気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

その他

反逆のソウルイーター~弱者は不要といわれて剣聖(父)に追放されました~8

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「ああ、そういうことか。まあ正直、関心があるかないかで言ったらないんだが――」

「ないんだ」

(略)

だが必要か不要かで言ったら必要なのだ。であれば、選り好みなどしていられない。

 

鬼界編、ひとまずの決着となる1巻。

アズマの招きを受けて彼らの拠点である西都を訪問することになったソラ達。多少の行き違い、というか考え違いもあったりはしましたが。

旗士と鬼人が争いになってないだけ、ソラの存在というのは大きいですよねぇ。光神教の事とかも知ることが出来たわけですし。

 

姉を助けるために監視の眼をごまかせる姿隠しの神器を求めることにしたクリムト。

彼はいろいろあった結果、反乱勢力として立つことになった大興山の勢力に紛れ込むことになったわけですが。その手助けをしたのが、御剣家を下に見る方相氏という勢力の人間で。適当につついて情報を引き出したりしていたのは上手かったですね。

クリムトを一度打破したという優越感から口が軽くなってましたし。その勝利が、クリムト自身の体内に仕込まれた神虫を取り除くために与えられたものだと気付いていないあたり実に小物でしたが。

 

方相氏側の人間、御剣家とのつながりを示唆するようなことばかり言いますし。

家内の犯罪を取り締まる立場であったがために殺されたウルスラの父に手を下した「四ツ目の鬼人」を装っていたのが方相氏の長であったりと、色々大きな情報出てきてるんですが。

そんな中でソラはソウルイーターを通じて、三百年前の過去について知ることになったり。

鬼界で勢力を伸ばしていた光神教の暗部を暴き、鬼界の真実と……そこに封じられていた強大な敵を打ち破るまでを描いていたのでかなり満足度の高い1冊でしたね。

まぁ、この真実を知った上で彼は鬼門を出て、かつて自分を追い出した父と相対する必要が生じていたりもするわけで、あくまで大きな問題一つ解決しただけで、その先にも別の大きな問題が残っているあたり、これまでも見たソラの人生そのものだな……感がありますね。



メイドなら当然です4 濡れ衣を着せられた万能メイドさんは旅に出ることにしました

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(――美しい。ゆえに危うい)

(略)

「それゆえに、お前の周囲には仲間が集まり、よってたかって守ろうとしているのだな……」

 

賢人会議での働きを終え、そこで師匠からもらった「幽々夜国でのトラブルに、力を借りたい」というメモに従って、いつもの仲間と女子4人姦し旅を再開することになったわけですが。

道のりが遠いですねぇ……ニナは自身のメイド道に従って、困ってる人には助力していきますが。周囲にトンデモない人が多かったせいで常識が歪んでるますからね。そりゃ旅は一筋縄じゃ行きませんよね。

まぁニナの助言によっていろいろと気付きを得た旅の仲間、エミリ、アストリッド、ティエンたちもどっちかと言えばトンデモ側でニナの要求に応えられちゃう方だからな……。

 

道中立ち寄った街で泣いていた女の子にニナがハンカチをあげた。

それ自体は善行ですが、そのハンカチに秘境の村で代々伝えられているという刺繍がされていて。それに興味を持った奥様方に「教えてくれ」と集られることに。

ハンカチくれたくらいだから、メイドができるのだから、大したものではないだろうとこぞって押し寄せてくる奥様方はなぁ……って感じですが。ニナは普通に教えようとしてるし。エミリが希少さや難易度から、ぜったい直ぐに習得できるものではないと止めようと四苦八苦してるの、正直ちょっと面白かった。

 

そうやってぶつかることで、もう一段仲良くなれるだろとアストリッドは気をまわしてニナとエミリが話せる時間を作ってましたが。

アストリッドはアストリッドで、街を見て歩く中で興味深いものを見つけて、研究者らしく動いていくんだからもう……。

ニナを制御して、騒動に巻き込まれないようにするのは無理なのが前提ですけど。仮にニナを押さえられたとして、絶対他のメンバーが騒動起こしますよね、あの4人。

噂を聞きつけて心配して駆けつけて来た商人のファースだったり、エミリやニナを五賢人のミリアドが追いかけてきたり、話題には事欠きませんし。

反逆のソウルイーター~弱者は不要といわれて剣聖(父)に追放されました~7

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「皇女殿下いわく、俺は恨みも恩も決して忘れない人、らしい。今のうちにできるかぎり恩を売りつけておきたいんだそうだ」

 

ベルカでのアレコレが終わり、ティティスの拠点に戻ることにしたソラ。

一方そのころ、アドアステラ帝国から婚儀の為に咲耶がやってくることになって。王子相手に辛辣な言葉を放った人物とは思えないほど、配慮する姿勢を見せてくれていましたが……初手強硬姿勢を示した上で、配慮することで自分の評価を上向かせる交渉術の一環かもしれませんが、十三歳の少女と思えばなかなか巧みです。

 

カナリアのアザール王太子が、咲耶の態度を見てから元婚約者であるクラウディアに懲りずに秋波送ったりしてたのを見ると、彼女主導の方が国営上手くいきそうだなぁ……感が強い。ただまぁ、それはカナリア王国が元々帝国に対抗するために創られた国という事もあって、彼女に完全に差配を任せるのもそれはそれで問題が多いでしょうけど。

咲耶王女、自分の弟をアストリッドの相手としてどうか、と言ってきたりもしますし。ソラにも興味を持っているしで、ソラからしても他人事ではない状況になったりしてました。

 

更にソラの故郷でも騒動が起きて。変わらず囚われの身だったクライアの元に、彼女の救命を条件に密命を帯びたクリムトが死んだ、なんて知らせが飛び込み……彼女はいてもたってもいられず、ソラを頼って島抜けしてきて。

容易くクライアがソラの元に辿り着いたことで、彼を引っ張り出すために誰かが企んだことだろう、という所までソラは見抜いたわけですが。

皇女との縁が出来たタイミングだったことや、鬼門の中の世界に興味を持っていたこともあって、その策に載ることを決めて。

 

鬼ヶ島で絶対の力を持っている御剣家も、あくまで帝国の有力な家の一つに過ぎず。

皇女伝いで皇帝から直接許可をもらって乗り込んでいく、というのはシンプルな権力という力でごり押ししてて、なんか痛快でした。

……皇帝、色々と事情を知ってるようで龍穴のこととか、世界の真実のこととかで釘を刺してきたりもしましたが。ラスカリスやノア教皇のこともあるし、このまま無知でもいられないだろうと、ソラ的に興味はないけど情報を掴みに行くことに。

 

鬼人族と敵対している御剣家の技を振るいながらも、鬼人族からお守りとして腕輪を託されている。

そんなソラの事を鬼界を統一した中山の王アズマも気にかけていて……。

情報を得るためにソラが鬼族の有力者捕虜にしようぜ、とアズマの兄弟でもあるドーガと激闘を繰り広げた結果、アズマと早々に接触することになったりしてて、かなりテンポよく進んで行った感がありましたね。

なんだかんだで生き延びていたクリムト君も、たくましくて良いと思いますよ。無理難題を振られてましたが、その裏で自分の目的を叶えるために別の行動取ろうとしていたあたりはちょっと驚きましたが。多少は搦め手も使えるのか……。



反逆のソウルイーター~弱者は不要といわれて剣聖(父)に追放されました~6

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「ソラ殿は、まだ終わっていないとお考えなのですね?」

「俺の予想が当たっていれば、な」

 

ベルカ編の後編。……とはいえ、ダークエルフ側の剣士とも戦ったし、ベヒモスも打倒した。警戒対象だったダークエルフ側のトップであるラスカリスにも遭遇し、不穏な発言をされたりもしたものの……ひとまず戦闘に発展することはなく、ソラたちは無事にベルカに帰還できたわけです。

そんなわけであとがきにもありましたが、「後始末編」とでも言うべき感じで、話し合いフェーズが多かったですね。

 

そもそもソラがベルカの地に来たのは、ベヒモスの角という結界の要になるものが欲しかったのと、カティアに頼まれて壊滅したと思われる『銀星』のアロウの手がかりを探すことだったわけですが。

ベヒモスの素材は失われたが、ラスカリスから代替となるものは入手できた。

しかしアロウ達の手がかりが残っていたかもしれない方角からベヒモスがやってきたことで土地は荒らされ、もはや捜索の頼りにできるモノではなくなってしまって。

さらには法神教が敵視しているダークエルフであるウィステリアを傍に置いていることも、つつかれると面倒になるネタでもあって。

 

ダークエルフたちの拠点、アンドラに踏み込んでラスカリスとの話を纏めることも出来たのは……まぁ良かったか。

ウィステリアの後釜として筆頭騎士になったガーダが暴走する一幕があったり……ウィステリアから龍穴や世界の真実、その一端を聞かされてソラが色々考えることが増えたりと、ベヒモス撃破って偉業を果たしたはずなのに、ソラの前には立て続けに問題がやってきますねぇ。

ラスカリス、惑わす者と呼ばれてはいるけれど、スズメの父祖に敬意を払って失われそうだった「蛇鎮めの儀」についての知識を教えてくれたりとか、得るモノも多いのがなんとも。単純に切り捨てられないのが、なるほど惑わす者……。

 

交渉に際して頼れるドラグノート公爵家のアストリッドが、ソラを訪ねてベルカに訪問した上で彼に味方してくれたこと。エルフのルナマリアが協力的だったこと。

ベヒモス討伐という実績を挙げていることなんかもあって、人間社会側でのウィステリアの処遇については思ったよりあっさり終わったのは助かりましたが。

『銀星』の問題については予想外の方向から情報が齎されて……ひとまずは、決着を迎えることになっていましたが。

ギルドマスター、気付いてはいけないことに気付いて始末されたり、火種はくすぶり続けてる感じですし、気掛かりではありますねぇ。

ハブられルーン使いの異世界冒険譚2

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「ああ、司だ! 志穂乃、助かりたかったら僕と【契約】しろ!」

 

病床の志穂乃を救うためルーンを用いた【契約】を交わした司と美穂乃。

高位の跳躍スキルを持つ領主の少女、セラフィナに必要な素材を教えてもらった2人は、採取のために危険地帯であるギヴァ渓谷に向かうことに。

そこで危険なドラゴンと対峙する羽目になり……美穂乃に突き飛ばされ、戦場を一時離脱することになった司でしたが。

【契約】の縛りはかなり強力で……義務を果たせ、と彼を苛むことに。美穂乃の生存を確認できたのは良かったですけど、魔術による契約、なかなか融通が利かなくて大変ですね……。

 

終盤に司も反省してましたけど、「志穂乃の病気を治すために協力する」ではなく「志穂乃を救うために協力する」と言った影響か、薬が完成してからも2人の契約状態が継続してたりしましたし。契約を結ぶ時は気を付けた方が良い、と反省してましたが、それはそうだよ……。

まぁ美穂乃と契約をした際は、司を裏切った友人・柊恭弥の方が信頼できるというような言葉を美穂乃が言い放ったせいで司も冷静じゃなかったから、多少同情の余地はある。

今回のプロローグがまさに恭弥の裏切りのシーンでしたが、「俺を信じたのはお前の勝手」とか言ってきたりして、なかなかに恭弥も歪んでるな……感はありました。

 

薬は無事に完成させることが出来ましたが、セラフィナが幼いため後見人を務めている叔父が彼女を軟禁状態に置いたことで、面会が叶わない状態が続いたりとかのトラブルも起きていました。

司の排除を躊躇わず実行した王女も健在ですし、あちこちきな臭い世界ではあるので、なんというか今後も司は巻き込まれていきそうだな……という予感しかしませんでしたね。

……そもそも志穂乃は病気ではなく、毒を盛られた結果だなんて話まで出て来てますし。

 

美穂乃、契約の関係もあって抱かれ続ける中で司に絆されている部分も出てきてるみたいでしたけど。リエラに教育を受けているときのエクストラエピソードで、彼女は比較的恵まれた環境に居て、自分なりの「普通」を信じていて、その「普通」から外れた「かつてよく遊んだ幼馴染」に向ける無自覚な視線はどんな蔑みの言葉よりも残酷だった、的なことが地の文で書かれていて、まぁ……そういう娘だよなぁ、……という納得はありました。

ハブられルーン使いの異世界冒険譚

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「期待外れで悪かったわね」
「期待なんて初めからしてないよ」

 

級友たちと共に異世界に召喚されたものの……召喚者である姫様に不審なところを感じていた司。

それを疎遠になっていた友人を信じて相談したところ……裏切られ、城を追われることになって。異世界で頼れるものもなく、色々とひどい経験をしたみたいで彼は大分異世界に適応したというか、荒んでいきつつとりあえず生きてはいけるようになった。

 

そんなある日、幼馴染の少女・美穂乃が、病に倒れた双子の妹・志穂乃を救うために城を出て……司を頼りに来たわけですけど。

序盤で「幼馴染だから助けてくれたんだよね」とか言って、司に「そんなわけないだろ」とバッサリ切り捨てられる程度の関係。……いやまぁ、昔は仲が良くて、進学するにつれて距離が出来て、異世界で司が追われることになったことで完全に歪んでしまったというのは考慮する必要はあるでしょうけど。

……それにしたって、美穂乃の振る舞いは頼って来た相手に向ける態度じゃなかったですしね……。

 

明確に描写されてはないですけど、城を追われてから大分司も苦労して荒んだみたいですけど、そんな彼に「自分たちを見捨てて逃げた」みたいな物言いまでされちゃ、そりゃ司も怒るってもんでしょう。

そこで追い出すのではなくて、異世界で司が目覚めた才能であるルーンを用いた『契約』をするあたりは、まだ若干甘さが残ってるな……という感じもしましたが。

城に滞在していただけの美穂乃は異世界の金を持っているはずもなく。自分の身体で協力の対価を払うことになって……というあたりが実にノクターン。

あとがきに寄れば、エロにもシリアスにも本気の作品を書きたかったとのことです。面白くなりそうな要素はありますが、まだまだ序章なので今後の盛り上がり次第ですかねぇ。

化け物になろうオンライン 本日のメインディッシュは勇者一行です

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「そう! オレプレイヤーだから! だから落ち着いて話をしよう!」

「……………………肉置いてけぇ!」

「話通じねぇ!」

 

ゲテモノ料理だろうと喜んで食べる、食欲に対する好奇心があまりにも強い主人公の刹那。

好きな「食べること」をメインにしたフリージャーナリストとして記事を書いたり、ブログやらを運営したりすることで収入を得ていた。

そんな彼女が楽しみにしていたのが、味覚まで再現されているタイプのVRゲームをプレイすること。

 

過去には運営が適当に設定したことで「血液がみそ汁の味」になったゲームで、吸血鬼として好みの味を探してNPCから吸血しまくって、都市を滅ぼしたりした経験もあったりするそうで……暴食さんなんてあだ名が付けられるのも無理はないタイプのキャラをしてます。

まぁ当人的には「暴食さん」とかいう大罪の名を関した呼び名は不名誉だと感じているようで、ゲームであればしっかりプレイヤーネームで呼んで欲しいようですけど。

 

そんな刹那が新たにプレイすることにしたのが「化け物になろうオンライン」。

タイトル通り、いろんな魔物の要素をピックアップした魔物キャラになることが出来るゲーム。単純に一種族になるのではなく、いろんな種族の特性をピックアップして自分のなりたい姿を作れる自由度の高いゲームではあるようです。

デメリットを取得していくことで制限とキャラメイクに使えるポイントを増やして、いかに強力なキャラを作るか創意工夫が試されそう。

強いキャラ作りすぎても、経験値を借金する形になって序盤レベルが上がらなくなったりするそうですけど。

 

刹那はフィリアというPCを作り、ゲームを楽しむことに。

血を味わいたいから吸血鬼、生肉食べたいから人狼……というように、趣味満タンのビルドをして、時に弱点を突かれて即死しつつも目的のためにヒャッハーと人間性切り捨てて走り出せるの、このゲームへの適正が高すぎる。

ある程度レベルが上がったプレイヤーをキルすると、その要素を持ったアイテムが落ちるようになる。そのシステムを楽しむためのイベントが初期に開催されることになって……速攻でドラゴン食べに行ってるの、強すぎるんだよな……。

他にもお仕置き要素である堕ちた英雄呼び出して血を吸ったりしてるし、かなりアグレッシブです。

 

時にギスギスしつつ、時に協力してゲームを楽しんでいるなぁ……って感じではあったんですが。なんか最終版の展開で、このゲームの「ただのデータのはずなのに、料理がおいしすぎる。どんな技術使ってるんだ」という報告を知人に投げたら即座にリアクションがあったり。

掲示板回で「ゲーム運営の性根は腐ってる」と評価されたりしてましたが、実際最後にちょっと描かれた開発陣のやり取り、マッドサイエンティスト味を感じましたねぇ……。



転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す7

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「なるほど、国王を上回るのは道化師だけですね!」

 

まさかの紋つきの魔人と遭遇し、封印するなんてトラブルに遭遇しましたが無事に帰還したフィーア。

そこで国王が第一騎士団の新人を一人ずつ呼び出して行う面談に参加することになって。

面談の時期にいつも王都を離れる仕事を思いついている総長、賢明だな……って内容知ってからだと正直思いましたけど。

フィーアのことを良く知るシリルが巻き込もうとしたのも……まぁ分かる。

実際、秘匿されている情報の核心にフィーアは迫ることになったわけですしね。

 

フィーア、本当にここぞという時の頭の働きはいいのに、なんで普段あんな抜けているんだ。彼女の様子を見ていた公爵からは「理論ではなく、常人には分からない情報を積み上げていく天才型」とか称されていましたし。本気になった時の洞察力が凄いからこそ、その気力を10分維持するために1か月だらりと過ごす必要があるのかも、なんて分析もされてましたが。

 

視野が独特ですかね、フィア。でも本当に大事なところは外さないから、彼女を信奉する人も増えていくというわけで。

あと大聖女だってこと隠したいとは言っているけど、国王に駆けられた呪いを「こんな強力な呪いは見たことがない」とかも口走るので、本当にもう……。

 

フィーアのトンデモ具合が国王とその側近にも伝わった中で、「フィーアが国王様の秘密に気付いたよ」や「フィーアの従魔真実」などなど胃に悪い議題複数をぶつけられた騎士団長のお歴々は本当お疲れ様です。

……フィーアの信者もいるから、温度差が激しいのも疲れを増す要素にはなってるでしょうが、傍から見てる分には振り回されまくってて楽しい。

放課後の迷宮冒険者 日本と異世界を行き来できるようになった僕はレベルアップに勤しみます5

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「アキラは強い相手と戦う時は人が変わる」

「そうみたいだな。前のときもそうだったが、急に別人みたいになるもんな」

「いやいやさすがに人格は変わってないって……ちょっと要らない思考や感覚を切り詰めて、真面目に集中してるだけだから」

 

迷宮内部で会った傭兵リンテに連れられて、2人でチームを組んで迷宮に入ることになったアキラ。

師匠だったり、ライオン丸先輩だったり、今回のリンテだったり、攫われて迷宮行ってばっかだなアキラよ……。

まぁ迷宮探索楽しんでるタイプだし、ちょっと愚痴を零したりしつつも、なんだかんだ乗り切ってるスペックの高さはあるハズなんですがねぇ。

カーバンクルくんとの連係プレーを磨いていたり、新技会得してますし。

 

そういう新しい出会いがあったかと思えば……予期せぬ遭遇というものもあって。

これまでアキラと11で会うだけだった、スクレとエルドリッドがついに対面。お互いアキラに近い女ということで、初対面から火花散ってましたが。

……アキラを大事に想ってるという点は共通しているわけで。彼をバカにした探索者を懲らしめてやろうと結託するまでは早かったですね……。

ランキング上げにも効果的な迷宮任務ながら、探すのが大変な黄壁遺構のボス「黒鉄城」。その討伐と核石の取得を、複数のチームで競い合って行うレース形式で行われることに。

アキラをバカにしたバカ探索者たち、あからさまな妨害行動をとったりするわ、敢えて低ランクにいるアキラを知らないのはまだしも(ポーションマイスターとしての顔もあるアキラは『小人』というあだ名で有名なので、そもそも情報収集能力に疑念がありますが

)、実力が知られているスクレとエルドリッド相手にも同じ態度なのは、いっそ感心したわ。

 

今回の依頼でアキラはボスの出現条件に目星をつけて、アシュレイさんに報告しようとしてましたが。臨時パーティ組んだエルドリッドたちに「有利な点は言いふらさない方が良い」と止められることになってたのは、どうなんだって思いましたけど。

大変だから報酬をつり上げれば良いと2人は行ってましたけど。そもそもアキラと2人ってあくまで友人で、今回も臨時パーティ組んだだけなわけですし。迷宮任務が来た時いつも一緒に居られる保証もないのに、そういう流れにするのはどうなんだろとはちょっと思った。2人的には独占すれば美味しい話だし、なんならアキラと組む口実になるから秘匿したいのも分かりますけどね。

……まぁそれ言い始めたら、臨時でもパーティ組んだ2人に相談なくアシュレイに報告しようとしたアキラ側の判断も多少アレではありますけど。最終的にアキラが正論だと納得してるから、いいのかなぁ。

 

どうなんだでいえば、迷宮内は自己責任……とは言いつつ、どうしたってフリーダの議員の親戚が危険地帯で孤立してるって状況になって、アシュレイが受付嬢の持つ強制命令権まで使って、救助隊結成する流れになって。アキラを引っ張り出してきたのも……まぁ組織としては、最善を尽くした話ではあるか。

実際、他の救助に参加したチームも『小人』ことアキラが参加するという条件を出されたので飲んだっぽいですしね。アキラのサポートを受けたことで、救助チーム損害なしで遭難者救助して帰ってきた成果を見れば、そりゃ頼りたくもなるか。



忘却聖女5

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「エーレはきっと、ずっとエーレなんですね」

「お前は変われ。だが変わるな」

「えぇ……」

 

忘却の中でなんとかマリヴェルと神殿が合流し、これから協力していけるか……と思ったタイミングで、襲撃によってエーレが死亡。

彼が抱えていた聖印の効果によって、神官長たちが記憶を取り戻したのは良かったですが、それゆえに聖女を守るために彼らは命を掛けることに。

やっとお父さんと呼べた神官長を置いて逃げざるを得なかったマリヴェルでしたが、彼女は諦めるつもりはなく。王子と共に身を捧げることで、神の奇跡によって全てを治めようとした。

 

……しかし、王子もまたそれをただ受け入れるだけの器ではなくて。

ハデルイ神の前で、マリヴェルを必要とする主張をしてくれて。ハデルイ神、マリヴェルを人形と呼び、愛する人の子を守るために彼女を砕こうとしたわけですが……。

かの神は確かに人を愛していた。強大な力を持つハデルイ神は、十一柱の神を喰らったエイネ・ロイアーであろうと滅ぼすことは可能だった。

しかし、それだけの力を得たエイネとぶつかれば、余波でアデウスの民は死んでしまう。人でありながらエイネは同胞を人質にして、それを神が見捨てられなかったという背景が書かれていたのは、エイネの周到さや神なりの愛とか感じる描写で良かったですねぇ。

そして一度死を迎え、残滓となってなおハデルイ神はいろいろと手を尽くしてくれていたのが良いですね……。

 

エーレも、死ぬつもりは無かったけど最悪に備えて呪いに近い聖印を刻んでいたわけですが……死が確定する前に、マリヴェルが贄となって開いたハデルイ神と対話する世界にかくまわれたことで、神による治療が間に合ったと。

愛する人の喪失を知ったことで、神殿勢がこれまでマリヴェルが自分を大切にしない、喪われる前提での物言いに傷ついていたんだぞ、と改めて釘を刺しつつ「自分の喪失でそれだけ絶望してくれたのは結構嬉しい」とか言っちゃうあたり、エーレも愛が重い。

 

エーレやルウィがその身を捧げ、共に人の理から少し外れることで、神の器となる運命から解き放たれたマリヴェル。まぁ始まりが「器」なので、そういう助力があっても全く「人」と同じという訳にもいかないようですが。

人の意志が起こした奇跡は、実に尊いものであったと思います。4巻で神官長たちが記憶を取り戻してくれたことと言い、これが見たかったんだよ……というのが見れる終盤の展開、実に良いですよね。

 

想えばこの物語は終始、人の想いによって紡がれてきてましたよね。神が存在する世界で、神術とかも色々存在はしていますけども。

エイネ・ロイアーこと初代聖女アリアドナ。

マリヴェルは彼女の過去を垣間見て、その想いの一端を知ってましたが……あくまで彼女の始まりもまた、人としての愛ゆえの暴走だったというのが何とも。

復讐という強い炎に突き動かされて、多くの犠牲を出したアリアドナを自分だったら許せはしないな……と思ってしまいますが。マリヴェルが最後、彼女と対話する時間を設けようとしていたのは、関心しちゃった。マリヴェル、なんだかんだ結構ちゃんと聖女やってるんですよね……。

 

エーレの呪いが伝播して記憶を取り戻した神兵たちが、マリヴェルを忘れたことに強い罪の意識を持ってるのも、彼らとしては苛まれ続ける悪夢みたいな感情でしょうけど、それだけマリヴェルを聖女として抱く神殿の一員としての意識がしっかりしてる、ということでしょうし。

アリアドナの策略によって北の隣国が攻めて来たのと、大樹が君臨しアデウス王都が壊滅状態に陥ったのは派手でしたけど。これだけの大騒動の終わりは、予想以上に穏やかなもので……神の愛によって守られたものも多く、悲劇的な別れで終わらず神官長との再会が叶ったのは本当に感動的でした。

 

……アリアドナによって歪められ続けた神殿ではありますが、マリヴェル就任の際に新体制を整えたのが多少は効いてましたかね。後始末に際してアリアドナ関連の情報は全て開示したみたいですし、このままという訳にはいかずある程度形を変える必要はあるだろうとされてましたが。……難工事であるのも確かで、先送りにされているのも無理はない。

 

全てが終わった後、これまで他国の聖女との交流を立っていたアデウスの聖女という厳しい立場になって、マリヴェル大変そうではありましたけど。それでも為すべきことを為してるのは偉い。

とある神殿関係者が「マリヴェルが脱走できてた頃は平和でしたね」とこぼして、あの頃みたいになれるように頑張りますと返したところ「脱走はするな」と真顔で返される一連の流れ、正直トップクラスに好き。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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