気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

その他

ナンパモブがお仕事です。~フラれに行ったらヒロインとの恋が始まった~

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「モブが物語に奉仕するんだ、その逆はない。物語に奉仕させようとしたら、モブは終わりだ」

 

この作中における「現実世界」は多くの「物語世界」と繋がっている。エタった作品のキャラが能力を失った状態とは言え「現実世界」に現れる、なんてこともあるみたいです。

そんな中で主人公のB介(びーすけ)が務めているのは、モブ派遣会社。

 

登場人物の行動に驚きを示すモブ観衆だったり、ちょっとした解説を挟む名前を付けるほどでもない知識キャラだったり。ゾンビとかのパニックものやミステリーで、無謀な行動をとって最初の犠牲者になる名も無き人物とか。

異世界モノだったら、メイン級のキャラに絡んで蹴散らされるモブ戦士とか、能力覚醒シーンに巻き込まれるキャラだとか。

一つの物語がある時、主人公たちの周囲に居る名前のあるキャラ以外にも、多くのモブが居るんですよね。スポーツ漫画とかでトーナメントがあったら、主人公たちのチームが戦わず視界に入ることもなく負けているチームとかだってあるわけですし。

 

そんな中でB介が主に担っていたのは、ヒロインをナンパしてすげなくあしらわれて、主人公との出会いに貢献した後その後物語に登場することはないチャラ男だった。

A太という同じモブ派遣会社の同僚と2人でナンパに繰り出して、撤退していく。それだけのキャラだったはずが、とある物語のヒロインをナンパして振られた後、モブ派遣会社のシフトに穴が開いて……同じキャラをナンパしに行く羽目になって。

不思議と縁が出来て、本来のストーリーからは少し違うルートを進むことにはなったものの、ヒロインの背中を押す選択をB介はしたわけです。

 

あそこで「ここで弱ってるヒロインに付け込めば自分が恋人になれるのでは」と行動に移さなかったのは偉い。

実際「モブの闇落ち」として、そういう事例は描かれましたしね。物語で想定された以上に介入して、「モブ」の役割を果たせなくなった輩の末路が。

異世界で消滅させられても復活出来たり、そもそも物語世界に現実世界のB介たちが入り込めたり、トンデモ要素がある中でもモブにはモブなりの流儀があったのは良かったですね。

 

……ただ「モブの闇落ち」が起きる余白があるのはなぁ……とも思いましたが。

創作で「キャラが勝手に動く」とか言うのは、よく聞く話です。ただ、それはあくまで生みの親である作者の中から出てくるべきだと思うんですよねぇ。

映画やドラマでも俳優さんがアドリブ入れた、とかは聞きますけど。それもあくまで、演技という武器を磨いてる人だからこそ出来る事でしょうし。

闇堕ちするような相手はプロ意識が足りなかった。まぁ、派遣だからそれはそうなんですけど……他人様の世界に乗り込んで、好き勝手振舞おうとする「闇落ち」現象があまりにも肌に合わなかったな……。

派遣とは言え報酬貰ってるんだったら、要求以外のことして状況壊すなよ……ってなった。

人気配信者たちのマネージャーになったら、全員元カノだった2

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「また、あなたのこと独占したくなっちゃった。私に依存させて、狂ったように求めてほしくなった」

(略)

「今回の旅行のゴールも、本当はそうだったの」

 

新人マネージャーの橘恵。

元カノタレント3人を担当に持ちつつ、そのうちの一人であるメイとは肉体関係を持ったりする爛れた生活を送っている彼ですが。一応、マネージャーとしての仕事はちゃんとやってはいるんですよね。

 

彩奈がフォロワーとの距離が近すぎると感じた時に、身バレに通じかねない情報は多少伏せた方が良いと進言してるし。……ファンを信じてる彩奈の方針転換までは繋がりませんでしたが。「ファンはいい子」って言ってますけど、貴女一部の粘着DMフォロワーの相手に憑かれてませんでしたっけ……? 

恵が判断したように彩奈の演出してる「近さ」は武器になるけど、危ういと思うんだよなぁ……と思ってたら最後にアレが来たので、なんというか納得。

 

ちょっと脱線しちゃいましたが、今回は表紙にもいるASMRメインの配信者、加賀燈子の深掘りエピソード。

外出中、ストーカーに付きまとわれているかもという連絡を受けて駆けつけて、彼女をいったんホテルに送り届けようとしたものの……一人は怖いと宣う燈子を自室に連れ込むことになって。

自宅がバレると厄介だから、と言って。敢えてここで23日の旅行に行こうとか燈子が言い始めて。ストーカーを建前に恵の動向まで会社に認めさせたっていうんだから、強かというか。個人的に鈍い疑惑のある相良さんにすら疑われたというんだから、強引な手だったのは間違いないですけども。旅行それ自体は楽しんでいましたよね。

 

ただ、メイの問題を解決するときに調査を頼んだ悪友に燈子が隠し事をしてる、とかも指摘されてましたし。実際彼女なりの思惑があっての小旅行だったみたいですけど。

彼女がどうして恵の前から姿を消したのか、とかの事情が分かったのは……良かったですかね。再開以来肉体関係を持っていなかった燈子とも関係を持つようになってますし、どんどん恵の周囲は爛れて来てますねぇ。

……と思ったらアレですよ。3巻、彩奈編になってもっとドロドロするんでしょ……こわ……。

人気配信者たちのマネージャーになったら、全員元カノだった

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「ファンはいつかメイを捨てる。だけど先輩は、離れてもこうして戻ってきてくれた。頑張らないと。頑張って魅力的なメイで居続けないと」

(略)

「だから頑張らないと、あの女に取られちゃうもんね」

 

大学を卒業し配信者のサポートする事務所に就職した主人公の橘恵。

就職直前に所属するタレントが未成年に手を出して契約解除、担当していた女性マネージャーの加藤も研修を受け直すことになって、他に担当していたタレントもいったん他のマネージャーに委ねる、なんて話も出ているとかで。

それを受けて恵のコンプライアンス研修もかなり厳重に行われたようです。

最初は1人タレントを担当して、別のマネージャー相良と件の加藤さんがフォローをしつつ恵に仕事を教える予定だったようですが……。

加藤さんの研修入りで想定外の状態になってしまって、加藤の受けもちから2人回されて急に3人受け持つことになって。要所でもブラック企業の片鱗見えてますね。

 

幼馴染の少女・早瀬彩奈。当初、恵が受け持つ予定だった1人。中学時代に付き合っていたけれど、夢を追うために上京するために別れることになった少女。

恵が再会した時予想外でちょっと固まってましたけど、相良さん「もし知り合いで、気になるなら引き継ぎ予定を変えます」と言った後に彩奈に「違いますよ」と言われて騙されてましたけど、そんなんで問題起こさせないように気を配った方が良いって仕事を全う出来てるのだろうか。

 

さて「第1章 元カノとの再会」で恵は自分の事を「ごく普通の人生を送ってきた」と称してましたけど。

配信者として人気を獲得してる美人さんたちが「元カノ」だったり、今回焦点の当たっている3人の元カノのうちの一人、VTuberをやっている少女・奈子メイとはかなり深い関係にあったというか……プレイが過激で、お互いに歪んでるというか。

歪んだ結果変な形で噛み合ってるというか。メンヘラというほど病んではないけど、重さはあるというか。ドロドロしてるな……。

 

大学時代に付き合って関係を持ち……そして音信不通になった、今はBAN4回経験もあるASMR配信者となった加賀燈子まで担当になっていますし、そういう女性集める引力とか発生させてそう。

それで言うと彩奈は夢の為に別れてそれっきり、という関係で恵を「真面目で優しい」人物だと思っているのが異質か。彩奈は恋人を捨ててまで追った夢を掴めなかったりで負い目があったり、粘着DMが来てたりでなんというか深掘りすると闇が吹き出そうな気配はしますけど。

 

今回もメイと恵の関係を知っている大学時代の先輩が、暴露系配信者になって2人の関係をネタにされたくなければ俺の女になれ、とかメイを脅迫してきたりしてますし。

女性陣それぞれに爆弾を抱えてそうだよなぁ……というかなんというか。

女王陛下に婿入りしたカラス

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「いいえ、あなたには何かを動かす力がある。父は確かに、力業で道を切り開いて来ました。でも道を行くのに必要なのは力だけではありません。砂漠を超えるのには水を得る術が居る、雪山を超えるには火を起こす術が要る。今まで彼女が行けなかった道も、あなたとなら超えられる。あなたになら、それができる」

 

ファンタジア文庫第36回銀賞受賞作品。

国や領地をも「家」と見なして管理経営する『家政学』専攻の学生ウィル。

エースターの学園に通う彼は卒業論文で隣国オノグルを略奪・戦争国家として批判して。

数年前にエースターはオノグルに王都を包囲されて……多額の賠償金を引き渡すことになって。国土を奪われたわけではないにせよ、多くの命が失われて両国の間には遺恨が残り続けている状況で……。

 

ウィルの論文がオノグルの女王の目に入ったという事が発覚したからか、「卒業金」という制度が敷かれて平民のウィルが卒業できないようにされて。

教授に訴えかけていたところに、女王イロナが登場。ウィルの卒業金を負担する代わりに、「婿になれ」と突然言い放って。

オノグルは戦争には強いけれど経済的には弱い国で。ウィルの論文はその弱点を的確に指摘していた。弱点を知る者ならば、改善点も見つけられるのではないかという期待で迎えられることになったわけです。

 

イロナは侵略国家であり続ける事を良く思ってなくて、変えようとしてるのは好感が持てますね。

ただまぁ、戦争でオノグル側にも犠牲が多く出ている中で、敵国から来た優男。オノグルは騎馬民族国家だけど、エースター出身のウィルは馬にも乗れないし、オノグルの一般常識的に加点も少ないってのが厄介なんですよねぇ。

ウィルがやってきた直後、城の使用人がボイコットを始めたりしましたし。

 

主の意向に使用人が背いた、という事実を盾に解雇しようとして。

危機感を使用人に抱かせたり、自分の境遇や女王の思惑の一端を語ることで、反感を持ってる相手でも自分たちの婚約式に協力させることに成功したのはお見事。

オノグル側も犠牲が出てきてエースター出身のウィルを責め立ててましたけど……それで言えばウィルだって、戦う力の無かった父がオノグルの襲撃で亡くなり、名ばかり共同墓地である穴に死体は放り込まれて、墓参りも叶わないって背景を抱えているわけですし。

憎んでしまうのは仕方ないけれど、どこかで連鎖は断たないといけない。そのために奔走できるウィルは、良いやつですねぇ……。

 

自国の中から経済的な武器になりうるものを探す傍ら、受け入れられるように馬に乗る練習をしたり、一歩一歩進んでいた中で……他国から経済的な攻撃を受けて。かなり危うい状況に追い込まれつつも足掻いて、希望を掴んだのはお見事。

隣国から来た嫁が可愛すぎてどうしよう。 冬熊と呼ばれる俺が相手で本当にいいのか!?

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「もし、わたしの知識で救える人がいるのなら、わたしはわたしの知識を提供すべきでしょう」

 

その性格と体格の良さ、敵を蹴散らす強靭な姿から「ティドロスの冬熊」という異名を持つサリュ。

ティドロス王国の三男でもある彼は、辺境での野党狩りに赴いて身だしなみを後回しにしがちで……25になっても未婚で婚約者もなし。

もう結婚は諦めているつもりだったが……そんな彼が王妃である母と一緒に、隣国ルミナス王国の王太子の婚約式に参列。サリュたちのように各国の要人が集まる場で、王妃はサリュのお相手探しをしようと考えていたわけです。

 

しかし、ルミナス王国の王太子アリオスは、婚約者であったタリア王国の令嬢シトエンを婚約式の場所で糾弾し、婚約破棄を宣言。

彼女の悪行をあげつらっていきましたが、その中で彼女の容姿すらもけなし始めて。さすがにそれは許せないとサリュは彼を

そしてサリュの相手について全権を委任されたサリュ母が、「婚約破棄になるなら、ウチに来ませんか」と声をかけることになって。

 

シトエンの父親は、サリュの母を知っていたこともありその提案を飲むことに。

あくまでタリア王国の臣下であるため、一度国許に帰って許可を得てからという話にはなりましたが、提案は受け入れられてシトエンはサリュの婚約者となったわけです。

女性の扱いに不慣れだとは言いますけど、シトエンを守ろうと立ち上がれる善性はあるし、不慣れなりに彼女を大切にしようとしてるのは好感が持てます。

だからこそシトエンもサリュに惹かれて行ったんでしょうしね。サリュとシトエンには幸せになって欲しいものです。

 

実はシトエン、別の世界で生きた記憶を持つ転生者で。前世では医師として働いていた。

それは会話の中で「ビタミンCやクエン酸を取ると良い」とか零した時点で分かってた話ですけど。

前世の記憶に引きずられることなく、王太子妃となるための貴族教育を完璧にこなし、ティドロス王国の言葉も習得している。スペック高い良い子ですよね、シトエン。

作中の世界よりも深い医療知識はあるけれど、医師ではない。そんな彼女だからこそ頼りたい、とサリュの友人からも頼りにされたりもしてたの良かったですね。

始まりこそ婚約破棄された悲劇ですけど、そこから良縁に恵まれているわけですから。

 

ルミナス王国王太子は大魚を逃した。それは、シトエンが竜紋と呼ばれる、鱗状の紋を宿していることを忌避したため、みたいですけど。

尊いものだからこそ隠され、それゆえに誤解した部分はあるみたいですけど。誤解を原動力に婚約破棄に踏み切ったのは自分なのに、その過ちを飲み込めてないのが愚かすぎる。

……国王はシトエンの父に対して頭を下げられる人でしたけど、息子は止められなかったし。宰相も馬鹿げた行動に踏み切っていたし、ルミナス王国終わってますね……。

魔王様は回復魔術を極めたい~その聖女、世界最強につき~1

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「残念ながら、生まれてこのかた後悔などしたことありません」

 

あらゆる術理を極めた最強の魔王ルブルヴィム。

彼を討伐するために神から祝福を受けた勇者ロロと、それに味方する英雄たちと戦うことも多かったようです。

魔王であり武人でもある彼は、戦いの前に敵を回復させて万全の状態にしてから戦う流儀を持っていたものの……魔の性質を持ったルブルヴィムは、神聖術との相性が悪く彼の満足する領域まで極めることが出来ずにいた。

……ルブルヴィムの理想とする回復魔術って「相手の弱さ」みたいな概念的な物すら「治すべきもの」ととらえて回復させるレベルで、それはもう回復魔術って枠に収まるものではなさそうですけどね……。

 

そして何かを極めることに全力なルブルヴィムの高潔さを、敵であるはずの勇者ロロですら認めて……自分の必殺技で傷一つつけられなかったこともあって、敗北を認めることになったわけです。

勇者ロロは人類最高戦力ではあれど、全人類の意思決定担当ではなくて。自分が敗北を認めても、国王たちの協議は必要だろうと現実的な話はじめたり、魔王を友と呼ぶロロ、なんだかんだ好きだな……。

そして勇者に力を与えた聖霊も現れて、魔王に「転生してみませんか」と進めてきて……ルブルヴィムは回復魔術を極めるためならと速攻で頷いたわけです。

回復魔術を極めるのが今一番楽しいことだったからかもしれませんが、「転生とはどうやって為すんだ」と掘り下げなかったのは少し意外か。

 

そして魔王ルブルヴィムは転生し……人間の少女として生まれることになったわけですが。

危機にさらされたのも影響はありそうですが、母の腹の中に宿っているタイミングで既に意識を取り戻して。

母を助けるためにそのまま魔術をつかって脅威を追い払ったり。

赤子があまりにも頼りなさすぎると、ルブルヴィム流の回復魔術を使って急成長して、当人にとっては不本意なことにたわわな胸を獲得するわけです。

こんなのは脂肪の塊なんだから「治療されてしかるべき」とか考えるあたり、魔王様の思考があまりにも魔王様というか。転生先の事、男と女の事とかもう少し常識インストールしてからやるべきだったのでは……? みたいな気持ちになる。

 

いやでも、肉体的に急成長して外見上は問題なくなっていること。ルブルヴィムとしての意識がハッキリしていること。そして両親からの教えをしっかりと吸収できたこと。

それらの要素が噛み合った結果、ルブルちゃんは5歳にして回復魔術を扱う聖女育成のための学園に通うことになったわけです。

学力試験と実地試験では最高評価を得たものの、適正検査で水晶に触れたとき「ジャアク」と連呼されたことで、ルブルは最低クラスのFクラスに放り込まれた上で、学内でも距離を取られることに。

 

まぁ当人は回復魔術を極めるために特訓できれば良いので、そんな気にせず学校生活送ってましたが。調子に乗った先輩を叩きのめし、ジャアクと呼ばれていようと気にしない友人を作り、ルブルの望むレベルには至らないながらも特級の回復魔術によって悩める人を救い、周囲に激震を走らせるわけです。

ルブルが生まれ変わったのは1000年の時が過ぎた未来で、魔王の存在は歴史から隠されていたし、聖剣使いも弱体化したり……魔王ルブルヴィムの行動を見た魔族が仕込みをしていたり、と。世界そのものも激動の瞬間を迎えていましたが……ルブルちゃん強すぎるからだいたい一蹴できるんだよな……。

コドクな彼女

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「大丈夫だよ奈紺。君は……君が思うほど、悪い奴じゃない」

 

主人公の大学生男子、叶。

彼は正体不明の少女に「赤瀬奈紺」と名付け、同棲をすることに。

とは言えそれは甘い恋愛的なソレではなく……迷い猫とかを保護するイメージに近い。奈紺、暗いところを怖がるような人間味もあるんですけど、その実、怪異に近い危うさを抱えた少女でもあった。

 

悪友から欠席者が出た合コンの穴埋めに熱烈に誘われた叶。

流れで奈紺の存在もバレて一緒に行くことになって……。叶は、奈紺の事情を知ってる天草教授に相談の上顔を出すことにして。

そこに奈紺以外の怪異も紛れ込んでいて……悪友の幹事・中沢くんが襲われる、なんて場面もありましたが。

奈紺があっさり撃退。ホラーを目撃した中沢も驚いていましたが……奈紺が助けようとした理由が、合コンとか初めてで「楽しかったから」だっていうのが、良かったですね。

 

奈紺は確かに並みの怪異よりも強い、異質で異常な存在ではありますが。

叶が傍にいる限りにおいて、普通の少女のように過ごせているのはとても凄いことだと思います。

天草教授、オカルト方面に詳しいし自分にも悪魔ハルファスがついていて、そういったトラブルに対処する専門家とのつながりもある人物で。

とある組織からの脱走者についての相談を持ち掛けられたりもして……読者目線だとあからさまにストーリーラインが繋がってるので「逃げて―」ってなっていましたが。

専門家であっても脅威に感じる奈紺に駈け寄れる叶くんが実に良かったですね。

ハブられルーン使いの異世界冒険譚3

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「何が起こってもいいように、最悪のケースを考えながら行動するべきだ」

 

志穂乃の治療を頼んだセラフィナから、病ではなく毒だという事を明かされた司。

それは志穂乃が、死霊魔術というこの世界で忌避される力に目覚めたことが影響しているようで……かつて自分を暗殺しようとした王女アリアーヌの影を感じるわけです。

さらに、元クラスメイト達を戦力として確保した人間の国と魔族間の戦争も過激化しており……この世界で、特に魔族の国で人間である彼が生きていくには何かしらの後ろ盾が欲しい。

 

単純にセラフィナに取り入って、彼女に取り替わろうとしている叔父ラドリムを排除する方向にいくのではなくて。

自由傭兵としての活動実績を積み上げていくことで、ラドリムの眼にとまるようにして、彼に取り入ることを選ぶあたりが捻くれてしまった司らしい。

……いやまぁ、最後セラフィナに接触して契約のルーンを持ち出しているあたり、ずっとラドリムを仰ごうとしてるわけでもなさそうですけどね。

ラドリムの性格を想えば今は認められて仕事を任されていても、いつ排除されるかわからないしな……。

 

そうやってファンタジー方面での状況も進展しているわけですが。

美穂乃との関係に気付いた志穂乃。かつて想い人と姉が先に付き合うことになりコンプレックスを強めることになったこと、この世界で寝込んで孤独を感じていたことから、「見捨てられるのは嫌」という想いが強まって自ら踏み込んで司との関係を深めることを望んで。

さらに、大家さんのシルエとも肉体関係を持つことになったりと、順調にハーレム築いている感はありますが。他の転移者たちが、魔族の軍に対して優位を取るだけの戦果を挙げる強力さを示している一方で、司はまだその領域になくて。仮に今正面からラドリムと戦うことになったりしたら、彼を支持する派閥の戦力も加味するとかなり厳しそうですから司らしい工夫には期待していきたいところ。

地獄の沙汰も黄金次第~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~3

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「そうね。そもそも、私は魔女と自称もしていないし、フロンティア人とも言ってない。あなた達が勝手に言い出したことよ」

(略)

「勝手に決めつけて、恐怖しないでもらえる? 善良な一冒険者よ」

 

黄金の魔女エレノアと、一般冒険者沖田としての二面生活を続けている主人公。

ナナカが攫われて、アメリカの工作員ハリーとクレアの協力を得て救出に成功してからも、変わらず活動を続けていたわけですが。

攫われたときにナナカが魔女の弟子を自称して巻き込まれたから、いっそ弟子として認めることで今度自分がトラブルにあった時は巻き込む覚悟の沖田くんは本当にもう……。

 

剣術スキルレベル6とかいう、初心者中心とはいえ受付嬢やってるカエデちゃんが知らないくらいの領域に足を踏み込んでいる一方で、錬金術スキルの方もレベルが上がって作れるもの増えて行ってるんだから、成長が著しいというか。

遅くから冒険者になっただけあって、成長の余地がありすぎる。

クレア……ひいてはアメリカとの交渉中であるレベル2回復ポーション。議員の暴走でその契約が御破算になった日本も当然挽回を狙っているわけですが。

 

本部長子飼いの冒険者である三枝ヨシノが、沖田くんに近づいてくることになって。

高ランク冒険者であるヨシノのパーティメンバーであるBランク冒険者のリンでも、剣だけの勝負なら無理、と判断するくらい沖田の剣の腕が確からしいですねぇ。

実際には魔法を使えたり、高額で頼れる装備を持ってたりするから、いざ戦ったらまた違う結果になりそうですけど。……なんかゲーム的に言うとバフ駆けるポーション作れるようになってるし、なんだかんだエレノアが勝ちそうな感じはある。

ヨシノが「沖田=エレノア説」を疑って、調べて、家にまで踏み込んできた時、それまで交流して一緒に冒険する間柄になったことから生じる油断があったとはいえ、ヨシノあっさり薬盛られてましたしね……。

少しずつ黄金の魔女の正体に気付く人が増えていますが、おおむねエレノアの齎す利益で口を噤んでるの、なるほど『地獄の沙汰も黄金次第』というタイトル通りだなぁ……って読み味ですね。

反逆のソウルイーター~弱者は不要といわれて剣聖(父)に追放されました~8

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「ああ、そういうことか。まあ正直、関心があるかないかで言ったらないんだが――」

「ないんだ」

(略)

だが必要か不要かで言ったら必要なのだ。であれば、選り好みなどしていられない。

 

鬼界編、ひとまずの決着となる1巻。

アズマの招きを受けて彼らの拠点である西都を訪問することになったソラ達。多少の行き違い、というか考え違いもあったりはしましたが。

旗士と鬼人が争いになってないだけ、ソラの存在というのは大きいですよねぇ。光神教の事とかも知ることが出来たわけですし。

 

姉を助けるために監視の眼をごまかせる姿隠しの神器を求めることにしたクリムト。

彼はいろいろあった結果、反乱勢力として立つことになった大興山の勢力に紛れ込むことになったわけですが。その手助けをしたのが、御剣家を下に見る方相氏という勢力の人間で。適当につついて情報を引き出したりしていたのは上手かったですね。

クリムトを一度打破したという優越感から口が軽くなってましたし。その勝利が、クリムト自身の体内に仕込まれた神虫を取り除くために与えられたものだと気付いていないあたり実に小物でしたが。

 

方相氏側の人間、御剣家とのつながりを示唆するようなことばかり言いますし。

家内の犯罪を取り締まる立場であったがために殺されたウルスラの父に手を下した「四ツ目の鬼人」を装っていたのが方相氏の長であったりと、色々大きな情報出てきてるんですが。

そんな中でソラはソウルイーターを通じて、三百年前の過去について知ることになったり。

鬼界で勢力を伸ばしていた光神教の暗部を暴き、鬼界の真実と……そこに封じられていた強大な敵を打ち破るまでを描いていたのでかなり満足度の高い1冊でしたね。

まぁ、この真実を知った上で彼は鬼門を出て、かつて自分を追い出した父と相対する必要が生じていたりもするわけで、あくまで大きな問題一つ解決しただけで、その先にも別の大きな問題が残っているあたり、これまでも見たソラの人生そのものだな……感がありますね。



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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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