気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

その他

セックス・ファンタジー2 妹巫女と野良メイド

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「どうかな。でもまあ、座り込んでる女の子がいたら手を差し伸べるくらいはするよ」

(略)

「……それは誰でもできることじゃない。誰でもすることじゃない」

「イリヤがハーフエルフだからか? 何度でも言うけど、俺には関係ない」

 

南方三国の魔衣姫を色事で陥落させて、三国の緩衝地帯に離宮作ってそこで自分の女を抱きまくる生活を送ってるとか、かなり爛れてるシード。

まぁこの作品らしいノリではありますが……。

そこにメイドとして現れた新たなヒロイン、イリヤ。不思議な雰囲気を持つ彼女は、エルフからも人からも忌避されるハーフエルフだった。

 

さらには最大の宗教国家である国グレシアから送り込まれてきたスパイだ、という情報まで出てきて……。新キャラだけどなかなかに設定持ってる子だなぁ。

目立ちすぎるために密偵として成功するはずもなく、イリヤ自身が武力でどうこうしようと考えるタイプでもなく。

そしてシードは良く言えば種族なんかにとらわれない器の大きい男だったため、彼女を受け入れることにします。……悪く言えば可愛い子を自陣に引き込んで抱ける機会を逃がすはずが無い、ってなるんですが……。

でも、色欲強すぎるのは確かですがそれでイリヤ救われてるから、まぁいいか……。

 

イリヤを引き込んだ後、大本のグレシアへシード達は招待されることになって。

そこで新しい問題と遭遇しつつも、シードは相変わらず女の事ばかり考えていて……最終的にはそれで味方増やした上で乗り切るんだから、突き抜けてて笑える。



セックス・ファンタジー

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「もちろん、俺のご先祖様は五十二人の魔神将を屈服させたんだ。俺にだって、できるだろう。世界から戦乱だってなくなるさ。俺の――愛さえあれば!」

 

タイトルからしてあまりにも直接的な作品ですが。

実際問題口絵も挿絵も肌色成分多めの、エロ満載ストーリーの作品ですね。

いや此処までやるならもう美少女文庫とかで良かったのでは……? とは思わないでもないですけど。

 

メガシレイア大陸という、数百年戦乱が続く大地。

二百年ほど前には魔神たちによって世界が滅亡寸前に追い込まれ、奇跡的に組まれた連合が辛くも勝利を遂げたとか。

その後、魔神が変貌した衣を纏う「魔衣姫」と呼ばれる特殊な力を操る一騎当千の少女たちが生まれるようになって……今なお、戦乱は続いている。

魔衣姫たちの目的は戦乱を終わらせることみたいですけど、一騎当千の戦力がいることで弱小勢力も最後まであきらめきれず逆に戦火が激しくなってる説あるのでは。

 

主人公のシードは、かつて魔神将たちを攻略した「名もなき英雄」の末裔で……先祖の熱かった「外法」と呼ばれる、女性を誘惑する能力を受け継いでいた。

そんな彼が戦乱激しい大陸南方を訪れたのも、そこで戦っている魔衣姫の美しさの噂を聞きつけたから。そしてそれだけ美人なら愛を注ぎたくなったから、だっていうんだから……能力を十分に堪能してる男だなぁ、とは。

まぁそうやって色事を堪能して最大戦力の魔衣姫を陥落させたことで、和睦成立への道筋が出来てたのは笑った。ここまで突き抜けてるといっそ凄い。

月の白さを知りてまどろむ2

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「捨てられて、どうして殉じられる?」

「そうすべきだと思った。神と正面から向き合うならば人も誠意を尽くさねば」

「裏切られてもか」

「少なくとも、己が納得できるまで」

 

第三譚と第四譚を収録。

ちなみに私は紙版を購入したんですが、各ストアの電子書籍版では『紅き唇の語りし夜は』という短編が特典としてついてくるそうです。

こちらは四譚~五譚の間のエピソードとして描かれた、古宮先生が以前同人誌として発売された短編なのですが、再録された形になるので読んだことない方にはとてもオススメです。

 

短期間シシュが王都に行ったりとかもしてますが、物語の主な舞台はアイリーデへと戻ります。

第三譚では、アイドが追放されたことで新たに化生斬りが補充されることになって。

来る途中で行方不明になって、捜索に行って発見したと思ったら厄介ごとを持ってくるというどうにもイラっとするタイプではありましたね……。

 

補充の下りでアイリーデの化生斬りについての話が出てきたのは笑いました。

5人定員だけど、シシュの前任は高齢で退任したが後半は働いていなかったとか。その関係で4人体制に慣れていたから補充が遅れたとか。やたらツッコミどころばっかりなのが個人的にはツボ。

 

神話正統を継ぐ月白の主であるサァリは、これまでも描かれた通り人と神の二面性をもつ「異種」なわけですが。

1巻では王都出身のシシュと夜の街アイリーデ生まれの娼妓サァリという、生まれによる価値観や性格の違いによって生まれる凸凹コンビ感じが微笑ましく映っていたわけですが。

今回収録された三譚~四譚のあたりは、人と神という異種ゆえに生じるズレが強くなってきたように思います。

 

サァリは月白の主として祖母から教えを受けていたと言いますが……なぜ母ではなかったのか。その真実についても明かされたりもします。

価値観の違いというのは、この作品を通して重要になるポイントなのかもしれませんね。

第四譚での不文律に関してのトラブルも、ある意味ではその類ですし。

不文律--明文化されず、暗黙の了解となっている規則。神代からの歴史のあるアイリーデにも当然それはあって、それを巡ったやり取りも生じたわけですが。

 

……明示されないとわからないものというのは、人の心の内にもあるんですよね。分かることと分からないこと、言うべきことと言いたくないこと。いろんな思いと選択が交差した結末が今回描かれました。

異類婚姻譚らしいすれ違いのなかでも、サァリとシシュそれぞれのらしさが光っていて良かった。

「章外:祝福」として書き下ろされたエピソードですが、書籍のみの読者には分からない部分が、WEB最新話まで読んでると刺さって痛かった。

老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます2

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「用意します、無敵の軍勢を。そして明後日の夜明け、敵軍の兵士達は知ることになるでしょう」

(略)

「恐怖と絶望という言葉の、本当の意味を。そして、地獄はこの世にあるのだということを」

 

たまに馬鹿な貴族や商人がちょっかいを出してきますけど、おおむね善良な人々が暮らす国。

それがミツハが異世界転移で訪れた場所だったわけですが……近隣の他国がきな臭い状況があって。

商品の評判を聞いて足を運んだ王女様と仲良くなったり、依頼で持ち掛けられた料理店の改革に乗り出したりと異世界ライフを満喫していたミツハでしたが……。

 

魔物の力を頼りにして、隣国が攻め込んでくる事態になって。

内部に裏切り者も用意して暗殺じみた真似もしてくるあたり本気ですけど、トップをかばおうとしたミツハ、そしてそのミツハをかばおうとした青年が負傷する事態になり……。

ミツハは、自重を投げ捨てることを決めた。

自身を鍛えてくれてる傭兵団をまとめて雇いあげ、現代兵器によって全力で敵を蹴散らすあたり、本気も本気です。

 

そうやって戦争で実績をあげてしまったせいで、子爵として任じられることになってしまって。

彼女なりのやり方で領地経営をしていくことになりますが……地球で領地経営ブログ運営して、ネットの詳しい民の知識を借りるとかよくやるわ……。

いや確かに回答は得られるでしょうけど、厄介事のほうが寄ってくると思うんだけどなぁ。実際地球側でも怪しいエージェントが接触してきたりしますしね。

ミツハ自身が新しいやり方するし、あまり他所の貴族に頼りすぎると情報が筒抜けになるし、と警戒して家臣を借り受けたりはしてませんが。

彼女のやらかしていくことを思うと、今後もっと人手が必要になりそうだけど、どうなるかなぁ、みたいな雰囲気がある。


老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます

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(今から、私の名はミツハ。『山野光波』ではなく、『ミツハ・フォン・ヤマノ』、異国の、やんごとなき家柄の娘。そして、「元の身分を隠し、今はこの国で平民として暮らす、健気な少女、ミツハ」を演じる。いや、なり切る!)

 

両親と兄を事故で亡くして天涯孤独の身となった少女、山野光波。

実際には存命の親族もいるにはいるけれど、遺産を狙ってちょっかい出してきて辛くも撃退したところで、今後関わるつもりもないとか。

家族の喪失に心を囚われた彼女は気力で遺産関係の騒動を乗り切ったけれど、そのうえで受験戦争を制することまではさすがに出来なかった。

18歳の少女が一人で全部片づけるには重すぎるからそりゃそうだよ……としか言えませんが。

 

そんなミツハは気分転換に地元のさびれた観光地である岬を訪れていた。

簡単な木の柵とコイン投入式の双眼望遠鏡がおいてるだけの場所で、のんびりする。そういう息抜きの時間も大切なわけですが。

そこですらナンパ野郎に絡まれて。揉めた結果、彼女は岬から落下してしまい……気が付いたら異世界に流れ着いていた。

 

落下時に超常存在を巻き込んだらしくて、その一部が宿った結果らしいですけど。神様じゃないにせよ、永い時を生きて時空すらわたる存在と敵対するようなことにならなかったのは良かった。

むしろ一部を引きちぎられるという「未知」が体験できたことにウキウキで説明しに来てくれるし、言語習得能力や弱い治癒の能力を与えてくれるあたり、だいぶミツハの存在面白がってますよね……。

 

そして異世界転移能力を得て、異世界と地球を行き来できるようになったミツハですが……この能力は便利だけど、いつか失われるかもしれない。

だからいつ失われても乗り切れるように、両方の世界に拠点を作りつつ活動資金を蓄えていこうと決意して。

 

自在に行き来できることを活かして、異世界で雑貨屋をしようとしたりするわけですが。

言語習得はできても常識には疎いので、海が遠い王都で魚のうろこ取りを店頭に並べたりもしてますが。

早い段階で貴族と知り合って良好な関係を築けたのは良かったですね。

……現実側では傭兵家業やってる武装集団に接触して、武器の供与や訓練をしてもらったりしてるし、安定した暮らしのためには手段選ばないなこの子……。

野生のラスボスが現れた! 9

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「――まずは貴女が救われるべきだ! 女神アロヴィナス!」

 

完結巻。

ルファスに龍の対処を任された十二星たちや、魔神王たちは見事にその役割を果たして。

ついに女神本体と対峙することになったルファスでしたが……彼女は地球のあちこちの神話をモチーフにした節操のない攻撃を繰り出してきて。

ほとんどの事を再現できる能力を持っている女神でしたが、ルファスに言わせれば「猿真似」であり、未知を生み出すことができない存在である、と。

彼女が創世神ではないということすら見切って、全力で叩きのめしに行ったルファスはさすがでしたね。

 

最終局面で勇者を唆しに行った女神も女神ですけど。唆されても、弱さを認めて力を求めない選択をできた勇者君は偉い。

一方のルファスはしっかり対策を取っていたわけですが……女神が「勇者レベル1000を作っちゃいます!」って流し込んだ経験値を横取りして、この期に及んで自分のスペック向上させてるとか、なにしてるんですか。むしろまだ上がる余地あったんですか貴女。

 

その直前で、普段はふざけたお爺ちゃんRPしていた木龍が、ポルクスが独立したアバターとなることを寿いでいった良いシーンやってるんだから、温度差で風邪引きそう。

……いやまぁ、どこぞの吸血姫さんも担当した火龍の経験値独占してレベルアップしてるし、世界のバグすぎるなこの2人は本当にもう。

インフレ極まった世界で、ド派手に暴れまわってハッピーエンドつかみ取ったルファスはお見事。

 

だいたい半分くらいで本編が終わり、後は書下ろし中編「野生のEXボスが現れた!」とSS「属性会議」が収録。

属性会議は眠り続けていた龍たちが、精神世界で繋がりこの世界のことについて語り合っていた時の一幕。まぁ属性テキトーすぎぃって言いあってるギャグエピソードなんですが。

 

そして、後日譚とでもいうべき「野生のEXボスが現れた!」は、地球に帰った勇者君といい感じのウィルゴがメインの話。

本編中でルファス自身も足を運んでましたし、勇者君送り返してもいるわけですが、何事もなかったかのように世界間移動を可能にするアイテム作ってウィルゴに渡しているあたり、ルファスの制作技術高すぎるし、配下に甘いの相変わらずだなぁって安心感がある。

転移に使ってる力自体はディーナのものみたいですけども。

 

女神アロヴィナスをめぐる騒動が決着した後で、彼女が試作した後放棄したEXボスが暴れる話、でもあるんですが。どうせ最後には最終決戦でパワーアップしたルファスに蹴散らされるのに粋がっちゃっていっそ可哀想だった感。

まぁ相手の事慮れてなかったから破滅は必死でしたけどね。合掌。

野生のラスボスが現れた! 8

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「わかっている。躊躇などせぬさ……ああ、私はもう決めている。――女神を殴り倒して、其方を救う」

(略)

「約束だったからな。其方が女神の不興を買ったら私が全力で守ってやる、と」

 

レオンの事でかい猫くらいに認識してるルファスだったり、女神のアバターであるディーナが本体のことわりとポンコツなの気にしてたりするの、細かいけど面白いポイントでしたね。

 

力と記憶を取り戻したルファスが帰還したことで、女神への挑戦権を賭けて、兼ねてより約束していた魔神王とルファスの決戦が開始。

龍相手でも圧倒的有利を取れるルファス、規格外すぎるな……。

女神の駒として、これまで何度も自身に挑む勇者たちを蹴散らすことになってきた魔神王が、今回は挑む側になるのも良い構図ですよね。

 

 

そして、ついに女神が龍を本格的に動かしはじめることになって。

揃った十二星やポルクスの招く英雄たちなど、戦力が整ったルファス陣営ならチーム分けしても挑めるというのはありがたい。

まぁルファスみたいな規格外を抜きにすれば龍は強者であり、圧される場面もありましたが……こっち側も結構な人材揃ってますから、割と安心してみてられました。

 

人類を守る箱舟のようなものを準備してあり、保護するまではルファスが行うことを決めましたが、混乱は避けられない。

その説得を、この世界に来てから無益な戦いに挑まなかった勇者君に頼む、というのは良かったですね。弱い彼にも意味があったというか。

ルファスに言わせれば彼女は力によって覇王になったことで、弱者に寄り添えなくなってしまったから勇者君だからこそ良い、ということでしたけど。

 

ポルクスが女神の駒になった時も怪獣大決戦じゃん、って思ったものですが……。

ただ女神も他にも手を打っていて……忠臣のようにふるまっていたリーブラが、実は女神の配下だったことを明らかにして。

素材が女神の天秤だったことや、それを加工したミザールがその時にはもう女神の影響を受けていたこともあって、ルファスが200年後の復活を企画したように、女神もまた埋伏の毒を仕込んでいたというのは周到で良い。

……まぁ、ゴーレムだというのに誰の命も受けずにミザールの最期を看取りに来たり、リーブラもまた一貫した存在というわけでもなくて。

敵に回ったリーブラを止めようとするのが、ガミガミやりあってたスコルピウスだって言うのが面白い構図ですね。

スコルピウス、龍への戦力分散へは付き合わず単独女神に挑むつもりだったルファスにへばりついてきたわけですが、いい仕事しましたね。

 

巻末SSは「吸血姫の憂鬱」。

文字通りベネトナシュ視点ですが……レベル上限を突破できる存在である彼女もまた、異質な存在であることに間違いはなくて。

幼少期から圧倒的な強さを持っていたために、他の家族たちの魔力や存在感が薄く感じられてしかたがなかった。そしてその力は時の王ですら「ベネトナシュこそが王だ」と、心から認めるほかないもので……。

彼女は肉親の情なども得られず、王になる他なかった。強者の孤独と虚しさを味わっていた彼女の前に、ルファスみたいな規格外が現れたのならそりゃ本編での執着も納得。

もう一編は「空☆気☆王」。終盤の加入だったこともあり、存在感がさっぱりない『魚』のピスケスことエロスの話。えーっと……どんな話でしたっけ? というのは半分くらい冗談として。

アホだった彼がルファス一行に初めて会ったとき、既に戦力は整っていて一蹴されて。昔から空気だったのが明らかになって、ちょっとだけ哀れみを覚えたよ……。


野生のラスボスが現れた! 7

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「いいえ。ルファス様。私はもう人形に戻る気はありません。私は貴方に出会うまで、自らの意思を持たない人形だった……貴方が私を『私』にしてくれた。ならば私は、女神様すら欺いてみせましょう」

 

ポルクスを乗っ取った女神の襲撃を退けたルファス一行。

その裏で姿を消したディーナが、実は女神のアバターであったことが合流したポルクスから指摘されて。

果たしてこれまでの彼女の行いの裏には、どんな思惑があったのか。それをルファスが探る一方で、十二星メンバーは残りのメンバーの回収へ向かう話。

 

ディーナが一体何を企んでいたのか。彼女の本心とは。

その核心を突くシーンは、当然作中でも屈指の名シーンになるのはわかりますが……口絵で答え出てるんだよなぁ。

まぁ「実は女神のアバターで、姿を消しました」ってイベントの後に、素直に女神のところに戻ってるようなキャラでもない、ってコレまでの振る舞いから察せる部分はありましたけど。

 

『水瓶』のアクアリウス。彼女は火龍の封印を担当していたが、対象はまどろみの中でアバターを生み出して暴れることがあり、その時期だから自由に動けなかったとか。

応援で十二星が駆けつけたら、そりゃアバター程度蹴散らせるよね……対面するきっかけにするために蹂躙された歴戦の魔神族もいましたが。合掌。

『魚』のエロス……じゃないピスケスは、女神の息子って情報が出てから登場までが遅かったし、あとがきでも弱くはないけど終盤に登場したのもあって印象薄くなるよね……的に語られてて哀れな……。

深海に世界のバグ枠の邪神が生息していて、同じくバグ枠らしいアイゴケロスが派手にぶっ飛ばしてたの笑っちゃった。思い切りのよい挿絵好き。

 

ルファスに宿ったゲーマー主人公の魂がどこ由来だったのか、とかも作中で理屈つけて設定にこだわってるのは好きです。

長い時間をかけて計画を練ってようやくたどり着いた現在。そのために暗躍を続けていた彼女の努力には頭が上がりません。

……現代の「俺」を引き寄せるために作りあげたゲーム、異世界の空気感を再現するためになかなかのクソゲー仕様だったようで、勇者君の翻弄されっぷりを見ると「それは確かに」としか言えなくて笑えた。

 

巻末SSは「夢は悪夢(げんじつ)に変わる」。

冒険者ルファスが、覇王ルファスに変じるまでの物語。夢に向かって進んでいるうちは良かったけれど、ひょんなことから夢が手元に来てしまったときに、選択を誤ってしまった。

過去のルファスもまた迷いながら進んでいる人間だったんですよね……見逃した存在が悲劇を起こしたせいで歪んでしまったのは、悲しかった。

もう一編が「邪神様はダラダラしたい」。アイゴケロスに吹き飛ばされて、新天地にたどり着いた邪神様がそこを満喫する話。深堀りすると別の物語になっちゃうから、このくらいでちょうどいいけど、かなり愉快な性格してたんだなと思うと割と好きだな邪神様。

野生のラスボスが現れた! 6

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「同意するぞ、ポルクスではない何者かよ。確かに余計な輩は舞台から降ろさねばならん。――其方が失せよ」

 

魔神族が生き残る可能性を求め、七曜のテラは妖精姫ポルクスに接触。

彼女の特殊能力に翻弄されつつも、当人の戦闘能力は低いという点をついて交渉を成立させたのはお見事。

しかしまぁ、そのタイミングでポルクスに女神が干渉してきて……自立した存在ながら、女神に近しい彼女を乗っ取って利用しようとたくらんだ模様。

 

そのころルファスは勇者一行と共に、武の都レーギャルンを訪れて。

……勇者パーティーどんどん色物感じ強くなっていくの、笑うしかないんだよなぁ……。

勇者君自身は結構まっとうに育ってはいますけど。レーギャルンで特殊なアーティファクト持ちに優位を取られたり、実力的にはまだまだ青い。

でも、十二星もだいぶそろってきてるし、それと合わせるように女神側の手札も少しずつ削られて行ってるわけで。

勇者君が今から最終決戦に見合う実力をつける余裕はないでしょうけど。悩み続けた彼がこの世界にどんな影響を与えるのか、その結末を見届けたい。

 

ポルクスに憑依した女神は彼女の力を使って、過去に倒された竜王ラードゥンなどの戦力を召喚し、ルファス達を攻めるわけですが。

ベネトナシュとぶつかってかつての力、その一端を思い出したルファス相手にぶつけるにしては物足りない軍勢でしたね……。

過去、仲間であった七英雄に対しては攻撃を躊躇ってしまう部分があって、そこを突かれると危なかったですけど。そこで頼れる応援が駆けつけてくれるんだから、ルファスの歩みが間違ってなかったと思えて良い。

 

急に街の傍で神話級の決戦が開始されたレーギャルンの住民の方々は、さぞ胃を痛めたことでしょうけど……。これまで何度かルファス一行の力を見てきたガンツたちは、自分たちでコーヒーを入れて飲む余裕があるの面白かったですね。

騒いだところでどうしようもない、というあきらめの極致みたいな態度ではありましたけど。それを受け入れられる、というのも一種の強さですよ。えぇ。

 

無事にポルクスを取り戻したところ彼女かなり常識人で、割と抜けてるルファス相手に「今までなにしてたんですかー!」ってツッコミ入れてくれるので助かる。

同様に指摘を受けたリーブラが「高山よりも深く反省しております」とか返すあたりも、十二星の親しみを感じられてよい。

 

巻末SSは「王子は世間を知る」。

メラクが王になるための試練として、一年の旅に出た先でルファス一行に出会う話。

試練には緩い縛りしかかけられておらず、手を抜こうと思えばできる。けれど、それをしてしまえば侮られて発言力が下がる。はたしてどうしたものか、と悩んでいたようですが。悩みすぎても良くないんですよねぇ……。

ルファス達と出会って常識を破壊されたのが、果たして良かったのか悪かったのか。……後悔は、してなさそうですけどね。

 

もう一編は「ルファス一行の金銭事情」。ディーナが心を砕いて、今の時代でも浮かない性能の武器とかをルファスに作ってもらって、売りさばいていたとか。

でもたまに危険物混ざるあたり、ルファスは本当にさぁ……。

野生のラスボスが現れた! 5

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「何を今更。私はいつだって大した奴だ。でなくば貴様の宿敵など名乗れるものか」

「ああ、そうであったな。其方は確かに余の宿敵を名乗るに相応しい存在だ。今、改めて心からそう思うよ」

 

レオンの下へ行くことを決めたルファス。

しかしそれはつまり、近くにいる七英雄ベネトナシュに近づくことでもあって……待ちきれずベネトナシュの方からやってくるのは行動力ありすぎ。

むしろよくこれまでちょっかい出しに来なかったな……。初回は招待状を渡すにとどめてくれましたが、訪問してからはドンパチ始めるし。

 

これまでの実績からルファスがトンデモなのはわかっていましたけど、ベネトナシュもまた自力でレベル上限を突破するまでに至っていたのが凄まじい。

ベネトナシュ的にはルファスのことを、むしろ好いているし認めてるけど……だからこそ挑まずにはいられない、というあたり難儀ですねぇ。

そんな彼女の一撃すら、微睡んでいた「ルファス」を起こすきっかけにしかならないって言うあたり、ルファスはもうこの世界のバグか何かでしょ。

 

ルファス抜きでレオンと対峙することになった十二星のメンバーでしたが……強大なスペックを誇るレオン相手に、協力プレーで有利を取ったのはお見事。

しかしまぁ、女神の誘惑をはねのけたベネトナシュの後に見ると、レオンの小物感じがヤバい。

でもスペック最強のレオンに、最弱のアリエスが「自分は信じられないけど、ルファスに与えられた力は信じられる」と有効打を入れた展開は熱くて好き。

レオン小物でおバカな子という印象は強かったですけど、ルファス的にはそういう所が猫っぽくて可愛いという認識らしいって描写もあって、なるほどなとはなった。

 

巻末SSは「竜王が勝負を仕掛けてきた」。

クラウン帝国に喧嘩を売ってきた竜王ラードゥン。ルファス達のような例外を抜きにすれば、人類が及ぶべくもない相手。

戦う中でどうしても犠牲は出るだろうから、と弱気になったトップがルファス達を引き渡す判断を下して……むしろそれを好機として竜王狩りに行くあたり、強すぎるんだよなぁ……。

「一般人は語る」はベネトナシュとルファスの戦いを遠くで目撃した、一般吸血鬼視点の話。いやまぁ、ステータス差がありすぎて、実際ろくに観測はできなかったみたいですけどね。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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