を変えて生きていこうとした。

 

実際辿り着く所までは問題なくこなしたんですけど、到着した直後に親に捨てられた少女ノンナと出会ったり、ひったくりを捕まえたりとイベントがひっきりなしに発生。

でもひったくりを捕まえるのに協力した事で騎士団長との縁が出来て、異国人がいきなりノンナを引き取って育てたいと言いだした時に身元保証人を引き受けてくれたわけですから、結果的には良かったんですよね。

その後住む場所を探していましたけど、それもまたひったくりに遭遇した貴婦人との縁によって獲得したわけですし。

 

工作員のエースだっただけあってビクトリアのスペックは高く、偏屈な研究者の助手と言う仕事をしっかり見つけてますし、念願の日常を満喫してるんですよね。

保護する事になったノンナや騎士団長、家主や仕事先の人々との関係も良好ですし、安心して読めます。

そうやって情が移って行動が鈍りそうなタイミングで、工作員としての過去が追い付いてきて、逃げる選択を取る羽目になるんですから、中々上手くいきませんね。

 

でも、積み重ねた時間は決して無駄ではなくて、良い決着を迎えてくれます。1冊でまとまってるので、気になった方はぜひ。

ちなみにWEBには本編から数年後のエピソードを描いた「ビクトリア2」が掲載されてるので、人気出たようだったらそちらの書籍化にもつながると、個人的には嬉しいですねー。

見切りから始める我流剣術1

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「才能がないから、なんだよ? 俺は最初から今ある剣術を極めようなんて欠片も思ってない。自分の身を守るための剣術をただ楽しいから作ってるんだよ。カリルはただ、才能がないのを言い訳に剣をやめた自分と傷をなめ合う相手がほしいだけだろうが。人の努力に水を差して中途半端に終わらせるように言ったかと思えば、利口ぶって他の道を探せだと? 腕一本でも触れるような剣を作ってから抜かせよ、半端者!」

 

WEB既読。

主人公のリオは辺境の山村に生まれた少年。そこには剣術道場があり、ある程度身体が育ってから通う事になっていた。

この世界には邪獣っていう魔法を扱う害獣が現れるため、自身や村を守るために戦闘技術が必要だから、っていう理由なんですが。

いざリオが通ってみたら、先輩たちは最初の走り込みをサボってるし、それを師範に指摘しても治そうとはしない。オマケに論点をずらしてリオを言いくるめようとまでしてきて……。

 

あまりにもアホくさくて、リオは道場に見切りを付けます。

両親にもありのままを伝えてましたが、反抗期だと思われたりしてるのは悲しい所。お年頃なんだね、うんうん。という冗談はさておき。

実際リオが見切りをつけたのも納得しちゃうくらい、道場の空気緩んでるというか。門下生の中に技術を笠に着て慢心してるの居るし、そういう奴に限ってリオに定期的にちょっかいかけてくるしで、緊急事態に本当に役に立つのかって思うんですよねぇ。

読者目線だと直接目にしたリオの判断が正しいと思うんですがね。実際、後に一部から不満が出た時リオが口にした正論を、村長も内心で認めるくらいには。まぁ感情が絡む問題にも発展して、理屈だけじゃ解決しないんですが。

 

道場には通わないことになったけれど護身のための術は必要だということで、リオは走り込みに加えて、自分にあった剣術を作ろうと試行錯誤を開始します。

村の片隅に棲む、片腕の元冒険者カリルからのアドバイスを貰ったりして、少しずつ形になっていくのは楽しいですね。身体強化魔法なんかも教わったりしてましたが、リオは他の人に比べてその上限が低かったり、既存剣術の才能がなくて。

一度挫折したカリルと意見がぶつかることもありましたが、なんだかんだで上手くまとまって良かった。

 

まぁそんなほのぼの修行譚だけで終わるはずもなく。邪獣が出る山に故あって入ったリオが、記憶を失くした少女を保護したり。

山を調査するために冒険者がやってくるんですが……WEBにはいなかった新キャラが混じってて、それがもうやたら胡散くさかったりして、厄介事起きる気しかしないというね。

案の定黒幕側の人間で、かなり引っ掻きまわされちゃいましたねぇ。

新たな因縁が生まれたりしてましたけど、リオの本質を見抜く眼は健在なので、これからも頑張ってもらいたいところです。

服飾師ルチアはあきらめない~今日から始める幸福計画~2

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「腹を立てても嘆いても相手が変わってくれるわけじゃないし。上司やお客といったものは変わってほしくてもなかなか変わらないもの。自分で変えられるのは、自分の行動と仕事の中身、あとは環境だけだもの」

 

正式に竣工した服飾魔道工房。

元々ルチアは、ダリヤに五本指靴下を最初に依頼されたという経験を買われて工房長に抜てきされたわけですが。

若輩であるし、自身の不足も痛感していた彼女は、それの制作が軌道に乗ったら交代になると考えていたようですね。

でも、彼女に不足してる所が多いのが確かでも、工房の長としての覚悟と服飾師としての誇りは確かにあって、慕ってくれてる人もいるんですよね。

 

そんな状態で、ダリヤは止まらず魔導具開発を続けていて……「少し風の出る布」こと「微風布」が持ち込まれたんだから大騒ぎです。

五本指靴下の方が、ある程度形になった後で本当に良かった。

ダリヤも若輩だから、多くの職人が先達で先輩だって構えですが。服飾ギルドの魔導具士などから見ても、彼女の付与は際立ってるようで。それで腐らず努力できる人達で良かった。

ルチアも改めて自身の不足を見つめ直し、貴族相手の対応について学んでいこうと成長を決意してましたし。気持ちいい職人が多くて、読みやすい。

 

制作者として魔物討伐部隊への披露の場所に同行する事も多かったようですが……ルチア本人に、愛人疑惑を叩きつける貴族がいた場面にも居合わせて。

友人への悪評にしっかり怒り、服飾ギルドとして彼女の戦闘衣装を誂えようって言う流れは良かったですねー。

 

ルチアはお客さんに慕われているのもあって、名前を表に出して彼女を推薦しても良いという人々が多いというのも良かった。

ただ、注目を集める工房の長が貴族でないって言うのは弱みになりかねないし、むしろ抱え込もうとする人もいるから、守るための壁は必要だっていうのは面倒臭いことですなー。ルチアも勉強してましたが、この国の貴族の言い回し本当に独特でうっかり言ってしまいそうなものまであるから、正直黙っていたいっていうルチアの気持ちも良くわかる。

工房仲間との交流も順調で、しっかり工房長やってるのが良いですねー。


十年目、帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる3

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「人と向き合うのは考えることと同義だよ。他者の答えを流用するのは不誠実だ。不誠実な付き合い方ではいつまでも流されて生きることになる。三百年生きた僕の経験則だ。では、おやすみ」

(略)

「……結局、腹をくくらなければ前を向けないんだよな」

 

シリーズ完結巻。

吸血鬼の里帰りに付き合い、隠れ里フラウハラウへと向かったトールたち。

道中のトールとキリシュの会話が、結構好きですね。長く生きる彼が、どうして人間と一緒に暮らしていたのか。そしてなぜ、彼女を吸血鬼にしたのか。

その問いかけの裏側には、いずれ来る別れが約束されている2人の関係を、キリシュがどう考えていたのかと見抜いて、トールにアドバイスしてくれた辺り、三百年の経験は伊達じゃない。

 

……まぁ、そんなキリシュにしたって、いざピアムを失うかもしれないという段階まで、自分の行動がハッキリしてなかった部分もあるみたいですし、大いに悩んでトールなりの答えを出してもらいたいところ。

そして辿り着いたフラウハラウには、かなり長命な始祖が滞在しており……異界について詳しい彼女なら、トールが元の世界に変える方法を知っているかもしれないなんて甘い罠まで在ったわけですけど。

なぜか始祖から、吸血鬼を敵視してるという太陽教会の経典の眠る遺跡の攻略を依頼されることに。吸血鬼対策されてる遺跡を「テーマパークみたいで面白かった」とか言えちゃう始祖様よ……。

 

実質的に冒険者トップだというパーティーを太陽教会側が雇っていた為、トールとの競争になって。状況によっては代表との決闘で話はまとまったんですが、相手側のファライの癖が強くてなぁ……。扱いがアレなのも納得。

WEBだと発見した資料の情報が前書き欄に書かれていたのですが、書籍化に当たってしっかり資料っぽく挿入されてて良かった。

 

トールと双子は遺跡が危険なのもあって、トールが単身遺跡で資料を探し、持ち帰ったそれを2人が解析するっていう役割分担をしていましたけど。

双子は情報収集もしっかりこなして、トールのサポートをしていましたが……。その過程で得られた情報もあって、悩みが深まった模様。

トールとの縁は得難いもの。それは序列持ちという戦力としてではなく、双子が抱いた恋心によるもので。でも、思考が繋がっている2人は、それ故に悩むことになったようで。ヒロインズの方もしっかり描いてくれてるのはポイント高い。

 

書き下ろしの新章が、太陽教会のダンジョン後~最終決戦の間に挿入されています。

トールが以前知り合った獣人のガルハンが「新しいダンジョンが、トールの故郷に繋がっているかも」なんて話を持ってきて。章のタイトルがそのまま「九年前の故郷に続くダンジョン」なんだからズバリなんですが。

WEBだと双子の「詰め」の方が先でしたけど、地球に通じるダンジョンへの対処で「帰ってしまうかも」という不安を感じさせてしまってたのはアレですが。

トールはトールでケジメを付けようとしていたからこそ、終わるまで言えなかったってのも分からなくはない。加筆で、三人の関係がより良く見えるようになったので、嬉しかったですけど。

最後、三人の旅路で出会った人々と力を合わせての総力戦とか、熱くて良かったですよね。
トールが戦闘力でソロBで序列入りしてるのが改めて納得できる戦いぶりでした。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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